[サービスデザインと健康の関係編]継続ドライバ解説_コミュニティ
HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
今回は私個人としてもライフワークにもなっている継続ドライバとして機能するコミュニティについて解説させていただきます。
少し長文になりますが、貴社にとってのコミュニティの方向性が見つかるはずです。
特集:サービスデザインと健康の関係編
●8つの継続ドライバ
https://note.com/kouheio/n/n59dbb83e325d
コミュニティの必然性
コミュニティが顧客の行動継続に寄与することは明確になっています。
サービサー対ユーザーの関係で継続意欲を刺激するコミュニケーションも重要ですが、顧客の自主性を引き出してエンゲージメントを高めていく装置としてコミュニティは重要な役割を果たします。
むしろ、今後のあらゆるサービスビジネス運営の中でも健康ビジネスにとってコミュニティをどう位置づけるか?は顧客満足促進面とビジネスパフォーマンスにとっても重要なファクターになると私は考えています。
ソーシャルメディア誕生以来ネット上におけるコミュニティ活動はすでにオンオフ連動は当たり前になり、さらにそれがループしていくイメージです。
あえて、結論的に言い切ると
コミュニティをいかにデザインしてそれをどうドライブ(運営)していくかはサービスビジネスの生命線です。
どうデザインして、いかにドライブしていけばいいのか?
これもアジャイルが如く試して改善し、さらに磨いていくしかありません。
そしてさらにアップデイトしていくのです。
この領域はまだ新しいので確立された体系的理論ではなく経験則のレベル知見が出回るようになってきたのも最近です。
コミュニティは参加者にとっては
■顧客満足向上|共創機会|貢献|絆
・同じ問題意識を持つ他者との交流チャンスの場
・他者に学ぶ場
・刺激をもらえる場
・よりコミュニティのコアを好きになる機会
・仲間との交流と他者へ貢献できる場
・自己肯定感を得ることができる場
サービサーにとっては
■愛着アップ|LTV向上|サポートコスト低減
・顧客の問題意識を生で知る機会
・予測外のプロダクトサービス解釈や使い方の発見
・マーケットニーズを深く知る機会
・顧客行動継続の促進
・顧客同士の協力と貢献
・クロスセル&アップセル機会の創出
・アンバサダーの育成と増加
・商品開発の方向性模索
コミュニティ活用によるメリットは顧客とサービサーの互恵関係と言えます。
2、コミュニティの展開パターン
コミュニティの目的や求心力が何であるかによってコミュニティデザインは異なります。
テーマ別にコミュニティがどんな変化を見せるかを紹介していきます。
これを理解しているか否かで運営の成果にも影響すると思います。
■ブランドコミュニティ
最もわかりやすいのがこのブランドコミュニティではないでしょうか。
企業が提供している商品やサービスのユーザーや見込み客向けにコミュニティです。
ブランド価値を共有するための様々な仕掛けをコミュニティで提供することによって、より長く使用価値を味わってもらうのと消費財であれば購入継続使用が目的です。
活動内容が魅力的であればあるほど、この種のコミュニティは磁力を持ち始めます。
この磁力は加減によっては集客装置として働く場合もありますが、度を越すとコミュニティ自体の秩序が崩れ始めます。
長期間に及ぶ運営になる場合も多く、貢献してくれている参加者にステイタスを与えたり、コミュニティ内コミュニティを開設したり、コミュニティ全体の温度を保つ工夫が必要となります。
また、リーダー的存在のメンバーも新陳代謝を行なっていくことも重要になります。
ハーレーダビットソン(米国バイクメーカー)のハーレーオーナークラブやトヨタのスポーツカー86(ハチロク)のオーナーコミュニティである86 SOCIETYなどはプロダクトオーナーがプロダクトの使用価値を徹底的に楽しみ仲間と共有してライフワーク化していくという独自の世界観をつくり出しています。
また無印良品ブランドが展開しているコミュニティも注目です。
無印良品が提案する「これでいい」という商品開発に込められた思いや展開している世界観に共感しているユーザーが多いことでも知られています。
無印良品暮らしの商品研究所では無印コンセプトに共感している生活者が商品に関しての自分のアイデアを提案し、それが具体的な商品開発につながるという活動を展開しています。まさに無印良品と一緒に生活行動をしていくイメージです。
■プロジェクト・コミュニティ
ある一定期間限定でテーマや目的を絞って行われるコミュニティです。
問題解決テーマが設定されオンオフ連動や各単独の場合もあります。
・有期なので管理しやすい(介入|行動フィードバック|タッチポイント)
・シナリオが作りやすい
・運営を重ねるごとに運営技術が貯まりやすい(PDCAしやすい)
昨今の健康経営ブームの中、各企業内で行われる健康増進コミュニティイベントなどがあります。
■自発性コミュニティ
似たような問題意識を持っている人たちが自然と集まり活動していくコミュニティです。
例えば、ある個人が言い出しっぺで始まったランニングコミュニティがあったとしましょう。
ランニングに興味を持つ人が一人、二人集まり出し、一緒に練習したり、レースに出たりと徐々に活動が活発化していきます。
そうしていくうちに、コミュニティ活動継続による参加者のランレベルの成長という現象が起き始めます。
全員が同じレベルで成長するということはまずあり得ないのでだんだんと当初のバランスが崩れていきます。
コミュニティ活動を継続していくとある種の進化・変化が起こるものです。
この分野のコミュニティ運営のポイントはコミュニティで目指す姿(レギュレーション)はこういうものだ!と明確にすることです。
そして、管理者が絶えずある程度の影響力を維持し、かつコミュニケーション頻度も高く保つ必要があります。
自然発生的に成立しやすいのですが、長期的な運用が難しい場合が多いタイプのコミュニティです。
■催事型コミュニティ
象徴的なイベントや催事に参加した人同士のコミュニティです。
体験共有がベースとなるので長期間仲間意識を持続しやすいという特徴があります。
・コンサート
・祭り
・有名レースや大会
大型集客イベントとなるのでイベントとしては一つであっても、コミュニティは小規模に自発的に多数プロデュースできることが特徴になります。
対象者のライフワークとして支持する催事イベントそのものへはリピート性が高い分野だけに、本番に至るまでの参加者のジャーニー(行動地図)を把握することによってマネタイズポイント創出のチャンスがいっぱいあることになります。
毎年12月にハワイで開催されるホノルルマラソンがあります。リピーターの多い大会であることでも知られています。
例えば次年度大会概要が発表になってからはホノルルマラソンの魅力紹介(見込み客と参加者)や練習会(季節に応じて複数回実施)などいくらでもテーマ設定できると思います。
このような小コミュニティ活動が分母となって本番が盛り上がり、また次のコミュニティ活動にリピーターと新たな参加者が加わっていくというループが回っているのだと思います。
ビジネスと親和性があるであろうと思われるコミュニティ4つを紹介しましたが、単独で成立する場合や複合的になっていく場合なども考えられます。
例えば有期性コミュニティで目標を達成した参加者が自発的コミュニティを構築し、自律的に活動していくことも考えられると思います。
形としてのコミュニティはデジタル、オフラインを問わず構築すること自体には難しさはありませんが、継続運営し、参加者満足をキープして発展させていくということになると簡単ではありません。
先にも述べましたが、正直、やりながら学んでいくしかないので二の足を踏むプレイヤーが多いようです。逆に言えばチャンスです。
コミュニティはかつてのカスタマーサポートではありません。コストセンターではないのです。
コミュニティははっきり断言するとプロフィットセンターです!!!
いかがでしたでしょうか?貴社サービスにコミュニティをどうデザインするかのイメージはできましたか?
さて、次回はゲーミフィケーションとIoTリンケージを解説します。
NoteにHealthBizWatchのサブ読本的なコンテンツアーカイブを始めました。
併せて読んでいただくとさらにアイデア開発に役立つと思います。
「健康ビジネスのツボ」
https://note.com/kouheio/m/m755eecf5fc66
また、直接お問い合わせや質問などがあればこちらへ
https://healthbizwatch.com/contact
健康ビジネスキーワード
「ホームフィットネス」
例えば、ヨガマット上で可能なワーク。それとどうコネクトしていくかというマーケティングに可能性を感じているのは我々HBWだけではないです。もっと多くのプレイヤーが参加すべき領域だと思われます。
今週の注目記事クリップ
[1]CureApp、国内初の「治療アプリ(R)」医療機器承認を受けてブランドサイトをオープン
https://cureapp.blogspot.com/2020/10/blog-post_21.html
新しい治療の特徴や秘めている可能性をより分かりやすくイメージしていただけるよう、医療の現場を星空に、治療用アプリを北極星に例えた治療用アプリのコンセプト動画を掲載したブランドサイト。(2020/10/21)
[2]リンナイ、入浴に関する全国47都道府県別意識調査
https://www.rinnai.co.jp/releases/2020/1021/
調査では、「免疫が上がりにくい入浴をしてしまっている方は約5割」「免疫が上がりにくい入浴をしてしまっているのは沖縄県」などがわかった。入浴科学者 早坂信哉先生監修「免疫が上がりやすい入浴法」簡易チェックシート掲載。(2020/10/21)
[3]RIZAP、「RIZAPビジネスプログラム」スタート
https://www.rizapgroup.com/news/press-releases/20201021-01/
「RIZAPビジネスプログラム」は、ビジネスマンとしての基礎知識・スキルに加え、RIZAPならではのノウハウを詰め込んだ企業向けのオンライン研修プログラム。社会人としての基礎造り編から、結果にコミット(R)し続けるためにはどうするか、など、新入社員の方にも、マネジメント職の方にもお勧めできるコンテンツ。(2020/10/21)
[4]グローバルニュートリショングループ、日本と欧米で異なるビタミンDに対する評価|健康食品ワールド第86回
https://global-nutrition.co.jp/blog/2020-10-21/
10月2日に、(国研)医薬基盤・健康・栄養研究所が「「新型コロナウイルスにビタミンDが効く」等の情報に注意」というタイトルでコメントを出しました。一方、血液中のビタミンDレベルが低い人は、COVID-19に罹患するリスクが高い可能性があるとの報告が、「JAMA Network Open」9月3日オンライン版に掲載されました。(2020/10/21)
[5]ウエアラブル端末で「命を守る」、心房細動や新型コロナを早期発見(日経デジタルヘルスより)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01444/00001/?ST=ch_digitalhealth
ウエアラブル端末はこれまで、健康増進に関心の高い利用者が毎日の歩数や心拍数、睡眠状態などを把握するために身に着けるものだった。それがここ数年で、疾患の早期発見につなげる「アラート」を発する役割や、治療の予後を良好にする「フォロー」の役割を担うものに変化しつつある。(2020/10/21)
[6]バックテック、コロナ禍で肩こり・腰痛・頭痛等の相談1.5万件超!
https://www.backtech.co.jp/newcorona_enterprise_telework_201022/
バックテックが開発運営する、肩こり・腰痛対策支援ツール『ポケットセラピスト』は、現在のコロナ禍において、テレワーク者の増加に伴う肩こり・腰痛に関わる課題の増加に伴い、利用者からの相談件数が従来の4倍以上に増加。(2020/10/22)
[7]NECとRealeyes、感情を分析しビデオコミュニケーションを支援するサービスを共同開発
https://jpn.nec.com/press/202010/20201023_03.html
本サービスは、非対面であっても、コミュニケーション中の理解に不安がある部分などを即座に把握、察知し、その場で伝え方を工夫したり、発言を促したりすることで円滑な対話や会話の活性化に役立てることができる。(2020/10/23)
[8]サントリー食品インターナショナル、サントリー100年ライフ プロジェクト「ウェルビーイング トレンドサーベイ2020」
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1053.html
新型コロナウイルス感染症の流行に伴って生じた新しい生活様式における健康への意識や行動変化について、過去の調査との比較も合わせて、調査結果を報告。(2020/10/23)
[9]CAN EAT、「アレルギ一表作成代行サービス」を開始
https://about.caneat.jp/news/20201023/
CAN EATは、スマートフォンで原材料欄を撮影するだけで簡単にアレルギーを判定できる独自の技術を活用した「アレルギ一表作成代行サービス」を開始。7品目表示か28品目表示か。専門家のチェックに加え、必要に応じてメーカーへの確認も代行。(2020/10/23)
[10]資生堂、世界で初めて皮膚のリンパ管の老化メカニズムを解明
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002998
資生堂は、独自に開発した皮膚可視化技術を活用することにより、皮膚のリンパ管の老化メカニズムを世界で初めて解明。今回の研究成果を元に、リンパ管の機能に着目した皮膚老化の改善に繋がる新たな技術の開発を行っていく。(2020/10/26)
[11]小林製薬、News Letter:その疲れ、「寒暖差疲労」かも?
https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2020/201026_01/index.html
寒暖差から自律神経が乱れることで不調になる「寒暖差疲労」について、対策とともに明治国際医療大学 鍼灸学部 学部長 伊藤和憲先生にお話を伺った。(2020/10/26)
[12]AuB、「筋肉と腸と栄養の関係」に着目した腸内環境を整えるプロテイン新発売
https://aub.co.jp/news/aubmake/
腸内環境を整えるプロテイン「AuB MAKE(オーブ メイク))」には、ホエイとソイの2種類のタンパク質に加え、アスリートの腸に多く存在する「酪酸菌」など、ヒトに有効な腸内細菌29種「アスリート菌ミックス」を配合している。(2020/10/27)
[13]メディカルデータカードと東京セントラルパソロジーラボラトリー、MeDaCaを使い、病理検査結果を患者さんのスマホにオンラインで送信するサービスを開始
https://www.medaca.co.jp/news/pr_20201027/
医療機関の方は検査結果報告をオンラインで受領後、必要なら「即時に」検査結果を患者さんにデジタルで送信することができ、また患者さんは自宅に居ながらにしてアプリで病理診断結果を受け取ることにより、今後はいつでもどこでも検査結果を参照することが可能となる。(2020/10/27)
[14]東京都・産経新聞社・ライオンなど、「TOKYOウオーク 2020 アプリウォーク」開催
https://www.sankei.jp/pressreleases/2020/10/282389
開催期間は10月31日(土)から11月30日(月)。都民の健康づくりとスポーツへの興味、関心を喚起するため、都内の魅力あふれるエリアをめぐるウオーキング大会。申込期間の翌週土曜日以降、好きな日に指定されたスタート地点でアプリを起動し、自分のペースでゴール地点を目指す。
[15]Appleの『Healthcare』アプリ、英国とカナダでも医療記録の集約が可能に
http://mhealthwatch.jp/global/news20201021
新たに英国とカナダのiPhoneユーザーが、自分のすべてのヘルスケア情報を1カ所にまとめて保管する機能を使えるようになった。この機能は米国では2018年から導入されているもので、複数の情報源からの医療記録を収集し、Appleの『Healthcare』アプリに集約できる。(2020/10/21)
[16]Withings、呼吸の乱れを感知するスマートウォッチ『ScanWatch』
http://mhealthwatch.jp/global/news20201022-2
『ScanWatch』は、循環器専門医と共に開発したハイブリッド型スマートウォッチ。血液や皮膚に吸収された光の状況から、静脈内の血液に含まれる成分の変化を捉えて計測を行なう、Withings独自のPPGセンサーを搭載している。(2020/10/22)
[17]『mHealth Watch』注目ニュース:UnitedHealth、ヘルスリテラシーへの投資は数十億ドルを節約できる
http://mhealthwatch.jp/global/news20201102
今回の記事では、改めて「ヘルスリテラシーは大切」と言われてきたことをUnitedHealthが証明してくれました。医療費に結びつけた数値となりますが、かなりのインパクトとなります。(2020/11/03)