[海外事例にみる継続支援アプローチ編]はじめてでもわかる!生成AIの活かし方
こんにちは。脇本和洋です。
本メルマガでは、海外のヘルスケアサービスの最新動向をチェックしています。
今回は、2025年上半期の本編を振り返り、注目動向を確認します。
特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編
本編の2025年前半では、「行動継続×生成AI」をテーマに
- 今さら聞けない「機械学習型AI」と「生成AI」との違い(5月)
- 生成AIをヘルスケアサービスに活用する際のメリット(3月、4月)
- 生成AIをヘルスケアサービスに活用する時の課題(1月、2月)
といった内容でお届けしました。
今回はその中から、ヘルスケアサービスに生成AIを活用する際のメリットと課題を振り返りつつ、さらに掘り下げて解説します。
※参考>本編のバックナンバー
1)生成AIをヘルスケアサービスに活用する際のメリット
ヘルスケアサービスに生成AIを活用する際、まずどんなメリットがあるかをイメージしておくことが必要です。
これにより最短コースで成果をあげることができます。
本編では6つのメリットを紹介しました。
■生成AIをヘルスケアサービスに活用する際のメリット
- メリット1:商品の購入継続率の向上
- メリット2:専門家が短時間でパーソナルな指導を行える
- メリット3:既存アプリでのフィードバックの強化
- メリット4:パーソナルな動機づけをする
- メリット5:専門家の文章作成時間の短縮化
- メリット6:対象者本人が気づきにくい点を気づかせてあげる
メリットは複数ありますが、ビジネス数値に直結するのはメリット1「商品の継続率の向上」です。
例えば、健康食品の通販の場合、お試し商品購入者に生成AIを活用したアドバイスサービスを提供し、定期購入への確率を高めるといった使い方です。
■パーソナルな動機づけへの生成AI活用とは?(掘り下げ)
健康行動の動機づけの手法としては、本人にとってのメリットを具体的に示すことが効果的ですが、一人ひとりに合うメリットを考えるのは難しいのが現状です。
しかし生成AIを活用すれば、その人のプロフィールに合わせてパーソナライズされた動機づけが可能になります。
単に痩せることを目標にするのでなく、例えば、プロフィールに合わせ、痩せた後に「趣味のスキューバダイビングのスーツが楽に着られるようになる」など、人それぞれの動機づけのアイデアを生成AIが数多く提示できます。
さらに、生成AIは画像で表現する能力が飛躍的に向上しており、このような「なりたい姿」を画像で簡単に表現できるのです。
また、生成AIの高度な文章作成力を活用すれば、なりたい姿が実現した様子を5行程度の文章で表現もできます。
その表現も利用者の性別や年代に合わせて変えるとともに、自己肯定感を増す表現をアレンジして加えることもできます。
「なりたい姿」をさらに膨らませて、動機づけができるようになる。
今後の活用メリットとして注目したいです。
2)生成AIをヘルスケアサービスに活用する時の課題
ヘルスケアサービスに生成AIを活用する際、メリットだけでなく「課題」まで理解しておくと、実現期間が想定でき、成果をあげるためのイメージが鮮明になります。
本編では6つの課題を紹介しました。
■生成AIをヘルスケアサービスに活用する際の課題(要約)
課題1:生成AIとの対話は無限に続くが、それで問題ないのか?
課題2:生成AIの出力は安全なのか?
課題3:生成AIらしさを発揮できているか?
課題4:生成AIとのやりとりだけで、人は動くか?
課題5:費用対効果は本当にいいのか?
課題6:社内にどう説明したらいいか?
課題は複数ありますが、ビジネス数値に直結するのは課題5「費用対効果は本当にいいのか?」です。
これは実際には、既存の方法との比較となります。
仮に生成AIを活用したアドバイスサービスの費用が既存の方法より高くとも、効果が大きければ積極的に検討する対象となり得ます。
■生成AIの出力は安全なのか?(掘り下げ)
企業として生成AIを活用してヘルスケアサービスを作るには、生成AIの出力に一定の責任をもつ必要があります。
生成AIは常に学習しているので、同じ質問をしても出力結果が同じということは少ないです。
また、健康づくりに反する内容を出力するようでは、企業としてリスクが大きく、利用は難しいでしょう。
ただ、海外ではこれらの課題を解決しつつ、サービスを提供する事例(例:WHOが2024年に発表したSarahという健康アドバイス生成AI)がでています。
解決の方向性はいくつかあります。
基本的なポイントを紹介します。
・ポイント1:よい方向を学習させる
生成AIに自由にアイデアを出させると、内容が拡散しすぎてしまいます。
アイデアとして出してよい方向とその例を学ばせておくことで、成果に結び付きやすく安全な出力が可能になります。
・ポイント2:悪い方向を学習させる
よい方向だけでなく、出してはいけない方向も学習させます。
そうすることで、特に健康づくりに反するようなアイデアの出力を防ぎます。
・ポイント3:AIの運営監視体制を整える
ポイント1、2のような安全な表示の工夫はもちろんのこと、実際の運用の際には表示テストを定期実施したり、ユーザーのログとAI対応の記録を確認したり、不適切な表示が起きた時に都度対応するしくみを準備します。
その他にもポイントはありますが、WHOのSarahのように安全性を高めるノウハウはすでに存在しており、それをどう磨いていくかが今後必要とされていることなのです。
※参考>WHOが2024年に発表したSarahという健康アドバイス生成AI
生成AI活用のメリット・課題をリアルに知るには?
今回の振り返りはいかがでしたか。
ヘルスケアサービスでの生成AI活用のメリット・課題の全体感をつかんでいただけましたでしょうか。
今後も行動継続を促す手法にAIを活用していく流れはさらに強くなっていくでしょう。
米国でヘルスケアサービスへの生成AI活用が大きく進む2025年、日本では研究を始めるベストタイミングと言えます。
この時期に研究を始めることで、先行者利益を得られます。
研究開始の際には、今回の内容を是非参考にしてください。
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今週の注目記事クリップ
+++★注目記事クリップ★+++
[1]『Strava』が運動トレーニングアプリを買収。最初は「Runna」、次は「The Breakaway」
https://ht-watch.com/2025/06/stravarunnathe-breakaway.html
ソーシャルフィットネスアプリの『Strava』は、過去1カ月余りで2件の買収を行った。先月の「Runna」の買収に続き、サイクリングアプリの「The Breakaway」を買収した。(2025/06/05)
[2]腸の健康AIトイレのスタートアップThroneがMoxxieのリードで400万ドルを調達した驚くべきストーリー
https://ht-watch.com/2025/06/aithronemoxxie400.html
Throne社はオースティンに拠点を置く企業で、消費者向けのAI搭載トイレデバイスの開発に取り組んでいる。コンピュータービジョン(便器内のカメラとAIソフトウェア)を用いて腸の健康状態をモニタリングする。(2025/06/06)
[3]Priority Health、糖尿病と減量サポートでVirta Healthと提携
https://ht-watch.com/2025/06/priority-healthvirta-health.html
130万人の会員を擁する非営利医療保険のPriority Health社は、雇用主に体重管理と糖尿病のサポートを提供するためにVirta Health社と提携すると発表した。(2025/06/09)
[4]Omada Health、IPOで11億ドルの評価額を目指す
https://ht-watch.com/2025/06/omada-healthipo11.html
慢性疾患管理会社Omada Healthは、普通株合計790万株を発行し、引受証券会社に新規公開価格で最大118万5,000株の追加株を購入する30日間のオプションを与える予定だ。(2025/06/10)
[5]『HealthTechWatch』注目ニュース:「Apple Watch」の計測データは正確なのか?米大学が調査した結果
https://ht-watch.com/2025/06/apple-watch-1.html
ウェアラブルデバイスのデータの精度に関する記事です。記事原文では「Apple Watch」以外の端末にも触れていますので、原文もご確認ください。(2025/06/16)
[6]Novera、AI肌診断『skinsense』 ウィル・ドゥ社と連携し販売開始
https://novera.co.jp/news/160929
『skinsense』は、400名以上の美容部員の知見を学習したAIが、肌状態を客観的かつプロフェッショナルに解析する肌診断ツールです。(2025/06/04)
[7]ミッドナイトブレックファスト、AIジャーナリングアプリ「muute」 150万ダウンロードを突破!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000070478.html
「muute」は、感じたことや考えたことを自由に書き出すことを通じて、自分自身と向き合い、日々の生活を豊かにすることをサポートするAIジャーナリングアプリ。検索機能などを追加し、より快適なジャーナリング体験を提供。(2025/06/04)
[8]NTTデータ経営研究所とシード・プランニング、人・組織の課題を解決する「心の健康」投資拡大に向け、共同事業体を設立します
https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/250605/
このたび2025年7月に「心の健康」投資拡大に向けた産官学の共同事業体の設立に伴い、会員を募集いたします。(2025/06/05)
[9]G-Place、「フェムテックジャパン / フェムケアジャパン 2025 in Tokyo」を2025年7月10日に開催決定
https://g-place.co.jp/news/271
Femtech Japan / Femcare Japan 実行委員会主催。開催日は2025年7月10日(木)。女性の健康課題に対する革新的なアイデアや技術のコンテスト、「フェムテックジャパン イノベーションピッチ」を初開催。(2025/06/05)
[10]DUMSCO、自律神経の状態やストレスをスマホで見える化アプリ「Habitone(ハビトーン)」が6万ダウンロード突破!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000045932.html
Habitoneは、スマートフォンカメラによる自律神経の状態の測定や日々の体調を記録し、加えて習慣を整える提案をすることで「いい日」を増やすサポートを行います。(2025/06/05)
[11]NeU、保険会社の付帯サービスとして、脳の健康の維持向上を支援する“クラウド型 脳トレサービス”を提供開始
https://neu-brains.co.jp/information/press/2025/06/06/4301.html
共済団体などで先行導入、川島隆太博士監修の「認知機能チェック&トレーニング」(脳トレ)を契約者アプリに低コストで実装。(2025/06/06)
[12]ロート製薬、社員の自律と社会への参画を促す「ROHTO Well-being LIFE宣言」
https://www.rohto.co.jp/news/release/2025/0609_01/
今後も社員が仕事やプライベートを通じてウェルビーイングな生活を送り、社会においてさらなる価値を創造できるよう、働き方や健康に関する心構えをあらためて明文化し、当社が制定した6月10日健康宣言日「ロートの日」にあわせ「ROHTO Well-being LIFE 宣言」として発表します。(2025/06/09)
[13]Fast Fitness Japan、エニタイムフィットネス 国内1,200店舗達成!【PDF】
https://www.fastfitnessjapan.jp/wp/wp-content/uploads/2025/06/20250609.pdf
https://www.fastfitnessjapan.jp/
エニタイムフィットネスは、日本における「24時間ジムの先駆けとして、特に20~40代を中心に広く支持されています。国内会員数は2025年5月28日に100万人を突破、そしてこの度、国内店舗数1,200店舗を達成いたしました。(2025/06/09)
[14]ハルメク・エイジマーケティング、ハルメクのシンクタンク所長が「新人類世代」を大解剖!新著『消費の主役は60代 シニア市場最前線』の予約受付開始
https://www.halmek-holdings.co.jp/news/press/2025/bfnxudu6b/
令和を生きる60代のリアルなライフスタイル、消費行動、価値観を多角的に読み解くマーケティング書。今や彼らは「引退世代」ではなく、“新人類シニア”として、自分らしく消費を楽しみ、未来の市場を静かに動かしています。(2025/06/10)
[15]経済産業省、6/25~6/26 ヘルスケアをテーマにした国際イベント Global Healthcare Challenge(GHeC)を開催します!
https://ghec2025.jp/
国内外のヘルスケアスタートアップが一堂に会し、新たなイノベーションの創出や健康課題の解決を目指すビジネスコンテストに加え、国内外のヘルスケア分野のキーパーソンやオピニオンリーダーを集めたシンポジウムやネットワーキングを実施。