HealthBizWatch Authorの大川耕平です。

3/28の号外配信でお知らせした通り、HealthBizWatchはSPORTZから2025年7月より分社独立することになりました。
HealthBizWatchメールマガジンは今まで通り配信していきますのでご安心ください。

一つ変更があります。この大川耕平の担当号は6月が最終号になります。
そこで、今号を含め、残り3回でこれまでの流れを総括していきます。

特集: ヘルスビズウォッチ特集企画

第10回:「健康サービス・デザイン編」


今回は、2015年7月7日より4名のディレクターが月に1回各自の専門分野におけるビジネスコラムを責任執筆するオーサー(author)制をスタートしてから2021年11月5日まで77回続いた「健康サービス・デザイン編」を振り返り、エッセンスをコンパクトにまとめていきます。

「健康サービス・デザイン編」では、単なる「健康商品やサービスの提供」ではなく、行動科学×テクノロジー×体験設計による習慣化・自己成長・顧客との共創といった「価値のデザイン」に重点を置いて執筆したつもりです。


※ちょうどデジタル技術を駆使したヘルスケアサービスにおいて、あらゆる領域からの参入が活性化してきた時期でした(2015年7月~)。

「健康サービス・デザイン編」で注目した価値デザイン・キーワード11



1)顧客体験の重視

健康サービスにおいて、顧客がどのような体験をするかが重要であり、サービス・デザインはその体験を最適化することを目指しています。
サービスをデザイン設計していくアプローチが健康サービス事業推進には不可欠です。
日本のヘルスケアにおける弱点の一つと言われています。


2)セルフケアの促進

顧客が自身の健康を管理・維持するセルフケアを支援するサービス・デザインが求められています。
習慣形成のサポート。新しい健康的な習慣を形成するためのサービスの工夫が課題となっています。


3)顧客生涯価値(LTV)の追求

顧客との長期的な関係性を重視し、生涯価値を高める戦略が重要とされています。
このLTV志向でサービス事業を成長させていくことがヘルスケア&ウェルビーイング事業姿勢の基本となります。


4)ヘルスコーチング

専門家が個人の健康目標達成をサポートするアプローチ。自発性を促し、持続的な健康行動を支援します。
コーチング理論を背景としたヘルスケア領域で、効果的なコミュニケーション手法として今後益々スタンダード化していくはずです。


5)インセンティブプログラム

健康行動を促進するための報酬や特典を提供する仕組み。行動変容を促し、健康維持をサポートします。
不特定多数を対象とする健康行動促進の際に多用されている施策ではありますが、本質的な改善へのきっかけづくりであるという認識が重要になります。


6)デジタルセラピューティクス

デジタル技術を活用した治療法。患者の行動変容や疾患管理を支援し、治療効果を高めます。
デジタルヘルスケアの中心コンセプトとして今後最も成長が期待される分野です。


7)パーソナライズドヘルスケア

個人の健康データや嗜好に基づき、最適な健康サービスを提供するアプローチ。効果的な健康管理を実現します。
実はデジタルで最適化しただけでは享受する側の満足が期待したほど得られないという不思議な現象が起こっています。
その解決策の一つが、デジタル情報空間であっても他者との交流があるかどうかです。


8)ウェルビーイングプログラム

身体的・精神的・社会的な健康を総合的に向上させるプログラム。従業員の満足度や生産性向上に寄与します。
ウェルビーイングとビジネス活動をシームレスに追求していくスタイルが今後の働き方としてスタンダードになります。
そしてこのムーブメントはグローバル規模で展開されていきます。


9)コミュニティベースの健康支援

地域やオンライン上のコミュニティを活用し、相互支援や情報共有を行うアプローチ。社会的つながりが健康行動の維持に役立ちます。


10)自己効力感の向上

自身の行動や成果に対する信頼感を高めること。健康目標の達成に向けたモチベーションを強化します。
顧客自身の成長と成功にフォーカスを当てることが重要です。
ここにきちんとしたサービスプロセスを導入できるか否かがウェルビーイング・マーケット成功の鍵となります。


11)サービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)

価値は企業が提供するのではなく、「顧客との相互作用の中で共創される」とする考え方。健康サービスにおいても、顧客の参加と体験が価値創出のカギを握ります。
→参考:価値を「提供」するのではなく「共に創る」という視点への転換が求められている。

●大川へのお問い合わせや質問などがあればこちらへ(直接届きます)。
ディスカッションも大歓迎です!  

健康ビジネスキーワード

「新商品開発の本質とは何か」

新商品開発とは、「自社ができること」だけではなく、「顧客がこれから求めること」「社会が持続的に必要とすること」への対応が原点であるべきです。

新商品開発の本質とは、変化する市場の兆しを捉え、顧客の生活や行動に新しい価値や喜びをもたらす「新たな習慣」をつくること。
単なる機能の進化ではなく、意味の再定義が求められているのです。

そのうえで、企業の持つシーズや強みは、顧客価値を実現するための“手段”であり、決して“出発点”ではありません。

「この技術を活かして何ができるか?」ではなく、
「この変化の中で、私たちはどんな価値を届けるべきか?」から始める。

その問いこそが、持続的な商品開発を実現し、最終的には企業の成長と社会への貢献につながっていくのではないでしょうか。

今週の注目記事クリップ

+++★注目記事クリップ★+++

[1]Andy Dunnの新アプリ『Pie』はAIを使って友達作りをサポートする
https://mhealthwatch.jp/global/news20250319-2
オンラインファッション販売会社Bonobosの創業者であるAndy Dunn氏の最新のベンチャーである『Pie』は、現実世界で人々を結びつけることに重点を置いたソーシャルアプリだ。(2025/03/19)

[2]日本デジタルヘルス・アライアンス、健康格差の是正とデジタルヘルスリテラシーの向上を目指し、JaDHAが産学官と協働した初のプロジェクトに挑戦
https://jadha.jp/news/news20250318.html
本プロジェクトにて、誰もがデジタル技術を活用し健康・医療サービスの恩恵を受けられる社会の実現を目指した【ビジョンペーパー「デジタルヘルスリテラシーへの配慮を通じた産業振興と社会課題解決の両立」】を策定したので公表します。(2025/03/18)

[3]エムスリーキャリア、「健康経営と産業医の活用・選任に関する市場調査」を実施
https://www.m3career.com/news/post-6135/
企業の産業保健担当者1,318名を対象に調査。結果、6割以上の企業が産業医の交代を検討しており、その理由として最も多かったのは「医師の都合」。また、交代を実施した企業の8割以上が新しい産業医に満足していることがわかりました。(2025/03/19)

[4]Ubie、Googleのグローバルヘルスケアイベント「The Check Up with Google 2025」にて医療現場の生成AI活用事例を発表(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000135.000048083.html
2025年3月にアメリカで開催された「The Check Up with Google 2025」に、「ユビー生成AI」プロダクトマネージャーの原瀬が登壇し、医療現場での業務効率化の成果について発表を行いました。(2025/03/19)

[5]ぐるなび、ぐるなびリサーチ部「腸活」に関する調査
https://corporate.gnavi.co.jp/release/2025/b83wvzavuj/
現在腸活をしている人は3割、したことはないが今後してみたい人は4割強。腸活をしている人が最も多いのは50代女性で4割。花粉症改善のために腸活をしている人は4%だが、今後してみたい人は8割となり特に40~50代の女性で高い。(2025/03/19)

[6]ワコール、ワコール3D計測サービス「SCANBE」がグラングリーン大阪にオープン。ヘルスケア領域初出店で事業拡大を目指す
https://www.wacoal.jp/news/newsrelease/202503/release184421.html
「SCANBE」は、3Dボディスキャナーを使用してセルフでからだを計測できるサービス、延べ体験者数27万人を突破(2024年9月末時点)。3秒で360度からからだを見られる3D映像や全身18カ所の採寸データ、インナーウェアのサイズなどがわかります。(2025/03/21)

[7]京都府立医科大学、日本人向け「糖尿病予測モデル」誕生!【PDF】
https://www.kpu-m.ac.jp/doc/news/2025/files/38171.pdf
https://www.kpu-m.ac.jp/
本研究では、健康診断で得られた年齢、性別、BMI、収縮期血圧、中性脂肪、HDL、ALT、空腹時血糖、体重増加、喫煙状況に関する情報を用いて、日本人における2型糖尿病の10年発症リスクを予測するモデルを新たに開発しました。(2025/03/21)

[8]大阪大学、数滴の血液でAIが見抜く、あなたの本当の健康年齢ー未来を予測する新手法ー
http://www.protein.osaka-u.ac.jp/achievements/20250319/
人体の代謝調節経路の知見を最先端の人工知能(AI)アルゴリズムに組み込み、健康状態を反映する「生物学的年齢」を定量的に評価するモデルを開発しました。この予測モデルでは、数滴(約5滴)の血液サンプルから得た22種類のステロイドレベルから生物学的年齢を算出することが可能です。(2025/03/21)

[9]インターディメンション、[ヨガ×生成AI]米国向けオンラインヨガ 生成AIでフィードバックレポートを自動生成(新機能リリース)(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000119830.html
ヨガレッスン後の生徒へのフィードバックレポートを生成AIで自動化、従来30分/件の作業を自動化。今後1年間の予定クラス数1.4万件×30分=7000時間/年 の短縮を想定、顧客満足度の向上も目指す。(2025/03/23)

[10]NTTテクノクロス、管理システム「HM-neo」に生成AIを活用した面談記録要約機能を追加
https://www.ntt-tx.co.jp/whatsnew/2025/250325.html
今回「HM-neo」に生成AIを活用した面談記録要約機能を拡充し、さらなる健康管理業務の効率化を実現しました。産業医や産業保健師などが面談後に行う記録業務において約50%の時間削減が見込めます。(2025/03/25)

[11]ガーミンジャパン、ハーバード大学とオックスフォード大学の研究者らと幸福度に関する研究の初期結果を発表(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000135223.html
Garminウォッチで計測された日常的な身体活動と十分な睡眠は、幸福感の向上とストレスレベルの低下に強く関連していた。感情の安定性は年齢によって異なり、高齢者はより安定性し、若年層はより変動が大きかった。(2025/03/25)

[12]『HealthTechWatch』注目ニュース、東京科学大学、高齢者の歯の本数とウェルビーイングの関係を解明
https://ht-watch.com/2025/04/mhealth-watch-3.html
今回取り上げたのは、口腔内の健康とウェルビーイングとの関係性に関する調査結果です。最近は、口腔衛生、口腔環境が生活習慣病を含めた心身の健康にも大きく関係していることから、口腔ケアの重要性に注目が集まってきています。(2025/04/01)

[13]ウンログ、腸活ブランド担当者様必見!最新腸活トレンドをメールでお届け
https://unlog.co.jp/mail/
話題の素材、生活者ニーズ、競合事例など、腸活関連の注目トレンドを腸活マーケティング支援実績豊富なウンログが厳選してお届けします。現場で“今すぐ使える”情報を月1回程度メールで手軽にキャッチアップ!(登録無料・いつでも解除OK)