[健康ビジネス・マーケティング&収益化編]企業存続で求められるヘルスケアビジネス(2)
こんにちは、渡辺武友です。
前回(5/13号)に続き、企業の人材不足問題についてヘルスケアビジネスでの貢献について考えていきます。
特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編
人材不足が深刻化しています。
今は若手獲得競争を勝ち抜くことで人材を確保できている企業も、若年人口が年々減少していくため、若手獲得だけでは人材不足問題は解決できないと予測されます。
さらなる課題として、高齢人口の増加です。
30、40代従業員の父母が高齢者となることで、従業員による介護も増加します。
毎週の介護休暇や介護による長期休職が増えれば、重要なポジションを担う働き盛り世代も不足していきます。
このような状況で、企業はどのような手を打たなければならないか?
考えていきましょう。
高齢化する従業員の活用
人材不足の取り組みの1つが「高齢化する従業員の活用」です。
自社のビジネスに対する知識、経験が誰よりも豊富なのはベテラン従業員です。
しかし、60歳もしくは65歳には定年退職してしまいます。
このようなベテラン従業員が戦力として、あと10年働けたらどうでしょうか?
企業規模によっては、年間数百人から数千人の人材を確保できることになります。
当然、肉体的にも精神的にも若手と同じというわけにはいきません。
適所への配置はもちろん、肉体的、精神的、さらに社会的健康面もサポートしていくことが必要となります。
社会課題解決に貢献する取り組み
現在は平均寿命が伸びたため、定年してから20~30年程度は在命期間があります。
この期間にほとんど外出せず、家族以外と接する機会もない生活を送ることになると、老化(特に脳への影響)が進みやすくなり、介護が必要な生活になってしまうのはよくご存知でしょう。
高齢者に対しては社会参加が重要と言われます。
社会参加のために出かけることで体を動かし、人と接することで脳への適度な緊張感も与えることができ、老化を遅らせる効果があります。
しかし、定年により一度社会とのつながりが途切れると、自ら新たに社会参加することへのハードル(仕事以外の人との交流がない等)が高くなり、実現しにくくなっています。
このような支援は自治体を中心に行われていますが、すべての人に行き届かないなど、限界もあるでしょう。
そこで考えたいのが、定年によって社会参加を途切れさせない取り組みです。
高齢従業員にとっても、今までの延長で社会参加できる方が自然な流れとなります。
企業にとっても人材確保に役立てることができます。
若手世代にとっても親の介護リスクが低減することで、より仕事に集中しやすい環境となります。
企業の人材課題に取り組みながら、社会全体にもプラス効果となります。
もちろん、1社だけでは大きな影響はないかもしれませんが、多くの企業が取り組むことで、社会的価値を生むこととなります。
高齢従業員のサポート
高齢従業員に少しでも長く働いてもらうことは、企業、家族、社会に多くの価値をもたらしますが、高齢化により肉体の衰えは避けられないため、人によっては働き続けたいと思わなくなっていくこともあります。
ここで役立つのが健康経営の取り組みです。
早いうちから現状を維持できる健康行動を身に付けることで、老化を緩和する(遅らせる)ことができます。
提供するサポート活動自体は、現状で提供しているヘルスケアサービスの延長です。
もちろん、若い世代と同じような運動をさせるわけにはいきませんが、年代や体力に合わせた運動メニューはすでに存在しますので、既存サービスに組み合わせることで提供は可能となります。
重要なのは対象者本人が、早い段階から体つくりの重要性を知ることと、健康行動に慣れ親しむことでしょう。
また企業側の理解も必要になります。
高齢従業員を雇い続けることでメリットもあればデメリットもあります。
高齢従業員の雇用で気をつけないとならないことなどを整理し、メリット・デメリットに貢献する提案を行うことが求められます。
高齢従業員活用の市場つくり
高齢従業員の活用は、これから増々必要となってきますが、現在、高齢従業員活用は導入期と言えます。
顧客企業にも率先して取り組むよう伝えていく必要があります。
そのために検討しておきたいことを整理します。
<企業への提案>
・従業員確保の考え方
人口動態から採用人数と比較を見せ、若手だけを獲得する難しさを提示する
・社会的意義
高齢従業員を長期雇用することが、企業だけでなく、高齢従業員、従業員家族、社会にとっても価値あることを示す
・高齢従業員向けの施策
高齢従業員を長期雇用することのメリット/デメリットを示し、それぞれに貢献する施策を提示する
・導入効果
高齢従業員を長期雇用することで得られる企業にとっての効果、高齢従業員がいきいき働き続けることで得られる効果を示す
高齢従業員の長期雇用は、これからは当たり前に取り組む時代となります。
皆さんが培ってきたヘルスケアサービスを活かすことができますので、いち早く取り組み、業界のリーダー的存在となってください。
高齢者対応が進む米国法人市場
米国法人市場では、「ウェルビーイングプログラム」の導入が進んでいます。
「ウェルビーイングプログラム」は、社会的健康を重視した取組となっていますので、社内だけでなく、家族の支援にも力を入れています。
このような米国の「ウェルビーイングプログラム」について解説するセミナーを開催します。
今回は、従業員が健康行動をはじめ、継続することで結果を出すためにどのような工夫をしているのかにスポットを当ててお伝えしたいと思います。
<健康経営トレンド第3弾>
スポルツ、インフォーマ マーケッツ ジャパン共同開催
「法人向けヘルケアビジネス、健康行動を継続させる自動化の取組」
(無料リアルセミナー)
開催日時:
・2025年6月19日(木)16:00~17:30
(セミナー、ディスカッション、名刺交換会)
定員:15名(定員になり次第受付終了)
開催場所:
東京都千代田区鍛冶町1-8-3 神田91ビル 2F
インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社
費用:無料
開催概要・お申し込み:こちらのページをご覧ください
健康ビジネスキーワード
「未来を奪う、失敗恐怖症」
今は、「誰かの正解」を待っている時代ではない。
主人公ごとに“答え”が変わる時代だ。
試して、外して、学んで、自分の“ベター”を育てるしかない。
つまり、失敗が当たり前の時代に私たちは生きている。
なのに、失敗を怖がる。嫌う。避ける。見なかったことにする。
その態度が、最も高くつく代償になる。
転んでは立ち、また転ぶ。
幼い頃、誰もが無意識にやってきたこのプロセスが、大人になると「恥」「損」「敗北」へとすり替えられていく。
それは全く違うのだ。失敗は「原価」だ。逃げれば、後から「利子」がついて戻ってくる。
失敗のコストを吊り上げるのは、自分自身だ。
だから、立ち止まるな。恐れるな。試し続けろ。
今週の注目記事クリップ
+++★注目記事クリップ★+++
[1]TikTok、22時以降に睡眠を促す「瞑想」機能。未成年はデフォルトに
https://ht-watch.com/2025/06/tiktok22.html
TikTokは、ウェルビーイング機能拡大の一環として、アプリ内ガイド付きの瞑想エクササイズ機能を全ユーザー向けに導入した。(2025/06/02)
[2]日本リカバリー協会、[調査リリース]全国10万人調査から「日本の疲労状況2025」を発表~「リカバリー(休養・抗疲労)白書2025レポート」Vol.1~
https://www.recovery.or.jp/recobar-news/9530/
元気な人が21.4%(1,967万人)に減少、疲れている人(高頻度)41.5%で過去最高を更新。「疲れている」女性は80.1%、男性より3.2ポイント多い結果に。(2025/05/28)
[3]SOXAI、日本発の健康管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING 1.1」5月28日より一般販売開始
https://soxai.co.jp/blogs/news/103
SOXAI RINGは、バイタルセンシング機能が搭載されたスマートリングとしては日本初の製品であり、幅7.6mm、厚み2.5mmという超小型サイズを実現しています。SOXAI RING 1.1では、進化した新しいSOXAI RINGアプリを利用することができます。(2025/05/28)
[4]ギャラクシーズ、姿勢分析VR投影システムを開発 AIを活用し歩行指導VRとして応用、病院との共同プロジェクトを開始
https://www.techfirm-hd.com/pressrelease/20250528.html
本システムを応用し、下北沢病院との共同プロジェクト「歩行指導VR」を開始します。今後は医療やヘルスケア・介護の領域にとどまらず、観光、スポーツ、防災、エンターテインメントなど幅広い分野への応用を見込んでいます。(2025/05/28)
[5]ユーフォリア、Googleの生成AI「Gemini」とGoogle Cloudのサービスを活用した建設現場の熱中症対策ソリューションを開発
https://eu-phoria.jp/news/pressrelease/20250528-wellness-heatstroke-solution-by-gemini
Googleの生成AI「Gemini」とGoogle Cloudのサービスを活用した建設現場をはじめとする高温環境下での作業者向け熱中症対策ソリューションを開発し、株式会社奥村組の建設現場で導入開始することをお知らせいたします。(2025/05/28)
[6]カルビーとS’UIMIN、[共同研究]プレバイオティクスを含むグラノーラの摂食が、睡眠の質とストレスを改善する
https://www.calbee.co.jp/newsrelease/250529.php
本研究では、ストレス状態にある健常者を対象に、8週間毎日朝食に6種(イヌリン、レジスタントスターチ、スーパー大麦、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ハイカカオ)のプレバイオティクスを含むグラノーラを摂食することで、腸内フローラを介してストレスによる睡眠の質の低下を改善できるか検証しました。(2025/05/29)
[7]行動科学AIのGodot、シリーズAで11億円の資金調達
https://godot.inc/news/article/20250530
本調達により、「信頼できるAI(trustworthy AI)」開発・推進を強化し、行動科学AIによる個人・組織・社会の変革をグローバルに推し進めます。(2025/05/30)
[8]パナソニック、体調ナビゲーションサービス「RizMo(リズモ)」を開始
https://news.panasonic.com/jp/press/jn250602-2
パナソニックビューティ事業拡大、インナーケア領域へ本格参入。国内家電初、月経リズムと連動する衣服内温度と睡眠状態を計測できるウェアラブルデバイス「リズムモニター」を開発。(2025/06/02)
[9]ニフコ、足指のパフォーマンスを可視化&トレーニングできる、足はじ力測定器「HAJICHECK(ハジチェック)」を製品化(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000057049.html
足はじ力(足の握力)の可視化と向上が様々な世代の健康増進や労働災害の予防につながると考え、「測って実感・楽しくトレーニング」をコンセプトにした足はじ力測定&トレーニング機器「HAJICHECK」を製品化いたしました。(2025/06/03)
[10]MPBR、AI×専門家が導く“姿勢革命”姿勢をトータルでプロデュースする『姿勢屋さん』虎ノ門ヒルズに誕生!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000162867.html
AI姿勢分析「Posen(ポーズン)」と足裏測定「FootLook(フットルック)」で、現在のあなたの姿勢を徹底的に可視化。専門家が、靴選びから身体の動かし方までを統合的にアドバイス。一生役立つセルフメンテナンス法が身につきます。(2025/06/03)
[11]『HealthTechWatch』注目ニュース:東北大学、健康行動を支える脳の仕組みを解明
https://ht-watch.com/2025/06/post-44.html
今回取り上げたのは、東北大学が発表した健康行動を支える脳の仕組みを解明し、脳の前頭極と個別化フィードバックが若者の食生活改善とウェルビーイング向上の鍵になっているという研究結果です。(2025/06/09)