HealthBizWatch Authorの大川耕平です。

どのようなビジネス領域にも「コツ」「勝ち筋」があるものです。
ヘルスケア領域ではどのようなものがあるか考えてみました。

特集: ヘルスビズウォッチ特集企画

第9回:「セルフケア・ドライブ20ヶ条」


ヘルスケア&ウェルビーイングサービス事業の中にもビジネスとして持続的に進化していくための勝ち筋が存在します。
その一つであるセルフケアをドライブ(推進)していくための20ヶ条をまとめてみました。

セルフケア・ドライブ20ヶ条


施策として重視する濃淡はあるのですが、20ヶ条全体をまずは把握してください。


1)目的明確化
なぜセルフケアをするのか?という目的を明らかにすること。

2)目標細分化
目的に向かって、達成しやすい小さな目標における成功体験への導き。

3)フィードバックの仕組み化
進捗可視化でモチベーションを刺激。

4)楽しさの工夫
ゲーミフィケーションなどによる継続支援。

5)パーソナルアプローチ
一律ではないユーザー対応型の個別提案。


6)小さな成功体験
すぐに達成感を得られる仕組み設計。

7)社会的サポート
同じ目標を共有できる仲間づくり。

8)負担の最小化
継続のハードルを下げる工夫(例:ストレッチ1分、腹筋1回など)。

9)日常生活への組み込み
通勤時に階段を使うなど、既存習慣に結びつける。

10)リマインダー活用
アプリ通知などで忘れにくくする。


11)感情へ訴えるストーリーづくり
10年後の自分をイメージ!など未来の自分を意識させる。

12)可視化
変化の記録を見せ、効果を実感させる。

13)短期的報酬の用意
習慣化の初期段階でご褒美を設定するなどの工夫。

14)環境整備のアシスト
健康的な選択をしやすい環境提供。

15)継続価値の言語化
やらなかったことのリスクを強く伝え、再認識を促す。


16)選択肢の増加
運動→嫌ではなく、ヨガ、散歩、ダンスどうでしょうか?と選択肢を与える。

17)習慣が崩れても戻りやすくする
途中で挫折しても、また再開すればいいと思える仕組み化。

18)実践者の成功事例共有
継続効果を実感している人をロールモデルとして提示。

19)知識だけでなく行動を促す
・・・が健康に良い!ではなく、・・・するために今日できることは?と具体的な行動を提案する。

20)自然に継続できる状態を目指す
やらないと気持ち悪いまで持っていく。



この中で、まずは貴社ができている部分をピックアップしてみてください。
いくつ該当するでしょうか?

この20ヶ条は、過去に取材分析した600を超えるビジネスモデルの中から、セルフケアで成功している20のモデルより抽出したものです。

特に重要な5つのファクター


■目的明確化

セルフケアは「やること」ではなく「なぜやるのか」が継続の鍵。
目的を個人の価値観に結びつけ、「将来の健康」「仕事のパフォーマンス」「家族との時間」など具体的な理由を明確化することで、行動の意味を実感させます。


■フィードバックの仕組みを作る

行動の結果が見えないと継続は難しい。
体調の変化、データ記録(歩数、睡眠スコアなど)、写真比較を活用し、目に見える形で効果を実感できる仕組みを整えることで、モチベーションの維持と行動強化を促す。


■日常生活への組み込み

新しい習慣を作るより、既存の行動に組み込む方が簡単。
「歯磨きの後にストレッチ」「通勤時に階段を使う」など、日常動作と紐づけることで、意識せずとも続けられる自然な仕組みを作ることが重要。


■社会的サポートを活用

人は周囲と共に行動すると継続しやすい。
家族・友人との共有、SNSやコミュニティでの励まし合い、専門家の伴走支援など、孤独ではなく「仲間がいる」と感じられる環境が行動を習慣化させる強力な要素となる。


■習慣が崩れても戻りやすくする

途中で途切れても「失敗」ではなく「一時的な休止」と捉えられる環境が必要。
完璧主義ではなく「また始めればいい」という柔軟なマインドを育て、挫折感を防ぐことで長期的なセルフケアの定着を実現する。



特にこの5つはセルフケア・ドライブには必須のファクターになります。
ベストは5つ、少なくとも4つ実践していることが望ましいです。


貴社サービスプロセスに、この5つが組み込まれているかチェックしてみてください。
弱い部分があれば、そこがユーザー行動継続の課題である可能性が高いです。

重要な5つのファクターを柱に、その他の要素でユーザー満足に繋げやすいものを組み合わせていってください。


セルフケア・ドライブのファクター実装に関してのご相談・ご要望があればお声掛けください。

●大川へのお問い合わせや質問などがあればこちらへ(直接届きます)。
ディスカッションも大歓迎です!  

健康ビジネスキーワード

「顧客の声は最強のKPI」

ヘルスケア&ウェルビーイング事業の成否を分けるのは、顧客の声だ。
綺麗なKPIが並ぶ報告書より、「このサービスで人生が変わった」という一言のほうが未来を創る。

リピート率も売上も、顧客の納得と感動の積み重ねにすぎない。
数字の裏にある“生の声”を拾えなければ、サービスはただの自己満足で終わる。

顧客の言葉こそ、進むべき道を示すコンパスなのだ。

※KPI(重要業務評価指標:Key Performance Indicator)

今週の注目記事クリップ

+++★注目記事クリップ★+++

[1]米製薬大手Merck、東南アジアのヘルスケア市場HDを支援(TechCrunchより)
https://techcrunch.com/2025/02/12/merck-backs-healthcare-marketplace-hd-in-southeast-asia/
タイを拠点とするヘルスケアスタートアップのHDは、マーケットプレイスを強化とAI技術へのさらなる投資のため、780万ドルの株式資金を確保した。今回の資金調達は、米製薬大手Merck Sharp & Dohme(MSD)がアジア太平洋地域のヘルステックスタートアップに投資した初のケースとなる。(2025/02/12)

[2]AI Optics、網膜スクリーニングカメラ『Sentinel Camera』でFDA 510(k)を取得
https://mhealthwatch.jp/global/news20250219
ハンドヘルド網膜画像システムは、人間の目の高品質な画像をキャプチャし、持ち運び可能でアクセスしやすいツールを通じて網膜疾患のスクリーニングにおけるギャップを埋めるのに役立つ。(2025/02/19)

[3]研究:1型糖尿病が治る?自分の幹細胞から作った膵臓の細胞を移植→75日後インスリンなしの生活に。中国チームが発表
https://mhealthwatch.jp/global/news20250220
この研究は、患者の体細胞を化学物質で多能性幹細胞へと変換し、そこから膵臓のインスリンを作る細胞へと育て上げるという手法を用いている。(2025/02/20)

[4]Drive Health、Google搭載のAIヘルスアシスタント『Nurse Avery』を発表
https://mhealthwatch.jp/global/news20250221
このアプリケーションは、ケアプランの詳細、投薬指示、症状関連の質問への回答へのアクセスを提供し、医療提供者とのコミュニケーションを容易にすることができる。(2025/02/21)

[5]Little Otter、家族のメンタルヘルスのために950万ドルを調達
https://mhealthwatch.jp/global/news20250221-2
同社はセラピー、精神医学、親へのコーチングを提供しており、患者はカスタマイズされたケアプラン、評価結果、進捗レポートを受け取ることができる。(2025/02/21)

[6]経済産業省、大阪・関西万博に向けてPHRサービスのユーザー体験の実証イベントを開催しました
https://www.meti.go.jp/press/2024/02/20250219003/20250219003.html
大阪・関西万博でのユーザー体験提供・展示に向けて、PHRを活用したユースケースの体験実証を行うとともに、今回のユースケース創出の取組にかかる総括を行いました。(2025/02/19)

[7]大正製薬、2025年はメタボリックシンドローム診断基準策定20年。【医師解説】“内臓脂肪”、今年こそ減らしたい!なら知っておくべきこと
https://www.taisho.co.jp/newsletter/20250219001863.html
2008年には、心筋梗塞や脳梗塞の予防、健康維持・増進のための特定健診・特定保険制度、いわゆる「メタボ健診」が始まりました。内臓脂肪を減らし、メタボリックシンドロームを防ぐために効果的な対策とは?肥満対策に詳しい医師の宮崎滋先生に伺いました。(2025/02/19)

[8]大正製薬、生理前・生理中のおなかはジェットコースター?そんなときのおなかの不調対処法を聞いてみた!
https://www.taisho.co.jp/newsletter/20250219001858.html
20歳~49歳の女性4,812人を対象に『生理前、生理中のおなかの調子に関する調査』を実施しました。調査によると、生理前に便秘になる人、生理中に下痢・軟便になる人が多いことがわかりました。(2025/02/19)

[9]天藤製薬、排便満足度全国1位は、うどんで有名なあの県!?便の質が高い人は幸福度・睡眠の質が高いという結果に!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000125727.html
医師監修のもと、腸活アプリ『ウンログ』と共同で「全国統一うんち調査」を実施。また、47都道府県のウンログユーザーにアンケート調査を実施することで、地域ごとのうんちへの意識差を明らかにしています。(2025/02/19)

[10]フィートインデザイン、「子どもの足の健康と身体への影響に関する調査」を実施(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000151644.html
医療従事者の約95%が、「足に合わない靴」が子どもの歩き方や姿勢など足の健康に影響を与えると考えている。(2025/02/20)

[11]NECソリューションイノベータとフォーネスライフ、血中タンパク質の解析による認知症リスク予測検査に関する論文が国際学術誌に掲載
https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/topics/20250221/
タンパク質測定技術(SomaScan(R))により、認知症の発症と高い関連を示した25種のタンパク質を特定し、それを基にした認知症リスク予測検査を開発。(2025/02/21)

[12]キヤノンマーケティングジャパン、慢性的に頭痛に悩む人に向け、頭痛セルフケアをサポートするスマホアプリ“ヘッテッテ”のβ版を提供開始
https://corporate.canon.jp/newsrelease/2025/pr-0221
「頭痛じゃない日を変えていく」をコンセプトに、頭痛の記録と一緒に、頭痛誘因タイプに合ったセルフケアの実施状況や気分の変化を記録することで、継続的な頭痛セルフケアの習慣化をサポートします。(2025/02/21)

[13]矢野経済研究所、健康食品に関する消費者アンケート調査を実施(2025年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3722
健康食品(サプリメント)の摂取状況(種類、支出金額、購入場所、目的、重視する点)や、2024年に報道された紅麹問題を受けてのサプリメントや機能性表示食品に対する心象の変化について、分析内容を公表する。(2025/02/21)

[14]APPOSTER JAPAN、『b.ring』でスマートリング市場へ本格参入、睡眠ヘルスケア協議会(SHA)に加盟(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000125444.html
「b.ring」は、ユーザーの睡眠パターン、心拍数、血中酸素飽和度、ストレス指数などを総合的にモニタリングし、健康的な毎日をサポートするウェアラブルデバイスです。(2025/02/24)

[15]新潟医療福祉大学大学院、脳への微弱な電気刺激が記憶力を活性化!~認知症対策の新たな可能性~
https://www.nuhw.ac.jp/news/32096
本研究の成果は、電気刺激を用いた記憶力の活性化の可能性を示しており、長期記憶の改善につながることを示唆している。今後、認知症リハビリテーションや治療法の開発への貢献が期待される。(2025/02/25)

[16]DHC、血圧と血管をダブルでケアできる機能性表示食品「高めの血圧対策」新発売【PDF】
https://top.dhc.co.jp/contents/guide/newsrelease/pdf/250225-01.pdf
https://top.dhc.co.jp/
本品は、血圧を下げる機能が報告されている“γ-アミノ酪酸(ギャバ)”と、加齢とともに低下する血管の柔軟性(血管を締め付けた後の血管の拡張度)を維持する機能が報告されている“カツオ由来エラスチンペプチド”を配合。(2025/02/25)

[17]メタボリック、機能性表示食品『眠りま専科』新発売!
https://www.mdc.co.jp/company/news/2025/0225.html
本品にはGABAとロスマリン酸が含まれます。GABAには睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を向上する機能や、仕事や勉強などによる一時的・精神的なストレスや疲労感を軽減することが報告されています。(2025/02/25)

[18]ブレインスリープ、ライフスタイルに合わせて使える環境にも人にも優しい「ブレインスリープ ベッドフレーム」
https://brain-sleep.com/blogs/news/11670
国産ひのきを使用し、素材特長を引き出しながら、空気を循環させる構造で最高の寝室環境を実現する「ブレインスリープ ベッドフレーム」をブレインスリープ オフィシャルサイトにて発売開始。(2025/02/25)

[19]インフォーマ マーケッツ ジャパン、ファーマIT&デジタルヘルス エキスポ 2025(第6回)
https://www.pharmait-expo.com/
会期は、2025年4月9日(水)から11日(金)。創薬・開発・製造からマーケティング、セールス、デジタルヘルスをテーマとした国内最大の製薬×DXイベント。