[ヘルスビズウォッチ特集企画]第5回:「食事力」
HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
ヘルスケアおよびウェルビーイングをサポートする側として、様々なアイテムの中から一つチョイスせよと言われたら、迷わず「食事力」を挙げます。
なぜ、食事力を選ぶのか。
- 誰もが毎日3回機会がある(通常)
- 健康は食べることで創られている部分が大きい
- 食べることは楽しい
あまりにも日常的な日々の行いであるだけに、立ち止まって「その目的・目標設定と自分に合った行動計画」を考える機会は少ないのではないでしょうか?
分かっているけど手が回らない健康行動の一つが食事だと思うのです。
今回、「食事力」とあえて「力」を加えた意味は「食事をする力」という見方をすることによって、食事をする(考える|選ぶ|行動する)能力は後発的に高めることができるという立場を示すためです。
特集: ヘルスビズウォッチ特集企画
食事力とウェルビーイング
「食事力」は、単に食事をする能力や食べる行為にとどまらず、栄養バランスや食材の選択、食事のタイミング、そして健康的な食生活を自分自身で管理する能力を含む広義の概念です。
食事力は、私たちが健康的に生きるための基礎的な力であり、食べる力。
この力は、個人の体調管理や病気予防、そして長期的なウェルビーイング(Well-being、心身の健康や幸福感)に直結します。
特に現代社会では、生活習慣病やメンタルヘルスの問題が深刻化している中で、食事が身体的および精神的健康に与える影響が注目されています。
食事がウェルビーイングに与える影響についても、多くの研究や議論が行われています。
食事は私たちのエネルギー源であるだけでなく、精神的な安定にも寄与し、特に栄養価の高い食品や健康的な食習慣は、気分の改善やストレス軽減にも役立ちます。
食品産業においても、この「食のウェルビーイング」に注目が集まっています。
日清食品が発表した「フードウェルビーイングインデックス」では、消費者が食を通じてどのように自分のウェルビーイングを感じるかを指標化し、食の選択が健康や幸福感に与える影響を可視化しています。
また、電通の調査では、食の意味消費(消費者が商品を通じて得る意味や価値)とウェルビーイングの関係が議論され、消費者が食事を通じて得る心理的満足感が健康に与える影響が強調されています。
※フードウェルビーイングインデックス関連記事
[ウェルビーイング・アイテム研究編]2024年ウェルビーイング・アイテム予測
(2023年12月5日掲載)
※電通報サイトより
食のウェルビーイング~「未知なる感情」を味わう習慣をつくろう
(2023年12月7日掲載)
食事力とウェルビーイングLIFE10ヶ条
健康的な食生活を実践する具体的な方法を示し、ウェルビーイング(心身の健康や幸福感)を追求するためのガイドラインを設定してみました。
1.バランスの取れた栄養摂取を心がける(バランス)
最も基本的な食事力の一つが、バランスの取れた栄養摂取です。
特に、三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)を適切に摂ることが重要です。
炭水化物はエネルギー源、タンパク質は筋肉や内臓、免疫系の維持に必要であり、脂質はホルモン生成やビタミンの吸収を助けます。
これらを均等に取り入れることで、身体の健康を保ち、長期的なウェルビーイングにつなげます。毎日の食事で栄養バランスを意識し、多様な食材を取り入れるように心がけましょう。
2.自然な食材を選ぶ(選択)
加工食品やファーストフードは便利ですが、これらはしばしば高カロリーで栄養価が低く、添加物も多く含まれます。代わりに、新鮮で自然な食材を選ぶことで、体に必要な栄養素を効率よく摂取できます。
例えば、野菜や果物、魚、全粒穀物、ナッツ類などは、ビタミンやミネラルが豊富で、身体に必要なエネルギーを提供しながらも精神的な安定感をもたらします。
食材選びは、食事力を高めるとても重要な第一歩です。
優秀な管理栄養士は、食品スーパーで購入された食材の内容を見れば、その家族の健康状態が推測できると言います。
3.食事のタイミングを大切にする(タイミング)
規則正しい食事のタイミングは、体内のリズムを整え、エネルギーの安定供給に役立ちます。
朝食を抜かず、昼食と夕食を規則的に取ることで、体内時計を調整し、エネルギーレベルを維持します。
また、夜遅い時間の食事は控え、消化に良い食材を夕食に取り入れることで、睡眠の質を向上させ、翌日のパフォーマンスにも好影響を与えます。
現代人は仕事の都合で予定通りに食事を取れないことが多いとされています。
ここで重要なのは、タイミング調整という考え方を学び、実践することです。
4.適量を守る(ボリューム)
食べ過ぎや過少摂取は、体重の増減や栄養バランスの乱れを引き起こす原因となります。
適量を守ることで、体の調子を整え、ウェルビーイングを保つことができます。
適量とは個人の年齢、性別、運動量に応じた摂取量を意味しますが、基本的には、「腹八分目」を目安にすることが推奨されています。
過度なダイエットや無理な食事制限を避け、自分に合った健康的な食事量を維持しましょう。
5.水分補給を意識する(水分)
十分な水分摂取は、身体の機能を正常に保ち、ウェルビーイングに寄与します。
水分が不足すると、疲労感や集中力の低下、代謝の悪化などが引き起こされます。
1日あたりの水分摂取量は2リットルを目安とし、定期的な水分補給を心がけましょう。
特に運動後や暑い日には、汗で失われた水分を適切に補給することが重要です。
6.食事の環境を整える(環境)
食事の環境は、栄養摂取と同じくらい重要です。
リラックスした環境で食事をすることで、消化が促進され、食事から得られる満足感も高まります。
できるだけ静かで落ち着いた場所で食事を取り、テレビやスマートフォンなどの使用を控えることで、食べること自体を楽しむことができます。
家族や友人と一緒に食事をすることで、心理的な安定感も得られ、ウェルビーイングが向上します。
7.食事の自己管理能力を高める(予見先行)
食事力を通じてウェルビーイングを実現するためには、自分の食事を管理する能力を高めることが欠かせません。
食事の計画を立て、買い物の際にはリストを用意して必要なものを選ぶようにします。
自己管理能力を高めることで、無駄な食品の購入を防ぎ、食材の選択や食事のバリエーションも向上します。
また、自分の食事パターンを見直し、必要な修正を行うことで、長期的な健康維持が可能になります。
8.多様な食材を取り入れる(多様性)
毎日の食事で多様な食材を取り入れることは、ウェルビーイングに欠かせません。
単一の食材に偏った食事は、栄養不足や特定の栄養素の過剰摂取を招く可能性があります。
バラエティに富んだ食事を意識し、さまざまな種類の野菜、果物、魚、肉、豆類、全粒穀物を摂取することで、栄養バランスが整い、食べる楽しみも増します。
9.食事の意味を考える(意味)
食事は単なる栄養補給ではなく、精神的な満足感や文化的な意味を持っています。
自分が食べているものの背景や生産者の思いを理解することで、食事に対する意識が高まり、より豊かな体験になります。
「意味消費」の視点から食事を捉えることで、心の豊かさや感謝の気持ちが生まれ、ウェルビーイングが向上します。
10.食事と運動を組み合わせる(運動)
食事力とウェルビーイングを最大化するためには、適度な運動が不可欠です。
食事と運動は相互に補完し合い、共に健康を支えます。
定期的な運動は筋力や体力を向上させ、食事からの栄養吸収を助けます。
さらに、運動はストレスを軽減し、食事をより楽しむことにもつながります。
週に数回運動を取り入れることで、より健全なライフスタイルが実現できます。
この10ヶ条はいかがでしょうか?
基本的な10テーマですが、確実に食事力を高めるアプローチになっていると自負しています。
今後、何らかの形でこの食事力10にある要素を活用して食生活提案をしていくことが、ウェルビーイングを意識した食ビジネスの核になると我々は考えています。
●大川へのお問い合わせや質問などがあればこちらへ(直接届きます)。
ディスカッションも大歓迎です!
健康ビジネスキーワード
「ブランド・コミュニティ」
ブランドがコミュニティを大切にする理由は交流プロセスにこそ価値があるからです。
ブランドに共感を持つ仲間との価値観共有という交流体験の存在。
このプロセスはコピー不可能な共創者たちの財産になります。
ブランド・コミュニティは、ブランドを核としたブランドユーザーが繰り広げる価値増幅装置です。
このブランド・コミュニティの本質に気づいたヘルスケアプレイヤーはまだ少ない。
貴社はどうお考えですか。
今週の注目記事クリップ
+++★注目記事クリップ★+++
[1]Amazon Pharmacy、即日配達サービスを米国の20都市に拡大へ
https://mhealthwatch.jp/global/news20241024-2
この拡大は、米国のほぼ半分の地域で迅速な医薬品配達を可能にすることを目指しており、ヘルスケアサービスの加速に向けたAmazonの最新の取り組みを示すものだ。(2024/10/24)
[2]フェムテックでも注目の更年期分野、米Midi HealthのシリーズBにシェリル・サンドバーグやトリー・バーチも参加
https://mhealthwatch.jp/global/news20241029-2
Midi Healthは、中年期のホルモン変化とそれ以降の時期にある女性に特化した、バーチャルケア・クリニック。先月9月には6,300万ドルのシリーズBラウンド完了を発表した。(2024/10/29)
[3]Happy Health、スマートリング『Happy Ring』がFDA認可を取得
https://mhealthwatch.jp/global/news20241029
『Happy Ring』は、睡眠、血中酸素濃度、心拍数、体温、脳の活動など、重要な健康指標を計測する。(2024/10/29)
[4]リロクラブとライオン、歯と口の健康づくりを職域で推進!法人向けオーラルケアサービスで提携開始
https://www.reloclub.jp/news/20241023
この度リロクラブはライオンのウェルビーイング・健康経営をサポートする法人向けオーラルケアサービス「おくちプラスユー」と提携を行い、リロクラブが運営する「福利厚生倶楽部」に入会している全国23,500社を中心とした職域に向けて、オーラルケアのサービス提供を開始いたします。(2024/10/23)
[5]ロート製薬、寄り添い型音声対話AIをPKSHAと共同開発、社会実装に向けた検証を開始
https://www.rohto.co.jp/news/release/2024/1024_01/
特に孤独・孤立の問題を抱えやすい子ども・若者や高齢者のウェルビーイングをサポートすべく、コミュニケーション領域のAIに強みを持つPKSHAと共に対話型AIの開発を進めてまいりました。(2024/10/24)
[6]ベネクス、一日中ずっと着ていたくなるリカバリーウェアを。コットンブレンドのきれいめな素材感とデザインでちょっとそこまでがかなう新シリーズ『RECOVERY DAYS』誕生(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000216.000065392.html
デザイン性を引き立てるきれいめな素材感で、ただの部屋着にとどまらず、急な来客やちょっとそこまで出かける時、旅先の館内着に使用いただくことを意識した、新しいスタイルのリカバリーウェアです。(2024/10/24)
[7]Wellmira、経済産業省及びEXPO-PHR運営事務局が主催するメディア向け発表会「PHR事業展望発表会」に参加しました!
https://www.wellmira.jp/news/topics/1973/
ユースケース「今日何食べよ?byカロママプラス~あなたの体調や好み!?を考えたお食事をパーソナルにご提案~」について紹介。ひとりひとりの健康や体調・好みを考えた食事をAIが提案する“パーソナライズド・ニュートリション”サービスで、「おいしく、ヘルシーな万博体験」を提供することを目指していることをお伝えしました。(2024/10/25)
[8]Provigate、糖尿病発症・重症化予防のProvigateが20億円の資金調達を実施
https://provigate.com/news/provigate-which-helps-prevent-the-onset-and-severity-of-diabetes-raises-2-billion-yen-in-funding/
当社は、グリコアルブミン(GA)を用いた在宅向け小型検査機器および糖尿病行動変容支援アプリの開発を推進しています。(2024/10/28)
[9]アルコインターナショナル、リカバリーフットウェアのパイオニア OOFOS(R)(ウーフォス)より、革新的なOOmy Strideが新登場!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000241.000055351.html
この新製品は、OOFOSの全ラインナップに共通して採用されているテクノロジーを進化させ、かかとからつま先まで一体となったフィット感を提供します。(2024/10/29)
[10]エミリス、【運動する時間がない場合のダイエット方法ランキング】男女503人アンケート調査(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000151314.html
ダイエット経験がある503人に聞いた、運動する時間がない場合のダイエット方法1位は「食事制限(61%)」でした。とくに、夕食での炭水化物抜きやお米抜きなど、炭水化物に注意している人が目立ちました。(2024/10/29)
[11]クイックス、「Wellness 5(ウェルネス ファイブ)2024」
https://www.kwix.co.jp/cnp/wellness5/
開催日は11月22日(金)。予防医療や健康づくりに積極的に取り組んでいる医療保険者や、健康経営を推進する企業の皆様へ、最新の製品やサービスを幅広くご紹介いたします。
[12]RX Japan、「第11回 ウェアラブル EXPO -ウェアラブル [開発]・[活用] 展-」
https://www.wearable-expo.jp/ja-jp.html
開催期間は2025年1月22日(水)~24日(金)。本業界 世界最大!ウェアラブル専門展。最新のウェアラブル端末から、活用ソリューション、AR/VR技術、最新ウェアラブルデバイス開発のための部品・材料まで、ウェアラブルに関する全てが出展します。
[13]『mHealth Watch』注目ニュース:業界初・高血圧オンライン診療「イーメディカル」を全トラックドライバーに福利厚生導入
https://mhealthwatch.jp/japan/news20241104-2
今回注目したのは、「健康起因事故」を未然に防ぐことを目的に、高血圧オンライン診療サービスをトラックドライバーに福利厚生として導入したというニュースです。(2024/11/05)
+++★デジタルヘルス解説動画(解説:渡辺武友)★+++
【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
デジタルヘルスのビジネスに関わる人に役立つ情報をお届けします。
第44回 価格破壊だけじゃない!Xiaomiのスマートリング(4分53秒)
https://youtu.be/fNCSw5LLIUQ