こんにちは、渡辺武友です。
これから求められる「次世代型ヘルスケア」
実現のために必要なパートナリングを成功させる要素とは?
考えていきたいと思います。

特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編

メディカルとヘルスにおけるパートナリング

ビジネスを進める上で、自社(自分やチーム)の強みを活かし、ビジネスを効果的に迅速に進めるために、できれば弱みは誰かに補ってほしいと考えます。
今後、医療(メディカル)と健康(ヘルス)が融合した次世代のヘルスケアに向かうためには、自身にはない部分を、それぞれの専門性を活かしたいと思うのは当然のことです。

ただし、お互いの強みや弱みが専門性の違いからよく見えないため、
「相手はプロだから大丈夫だろう!?」
と、考えてしまうことがあります。

思い出して欲しいのですが、有名な企業同士がパートナリングを行い新たなビジネスをスタートすることがあります。ヘルスケア業界でもよく聞く話しです。
スタートしたときは魅力がありそうですが、その後、爆発的に伸びていった話し、どれくらいありますか?
意外と思い当たらないものです。

今回は、パートナリングにおいて抑えておくべきポイントについて紹介します。

コミスケールを妨げるパートナリング

まず、多くのパートナリングがうまくいかない理由について振れておきます。
うまくいかない場合の代表的なものは、お互いが最低限必要な要素を備えていないときです。

ビジネスとはシンプルにまとめてしまうと、商品(サービス)、運用体制の他に、一定の顧客がいることで成立します。
商品や運用体制だけがあっても、買ってくれるお客さんがいなければビジネスは成立しないということです。
商品、運用体制、一定の顧客が揃って、はじめて1つのビジネスです。
例えば数値に置き換えると、すべて揃って「1」ある。と言えるわけです。

しかし、この3つの要素のどこかが欠けている段階で組むとビジネスが回りません。
ある会社は商品開発だけが得意、ある会社は運用だけが得意。でもお客さんはいない状態などがそうです。
この提供価値を数値に置き換えると、商品=0.3、運用=0.3となり、足しても0.6しかないことになり、ビジネスが成立しません。
仮に3つが別々に揃っても「1」(端数は切り上げで)にしかなりません。
一応、ビジネスが成り立っているだけの状態です。

こんな状態で、わざわざパートナリングする必要があるでしょうか?
1社でできて当たり前の話しです。トップが一人いればスムーズに回ります。
これが、強い発言権を持った人が複数いるような状態ですので、なかなか前に進まないのは想像できると思います。

わざわざパートナリングするからには、1社では到達できない領域にいかなければ意味がないので、すでに「2」とか「3」くらいになる価値を持っているもの同士で組む必要があります。

ちなみにビジネスにおけるパートナリングは、「足し算」ではなく「掛け算」で考える必要性があると言われています。
このことは次の話しでお伝えします。

効果を倍増させるパートナリング

上記の話しをイメージできるよう例を考えてみましょう。

ある製薬会社が薬の販売に留まらず、つまり病気を治すだけでなく、患者の豊かな生活のために健康になることまでサポートする、ヘルスケア全般を提供したい。としましょう。

この製薬会社は病気に対し薬を提供することで治すことに関してはプロです。
開発、提供体制、医療機関を通した販売体制も揃っているので「1」以上の価値を提供していることになります。
仮に「3」の価値を提供しているとしましょう。

そして、病気を治すだけでなく、健康な状態で居続けてもらうための健康予防も提供しようと考えた場合、自社にはそのノウハウがないので、他社と組もうと考えます。

健康予防にもいくつかの工程があります。
漠然と「健康を予防」と言って、行動できるのは健康マニアだけになってしまうので、健康予防につながる課題を定め、そこにアプローチすることになります。
そしてその課題を解決できるようサポートするのが健康支援です。

・課題を定める
・アプローチ方法を用意する
・行動が継続するよう支援する

大きくまとめるとこのようになります。

ここで健康予防の経験がない製薬会社は、この全体像が見えないため、
「健康予防の支援には、どうやらウェアラブルで計測してあげるのがよいらしい」
と、何かの情報から判断してしまったとしましょう。

“ウェアラブルで計測する”ことは、健康支援の1つの要素です。
行動継続のため現状を確認するために見える化するだけで、それだけあれば継続するわけではありません。

このような状況、判断をして、ウェアラブルの提供と、計測したデータの見える化アプリだけがある企業と組むとどうなるでしょうか?

この企業は健康支援について「0.3」しかない状態です。
製薬会社が病気を治すことでは価値が「3」ですが、健康支援まで行う場合、パートナリングは、「足し算」ではなく「掛け算」で考える必要があるので

3 × 0.3 = 0.9

になってしまいます。

なぜ「掛け算」で考えないといけないのかと言うと、健康支援においては「0.7」足りないので、健康支援が成立しません。
今回の取り組みで、病気を治して、さらに健康予防がゴールだとしたら、「0.9」ではゴールに連れていけないことになります。

これが、組み先が健康支援においては「3」の価値を持っていれば、

3 × 3 = 9

になります。
「9」の価値になったら、今まで以上に患者によい商品サービスを届けることができることになります。

パートナリングをするからには、このように価値を倍増することを前提に判断、取組む必要があります。

今回は数値に置き換えてみましたがいかがでしたでしょうか?
パートナリングは乗り越えるハードルが高い割に、失敗するケースが非常に多いので、自社の状態、組みたいと考える相手の状態をしっかり判断して価値あるものにしてください。

後日お届けする「ヘルスビズウォッチ・アカデミー」では、米国のパートナリングを成功させる事例を交えてお話ししたいと思います。
お楽しみに!

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次世代型ヘルスケアでパートナリングは可能か?

医療(メディカル)と健康(ヘルス)は、近そうに見えて、遠い存在でした。
異業種と言えます。

しかし今後求められるのは、メディカルとヘルスが融合した次世代型ヘルスケアです。
これを実現するには、お互いを深く理解するだけでなく、次世代型ヘルスケアにおける顧客価値を明確にしていかなければなりません。

そして早い段階で、ICTを活用した提供フローをイメージしておくことが重要になります。
これがないと、ただの有り合わせで提供することになり、顧客価値には遠く及ばないものになってしまうためです。

今回開催する勉強会テーマは、
「患者の服薬支援や生活習慣の改善のためにヘルスでの継続支援成功から学び、サービス自動化を目指す」

まさにメディカルとヘルスが融合した次世代型ヘルスケアを目指すために必要な要素になります。

みなさんと一緒に、次世代型ヘルスケアを作り上げていきたいと思います。
ご参加お待ちしております。

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「常連化」

初見客の再来率が10%以下だと集客がなかなか安定しない。そのような時は、再来率をアップする施策の工夫をひたすらトライすべき。徐々にアップしていき、35%前後になると常連化現象がいい意味で起こりビジネス品質がワンランク上がっていく。

今週の注目記事クリップ

[1]博報堂生活総合研究所、生活者が選ぶ”2021年 ヒット予想”&“2020年 ヒット実感”ランキングを発表
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/85814/
“2021年 ヒット予想”のキーワードは【レスして リッチに】。新型コロナウイルス感染拡大で自粛や制約を余儀なくされ、新たな生活体験が生まれた2020年。生活者は、今年始まった体験が来年も「ニュー・ノーマル」として継続発展していくと捉えているよう。(2020/10/28)

[2]ニッセイ基礎研究所、コロナ禍を上手く乗り切っているのはどの国か?50か国ランキング
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=65946?site=nli
2020年7月に新型コロナウイルスの感染拡大に対する影響について各国の状況を概観するために、「コロナ被害」および「経済被害」を数値化しランキングを行った。総合順位では、台湾、韓国、ニュージーランド、日本、パキスタンの順に高評価となった。(2020/10/28)

[3]キユーピー、「たまご白書2020」を公表
https://www.kewpie.com/newsrelease/2020/1931/
「たまご白書」は、卵に対する認識や食べ方、トレンドを分析した調査報告。今回の調査結果から、卵は、おいしく手軽な食材としてだけでなく、健康に欠かせない良質なタンパク質として食べられていることが分かった。(2020/10/29)

[4]江崎グリコ、睡眠実態調査 あなたは知っていますか?ナイトチョコレート
https://www.glico.com/jp/newscenter/pressrelease/32025/
江崎グリコは、睡眠実態に関する大規模調査を行った。欧米では寝る前にチョコを食べる「ナイトチョコレート」という習慣があるが、日本でいち早く実践している人の9割は、「リラックスして眠れる」と効果を実感していることが分かった。(2020/10/29)

[5]NTTデータ経営研究所とセンス・イット・スマート、健康無関心層の行動変容に対する効果的な介入手法の解明に向けた調査
https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/201030-1.html
本調査では、自身の健康に無関心な健康無関心層から継続的に健康行動を行っている継続層まで、5段階の健康行動ステージのそれぞれで、該当者の持つ認知バイアスや性格特性、また次のステージに移行するために効果的な介入手法について把握し、分析を行っている。(2020/10/30)

[6]フジ医療器、「サイバーリラックス マッサージチェア AS-2100」発売
https://www.fujiiryoki.co.jp/company/news/news2/n155.html
AS-2100は「ユーザーカスタマイズモード」と「アプリモード」2つの新機能を搭載し、一人ひとりの異なる疲れに対応し専属セラピストのように自分好みのマッサージを実現できるマッサージチェア。(2020/10/30)

[7]ワコール、「アバターに下着の相談!」新しいスタイルのカウンセリングサービスを開始
https://www.wacoalholdings.jp/news/2020/post-9.html
“アバター”を活用した接客システム「Ava.COUNSELINGパルレ」は、お客様に、より便利に、よりストレスフリーにインナーウェア選びを体験していただくことを目的に開発した非対面型のカウンセリングシステム。(2020/10/30)

[8]homeal、診断結果でカスタマイズされた定期便「homeal BOX」を提供開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000049206.html
1-6歳頃までの幼児食期に特化した幼児食ブランド「homeal(ホーミール)」を運営するhomealは、ブランドサイトを全面リニューアルし、日本初となるパーソナライズ幼児食診断とカスタマイズ定期便「homeal BOX」を開始。(2020/10/30)

[9]厚生労働省、「睡眠の質を上げてカラダもココロも健やかに」特設Webコンテンツの公開
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14551.html
本コンテンツでは、「睡眠と健康の深い関係」をテーマとした、睡眠の専門家2名による対談記事を掲載。さらに、「いきいき健康大使」の有森裕子氏、平原綾香氏の睡眠に関するエピソードや心地よい睡眠のための工夫等をまとめた記事「心地よい眠りのための取組紹介」も合わせて公開。(2020/11/02)

[10]日清食品、「トリプルバリア」シリーズ新発売
https://www.nissin.com/jp/news/9038
「トリプルバリア」シリーズは、『食事に含まれる脂肪・糖・塩分の便への排出増加』を作用メカニズムとする日本初の機能性表示食品。機能性関与成分として "サイリウム種皮由来の食物繊維" を1本あたり3.6g配合した粉末飲料。(2020/11/02)

[11]5G遠隔手術の現実解を目指す「モバイルSCOT」、地方医療の救世主になれるか(日経デジタルヘルスより)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00086/00141/?ST=ch_digitalhealth
NTTドコモは、東京女子医科大学と商用の5G環境を活用した移動型の遠隔手術システム「モバイルSCOT」の実証実験を報道陣に披露した。5Gのユースケースとしても注目を集める遠隔手術だが、モバイルSCOTが実現するのは我々がこれまで想像してきた遠隔手術とは異なり、より現実的な形となるようだ。(2020/11/02)

[12]メドリング、AI・遠隔診療を活用した「スマートクリニック」をベトナムに開業
http://mhealthwatch.jp/global/news20201028-2
『METiC』は、最新デジタル技術および、日本式オペレーションにより、日本水準のクリニックを多店舗展開するスマートクリニックサービス。主な領域は、小児を含めたプライマリケア・生活習慣病対策。(2020/10/28)

[13]働く女性の心身の健康をサポートする『TRULY』、法人向けサービス開始!
http://mhealthwatch.jp/column/news20201030-2
TRULY社は、企業が月額定額料金を支払うことで、従業員は自己負担ゼロで利用できる法人向けサービス『TRULY チャット相談 for Business』の提供を開始。女性社員の健康支援の一環として健康保険組合を中心に導入が決定しているようだ。(2020/10/30)

[14]『mHealth Watch』注目ニュース:『Bodygram』アプリ、Apple「ヘルスケア」App「胴囲」で連携
http://mhealthwatch.jp/japan/news20201109
今回のニュースの『Bodygram』アプリであれば、写真を撮影するだけでお腹回りの計測が可能で、さらにAppleの「ヘルスケア」Appの「胴囲」と連携してくれるので、計測の手間と入力が簡便化されており、また2つのアプリの連携によって身体のデータの一元管理も可能になっています。(2020/11/09)