HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
今回も前回、前々回に続き問題提起をさせていただきます。

特集:サービスデザインと健康の関係編

習慣づくりのサービスデザイン

健康サービス事業にとって
顧客にとっての新たな習慣づくりを
どうデザインするか?

が今回のテーマです。

商品(プロダクト)は顧客にとっての好ましい状態へと導く
習慣づくり(目的に向かう経験)をサポートする
道具であると定義するのが
サービス・ドミナント・ロジックの立場です。

「歩数計はウォーキングという習慣づくり
をサポートする道具」という考え方です。
商品そのものの機能を訴求するのではなく
それを使っている顧客の経験に価値がある
ということです。

ここに気づくか否かでサービス・デザイン観点を
取り入れたマーケティング活動ができるかが決まります

習慣づくりとセルフケア

本年1月の私の号では
「セルフケアビジネスの可能性」について解説を試みました。
少し角度が違うだけで今回のテーマとほぼ同意であると考えています。

つまり顧客の自律的な習慣づくりのサービスデザインと
言い換えてもいいかもしれません。

顧客が欲しいのは商品ではなく、
成果であり、そこへの手段(習慣)であり
新しい自分(今までよりちょっといい)です。

このフレームを明確に意識した商品を
Well-being プロダクトと私は呼んでいます。
自分のウェルビーイングをサポートしてくれる商品のことです。

顧客の望む姿への自律的な習慣づくりのサービスデザイン

習慣づくり(セルフケア)の成立要素を分解してみました。
※これは1月に策定したものを一部改良しました。

a 自らの意思(自分ゴト)
b ケア行動に必要なナレッジ(リテラシー)
c ケア行動に必要な道具や消費材(グッズ)
d ケア行動継続支援(サポート)
e ケア行動継続モチベーション(喜び)

2つのプロダクト分析

1)森永乳業「菌曜日のビフィズス菌トレ」
一つ目はマス市場の中の意識層へのアプローチになります。
毎週金曜日に、「ビフィズス菌トレレシピ」の紹介やTwitterを活用したキャンペーンなど、さまざまな取り組みを実施。2020年からビフィズス菌を摂っている長友選手の腸内フローラ情報を公開するなど、ここでしか見られない情報も掲載。
https://www.morinagamilk.co.jp/learn_enjoy/b-kin-training/

<フレーム分析>

a 自らの意思(自分ゴト)
マスマーケット商品でありながら、腸内環境を整えることが自分のコンディショニングに効果的であることに興味を持っている層へのアプローチになっています。

b ケア行動に必要なナレッジ(リテラシー)
・知るビフィズス菌トレ
・食べるビフィズス菌トレ
・動くビフィズス菌トレ
・心のビフィズス菌トレ
の4カテゴリにおける動画も交えた分かりやすい学びコンテンツが用意されています。

c ケア行動に必要な道具や消費材(グッズ)
森永乳業ビフィズス菌関連商品群

d ケア行動継続支援(サポート)
Twitterの公式アカウント森永乳業@もーりーでのこまめな告知

e ケア行動継続モチベーション(喜び)
腸内環境の変化では個人差はありますが、比較的自覚しやすいので多くのキャンペーンイベント参加者がその効果を実感すると思われます。

 

2)TENTIAL インソール
二つ目は課題解決型アプローチです。
TENTIALという2018年に誕生したスポーツテクノロジーとクリエイティブのブランド。
https://tential.jp/

ここではいくつかある商品の中でインソールを紹介します。

<フレーム分析>

a 自らの意思(自分ゴト)
歩行やランニングの質をケアし、向上したいという意識を持っている人たちの課題解決手段としてインソールにフォーカス

b ケア行動に必要なナレッジ(リテラシー)
疲れを溜めず、姿勢を正しく、体幹を安定させるメカニズムをウェブサイトや商品同梱のコンセプトブックで学ぶ。
徐々に歩きの安定が変化していくことを知る。

c ケア行動に必要な道具や消費材(グッズ)
インソール

d ケア行動継続支援(サポート)
このインソールには効果が持続する約半年という賞味期限がある

e ケア行動継続モチベーション(喜び)
装着後数日で安定感覚を体験できる

 

この2つの事例に共通する課題は、
ある程度のアウトカムを得た後の
継続性をどう担保していくかがまだ不明瞭である点です。

その他にも強化すべきポイントも散見されますが、
顧客の習慣づくりにフォーカスした
サービスフレームになっていることは明確です。

顧客の望む姿への自律的な習慣づくりをサポートする
事例としてヒントとなると思うのです。

ぜひ、このプロセスが自社サービス事業にあるかチェックしてみてください。
そこで発見できた課題に対して、ぜひディスカッションしましょう!!

直接お問い合わせや質問などがあればこちらへ。ディスカッションも大歓迎です!
https://healthbizwatch.com/contact

健康ビジネスキーワード

「行動とコンテンツの関係」

人は期待の確認をするために行動する。
では、期待をつくるコンテンツをどう創るか?

自分にフィットしそう
ちょっと出来そうな内容
その後が予測でき
それは自分にとって好ましく
今、どうすればいいかの提案がある
というコンテンツで試してみる。
そして、磨く!

今週の注目記事クリップ

[1]第一生命経済研究所、暮らしの視点(10):医療・健康情報の入手と活用ー高齢層へのインターネット利用の広がりがもたらすものー
https://www.dlri.co.jp/report/ld/155054.html
本稿では、高齢者におけるインターネット利用の広がりが、医療・健康情報の入手行動にどう影響するのかについて考える。「インターネットを利用した高齢者の医療・健康情報の入手実態」「医療・健康情報の入手と行動」について。(2021/05/26)

[2]フジ医療器、「マッサージチェアソムリエによる使い方動画講座」配信サービスを開始
https://www.fujiiryoki.co.jp/company/news/news2/n162.html
この道20年以上!マッサージチェアの魅力を伝えるスペシャリスト「マッサージチェアソムリエ」による動画配信サービス。効果的なマッサージチェアの使い方をわかりやすく動画で解説する。(2021/05/26)

[3]何歳まで生きると想定して消費してる?60・70代女性の生活設計・消費・不安ゴト(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/marketing-research-210526-1
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが公開したレポートの中で特に注目したいのが、「想定寿命」。介護不安や備え意識から、近年は「健康寿命」が注目されすっかり浸透したが、経済的視点で老後に備えるなら、本来は想定寿命についても合わせて考えておく必要がある。(2021/05/26)

[4]コカ・コーラシステム、日本初!「記憶力」と「血圧」にWではたらくGABA配合の機能性表示食品のお茶「からだおだやか茶W」が出荷本数1,000万本を突破
https://www.cocacola.co.jp/press-center/news-20210526-14
「からだおだやか茶W」1本に配合されているGABAは100mg。そのGABAには、加齢によって低下する認知機能の一部である、記憶力の向上に役立つ機能があることと血圧が高めの方に適した機能があることが報告されている。(2021/05/27)

[5]シャトレーゼ、人気の糖質カットスイーツに新商品(全4種)が登場
https://www.chateraise.co.jp/company/newsrelease/20210527
小麦粉の代わりに食物繊維や大豆粉を使用し、砂糖の一部に体に吸収されにくい糖を使用して糖質を抑えた「糖質を考えたケーキ」2種と、「糖質70%カットのアイス」2種を順次販売。(2021/05/27)

[6]日本政策投資銀行と日本経済研究所、「ヘルスケア業界ミニブックー地域連携のあり方、診療所概況及び医薬品動向ー」を発行
https://www.dbj.jp/topics/dbj_news/2021/html/20210528_203274.html
ヘルスケア業界ミニブックでは、医療・介護およびライフサイエンス分野に関するテーマについて動向をとりまとめている。「一般診療所の概況」「バイオシミラーとオーソライズド・ジェネリック(AG)」など。(2021/05/28)

[7]メドピア、クレディセゾンと業務提携し、在宅医療領域における共同事業の開始を決定
https://medpeer.co.jp/press/9293.html
メドピアが保有するヘルスケア領域におけるプラットフォーム構築ノウハウと、クレディセゾンがペイメント、ファイナンス事業で培ってきたノウハウ、ネットワークを相互活用することで、インターネットとリアルを融合した新たな事業を展開し、「IT×在宅医療」を軸としたプラットフォームの創出を図っていく。(2021/05/31)

[8]エーザイと伊藤園、認知症との共生と予防に向けた業務提携について
https://www.eisai.co.jp/news/2021/news202138.html
具体的には、ソリューションパッケージの提供や、脳の健康に着目した商品セットの提供、伊藤園主催イベントやキャンペーン等でのブレインパフォーマンスチェックの機会提供、などの取り組みを予定している。(2021/5/31)

[9]電通、MOUSOUと業務提携
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2021/0531-010383.html
本業務提携を通じ、リアルな実況・解説・歓声を聴きながらランニングできるアプリ「妄走 -MOUSOU-」の事業拡大とスポーツのDX化を目指す。(2021/05/31)

[10]ジュピターテレコム、テレビを使ったオンライン診療サービス「J:COM オンライン診療」提供開始【PDF】
https://newsreleases.jcom.co.jp/file/21053101_print.pdf
https://www.jcom.co.jp/
同社が提供するケーブルテレビインフラと地域密着の対面サポートの強みを生かした、家庭のテレビで診察などが受けられる遠隔医療サービス。ケーブルテレビのインフラを使用したオンライン診療サービスは、国内初。(2021/05/31)

[11]キューサイ、機能性表示食品「おやすみメンテ」を新発売
https://corporate.kyusai.co.jp/news/detail.php?p=5510
ぐっすり眠りたい方へ向けた機能性表示食品。「睡眠の質向上&一時的なストレスの緩和」のダブル機能のサプリメントが、深い眠りと心地よい目覚めをサポートする。(2021/05/31)

[12]asken、「kawaii dietーサンリオキャラクターと一緒に栄養管理ー」iOS版の配信を開始
https://www.asken.inc/news/2021/5/28/kawaii-diet-ios
サンリオの日常生活に役立つスマートフォン向けツールアプリの新ブランド「Sanrio Daily Apps」のシリーズ第一弾。食事記録の結果について、エネルギーと各栄養素を9キャラクターが担当し、それぞれの過不足に合わせてワンポイントアドバイスをしてくれる。(2021/05/31)

[13]フィリップス・ジャパン、スポーツで虫歯や歯周病のリスクが高まる?アスリートの健康な歯を守る口腔ケア習慣
https://www.philips.co.jp/a-w/about/news/archive/standard/about/blogs/healthcare/20210601-oral-care-for-athlete.html
運動中・後の口腔環境は無防備で、虫歯や歯周病のリスクが高まることがわかっている。スポーツ歯科を専門とする好士理恵子先生(歯学博士)に、スポーツをする人の口腔ケアや注意点を伺った。(2021/06/01)

[14]ロート製薬、目の健康を学ぶ教材「ロートアイケアプログラム」を小学校向けに開発し、無償提供を開始
https://www.rohto.co.jp/news/release/2021/0601_01/
本教材は「一般社団法人プロフェッショナルをすべての学校に」との共同制作。子どもたちが目の大切さを自覚し、タブレット学習をはじめとするデジタル機器との付き合い方に必要な生活習慣「アイケア・スキル」を楽しく身につける「行動変容」を促すことを目的としたプログラム。(2021/06/01)

[15]RIZAP、上質な宿泊体験と理想のボディを手に入れる新しいライフスタイル『ボディケーション』<ライザップ×ホテルモントレ 特別宿泊プラン>提供開始
https://www.rizapgroup.com/news/press-releases/20210601-01/
ホテルモントレへの30連泊の宿泊プランと、ライザップのボディメイクを組み合わせ、短期間で生活習慣の改善と理想の身体を作る「withコロナ時代」に適した宿泊プラン。(2021/06/01)

[16]矢野経済研究所、スポーツ用品市場に関する調査を実施(2021年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2715
2020年のスポーツ用品国内市場規模は、前年比89.2%の1兆3,737億8,000万円を見込む。新型コロナウイルス感染拡大による各種部活動の休止や店舗の臨時休業などで大きなダメージに。一方で三密になりにくいアクティビティは好調に推移。(2021/06/01)

[17]セールスフォース・ドットコム、ヘルスケアにおける顧客体験を変革する「Salesforce Health Cloud」の日本市場での本格提供を開始
https://www.salesforce.com/jp/company/news-press/press-releases/2021/06/210601/
Health Cloudは、患者を中心に据えた、医療機関、保険会社、製薬企業、医療機器メーカーのための統合されたプラットフォーム。本ソリューションにより、患者と全く新しい方法でつながり、ヘルスケアのジャーニー全体において様々な角度から患者の情報を理解して有益なサービス・情報を提供できるようになる。(2021/06/01)

[18]ティップネス、600人の「ダイエットマスタートレーナー」が出現!この夏 ティップネスは、ダイエットを全力で応援します【PDF】
https://www.tipness.co.jp/co/news/archive/rek0d137abfgsrob7i8qejx7hqg43u.pdf
https://www.tipness.co.jp/co/
ダイエットに取り組む方々を応援すべく、「TIPNESS ダイエットチャレンジ」と題して、ダイエットマスタートレーナーの配置をはじめ、全店を挙げてオフライン/オンラインの両面から様々な企画を実施していく。(2021/06/01)

[19]新社会システム総合研究所、ヘルスケア領域におけるプロダクト開発・新規事業の立ち上げ方
https://www.ssk21.co.jp/S0000103.php?gpage=21294
開催日は7月21日(水)。ヘルスケアサービス構築のリアルな現場の話を通じて、新規事業を再現性高く立ち上げるためには何が必要なのか?特にヘルスケア領域における特徴はどんなものがあるのかを解説。

[20]ついにApple Watch対抗スマートウォッチ実現か、サムスンwear OS参入のインパクト
https://mhealthwatch.jp/global/news20210527-2
サムスン電子が次期スマートウォッチはWear OSを採用する事で、今後、Wear OSの操作性や使い勝手を『Galaxy Watch』で体感できるようになる。(2021/05/27)

[21]Amazon、労災の半減目指す健康プログラム『WorkingWell』を開始
https://mhealthwatch.jp/column/news20210528-2
『WorkingWell』には、従業員向けの心身の回復を促す活動や健康増進エクササイズ、食生活のサポートが含まれるという。WorkingWellは2021年末までに米国の全事業所に導入される予定だ。(2021/05/28)

[22]Google、スマートフォンカメラから皮膚疾患を識別するAIアプリケーション
https://mhealthwatch.jp/global/news20210601
このアプリケーションはウェブベースで提供され、異なる角度から3枚の病変画像を撮影した上で、症状についてのいくつかの質問に答えることで、AIアルゴリズムは「皮膚科医のレビューを受けた確からしい情報」を一致する画像とともに提示することができる。(2021/06/01)

[23]『mHealth Watch』注目ニュース:Noom、シリーズFの資金調達で5億4,000万ドルを獲得
https://mhealthwatch.jp/global/news20210607-2
日本でも展開するNoomの本国における大型投資のニュースです。今回の資金調達は、より医療へのアプローチを加速させるものです。なぜなら、米国のデジタルヘルスにおいて、最もホットなテーマになっているからです。(2021/06/07)