[ヘルスコーチングの視線編]ヘルスコーチングの可能性を探る:「継続ドライバ」をヘルスコーチングの視点で解説【2回目】
こんにちは、里見です。
スポルツで2007年から研究、分析を行なっている健康行動継続支援技術「継続ドライバ」について、前回からヘルスコーチングの視点で解説しています。
2回目の今回は、「パーソナライズ」「モニタリング」の2つの継続ドライバについて、ヘルスコーチングの視点から解説します。
特集:ヘルスコーチングの視線編
1、前回1回目で解説した継続ドライバのおさらい
前回は、
「インセンティブ」
「ヘルスコミュニケーション」
「ヘルスナレッジ」
の3つの継続ドライバについて、ヘルスコーチングの視点を踏まえて解説しました。
少しだけ、おさらい的にポイントを紹介します。
1)インセンティブ
<ドライバの役割>
健康行動の継続度や目標の達成度に応じて、報酬がもらえる機能。
<ポイント>
インセンティブは、動機付け、きっかけづくりという役割で活用して、そのあとどのように行動の継続、習慣化に向かわせるかという視点が必要。
インセンティブで一歩を踏み出してもらい、その後、行動の継続、習慣化に向けたアプローチと組み合わせることがポイントになります。
2)ヘルスコミュニケーション
<ドライバの役割>
健康向上プロセスで用いる有効なコミュニケーション方法。
<ポイント>
対象者の「行動」に着目して、行動の継続を支援するためのアプローチ、コミュニケーションにしていかない限り、行動の継続の先に存在している本当の意味での成果に導けないです。
3)ヘルスナレッジ
<ドライバの役割>
健康づくりに必要な知識提供機能。
<ポイント>
正しい知識を提供したとしても、行動に結びつかないのが健康行動の難しいところです。
やはり、健康行動に結びつけるための情報提供というスタンスで情報を取り扱い提供すべきなのです。
1回目では、上記3つの継続ドライバについて、ヘルスコーチングの視点で解説しました。
1回目の詳細は以下でご覧ください。
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1059
2、ヘルスコーチング視点による継続ドライバ
それでは、ここから1回目に続いて
「パーソナライズ」
「モニタリング」
の2つの継続ドライバについてお話ししていきます。
4)パーソナライズ
<ドライバの役割>
一人一人に合った選択を可能にする機能。
<ヘルスコーチング的な見方>
前回解説した「ヘルスナレッジ」でも説明した通り、行動変容のステージが違えば、提供すべき情報はもちろんですが、受け手側の興味、関心は違ってきます。
やはり、受け取る側に沿った情報や自身に向いている情報以外には目を向けてくれません。
パーソナライズ、個別化という視点で見た場合には、パーソナライズ、個別化をするための情報をどこまで把握できているかということがポイントになってきます。
対象者の情報を把握するためには、記録はもちろんログ、様々なリレーションの存在が必要で、パーソナライズ、個別化を進めていけばいくほど、より細かいパーソナライズ、個別化の対応が可能になってきます。
<ポイント>
パーソナライズ、個別化の背景には、やはり対象者は提示された情報や内容の個別感と同時に、「見ていてくれている」「寄り添ってもらっている」ということに価値を持ってくれたりするものです。
この「見ていてくれている」「寄り添ってもらっている」といった感覚こそが、パーソナライズ、個別化の重要な要素であり、健康行動の継続、習慣化につながっているのです。
このパーソナライズの要素は、ヘルスコーチングの特徴である「寄り添い」とも言える大切なコミュニケーションなのです。
5)モニタリング
<ドライバの役割>
健康状態・行動・結果を記録し表現できる機能。
<ヘルスコーチング的な見方>
ヘルスコーチングでは、PDCAのサイクルをしっかりと回していくアプローチで、目的に向けた行動の習慣化、定着化をサポートしていきます。
PDCAの中でも「Check」する機会をいかに作るか、そしてそのチェックを振り返りにつなげられるか、さらに「行動」の見える化からどう対処していくのかといった、次のアクションにつなげていけるかがポイントになってきます。
モニタリングしてデータを見える化するだけに留めてしまったり、記録やグラフなどの機能だけで、行動の継続、習慣化に結びつけるアプローチが欠けていては、せっかくの記録の見える化が、もったいないものになってしまうのです。
<ポイント>
記録だけが成功の要因ではなく「記録→振り返り」が重要な要素なのです。
例えば、記録やデータの見方はもちろん、記録やデータの意味化と一緒にいかに振り返る機会にしてもらうかといったアプローチ、そしてその記録やデータから課題を見つけて「なにをするのか」といった視点になってもらうなどのアプローチが必要です。
現状の記録系サービス、レコーディングサービスで欠けている要素は、やはり「記録→振り返り」のアプローチだと強く感じています。
2回目の今号では、「パーソナライズ」「モニタリング」の2つの継続ドライバについて、ヘルスコーチングの視点で解説してみました。
次回3回目の最終回では、「コミュニティ」「ゲーミフィケーション」「IoTリンケージ」の3つの継続ドライバについて解説します。
次回3回目もご期待ください。
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プロジェクト・ウェルビーイングにも通じると感じているのは我々だけではなさそうです。
※出典:ディズニー7つの法則 トム・コネラン著 日経BP社より
今週の注目記事クリップ
+++★注目ニュース解説動画(解説:脇本和洋)★+++
【今回の注目】
大塚製薬・カケハシ・イオンリテール、経済産業省「PHR利活用推進等に向けたモデル実証事業」に採択(2023/11/08)
https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2023/20231108_1.html
→解説はコチラ
「経産省PHR実証事業にみる今後の姿(7分26秒)」
https://youtu.be/LcWFPnAedM8
+++★注目記事クリップ★+++
[1]三重大学とキュアコード、AMED採択事業 心不全・高血圧の予防を目的とするアプリ・サービスの共同研究開発をスタート
https://curecode.jp/news/2023/amed-heart-sign/
本研究では、患者と医療機関双方が連携する心不全管理アプリ「ハートサイン」を用いて、心不全患者の増悪防止だけではなく、心不全のリスクのある方の予防サービスを社会実装することで、患者数と医療費の削減を目指します。(2023/11/15)
[2]SaveExpats、経産省シリコンバレー新規支援拠点のメンバーに採択されました
https://saveexpats.com/blog/20231115a.html
世界のどこでも日本の健診を届けるSaveExpats、シリコンバレーの支援拠点“Japan Innovation Campus”コワーキングメンバーに採択。本支援拠点を通じて米国におけるスタートアップ・エコシステムとの連携を深め、活動を加速して参ります。(2023/11/15)
[3]issin、体重測定できるバスマット「スマートバスマット」ユーザー数が年間4.7倍に成長(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000103350.html
従来の多くの体重計とは異なり、販売開始後にユーザーニーズに応える形で機能追加・アップデートを繰り返し行っている点が特徴。ペットの体重測定機能やAIによる体重予測機能など10種の新機能を発売後に追加しています。(2023/11/16)
[4]厚生労働省、健診等情報利活用ワーキンググループ 民間利活用作業班(第12回)資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36415.html
議題「民間PHRサービスの現状と課題に係る調査等について」「PHRの利活用に向けた実証事業の状況」など。(2023/11/16)
[5]ネスレ日本、従業員の眠りを変える「ネスレ ヘルスサイエンス睡眠プログラム with Fitbit」
https://www.nestle.co.jp/media/pressreleases/20231117_nestlehealthscience
ネスレ ヘルスサイエンスとグーグルが共に進める睡眠課題解決への一歩。睡眠を可視化するグーグルのウェアラブルデバイスFitbitと睡眠トレーニングを組み合わせたプログラム提案により、従業員の睡眠の質を向上させることを目指します。(2023/11/17)
[6]富士フイルム、健診センター「NURA(ニューラ)」の新拠点をインド ハイデラバードにオープン
https://www.fujifilm.com/jp/ja/news/list/10875
「NURA」は、日本式の高品質な健診サービスを近隣の住民や企業・医療施設関係者などに提供します。今後も「NURA」の拠点拡充を図り、新興国での健康診断サービス事業をさらに拡大していきます。(2023/11/17)
[7]西川、S'UIMINと連携し伊藤忠商事の社員を対象に健康経営を目的とした睡眠改善サービスの検証を開始【PDF】
https://www.nishikawa1566.com/news/news_file/file/20231117190904.pdf
https://www.nishikawa1566.com/
睡眠マネジメントに関するコンソーシアム「Sleep Innovation Platform(R)」の活動の一環として3社が連携。事前の試験的検証では約半数で潜在的リスクが明らかに。(2023/11/20)
[8]バリューHR、株式会社大和総研との資本業務提携に関するお知らせ【PDF】
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6078/tdnet/2365831/00.pdf
https://www.valuehr.com/docs/
2023年11月20日開催の取締役会において、株式会社大和総研との資本業務提携契約締結を決議いたしました。(2023/11/20)
[9]JCOM、スマホやテレビが診察室に「J:COMオンライン診療」を「MY J:COM」アプリで提供開始
https://newsreleases.jcom.co.jp/news/20231120_8931.html
今回サービスが追加となる本アプリは、J:COMご加入者を中心に累計250万ダウンロードを超えている。診療から処方薬の受け取りまでスマホで完結。(2023/11/20)
[10]NTTコミュニケーションズとメドレー、福島県双葉町における医療DX推進をめざしICTを活用したオンライン服薬指導と処方薬の配送に関する実証実験を開始
https://www.medley.jp/release/20231120.html
本実証は、双葉町が進める「令和5年度福島県双葉町オンライン服薬指導実証事業」の一環として実施するものです。(2023/11/20)
[11]認知症・フレイル予防のための複合的な「認知症予防プログラム」を開発 高齢者の認知機能を改善(保健指導リソースガイドより)
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2023/012680.php
国立長寿医療研究センターなどの研究グループは今回、生活習慣病の管理、運動指導、栄養指導、認知トレーニングから構成される多因子介入プログラムによって、高齢者の認知機能低下を抑制できるかを検討した。(2023/11/20)
[12]ライオン、お口から法人の健康経営をサポートするサービス「おくちプラスユー」の提供人数が累計1万人を突破!【PDF】
https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/9369/20231121_02.pdf
https://www.lion.co.jp/ja/
「おくちプラスユー」を導入いただいた企業の従業員の方からの満足度は高く、「満足」「やや満足」と回答した割合は、95%となっています。(2023/11/21)
[13]オルビス、人的資本の最大化に向けフェムテックを活用【PDF】
https://corp.orbis.co.jp/wp-content/uploads/2023/11/20231121_FEMCLE.pdf
https://corp.orbis.co.jp/
オルビスで働く女性社員の健康課題支援を目的として、オンライン診療など健康支援プログラムを提供する、株式会社リンケージのヘルスケアサービス『FEMCLE(フェムクル)』を導入。(2023/11/21)
[14]Bodygram、セルフサービス型のB2Bボディスキャンサービス「Bodygram Platformフリープラン」がリリース!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000044966.html
QRコードの読取りで無期限&完全無料でAI身体計測の利用が可能に!使用感を手軽にお試しいただける新プランの導入で、ビジネスへの導入検討時の初期ハードルである予算や工数を大幅軽減。(2023/11/21)
[15]ウェルナス、住友商事株式会社に対し「AI食」技術の事業化に向けた調査業務を開始しました
https://wellnas.biz/info/633/
ウェルナスでは、AI食情報を個々人に届けることを目的に、AI食技術を活用した初のソリューションとしてスマートフォンアプリ「NEWTRISH」を開発、2023年1月14日(土)にローンチ。(2023/11/21)
[16]シャリオン、ベネフィット・ワンと業務提携を開始
https://charion.co.jp/2023/11/21/20231121-01/
この度の提携により、ベネフィット・ステーション会員およびベネフィット・ワンの提携する企業顧客の皆様へ、自社がもつオーラルケアノウハウを提供することで皆様の健康増進・健康維持に貢献してまいります。(2023/11/21)
[17]バイデン大統領、AI開発リスク軽減に向けた大統領令
https://mhealthwatch.jp/global/news20231115
国家の安全保障や経済、公衆衛生にリスクを与え得るAI開発者に対し、公開前に安全性試験の結果提出を義務付ける。(2023/11/15)
[18]『mHealth Watch』注目ニュース:オムロン ヘルスケア、高血圧に対する意識と行動に関する調査
https://mhealthwatch.jp/japan/news20231127
今回注目するのは、血圧計メーカーであるオムロンヘルスケア社が実施した高血圧に対する意識と行動に関する調査結果です。今回の調査結果では、2017年に実施した調査との比較で、意識と行動の変化もレポートされています。(2023/11/27)
+++★デジタルヘルス解説動画(解説:渡辺武友)★+++
【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
デジタルヘルスのビジネスに関わる人に役立つ情報をお届けします。
第30回 Amazonのヘルスケアはどうなる?(7分26秒)
https://youtu.be/6VKDGK1-Zcs