こんにちは。脇本和洋です。

[海外事例にみる企画ヒント編]は、健康ビジネスの高収益化をテーマに、サービス、マーケティング、事業運営のヒントを海外事例からお届けしています。

今号は、海外の健康ビジネスの上場企業の決算動向から、稼ぐ企業をチェックします。

特集:海外事例にみる企画ヒント編

海外上場企業決算にみる、稼ぐ健康ビジネスの共通点

例年4月になると、海外では上場企業の前年の決算が発表されます。
弊社では毎年この時期に「健康ビジネス企業別売上map」と称し、稼ぐ企業を一目でわかるものを作成しています。

「海外の健康ビジネスで今、稼いでいる企業をあげなさい」と言われたら、あなたなら何をあげますか?

海外企業はあまり詳しくない。。。という方も多いと思いますが、抑えておきたい稼ぐ企業はそう多くはありません。

今回は健康ビジネスの代表的な分野ごとに、売上上位の上場企業を4つ紹介します。

なお、この企業は知っているという人は、直近の売上動向を確認しておきましょう。

ダイエット食品(ミールリプレイスメント)分野で売上第1位企業:Medifast

ダイエット食品(ミールリプレイスメント)は、粉末を牛乳などで溶かし、1回の食事を置き換えたり、間食に使ったりするものをさします。この分野ではMedifastに注目です。

■Medifast
http://www.medifast1.com/index.jsp

■直近の売上動向
302億円(2017年)→501億円(2018年)→714億円(2019年)

■企業概要と特長
Medifastは肥満女性向けにダイエット代替食を販売する企業です。
2005年に「痩せた後リバウンドしない」という価値をいち早く提供し、売上を拡大してきました。

自社のダイエット法で痩せた人の中から「ヘルスコーチ」を育て、ヘルスコーチがコーチングサービスを提供し、顧客からの信頼を高め、販売を行う点が特長です。

流通分野で売上第2位企業:Wallgreens

米国で流通分野のトップは「CSV」ですが、第2位ながら安定的な成長をみせ、特長ある施策を行っているWallgreensに注目です。

■Wallgreens
https://www.walgreens.com/

■直近の売上動向
11兆8,214億円(2017年)→13兆1,537億円(2018年)→13兆6,866億円(2019年)

■企業概要と特長
Wallgreensで扱う商品は他のドラッグストアとよく似ていますが、顧客との関係性を深めるために「Balance Rewards」というしくみを入れている点が特長です。

これは様々な健康行動ごとにポイントが設定され、そのポイントが貯まることで、商品を安く買えるというものです。
会員数は今や9,000万人とされ、顧客の継続利用を促しています。

施設サービス分野で売上第1位企業:Weight Watchers

施設サービス全体では、やはりフィットネスクラブが数としては多いですが、売上高でみると、大手フィットネスを上回る企業が存在しています。
それが、ダイエットセンターを運営するWeight Watchersという会社です。
直近売上はやや下降しましたが、この分野で売上第1位であることは変わりません。

■Weight Watchers
https://www.weightwatchers.com/us/

■直近の売上動向
1,306億円(2017年)→1,514億円(2018年)→1,413億円(2019年)

■企業概要と特長
Weight Watchersは肥満女性をターゲットとし、ダイエットセンターというリアル施設(ダイエット教室のようなもの)とウェブサービス、オンラインコーチングサービスを展開する企業です。

リアル施設では、グループリーダーと呼ばれるコーチが、一人ひとりと深いコーチングコミュニケーションを行いながらダイエットを進めます。結果、顧客からの信頼を高め、継続的なビジネスにしています。

オンラインサービス分野で売上第1位企業:Peloton

オンラインサービスは今まで無料アプリが中心で、大きな売上をあげる企業は少なかったですが、ある1社の登場で変わってきました。その注目の会社がPelotonです。

■Peloton
https://www.onepeloton.com/

■直近の売上動向
219億円(2017年)→435億円(2018年)→915億円(2019年)

■企業概要と特長
Pelotonは、スピンバイクスタジオの一体感あるエキサイティングな体験を、自宅からでも体験できるようにした企業です。

自宅用エクササイズバイク(Spin Bike)を販売後、クラス受講で継続課金します。
ICTを使ってコーチと参加者一人ひとりの関係性を重視し、継続課金にもちこんでいます。

稼ぐ企業の共通点

今号では、稼ぐ企業として覚えておいていただきたい4つの企業を紹介しました。

  • Medifast
  • Wallgreens
  • Weight Watchers
  • Peloton

いずれも、顧客一人ひとりとの関係性を重視し、単発で終わらないビジネス、長く顧客として維持できるビジネスをしています。
その実現ためには顧客からの信頼が大切で、その信頼を構築するために様々な工夫をします。

工夫の一つとして、一人ひとりと「コーチング技術(要素)を使ったコミュニケーション」を行っており、課題解決を自分ゴトとして強く認識し、継続的に取り組めるプロセスがデザインされている点があります。

ただ、こうしたコミュニケーションを行うと、「普通はコストがかかって合わないのでは?」と考える人も多いでしょう。

稼ぐ企業は、そこに挑戦しています。人とICTとを融合させてバランスをとります。

詳しいノウハウは別の機会にお話ししますが、これから稼ぐ企業になっていくには、この「信頼を高めるコミュニケーション」を極めていくことが近道といえます。

参考>本編「海外事例にみる企画ヒント編」をお読みの方へ

我々スポルツが今までに調べてきた500超の事例から実績をベースに16事例を選定。米国先進事例の「行動継続を促す工夫」を調査分析したレポートの紹介です。

詳細は以下となります。ぜひ参考にしてください。

●ヘルスビズウォッチ・レポート
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
ー サービスの継続利用を高めるアイデアを、
チームで精度高く短期間で生み出すための発想素材! ー

健康ビジネスの現場で使えるキーワード

「サービスビジネスの性」

サービスは改善と方向転換が必須なビジネスモデルです。今その時なのかもしれませんね!?

今週の注目デジクリップ!

[1]経済産業研究所、不眠を対象としたインターネット認知行動療法と「3つの良いこと」エクササイズの有効性の検証
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/20j019.html
インターネット認知行動療法、「3つの良いこと」エクササイズがそれぞれ不眠の問題に対して効果があるかを検証するランダム化比較試験が行われた。それぞれ、不眠の問題を4週間で改善することが示された。(2020/04/09)

[2]ポピンズ、新しい保育のカタチ「オンライン保育」スタート
https://www.poppins.co.jp/news/12688/
オンライン会議システムを使って、保育士と在宅のお子様を繋ぎし、絵本の読み聞かせ、ダンス、手遊びなどを実施するもの。読み聞かせなどの他に、英語の講師など多様なプロフェッショナルを招いて、お子様へのエデュケア(エデュ=教育・ケア=保育)を実現する。(2020/04/09)

[3]ジ・アイ、【フィットネスクラブ向け】習慣化支援アプリ「ON DIARY」の無償提供開始
https://the-ai.co.jp/%e3%80%90%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%8d%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%a9%e3%83%96%e5%90%91%e3%81%91%e3%80%91%e6%a0%aa%e5%bc%8f%e4%bc%9a%e7%a4%be%e3%82%b8%e3%83%bb%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%81%8c/
フィットネスクラブ会員の生活習慣の改善を促し、継続率を向上させることでクラブ経営を改善するアプリ。会員とオンライン上で繋がることでクラブとの関係性を強化する。ご利用可能機能は、会員へのアプリお知らせプッシュ通知やアプリ動画配信など。(2020/04/10)

[4]asken・ニューロスペース・バックテック、「新型コロナウイルス感染拡大に伴う、企業の健康経営方針への影響」について実態調査を実施中
https://www.asken.inc/news/2020/4/13-it3-3-4132

ヘルスケアIT3社は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による、企業の健康経営の取り組みと従業員の働き方への影響や変化を測るため、企業の健康経営推進担当者などを対象に実態調査アンケートを実施。健康経営施策の迅速かつニーズに即したサービス提供を目的として行うもの。(2020/04/13)

[5]NTTドコモ、法人向け健康経営支援サービス「dヘルスケア for Biz」を提供開始
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2020/04/13_01.html
従業員の健康生活を楽しくサポートするサービス。ドコモが提供するdヘルスケアアプリで歩数や体重などの記録や健康コラムの閲覧ができるほか、法人向け限定で健康診断結果の確認、「AIリスク予測」「健康増進ミッション」を提供。(2020/04/13)

[6]手が顔に触れようとすると振動するリストバンド『Immutouch』、新型コロナ対策にも
http://mhealthwatch.jp/global/news20200413
新型コロナウイルス(COVID-19)の時代、我々は顔に手を触れる誘惑に耐えなければならない。『Immutouch』は指が目や鼻や口に近づくと振動して知らせる。専用アプリを使えば汚れた手を下ろす努力の進捗を追跡することができる。(2020/04/13)

[7]『mHealth Watch』注目ニュース:Wellable、MeYou Healthの『Daily Challenge』を買収
http://mhealthwatch.jp/column/news20200420-2
法人向け健康サービスを提供するWellable社は、ソーシャルウェルネスサービスを提供するMeYou Health社から資産を取得したと発表。MeYou Healthの『Daily Challenge』は、すでに10年以上提供されているオンラインサービスです。(2020/04/20)