[健康ビジネス・マーケティング&収益化編]Amazon Healthの展開で見えてきたヘルスケアビジネスの今
こんにちは、渡辺武友です。
Amazonのヘルスケアビジネスが急拡大しています。
Amazon Healthの現状を分析していきます!
特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編
ここ1年で大きく進化したAmazonによるヘルスケアビジネス「Amazon Health Services」。
すでに米国における台風の目と言えるような勢いです。
では、「どれだけ斬新なテクノロジーを導入してきたのか?」
実は驚くようなテクノロジーは見当たらないのです!
今までヘルスビズウォッチで分析してきた成功モデルと言われてきた要素を、巧みに組み合わせているのがAmazonの躍進につながっていると言えます。
今回は、Amazon Healthがどのように成功モデルを活かしているのか見ていきたいと思います。
Amazonのヘルスケアサービス
現在、Amazonのヘルスケアサービスは3つに分類されます。
(1)Amazon One Medical
Amazonが提供するテレヘルス(遠隔診療)です。
プライム会員なら月額9ドル、年額99ドル、または都度課金(メッセージ診療29ドル、ビデオ診療49ドル)でサービスを受けることができます。
保険にも対応しているため、実質無料の場合もあります。
One Medicalの拠点がある地域ではリアル診療の予約もできます。
(2)Amazon Pharmacy
処方薬のオンライン販売を提供しています。
保険の対応はもちろん、プライム会員であれば最大80%の割引、月額5ドルのサブスクリプションなど、医療費の節約効果に力を入れています。
(3)Health Benefits Connector
生活習慣病では、薬の処方以外に日々の生活改善が必要となります。
その日々の生活改善をサポートするサービスを提供しています。
メンタルヘルスでは、セラピストや処方医とのマッチングサービスを提供しています。
筋骨格の痛みでは、理学療法士やヘルスコーチによるプログラムが提供されます。
この3つのサービスにより、体調に不安があればなるべく早くオンラインで診療を受け(1)、薬を届けてもらい(2)、必要に応じて日々の改善支援を受ける(3)ことができるといった、一連の流れができています。
ヘルスケアビジネス成功モデルの活用
Amazon Healthのビジネスモデルには、学ぶべきポイントがいくつかあるのですが、今回はヘルスケアビジネス成功モデルをうまく活用している点として、3つ目のサービスとして取り上げた「Health Benefits Connector」をご紹介します。
現在のAmazon Healthは、健康予防ではなく医療サービスに焦点を当てています。
中でも「Health Benefits Connector」は、診療や薬の処方といったリアルクリニックで提供される医療とは異なる枠組みのサービスです。
例えば、糖尿病の場合クリニックを受診し、医師や専門職からの生活指導を受けて、処方された薬を薬局で購入します。
日々の生活習慣の改善、管理は患者本人がクリニックで受けた指導を元に行うことになります。
当然、うまくいく人もいれば、数日で諦める人もいるでしょう。
その患者の状況は、次の通院までの1カ月間、誰もわからない状態になります。
そのような空白の1ヶ月を埋めて、より良い改善に向けて支援するのが「Health Benefits Connector」なのです。
「Health Benefits Connector」では、すでに実績を上げてきた企業がパートナーとなり、サービスを提供しています。
ヘルスビズウォッチで紹介してきたビジネスモデルの中に、糖尿病をはじめとした生活習慣病支援で成功してきた企業として、LivongoやOmada Healthを何度も取り上げてきているので覚えている方も多いでしょう。
そのLivongoやOmada Healthがパートナーとしてラインナップされています。
ここで疑問となるのが、
「診療や処方以外の支援で、どうやって収益を上げているのか?」
ではないでしょうか!?
現在、米国の医療保険制度の多くがValue Based Healthcare(いくつか要素がありますが、ここでは成果報酬型の保険と捉えてください)へと移行しており、成果を出すために必要な支援として位置づけられています。
制度の違いで日本では参考にならないと捉えるのではなく、すでに国内の健康支援においてもPay For Success(成果連動型民間委託契約方式)の導入がはじまっています。
今すぐ国内の医療保険が成果報酬型に置き換わることはないかもしれませんが、近い将来起こり得ることとして、現在のビジネスでどう活用すべきかを検討していくべきと考えます。
Health Benefits Connectorで活用される仕掛け
Amazon Healthにおける「Health Benefits Connector」でサービス提供するLivongoやOmada Healthが導入しているのがヘルスコーチングです。
ヘルスコーチングはヘルスビズウォッチでも何度も取り上げているのでご存知と思いますが、人によるコミュニケーションが主軸のため、コストを気にされる方も多いでしょう。
ヘルスコーチングはすべてを人のみで行う必要はありません。
LivongoやOmada Healthも、うまく仕組み化することで利益率を高める工夫をしています。
そのヘルスコーチングを自動化する仕組みとして「生成AI」を活用した取り組みがスタートしました。
皆さんのビジネスにも活用いただける取り組みとなります。
現在のヘルスケアにおける生成AIの活用状況を踏まえ、生成AIを活用したヘルスコーチングをご紹介するセミナーを開催します。
最先端の動向が気になる方は、ぜひご参加ください。
●スポルツ、インフォーマ マーケッツ ジャパン共同開催
生成AIを活用した「ヘルスケアサービスのトレンド」解説セミナー
開催日時:2025年3月18日(火)16:00~17:30
開催会場:東京千代田区鍛冶町1-8-3神田91ビル2F
(インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社)
参加費:無料
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健康ビジネスキーワード
「やり方を探すな、あり方を掴め!」
成功している企業のプロセスを真似るだけでは、決して成功できない。
なぜなら、本当に重要なのは「やり方(doing)」ではなく「あり方(being)」だからだ。
「100をつくる」と決める。これこそがbeing。
この決意があるからこそ、無限のdoing(やり方)が生まれる。
逆に、やり方ばかりを求めても、土台がなければ意味がない。
いくら「やり方」だけを真似しても、それは薄っぺらいテクニックに過ぎない。
本質を見極め、“あり方”を確立すれば、やり方はいくらでも生まれる。
表面的なノウハウを追い求めるのはもう終わりにし、今こそ、自分たちの“あり方”を問う時だ!
今週の注目記事クリップ
+++★注目記事クリップ★+++
[1]Microsoft、AIの影響を研究する新部門を設立
https://mhealthwatch.jp/global/news20250227
MicrosoftはAI事業部内に、同社が構築しようとしているAIの社会的、健康的、仕事上の影響を理解するための「Advanced Planning Unit(APU)」という新しい部門を設立すると発表した。(2025/02/27)
[2]Amazon、生成AIで強化した「Alexa+」発表--より賢く会話的に(CNET Japanより)
https://japan.cnet.com/article/35229850/
Alexa+は生成AIを搭載しており、よりスマートで会話的、かつ親しみやすく、そして何よりも先を見越したバーチャルアシスタントになることを約束している。(2025/02/27)
[3]『mHealth Watch』注目ニュース:Future Family、新しい体外受精保険で「出産しなければ返金」を保証
https://mhealthwatch.jp/global/news20250310-2
Future Family社は、全国規模の体外受精保険『Orange Shield』を立ち上げた。家族が体外受精を2回行っても生児が生まれなかった場合、保険金が返金される。(2025/03/10)
[4]クラフト、生活習慣病の重症化予防プラットフォーム 株式会社ヤックルと健康パートナーシップ締結
https://www.kraft-net.co.jp/news/2025/0226-11323/
この度、生活習慣病に特化した株式会社ヤックルと全国に調剤薬局を展開するさくら薬局グループがパートナーシップを締結し、医師による治療と薬局の管理栄養士によるオンライン栄養相談の連携が可能となりました。(2025/02/26)
[5]パナソニック、歯周病リスク判定ツールが厚生労働省「歯周病等スクリーニングツール開発支援事業(口腔内を撮影した画像を用いるもの)」に選定
https://news.panasonic.com/jp/press/jn250226-3
本事業では、(1)口腔内を撮影した画像を入力して歯周状態を推定する歯周病検知AIの推定精度向上、(2)口腔内カメラを使って口腔内画像を簡単に撮影する機能、(3)歯周病検知AIの推定結果から歯周病リスクをわかりやすく表示するアプリケーション、の開発を行います。(2025/02/26)
[6]Sapeet、接客の未来を変える音声AIカルテ機能を正式リリース(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000026498.html
音声AIカルテ機能では、お客様との会話を自動的に記録できるので、1人1人のお客様の悩みや喜び、さらにサービス利用に至らない要因まで詳細に収集することができます。(2025/02/26)
[7]ライオン、「おくちからだプロジェクト」報告 体験プログラムに参加した子どもの歯みがき回数が増えた!【PDF】
https://doc.lion.co.jp/uploads/tmg_block_page_image/file/10421/20250227_01.pdf?_gl=1*1gjk2by*_ga*MTkyMzc2ODY5Ni4xNzMxOTE4MDY5*_ga_V38CPVQV9B*MTc0MTA3NzM5My43LjEuMTc0MTA3NzQwMi41MS4wLjA.
https://www.lion.co.jp/ja/
2024年秋に認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえと連携して実施した「おくちからだプロジェクト~体験キット第5弾」では、1日3回歯みがきをする子どもが増加するなど、子どもの歯みがき回数が増えたことがわかりました。(2025/02/27)
[8]Sprocket、キッコーマンがCX改善プラットフォーム「Sprocket」を活用してファン育成を実現(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000176.000032195.html
レシピサイト「ホームクッキング」の利用者が一度きりの訪問に留まることが多く、顧客体験の向上が課題となっていました。そこで、サイト改修を行わずにお客様に最適な情報を提供するため、CX改善ツールであるSprocketを導入しました。(2025/02/27)
[9]ミイダス、人が主役のビジネスゲーム「人的資本経営ゲーム」リリース!
https://miidas.co.jp/newsrelease/20250228/
社長・人事だけが推進する「人的資本経営」から、社員みんなで理解をして推進する「人的資本経営」へ。「人的資本経営ゲーム」は、楽しみながら人的資本経営を学び、組織変革のきっかけをつくるビジネスゲーム。(2025/02/28)
[10]TENTIAL、東京証券取引所グロース市場への新規上場に関するお知らせ(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000294.000032370.html
株式会社TENTIALは「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」をミッションに、コンディショニングブランド「TENTIAL」を展開しています。(2025/02/28)
[11]横浜市立大学附属病院、口腔ケアが口腔がん予防に!~口腔がん患者とそうでない人との口腔細菌のバランスの違いを発見~
https://www.yokohama-cu.ac.jp/res-portal/news/2024/20250304kioi.html
サイキンソーとの共同研究により、口腔がんやその前がん病変である口腔潜在的悪性疾患(OPMDs)に罹患した患者は、口腔粘膜疾患のない患者と比較すると口腔細菌のバランスが異なることを明らかにしました。(2025/03/02)
[12]忙しくても続けられる健康管理。AIとLINEで、継続できるヘルスケアサービス「MY TRAINER」提供開始!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000158358.html
「MY TRAINER」は、AIを活用してパーソナルトレーナーの指導を最適化し、個々の利用者に合わせたトレーニングと食事管理を提供するヘルスケアプラットフォームです。専用アプリ不要で、LINEを通じて手軽に利用できます。(2025/03/03)