[健康ビジネス・マーケティング&収益化編]企業存続で求められるヘルスケアビジネス
こんにちは、渡辺武友です。
人材不足が深刻化しています。この先、この課題はさらに大きな問題となります。
この課題に対してヘルスケアビジネスが貢献できること、実は米国で証明されてきています。
今後求められるヘルスケアビジネスについて考えていきます。
特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編
人材不足の対策として魅力的企業であることを伝える一環として、人的資本経営や健康経営の強化、公開によって、人材獲得に効果を出している企業も出てきています。
一方で、将来的には“人材獲得に勝者はいない”とも言われています。
総務省が公開している人口統計を見ると2050年には総人口が9,515万人となり、1億人を割ってしまい、若年人口は2005年と比べても半数以下(821万人)になってしまいます。
すでに中小企業の中には5年以上新卒はおろか、中途も採用できていない企業もあります。
人がいなければ事業が存続しません。人材不足による倒産が話題となる日も、そう遠くないことだと言えるでしょう。
では、企業に対しヘルスケアビジネスを提供する立場として、何ができるでしょうか?
人材対策を意識したヘルスケアビジネスを先行する、米国法人向けヘルスケアビジネス提供企業を参考に見ていきます。
米国におけるヘルスケアビジネス人材対策
米国のCorporate health(健康経営)では、以前は医療費削減のために、体の健康(疾病予防)にスポットを当てた支援を行ってきましたが、より経営に役立つ支援として「ウェルビーイングプログラム」に置き換わっていきました。
「ウェルビーイングプログラム」は、疾病予防としての健康に留まらず、WHO憲章における健康(肉体的、精神的、社会的にウェルビーイングな状態)を得る支援を行っています。
従業員がウェルビーイングな状態であることで、より働きがいを持つことができれば、各企業特有の課題の解決に貢献することができ、経営目標の達成につながります。
経営目標達成のためには、よりよい人材を獲得し、前向きに取り組める人材の育成が不可欠であり、それに貢献するのが「ウェルビーイングプログラム」なのです。
どのような支援を行っているのかは、ヘルスビズウォッチで公開している
「米国法人向けヘルスケアビジネスマップ2024」をご覧ください。
マップ上部に掲載されている「総合型」で紹介されている企業が、「ウェルビーイングプログラム」を提供している企業となります。
「総合型」掲載の売上高上位企業
Personify Health
Sharecare
ComPsych Corporation
WebMD Health Services
これら4社は特にチェックしておくとよいでしょう。
まずは、「米国法人向けヘルスケアビジネスマップ2024」をダウンロードしてください。
紹介された各社のサイトへのリンクがあります。
「米国法人向けヘルスケアビジネスマップ2024」ダウンロードはこちら
求められる人材支援
すでに米国では、疾病予防としての健康施策は当たり前のものであり、より人材を活かし、活躍できるようにすることがヘルスケアプロバイダーに求められています。
今回は人材支援として、1つの切り口を紹介します。
(1)従業員対策 ー チームビルディング ー
企業におけるチームビルディングの重要性は、皆さんよくご存知のことと思います。
「ウェルビーイングプログラム」における社会的健康へのアプローチがこれに当たります。
今までの健康施策の導入では、知識コンテンツ(健康セミナーなど)の提供などが行われてきました。まず知識を身につけることは大切ですが、セミナーを見て終わってしまう人も多くいます。つまり行動に移せない人、もしくは健康行動をはじめたが続かない人などです。
次に取り組むのがアプリを使って日々の健康行動記録となると、一気にハードルが上がってしまう人も多くいます。
そこで、米国市場で導入が進んでいるのが「チャレンジプログラム」です。
「チャレンジプログラム」では、チームで共有したり、競ったりすることで、チームメンバーに興味を持ち、コミュニケーションを深めることに役立てます。
日本国内でも、ウォーキングイベントがそのような役割を担ってはいますが、すべての従業員がウォーキングイベントに率先して参加してくれるとまでは言えません。
米国の「チャレンジプログラム」は、人それぞれ興味を持つことに違いがあるのは当たり前と考え、幅広いチャレンジメニューを提供しています。
例えば、食に関するアプローチでは、いきなり栄養素の話から入るのではなく、“いつもより意識して水を飲む”など、健康効果としての高さよりも、対象者が「これならできる!」と自信につなぐこと、健康行動が継続することに注力しています。
このような取り組みによりチームメンバーで声掛けができ、コミュニケーションの活性に役立てていき、チームビルディングに貢献するプログラムを提供しています。
今回は人材強化のための一つの要素をご紹介しました。
実際には社会的健康の中にもいくつか切り口があります。
従業員の体の健康以外にもウェルビーイングを阻害する要因は複数あります。
チームや従業員個人の状況に合わせ適切な施策を提供するのが「ウェルビーイングプログラム」です。
日本国内の状況を考えても、疾病予防として健康効果の高い健康経営サービスだけを提供している段階ではなくなったと言えます。
企業に必要な人材支援策を提供できるヘルスケアビジネスプロバイダーが求められるようになっていきます。
従業員の行動変容と健康行動継続
国内において、健康経営優良法人に取り組む企業が増えたこともあり、以前に比べて健康意識が高まった従業員が多くなった企業も、相当数になってきたと言えるでしょう。
何か健康課題が見つかってから対処するのではない、予防することの大切さが、企業運営においても必要であることが認知されてきました。
日本国内も、米国市場のように次のステップに進んでよいときと言えるでしょう。
次のステップで重要なのが、なかなか健康行動してくれない従業員を行動変容し、その健康行動を「継続」させることではないでしょうか!?
5月28日(水)に、従業員の行動変容、健康行動継続をテーマにしたリアルセミナーを開催します。米国の「ウェルビーイングプログラム」の事例を交えつつ解説します。
オンラインでは提供しない内容です。
今回も少人数(定員15名)で開催しますので、参加者皆さんで疑問を解消しながらお話していきたいと思います。
<健康経営トレンド第3弾>
スポルツ、インフォーマ マーケッツ ジャパン共同開催
「米国ウェルビーイングプログラムにおける行動変容ビジネス事例」(無料セミナー)
開催日時:
2025年5月28日(水)16:00~17:30
(セミナー、ディスカッション、名刺交換会)
定員:15名(定員になり次第受付終了)
開催場所:
東京都千代田区鍛冶町1-8-3 神田91ビル 2F
インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社
費用:無料
開催概要・お申込み:以下ページをご覧ください。
https://ex-pa.jp/item/58628
健康ビジネスキーワード
「これからのKPIは、体温より“会話温度”」
ヘルスケアサービスを誰にどう届けるか。
多くの企業が、商品やプログラムの良さを“伝える”ことに一生懸命です。
が、実はこれ、伝えすぎると“情報の押し売り”になります。
健康になってほしい気持ちが強すぎて、逆に相手が引いてしまう、、そんな現場、心当たりありませんか?
本当に必要なのは「伝わっているかどうか」の確認です。
“伝える”より“伝わる”が大事。
しかも、それは相手の内側の変化でしか測ることはできないのです。
では、何を指標にすればいいのか?
最新のKPIは「顧客の声」それも、数ではなく“質”です。
ヘルスケアの現場で今注目されているのは、「どんな会話が生まれているか?」という視点。
継続してもらうには、効果や論文やエビデンスなどよりも、「この人と話すと元気になる」「この人は私の体のことを本気で考えてくれている」と思ってもらえるかどうか。
IoTで脈拍も睡眠も測れる時代、最後に頼れるのは人と人の“あたたかいやりとり”。
そう、これからのKPIは「会話の質=会話温度」なのです。
今週の注目記事クリップ
+++★注目記事クリップ★+++
[1]Samsungの『SmartThings』アプリがホームオートメーション機能を強化
https://ht-watch.com/2025/04/samsungsmartthings.html
「Samsung Health」アプリや2025年新モデルのSamsung製テレビとの統合により、就寝時に自動的に照明をオフにしたり、朝に特定のチャンネルでテレビを開始したりするなどの自動化設定が可能になった。(2025/04/23)
[2]遺伝子情報共有サイト『openSNP』、データプライバシーと「独裁政権の台頭」への懸念を理由に閉鎖へ
https://ht-watch.com/2025/04/opensnp.html
ユーザーがアップロードした遺伝子データの大規模なオープンソースリポジトリである『openSNP』が4月末に閉鎖され、すべてのデータが削除されることが、共同設立者のBastian Greshake Tzovaras氏によって確認された。(2025/04/23)
[3]中国が介護ロボットの国際標準制定主導、「シルバー経済」に好機
https://ht-watch.com/2025/04/post-19.html
国際的な標準化団体、国際電気標準会議(IEC)はこのほど、中国主導で制定された介護ロボットの国際標準「コネクテッドホーム環境で使用する自立生活支援ロボットの性能判定基準」(IEC63310)を発表した。(2025/04/23)
[4]研究:失った声を生成AIで取り戻す。麻痺患者がリアルタイムで「話せる」時代へ
https://ht-watch.com/2025/04/ai-5.html
カリフォルニア大学バークレー校、サンフランシスコ校の研究チームが、重度の麻痺があり、発話が難しい患者が意図した言葉を、生成AIを使って大きな遅延なく音声に変換する装置を開発した。(2025/04/25)
[5]Teladoc Health、新たな心臓代謝健康プログラムを開始
https://ht-watch.com/2025/04/teladoc-health.html
バーチャルケア企業のTeladoc Healthは、糖尿病、高血圧、肥満の進行を防ぐための新しい心臓代謝健康プログラムを発表した。(2025/04/28)
[6]シオノギヘルスケア、世界初のガンマ波サウンド(TM)搭載!「脳を鍛えるイヤホン」オープンイヤー型イヤホン「kikippa イヤホン」新発売【PDF】
https://www.shionogi-hc.co.jp/content/dam/shc/jp/news/2025/04/20250423.pdf
https://www.shionogi-hc.co.jp/
普段の生活に「kikippa イヤホン」を取り入れるだけで、通勤や家事、運動中などの「ながら時間」という未活用の資産を、脳を鍛える時間へと変える新しいパーソナルデバイスです。(2025/04/23)
[7]Awarefy・emol・cotree、「デジタルメンタルヘルス(法人向けサービス)カオスマップ 2024年度版」を日本デジタルメンタルヘルス連合会が公開
https://www.awarefy.com/news/press-release-20250423
今後、職域におけるメンタルヘルス対策においては、デジタルヘルス技術に対するエビデンスの要求が高まることが予想されます。(2025/04/23)
[8]富士経済、NMN含有サプリメント、化粧品の国内市場を調査
https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=25042&view_type=2
アンチエイジング効果が注目され、近年急成長しているNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)含有商品の国内市場を調査した。(2025/04/23)
[9]BREATHER、「呼吸を変えたらシーズン中の怪我での離脱者が過去10年で最少に!?」湘南ベルマーレフットサルクラブが実践する「呼吸最適化プログラム」とは?(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000035.000073545.html
BREATHERは、2024~2025シーズンより、湘南ベルマーレフットサルクラブのコンディショニングパートナー(オフィシャルプレミアムパートナー)に就任しており、選手への呼吸最適化プログラム(呼吸トレーニング、深呼吸の習慣化)の実装など、日々様々な取り組みを実施しています。(2025/04/23)
[10]Awarefy、AIメンタルヘルスケア協会(AIMH)が、事業者向けのガイドライン案を公開
https://www.awarefy.com/news/press-release-20250424
本ガイドラインは、経済産業省および総務省による「AI事業者ガイドライン」を参照しつつ、メンタルヘルスケア領域における生成AIの安全かつ適切な活用を促進するための具体的な指針を提示することを目的としています。(2025/04/24)
[11]ミンテルジャパン、認知機能サプリメント市場5年で倍増!世界で急成長を遂げる脳パフォーマンス市場トレンド 日本人の脳パフォーマンス向上への意識と若年女性のストレス問題
https://www.mintel.com/jp/press-centre/brain-performance-trend-2025/
ミンテルジャパンレポート「脳のパフォーマンス(記憶力・認知力・集中力)向上に関するトレンド-日本-2025年」にて、情報社会の加速、働き方改革、高齢化社会の進展、そして脳科学・テクノロジーの発展を背景に、認知機能や記憶力、集中力など「脳のパフォーマンス向上」が世界的に注目されていることを明らかにしました。(2025/04/24)
[12]Mizkan、日々の食事を豊かにするコミュニティサイト「ミツカン 365」リリースから約9か月で、会員登録数10万人突破!【PDF】
https://www.mizkan.co.jp/file.jsp?id=2021_Renewal/files/pdf/company/newsrelease/detail/newsrelease-250424-60.pdf
https://www.mizkan.co.jp/
「ミツカン 365」は、「毎日の“つくる”と“食べる”に寄り添う」想いを込め、レシピや日々の食生活に役立つ豆知識などのその時々の時流や季節の旬に応じた「1日1ヒント」をお届けする、ミツカンのコミュニティサイトです。(2025/04/24)
[13]ジュノーと東京成徳大学、共同調査研究を実施「持ち帰り感情ストレス」に関する実態調査の結果公表
https://www.junowedding.jp/news/2025/04/24/research/
20~68歳の正規・非正規社員の男女253名を対象に「感情労働」と「持ち帰り感情ストレス」についての実態調査を実施。仕事中に「感情労働」を行っている人が94.5%、勤務時間外に仕事のことを思い出している人が88.1%、など。(2025/04/24)
[14]楽天、「楽天グループ 2025年 睡眠トレンド予測」を発表
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2025/0424_01.html
睡眠関連商品の購買データや調査結果を分析し、「令和の眠活」「睡眠メシ」などの消費トレンドを予測。(2025/04/24)
[15]再春館製薬所、健康寿命のカギとなる“自己回復力”を育む家「Positive Age House(ポジティブエイジハウス)」の販売を開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000105.000051751.html
2032年の創業100周年に向けた新たな挑戦「ポジティブエイジカンパニー宣言」における取り組み第一弾。生体リズムを整える調光システムと自然と一体化できる空間設計、など。(2025/04/25)
[16]日本貿易振興機構(ジェトロ)、地域・分析レポート:英国政府の肥満対策 国民の食欲はコントロールできるか(1)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2025/cef6fe9f0f850f50.html
成人の約3割が肥満である英国では、肥満対策を巡る規制導入や、治療法の話題に事欠かない。本稿では、英国の肥満の現状を捉えた上で、政府と食品メーカーの対応を検証する。(2025/04/28)
[17]Solvvy、『Neuro Switch for ウェルネス』の店頭展示を開始
https://solvvy.co.jp/news/20250428/
『Neuro Switch for ウェルネス』は、認知症予防や身体の痛みの緩和、日々のストレス軽減を目的として、脳を最適な状態に整えるトレーニングを行うための製品。(2025/04/28)
[18]オムロン ヘルスケア、5月17日は世界高血圧デー。国際高血圧学会の啓発キャンペーン“May Measurement Month”に協賛
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2025/0428.html
今回は、AIを活用した次世代アルゴリズム“Intellisense AFib”で血圧測定時に心房細動の可能性を検出する血圧計や、血圧と一緒に心電図を記録できる心電計付き上腕式血圧計を約4,000台寄贈します。(2025/04/28)
[19]経済産業省、「PHRサービス提供者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針」関連ファイル 令和7年4月30日 改定
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/phr.html
PHRサービス提供者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針、PHRサービス提供者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針に関するQ&A、(別紙)PHRサービス提供者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針に係るチェックシート。(2025/04/30)
[20]経済産業省、大阪・関西万博で体験できる「PHRがもたらす新時代のウェルネスライフ」に関する特設ウェブサイトを開設しました
https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250430001/20250430001.html
特設ウェブサイトでは、体験できる内容や場所・日時の詳細、スムーズに体験いただくための事前準備事項など、来場前に知っておいていただきたい情報を分かりやすく掲載しています。(2025/04/30)
[21]ティップネス、「リアル×VR(空間コンピューティング)」での“新たなフィットネス体験”の業界初サービス創出をスタート【PDF】
https://www.tipness.co.jp/cms-data/pdf/%E3%80%90%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%80%91Vision%20Pro%E4%BD%93%E9%A8%93%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%92%E6%B8%8B%E8%B0%B7%E5%BA%97%E3%81%AB%E9%96%8B%E8%A8%AD.pdf
https://www.tipness.co.jp/
国内フィットネスクラブとして初の取り組みとなる、Apple Vision Pro を活用した新しいフィットネス体験サービスの提供を、ティップ.クロス TOKYO 渋谷にて2025年5月より開始します。(2025/05/01)
[22]『HealthTechWatch』注目ニュース:オムロン ヘルスケア、『かんたん朝晩ダイエット』を利用した人の3人に2人が減量に成功
https://ht-watch.com/2025/05/32.html
『かんたん朝晩ダイエット』とは、朝と晩に体重を測って、1日の体重変化を管理するダイエット方法で、オムロン ヘルスケアの体重計と連動する健康管理アプリ「OMRON connect」のひとつの機能として提供されています。(2025/05/12)
+++★デジタルヘルス解説動画(解説:渡辺)★+++
【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
デジタルヘルスのビジネスに関わる人に役立つ情報をお届けします。
第51回 ヘルスケアにおけるAIの最大の機会は病気ではなく健康である(6分)
https://youtu.be/6K9lMzRwcGY