HealthBizWatch Authorの大川耕平です。

米国の秀逸ビジネスモデルの紹介と分析をしている中で必ず上がる質問があります。
「なぜ米国ではヘルスケアビジネスがスケールするのか?」というものです。
今回は、この日米マーケットの違いからどう学ぶか?を考えていきます。

特集: ヘルスビズウォッチ特集企画

第3回:「日米ギャップからの学び」

ヘルスケアビジネスにおける注目すべき日米ギャップ

このギャップを生んでいる原因は

1)日米の人口の差
2)日米の健康意識の差
3)日米の法律の差(日本は皆保険がある)
4)ビジネスチャレンジ環境としての資金調達の差

にあると我々は考えています。


1)人口の差

米国は約3.3億人の人口を持ち、日本の約1.2億人と比較して市場規模が大きいことです。
より多くの消費者が存在し、多様なニーズを持っているため、ビジネスのボリュームが大きくなります。


2)健康意識の差

米国では予防医療や健康管理に対する意識が高く、個々人が自分の健康に投資する文化が根付いています。
フィットネスアプリやウェアラブルデバイスの利用が広がっているのもその一例です。


3)法律の差

日本は皆保険制度が整っているため、予防医療に対する直接的な費用負担が少ない点です。
米国では医療費が高額なため、予防医療に投資することで医療費を抑えようとする動機が強くなります。


4)資金調達の差

米国はベンチャーキャピタルや投資家からの資金調達が活発であり、新規事業が迅速に成長する環境が整っています。
日本はこれに比べて資金調達が難しく、新規事業の成長速度が遅くなることがあります。



さらにビジネス成長のスピードも圧倒的に異なります。


・テクノロジーの採用

米国ではテクノロジーの導入が迅速であり、デジタルヘルスの普及が進んでいます。
日本はこれに比べて技術導入が遅れる傾向にあります。


・規制の違い

米国では新しいビジネスモデルに対する規制が柔軟であり、試行錯誤がしやすい環境が整っています。
日本では規制が厳しく、新しいサービスの導入に時間がかかることがあります。

日本が米国の予防領域におけるヘルスケアサービスから学ぶべきポイント


1.パーソナライズドヘルスケア

データ活用:
米国では個人の健康データを活用したサービスが盛んです。
FitbitやApple Watchなどのデバイスから得られるデータを利用して、個別にカスタマイズされた健康管理プランを提供することで、効果的な予防医療が実現されています。


2.デジタルヘルス

アプリとプラットフォーム:
MyFitnessPalやCalmのようなアプリが普及しており、手軽に健康管理ができる環境が整っています。
日本でもこのようなデジタルツールの普及を促進することで、予防医療の効率化が図れます。


3.消費者教育

健康リテラシーの向上:
米国では健康に関する教育が進んでおり、消費者が自身の健康に対して積極的に関与する文化が形成されています。
日本でも健康リテラシーを向上させるための教育プログラムを導入することが重要です。


4.インセンティブプログラム

健康促進インセンティブ:
米国の企業では従業員の健康管理を促進するためのインセンティブプログラムが導入されています。
これにより、従業員が健康管理に積極的に取り組むようになります。
日本の企業でも同様のプログラムを導入することで、全体の健康意識を高めることができます。


5.パートナーシップとコラボレーション

多業種連携:
米国では異業種間の連携が進んでおり、ヘルスケア企業とテクノロジー企業、食品企業との協力が一般的です。
日本でもこのような連携を強化することで、革新的なサービスの開発が期待できます。

何から着手すべきか?


日米ヘルスケアのギャップを整理してみました。
これらの違いを前提に、日本は何を強化することが今後のビジネス進歩に直接的に繋がるのでしょうか?

パーソナライズ、インセンティブ、デジタルデータ活用やコラボレーションと日本でもそこそこ展開していることも事実です。

成長を続ける米国のヘルスケアビジネスモデルの最大の特徴は、「顧客との対話と育成」に力を注いでいる点です。
米国と比べて、かつ日本での実効性に即したフォーカスは「顧客教育」だと我々は考えています。


自社の顧客教育において何が足りていないのか?


既存機能に手をつけずにプロセスの部分的な改善で売上やパフォーマンスの向上につながる可能性があります。
ほとんどの国内ヘルスケア・プレイヤーがまだやり切れていないのが顧客教育・対話なのです。

一度整理してみませんか?


●大川へのお声掛け、問い合わせや質問などがあればこちらへ(直接届きます)。
ディスカッションも大歓迎です!
https://healthbizwatch.com/consultation?athr=12
 

健康ビジネスキーワード


「Community takes All」

「コミュニティテイクスオール」の理解。
「コミュニティテイクスオール」というフレーズは、現在ビジネスにおいても非常に重要な概念です。

これは、「コミュニティがすべてを勝ち取る」という意味で、特定のコミュニティやファンベースを築くことが、ビジネスの成功に直結するという考え方を表現しているものです。

具体的なビジネスへの応用として

・顧客との深い関係性構築
・顧客参加の商品、サービス開発
・共感型ブランドストーリーの発信
・ユーザー生成コンテンツの活用
・顧客への長期的な価値提供基盤

などがあります。

これらの行動は、ビジネスがコミュニティを中心に展開されることで、競合他社優位に立つ戦略です。
コミュニティが成長すると、その影響力は自然とビジネスの成功にもつながります。

今一度「コミュニティ」に注目しませんか!?

今週の注目記事クリップ

[1]Striv、個別コーチング可能な“AI搭載インソール”が9月下旬から予約注文可能に(TECHABLEより)
https://techable.jp/archives/243269
ランナーごとの特性をAIが個別に学習できることが特長で、これまでエリートアスリートしか利用できなかったレベルのパーソナライズされたトレーニングプランを提供する。(2024/08/21)

[2]Trade My Spinが中古のPeloton機器を中心にビジネスを展開
https://mhealthwatch.jp/global/news20240822-2
Trade My Spinの主張は、中古バイクが売れるたびに新しいバイクが売れなくなるのではなく、バイクが1台流通しなくなるごとに、Pelotonのコンテンツプラットフォームであるレッスンへのサブスクリプションが1つ減るというものだ。(2024/08/22)

[3]『mHealth Watch』注目ニュース:Peloton、95ドルの「中古機器アクティベーション料金」を請求
https://mhealthwatch.jp/global/news20240902
今回の取り組みは、中古市場で良質な商品を流通させるためにはあってもよいのではと思います。Pelotonと提携しているサードパーティからの購入なら費用がかからないなど、適性に考えられた仕組みだと思うのです。(2024/09/02)

[4]博報堂DYメディアパートナーズ、ベネフィット・ワンと協働し健康経営支援プログラム「健診戦」の販売強化を開始
https://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/service/20240821_35437.html
「健診戦」は、前年度の自身の健康数値と今年の健康数値を比較、その改善度を点数化・表彰化することで、従業員が楽しく参加でき、健康改善のモチベーションと健康診断結果の向上をサポートする施策。(2024/08/21)

[5]TOPPANエッジ、企業向けフェムテックサービス「わたし新発見プログラム(TM)」を販売開始
https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2024/08/newsrelease240821_1.html
ヘルスケアIoTサービス「わたしの温度(R)」に、「行動変容研修」「医療相談サービス」を組み合わせ、女性の労働パフォーマンス向上をサポート。(2024/08/21)

[6]Wellmira、法人向け管理栄養士相談サービス『食Desk』を提供開始
https://mhealthwatch.jp/column/news20240822
本サービスは、同社に所属する管理栄養士などの専門職が「従業員の食のサポーター」となり、企業で働く従業員の健康課題を改善するよう支援するもので、従業員の健康課題を改善したいと思いながらも産業保健スタッフの増員が出来ず、対応に悩む企業などの利用を想定している。(2024/08/22)

[7]Awarefy、AIメンタルパートナー「アウェアファイ」アプリで活用する生成AIに長期記憶システムを搭載
https://www.awarefy.com/news/press-release-20240822
「AIメモリー」機能は、生成AIにおける「長期記憶」技術を活用し、ユーザーごとに記憶を蓄積して人間に近い対話を実現させるものです。これにより、AIが唯一無二のパートナー(理解者)として存在し、信頼感や安心感を高めることが可能になりました。(2024/08/22)

[8]ワコール、「ワコール 睡眠科学」が「mintdesigns」とコラボレーション。眠りとくつろぎの時間を豊かにするオリジナルデザインのパジャマを発売
https://www.wacoal.jp/news/newsrelease/202408/release181282.html
「mintdesigns」の“日常生活の時間を豊かにするデザイン”への想いと「ワコール 睡眠科学」の“眠る時間が豊かになれば、毎日の暮らしが活力に満ちたものになる”という想いが共鳴したことで、コラボレーションが実現。(2024/08/22)

[9]西川、今年も1万人の睡眠実態を大調査。『nishikawa 睡眠白書 2024』を発表【PDF】
https://www.nishikawa1566.com/news/news_file/file/20240822205420.pdf
https://www.nishikawa1566.com/
国際基準「アテネ不眠尺度」では全体の47.2%が「不眠症の可能性」ありという結果に。こどもの睡眠に「十分に満足」している親は2割弱、中学生以降は学齢が上がるほど親から見たこどもの睡眠満足度は低くなり、高校生の親42.7%が満足していないと回答、など。(2024/08/23)

[10]SOMPOインスティチュートプラス、「未来予測レポート2050~テクノロジーが拓く未来~」第2章:医療・介護・ヘルスケア
https://www.sompo-ri.co.jp/future_prediction/
https://www.sompo-ri.co.jp/future_prediction/fv205002/
本レポートでは、2050年までの未来について、世界の長期的なトレンドと、日本社会における変化や社会課題を予測するとともに、主にテクノロジーの観点から、課題解決の方向性を探ります。(2024/08/23)

[11]マンダムとRIZAP、共同提案する「スキンケア×フェイストレーニング」の新習慣。表情にコミットする「ZFACE」誕生
https://www.mandom.co.jp/release/2024082201.html
マンダムは、自社初となるアッパーミドル男性向け化粧品ブランド「ZFACE」を順次発売開始します。そして「ZFACE」オリジナル表情筋トレーニングとして、RIZAP監修「フェイストレーニング動画」を公開します。(2024/08/26)

[12]RIZAP、chocoZAPオリジナル キレイを目指すプロテイン「DayMe(デイミー)」リニューアル販売開始
https://www.rizapgroup.com/news/detail?topics_id=1034
この度、お客様の口コミ等のお声を反映し、新たにプラセンタを配合し、よりキレイを応援するプロテインとして生まれ変わりました。(2024/08/26)

[13]おいしい健康、アフラック生命保険株式会社の保険契約者向けにAI献立・栄養管理アプリ『おいしい健康』の紹介をスタート
https://corp.oishi-kenko.com/news/20240827.html
アフラックが、本年8月19日にリニューアルを行った、保障とサービスが一体となった<月額保障×サービスでつくる新しい形の医療保険 REASON>の登場に合わせ、アフラックのすべての保険契約者への優待サービスの提供を開始しました。(2024/08/27)

[14]インフォーマ マーケッツ ジャパン、「Diet & Beauty Fair 2024」「Well-beauty Style 2024」開催
https://www.dietandbeauty.jp/
開催期間は9月30日(月)~10月2日(水)。現代社会の女性のライフスタイルに欠かせない5活「温活・腸活・眠活・骨活・筋活」製品が東京ビッグサイトに集結し集中展示や30本以上の関連のステージイベントやセミナーも開催します。