こんにちは、里見です。

スポルツで研究、分析をしている健康行動継続支援技術「継続ドライバ」についてヘルスコーチングの視点から解説する3回シリーズ、今回が3回目の最終回です。

最終回では、「コミュニティ」「ゲーミフィケーション」「IoTリンケージ」の3つの継続ドライバについて、ヘルスコーチングの視点から解説します。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:「継続ドライバ」をヘルスコーチングの視点で解説【3回目】

1、前回までに解説した継続ドライバのおさらい

このシリーズの1回目では、

「インセンティブ」
「ヘルスコミュニケーション」
「ヘルスナレッジ」

の3つの継続ドライバについて、ヘルスコーチングの視点を踏まえて解説しました。


1)インセンティブ
<ドライバの役割>
健康行動の継続度や目標の達成度に応じて、報酬がもらえる機能。

2)ヘルスコミュニケーション
<ドライバの役割>
健康向上プロセスで用いる有効なコミュニケーション方法。

3)ヘルスナレッジ
<ドライバの役割>
健康づくりに必要な知識提供機能。

◇1回目の解説の詳細は以下でご覧ください。
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1059



そして、前回2回目で解説した継続ドライバは

「パーソナライズ」
「モニタリング」

の2つでした。

4)パーソナライズ
<ドライバの役割>
一人一人に合った選択を可能にする機能。

5)モニタリング
<ドライバの役割>
健康状態・行動・結果を記録し表現できる機能。

◇2回目の解説の詳細は以下でご覧ください。
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1063

2、ヘルスコーチング視点による継続ドライバ

それでは、ここから3回目の継続ドライバ

「コミュニティ」
「ゲーミフィケーション」
「IoTリンケージ」

についてお話ししていきます。


6)コミュニティ


<ドライバの役割>

他者との交流機能。


<ヘルスコーチング的な見方>

コミュニティには様々なバリエーションが存在し、情報の共有が一切行えないコミュニティから積極的に情報の共有が行えるコミュニティがあります。

コミュニティがもたらす効果の一つに「刺激」や「競争」がありますが、この「刺激」や「競争」は、特に情報の共有がなされなくても、行動やデータの共有だけでも成立することがあります。

しかし、同じ目的や、似たライフスタイルの「仲間」がいるコミュニティにおけるコミュニケーションを通した情報共有では、「学び」や「共有・共感」の要素が高まります。

コミュニティ内で、メンバー間の様々なコミュニケーションや情報交換のやり取りが発生すると、それらの会話一つ一つがメンバーにとって「学び」につながります。

この「学び」には、「共感、共有」というものと「他者との違いを認識する」といったことも含まれ、ヘルスコーチングのポイントである自身の「気づき」につながっていきます。


<ポイント>

1対1のコミュニケーションよりも、多数の人と交流するコミュニティの場合には、様々なケースで「気づき」のポイントが存在します。
参加者同士の直接的な会話の中での気づきはもちろん、参加者同士の会話を見ている中でも気づきが生まれることがあります。

この「気づき」には、成功していることはもちろん、失敗や他の人の違いからの気づきなど、いろいろな角度、視点での気づきが存在します。

コミュニティの中での「気づき」をどう作っていけるかがポイントであり、そのためにはコミュニティ任せにするのではなく、仕掛けやシナリオ、設計が重要になってくるのです。


7)ゲーミフィケーション


<ドライバの役割>

楽しさの演出機能。


<ヘルスコーチング的な見方>

健康行動の継続、習慣化に向けては、苦しい、頑張るなどといったネガティブなイメージを持つ人が多いのも事実です。
だからこそ健康の重要性を理解しつつも、実際の行動に移せない人が多いのだと思います。

そのハードルを下げるアプローチや、別の目的、入口としてゲーミフィケーションのゲーム的要素で楽しみながら健康行動を促す仕掛けとして提供されています。
理想としては、健康行動は裏側に隠れていて、ゲームをすることで結果的に健康行動に取り組んでいた、継続していたという流れです。

特に、行動変容ステージがあまり高くない、自発的に、能動的に健康課題の改善に向けて一歩が踏み出せない人に対して一歩を踏み出すきっかけづくりだったり、なかなか継続できない人に向けて目的をゲームに据えて行動の継続に導くといったアプローチとして有効な手段の一つになります。

健康のための健康行動でなく、ゲームを楽しむための健康行動のアプローチなのです。


<ポイント>

健康行動を取り入れたゲーミフィケーションは、実際にやってみると副次的な効果が見つかることが多いのも事実です。

しかし、その副次的な効果を利用者に任せて自身で気づいてもらう、発見してもらうのではなく、ゲーミフィケーションの中で気づく、発見してもらう仕掛けやアプローチをしっかりと入れ込んでいくことがポイントです。

ただ単純にゲームで楽しさを提供するのではなく、本当の意味での成果に導くためのゲームであるべきで、ゲームを通した健康行動の継続、習慣化というシナリオをゲームのストーリーの中に入れ込むべきです。


8)IoTリンケージ


<ドライバの役割>

ICT&IoTとの連動機能。


<ヘルスコーチング的な見方>

健康行動の継続には、記録は重要な要素の1つです。
しかし、測定も含めて記録の継続は、特にハードルが高い行動の1つであるのも事実です。

測定や記録の継続をサポートする、楽にしてくれる機能がこのIoTリンケージで、健康行動継続のハードル、障壁を取り除く効果が期待できます。


<ポイント>

しかし、データが自動で測定され連携して記録することが続くと、当たり前になってしまい見過ごす可能性が出てきます。

また、記録、データを自分ごととして見なくなる傾向に陥り、せっかくのICT&IoTとの連動機能が意味をなさなくなってしまい、健康行動、習慣化への記録の効果も薄れてしまうのです。

前回2回目に解説した「モニタリング」でもお伝えしましたが、適切なタイミングでそのデータの意味を意識させたり、記録から行動選択に結びつけるサポートが必要になるのです。



今回3回目の最終回では、「コミュニティ」「ゲーミフィケーション」「IoTリンケージ」の3つの継続ドライバについてヘルスコーチングの視点で解説してみました。

さて、3回シリーズでお届けした健康行動継続支援技術「継続ドライバ」のヘルスコーチングの視点からの解説はいかがだったでしょうか?

スポルツで2007年から研究、分析を行なっている健康行動継続支援技術「継続ドライバ」は、比較的わかりやすい整理になっていますが、ヘルスケアサービスに落とし込んでいく上では、今回のようなヘルスコーチング的な視点はもちろんですが、サービス利用者の年齢、行動変容ステージなどによっても提供、活用する継続ドライバは異なってきます。

我々スポルツでは、国内外のヘルスケアサービスの多くの成功事例、失敗事例の中から、継続利用度が高いサービス開発に組み込むべき要素や継続ドライバの具体化までお手伝いをさせていただいております。

継続ドライバの活用についてご興味ある方は、お気軽にお問い合わせください。

また、貴社のヘルスケアサービスの継続ドライバを活用した簡易診断も行っております。是非ご連絡ください。


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[4]サノフィ、「SoloSmart(R)」新発売のお知らせ【PDF】
https://www.sanofi.co.jp/dam/jcr:d2b6f974-433d-41b2-9d3d-3080feccb660/231214.pdf
https://www.sanofi.co.jp/
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[5]雪印メグミルク、プレーンヨーグルトの香気成分の認知機能活性化効果を脳波測定により発見
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[6]女性特有の132の課題を網羅&整理、「女性のウェルネス課題デザインマップ」(ウーマンズラボより)
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[7]issin、体重測定できるバスマット「スマートバスマット」が小学館「DIMEトレンド大賞(家電部門賞)」を受賞(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000103350.html
『バスマットと体重計が一体化し、毎日の「乗る・測る・記録する」手間から解放され、“無意識の体重管理”を実現。健康意識や生活習慣の改善に影響を与えています。』と、コンセプトの斬新さや生活に与える影響を高く評価され受賞。(2023/12/14)

[8]矢野経済研究所、患者QOL向上商品・サービス市場に関する調査を実施(2023年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3395
シニアサポートサービス(介護保険外サービス)市場は拡大傾向。必要なときすぐに・自由に利用できる利点が評価され、今後増加傾向で推移する見通し。(2023/12/14)

[9]東京都健康長寿医療センター研究所、認知機能低下が死亡リスクをどう高めるかは孤立の種類次第:“独居”と“希薄なつながり”は正反対の作用を持つ
https://www.tmghig.jp/research/release/2023/1215.html
研究チームは、都市部高齢者の疫学データを用い、認知機能低下と総死亡の関係性に対して、「孤立」がどのように作用するかを調べました。(2023/12/15)

[10]フジ医療器、「リラックスポール FRP90」新発売
https://www.fujiiryoki.co.jp/company/news/news2/n191.html
肩・肩甲骨・腕・背中・腰・もも・股関節などの気になる部位の筋肉や関節を温めながらストレッチケアできるヒーター付きのリラクゼーションアイテム。(2023/12/15)

[11]ファンケル×ホテルグランバッハ東京銀座、「腸活&温活」をテーマにウェルネス・イベントを開催(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000074239.html
開催日は2024年1月20日(土)。寒い季節に身体を温め、免疫機能を高めるための腸活にまつわる情報が詰まったセミナーとともに、両社の知見を活かしたスペシャル・ウェルネスメニューを提供します。(2023/12/15)

[12]メドピア、労働人口減少・働き方の変化により工場管理者の9割が「人材をより大事にしていく意識」が高まったと回答
https://medpeer.co.jp/press/13046.html
今回は、製造業の工場管理者109名を対象に工場の産業医契約に関する実態調査を実施。この調査では、製造業においても人的資本経営の考え方が浸透する中、産業医との関係性やその選定に課題を抱える工場が多いことが明らかになりました。(2023/12/18)

[13]asken、今年やせたダイエッターに支持された「お酒」のランキングを発表
https://www.asken.inc/news/2023/12/19
クリスマス・忘年会・新年会などパーティーシーズンに知っておきたい、今年体重が減ったダイエッターに支持された「お酒」ランキング。糖質オフのものや、糖質ゼロであるウイスキーで作るハイボールが多くランクイン。(2023/12/19)

[14]コーセー、男性のナチュラルメイクにより「信頼できる」「誠実な」などの対人印象が高まることを実証
https://corp.kose.co.jp/ja/news/8383/
今回、男性が大切にしたい印象の多くを、ナチュラルメイクによって高めることができることが分かりました。これらの結果を店頭接客にも取り入れ、男性への効果的なメイク提案を推進していきます。(2023/12/19)

[15]東急スポーツオアシス、「総合ウェルビーイング施設 CARAPPO」を虎ノ門ヒルズステーションタワーに開業
https://www.sportsoasis.co.jp/2023/12/19/pr_carappo/
CARAPPOは、“Reset for Creative Life”というコンセプトのもと、トレーニング、サウナ、メディテーション(瞑想)を体験し、心身共にリフレッシュした“空っぽ”な状態になれる総合ウェルビーイング施設。(2023/12/19)

[16]インタースペース、ヘルスケアアプリ『4MOON(フォームーン)』が最新生理用品の利用率を調査
https://www.interspace.ne.jp/press/3417.html
20-50代のユーザーを対象に「フェムテックに関するアンケート」を実施。最新の「生理用品」「デリケートゾーンケア用品」の利用率について調査結果を公開。一般女性の「フェムテック」認知度は2割強、など。(2023/12/19)

[17]学生が60秒以内にメンタルヘルスの専門家につながることを支援するClayfulが700万ドルを調達
https://mhealthwatch.jp/global/news20231213
Clayfulのユニークな特徴は、インスタントメッセージング技術を使用してユーザーとメンタルヘルスの専門家を60秒で結びつけること。これにより、生徒とコーチとの間でリアルタイムの接続と対話が可能になる。(2023/12/13)

[18]23andMe、690万人のDNAデータを含む個人情報が盗まれたと認める
https://mhealthwatch.jp/global/news20231215-2
この侵害への対策として、23andMeはすべてのユーザーにパスワードのリセットと、2要素認証の使用を要求している。(2023/12/15)

[19]『mHealth Watch』注目ニュース:MMD研究所、「Apple Watchの購入と利用に関する調査」を実施
https://mhealthwatch.jp/japan/news20231225
Apple Watch購入を検討している人は「健康に関するデータ計測」が一番に重視されているが、実際に購入して利用している人では「スマートフォンの通知を確認できる」が最も多く、次いで「健康に関するデータを計測できる」という結果に。(2023/12/25)



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第34回 VRヘルス、普及の壁とは?(5分47秒)
https://youtu.be/8Cjo72OVINw