こんにちは。脇本和洋です。
2023年もあと少しになりました。

今号は本編の今年後半(7月~11月)を振り返り、
今後のヘルスケアサービスで環境変化の波に乗るためのポイントをお伝えします。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

2030年に向け環境変化の波に乗る

本編は「ヘルスケアサービスの成功のカギは継続利用を促すこと」
という考え方の元、海外のヘルスケアサービスを紹介しています。

特に今年の後半では、単に新しい海外ヘルスケアサービスを紹介するだけでなく、サービス(継続利用)に大きな影響を与える環境変化に焦点を当てて紹介しました。

今回は、以下のポイントで振り返ります。

1)米国のウェルビーイングプログラムの動向
2)生成AIのヘルスケアサービス(特に継続支援)への活用
3)デジタルセラピューティクスは第二世代へ
4)2030年に向け環境変化の波に乗る

1)米国のウェルビーイングプログラムの動向

■ウェルビーイングプログラムの実際は?

ウェルビーイングプログラムという言葉が、日本のヘルスケア業界でも使われてきました。
ただ、サービスとして具体的なイメージがつきにくいと感じている人も多いでしょう。

そこで、米国の法人向けウェルビーイングプログラムの具体的事例として「Virgin Pulse」のプログラムを紹介しました。

サービスの特長を簡潔にまとめると、

  • 「社会的健康」を重視し、経済的健康・身体的健康・心理的健康にも配慮する
  • 社会的健康は「会社での健康」と「家族との良質な関係」を目指し、サービスを用意
  • サービスは他社と積極的に提携して提供される

というものでした。

特筆すべきウェルビーイングプログラムの特長は、『社会的健康』を基盤として展開している点です。

※参考本編(9月)>米国の法人向けウェルビーイングプログラムの動向
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1054


■健康経営のこれから

Virgin Pulseのウェルビーイングの考え方は、日本では一般社団法人社会的健康戦略研究所の考え方と似たものがあります。

そこでヘルスビズウォッチ・オーサーであり社会的健康戦略研究所も兼任する渡辺武友理事に、ウェルビーイングプログラムについて一歩踏み込んで話を聞きました。

その内容をまとめると、

  • 企業の状態により、健康経営にどう取り組むのか違いがあるのは当たり前のことだが、基本的な部分や誰でも必要とすることに関しては、ガイドラインを設けてわかりやすくする必要がある
  • 令和3年12月の「健康・医療新産業協議会 第4回健康投資WG」にて、経済産業省より「健康経営の未来像」で国際ルール化が示された
  • その取り組みが、国際標準化『TC314 Aging Societies WG4 ISO/NP25554 Guideline for Promoting Wellbeing in Local Communities and Organizations(ウェルビーイングの促進)』になる

つまり、これから健康経営を考えるには『ウェルビーイング』は外せないキーワードになっている。
そう見ていただければと思います。

※参考本編(10月)>米国の法人向けウェルビーイングプログラムの動向(その2)
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1058

2)生成AIのヘルスケアサービス(特に継続支援)への活用

日本では生成AIは、2023年春頃に多くのテレビやメディアで取り上げられました。
生成AIはヘルスケアの様々な分野での活用が期待されています。

生成AIのヘルスケアサービス(主に予防分野)への活用はこれからという段階です。そこで本メルマガのテーマでもある「行動継続」と生成AIとの関わりについて考えました。

その内容をまとめると、

  • 生成AIは顧客に合った継続の方法を見つけるアイデア出しで使える。ただアイデアは豊富に出るが、安全性や効果の視点では疑問が残るアイデアが含まれ、使うかどうかの判断は個人にゆだねられるという欠点がある。ただし、この欠点を克服する事例が海外には現れている
  • これからはヘルスケアの専門家も高齢化し、人数が減ることは避けられない。生成AIを使うと年齢性別を問わず人物画像を自由に作れる。話す内容はベテランの専門家が作り、実際に話すのはそのAI人物が行っているように見せる。そのようなことが可能になってくる
  • 生成AIとエンターテイメント性は相性がよい。例えば、推しの専門家からなんらかのアドバイスを受ける際、生成AIを使って自分のためだけに言ってほしい励ましの言葉を作ってもらえ、それを使って継続しやすいサービスにレベルアップしていくことも予想される

生成AIの活用はまだ始まったばかりであり、課題がある場合も多いが『潜在性はとてつもなく大きい』ということです。

※参考本編(11月)>Generative AI(生成AI)の行動継続への活用
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1062

3)デジタルセラピューティクスは第二世代へ

デジタルセラピューティクス(以下DTx)って最近よく聞くけど、今一歩わからないという方のために、その定義、DTxの第一世代・第二世代を紹介しました。

その内容をまとめると、

  • DTxは単独もしくは、医薬品・医療機器と併用して使い、治療効果を向上させるソフトウエアのこと。エビデンスに基づく治療介入を行い、国から許可を受けている
  • DTxの第一世代は、治療行動の支援をしつつも、記録結果を医師と共有できることを特徴としていた
  • DTx第二世代は、単に記録ができるということだけでなく、ヘルスコーチといった専門家とともに行動習慣を定着化するサービスがつく。第二世代は売上など実績に関わる数値を公開する企業も多く、第一世代から一歩進み「行動変容」を強く意識している

DTxを考える上では、『第一世代から第二世代への変化』、これに着目しておくとよいでしょう。

※参考本編(8月)>デジタルセラピューティクスは第二世代へ
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1050

4)2030年に向け環境変化の波に乗る

今年後半は、環境変化のキーワードとして

  • ウェルビーイング
  • 生成AI
  • DTx

を設定して本編でお届けしました。
いかがでしたでしょうか。

ヘルスケアサービスを急拡大させるには、商品サービスのレベルを上げることも大事ですが、環境変化をどう読み、変化の波にどう乗るか?も大切です。

極端な話、変化の波にうまく乗れば商品サービスは普通のものであっても売れていくということが起きるのは、みなさんも想像していることと思います。


本年も本編をお読みいただきありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。


※「2030年に向け変化の波に乗ること」を意識されている方へ。
情報交換をしませんか。以下よりご連絡ください。【脇本和洋】
https://healthbizwatch.com/consultation?athr=14

健康ビジネスキーワード

「挨拶は幸福への一歩」

幸福度の高い企業の特徴3つ

挨拶
掃除
コミュニケーション

と言われています。

幸福感の約40%は自らコントロール可能だという話を最近聞いた。
その他約60%は環境や受動的なもの。

挨拶は自らコントロールでき幸福へのキーと言えないだろうか?
6人に挨拶している人は社会生活がウェルビーイング状態(出典:GALLUP社)という情報もあります。

早速挨拶の人になりましょう。

今週の注目記事クリップ

+++★注目ニュース解説動画(解説:里見将史)★+++

【今回の注目】

理化学研究所と東京大学、若いうちこそ「腹八分目」(2023/12/05)
https://www.riken.jp/press/2023/20231205_1/

→解説はコチラ
「理化学研究所と東京大学の研究結果からみる健康、予防の取り組みの進化、変化(8分17秒)」

https://youtu.be/pxNEwlK5YTo



+++★注目記事クリップ★+++

[1]issin、心拍数連動エクササイズのオンライン同時接続数のギネス世界記録(TM)に挑戦!参加者を募集中(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000103350.html
本田圭佑氏や人気フィットネス系YouTuberのがちゃんねるが参画し、正月太り対策で来年1月14日(日)に開催。本取り組みは、心拍数連動オンラインエクササイズ「Smart 5min」専用バンド(心拍計)と専用アプリを活用して行います。(2023/12/06)

[2]国立がん研究センター、がん患者さんの医療や社会生活の実態に関する3回目の全国調査を実施
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/1206/
厚生労働省より委託を受け、わが国のがん対策の評価、方向性の検討に活かすため、がん患者さんの医療や社会生活の体験に関する実態を把握することを目的とした全国調査(患者体験調査)を実施します。(2023/12/06)

[3]GENOVAとNwith、管理栄養士による食事指導サービス「Food DOC(フードドック)アドバイス」の提供を開始
https://genova.co.jp/news/12719
「Food DOCアドバイス」は、管理栄養士から個別に食事指導を受けることができるサービス。チャットやオンライン面談で、専属の管理栄養士があなたの目標や性格に合わせた食事管理方法を提案します。(2023/12/06)

[4]みずほ銀行・南海電鉄・NSD、泉北ニュータウン地域における健康増進のためのプログラム実施~第1弾「記憶応援プロジェクト」~【PDF】
https://www.mizuhobank.co.jp/release/pdf/20231206release_jp.pdf
https://www.mizuhobank.co.jp/
SENBOKUスマートシティコンソーシアムの取組みとして、プロジェクトパートナーである森永乳業と共同し、泉北ニュータウン地域にお住まいの住民の方々に、デジタル技術やデータを活用した健康増進のためのプログラムを提供。(2023/12/06)

[5]RIZAP、chocoZAPから新プロテイン「DayMe(デイミー)」が登場
https://www.rizapgroup.com/news/press-releases/pr_20231206_01/
キレイ習慣を目指す方を応援する美容型プロテイン。植物性プロテイン素材としてえんどう豆たんぱくを使用。キレイ習慣に嬉しいコラーゲンペプチド1,000mg、栄養機能食品(鉄・ビタミンC)、その他10種類のビタミンを配合。(2023/12/06)

[6]アイセイ薬局グループ、オンライン漢方サービスの「わたし漢方」を事業譲受(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/market-231206-2
アイセイ薬局グループは、保険薬局事業の「治療」領域に加え、本事業の譲受により「未病」領域に参入したい考えで、今後、薬局店舗の患者や客に向けて新たなサービスとして提供する。(2023/12/06)

[7]花王、1000本以上の皮膚毛細血管を一度に可視化し定量化する新技術
https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2023/20231207-003/
この技術を用いて、実際の肌における毛細血管の個人差や部位差、刺激への応答性の違いを確認することができました。この成果は今後、肌や肌にあらわれる健康状態の把握、毛細血管の反応を考慮した製品の開発・提案に役立つと期待できます。(2023/12/07)

[8]フェムケアトレンドが追い風、「女性向け漢方処方市場」は年平均11.7%で成長 2024年以降も拡大(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/market-231207-3
クラシエ薬品が漢方薬市場の動向を発表。2019年頃から始まったフェムケアのトレンドが追い風となり、女性向けの処方が順調に伸びているという。漢方薬ユーザーが20-30代の若年層に広がり始めたことも2023年の特徴的な動き。(2023/12/07)

[9]住友生命、株式会社PREVENTの住友生命グループインについて【PDF】
https://www.sumitomolife.co.jp/about/newsrelease/pdf/2023/231208.pdf
https://www.sumitomolife.co.jp/
住友生命の「Vitality 健康プログラム」、PREVENTの医療データ解析「Myscope」および生活習慣改善支援プログラム「Mystar」をそれぞれ活用した協業としてMVM事業を展開してきました。(2023/12/08)

[10]ヘルスケアテクノロジーズ、ヘルスケアアプリ「HELPO」のオンライン診療機能に10種の自由診療メニューが追加
https://healthcare-tech.co.jp/news/20231208.html
美容皮膚(シミ対策)、花粉症、かぜ(常備薬)、AGA(男性)、メディカルダイエットなどを追加。(2023/12/08)

[11]NTTドコモ、「フレイル推定AI」を搭載した健康増進サービス「健康マイレージ」がウェルエイジング経済フォーラム Well-being&Age-tech 2023 Awardにて優秀賞を受賞(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000118641.html
健康マイレージが累計130以上の自治体に提供されている広い展開性や高齢者のデジタルディバイドに貢献する包摂性、フレイル推定AIで超高齢化社会の課題となっているフレイルをアラートし、対処法を提案するなどの技術性が評価されました。(2023/12/08)

[12]ライオン、生成AIと検索システムを用いた「知識伝承のAI化」ツールの開発を開始
https://www.lion.co.jp/ja/news/2023/4464
今後、研究領域での活用を目指し試験運用をする予定です。さらに将来的には、社内全体に対象を広げることで、イノベーションの創出を加速してまいります。(2023/12/08)

[13]MMD研究所、「Apple Watchの購入と利用に関する調査」を実施
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_2292.html
Apple Watchの認知は84.7%、所有は10.9%。所有率が高いのは性年代別では20代男性、通信サービス別ではオンライン専用プラン。Apple Watch所有者の着用頻度は「ほぼ毎日」が45%。購入の決め手は「健康に関するデータ計測」。(2023/12/11)

[14]博報堂DYホールディングス、「AIと暮らす未来の生活調査」を実施
https://www.hakuhodo.co.jp/news/info/107104/
生活者全体の7割が「AIに期待を感じる」と回答、利用層では9割にのぼる。AIのある未来、「交通の流れ最適化」「苦手な勉強の補助」「AIパーソナルドクターによる肉体的・精神的ケア」を望む人が8割、など。(2023/12/11)

[15]『mHealth Watch』注目ニュース:「メンタルタフネス」を鍛えてエリートになるための考え方とは?
https://mhealthwatch.jp/global/news20231218
今回はいつもと違うテーマの記事を取り上げます。ビジネスにおいて必要な「メンタルタフネス」です。(2023/12/18)



+++★デジタルヘルス解説動画(解説:渡辺武友)★+++

【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
デジタルヘルスのビジネスに関わる人に役立つ情報をお届けします。

第33回 WeightWatchers、新たなGLP-1サポートプログラム開始(6分14秒)
https://youtu.be/Mout_gtUFmU