[サービスデザインと健康の関係編]セルフケアビジネスの可能性
HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
今回テーマにするのはここ数年IoT連動でプロセス要素が明確になってきたある「型」についてです。その可能性を感じ取っていただけると嬉しいです。
特集:サービスデザインと健康の関係編
コロナ禍にあって多くの生活者は、自分の健康へのセルフケア意識を好む好まざるに関わらず相当高めたのではないでしょうか?
予防という見えないベクトルを目指すのではなく、あくまでも自分ゴトとして取り組むセルフケア領域のビジネスとしての可能性について考えていきます。
セルフケアの成立要素
セルフケアの定義は自分自身をケアすることで、固く表現すると自発的自己管理です。
何かのきっかけがあり、自らの健康を自己ケアしていく行動が始まります。
そのきっかけが内因・外因両方あると思いますが今回ここではどちらかは問いません。
セルフケアの成立要素を分解してみました。
a 自らの意思(自分ゴト)
b ケア行動に必要なナレッジ(リテラシー)
c ケア行動に必要な道具や消費材(グッズ)
d ケア行動継続プラン(プランニング)
e ケア行動継続モチベーション(自己成長感や喜び)
※セルフケアのプロセスモデル(略称:SCPM)
2つの事例からのヒント
それでは事例をみていきます。
1)サントリー自分防衛団
テレビCMでお馴染みと思います。
組み立ては、サントリー社の健康茶(体脂肪・血圧・糖質・コレステロール・食事の脂)を自分防衛(今以上の健康)対策としての継続摂取(セルフケア)を促すためのキャンペーンです。
まず、キャンペーンサイトにアクセスし、アプリをダウンロードして、自分の健康特性を把握するアセスメントを受けます。
その結果で自分の課題が見つかり、課題別の隊への所属へと進みます。ちなみに私は「コレステ防衛隊」(笑)
その後、自己防衛クイズをアプリで答えます。この内容が正に健康リテラシー向上のための生活ネタになっているという流れです。
自分課題をキャンペーンで明確にして、課題への貢献に向けたリテラシーアップを面白可笑しく進めながら、同社飲料摂取の継続を自分ゴト化に促すというものです。
始まったばかりのキャンペーンなので現時点での効果測定はできませんが、健康行動継続のために、顧客の自律的継続行動に導くにはちゃんとリテラシーアップが必要だというスタンスだと思われます。
広告だけでは一時的インパクトでしかなく、持続性がなく何度も広告を打たねばならない。それだけでは顧客の自律的行動継続に結びつかないということに対する「顧客セルフケア化」のプロモーションになっています。
唯一まだ見えていないのは、SCPMにおけるeプロセス(自己成長感や喜び)をどうやって提供していくかだと思いますが、どうアプローチするか注目です。
https://www.suntory.co.jp/softdrink/kenkoucha/
2)BODY ARCHI
入会すると施術に使われる高額な利用料が設定されているエステティックマシンを格安定額課金でセルフ施術にて使うことのできるセルフエステです。
このサービスでは顧客への施術ナレッジ教育からセルフ行動継続のための仕掛けがきちんとなされています。
サロンは実存し、プライベートやセキュリティ&クリーンネスにも十分配慮されており、自己施術にはデジタル・インストラクションがきちんと用意されています。
利用者は自らの計画でサロンに通い、セルフで施術を行い、その成果を確認しながらエステライフを満足するまで継続するという流れになり、SCPMの要素が全て揃っているモデルです。
ただし、目的がサイズダウンだけであるのであればダイエットと同様卒業してしまうかもしれません。LTVをどう設計提案するのかは今後の課題かもしれません。
このビジネスモデルは全ての女性をターゲットとしているものではなく、エステや類似経験があり、課題感を持っている女性を対象にしていると思われます。
このようにある経験を前提とした課題ソリューション提案は昨今の健康&ウェルネス事業のヒットモデルに共通しています。
共感をコミュニケーションの入り口にしていることで参加者の強い意欲を引き出すことに成功しています。
国内ではライザップ、米国ではPelotonが代表例です。
※特にPelotonはHBWでは何度も取り上げているのでご参照ください。
https://healthbizwatch.com/?s=peloton
セルフケアビジネスの可能性
今回の結論的なことは、コネクテッド時代にあって健康サービス事業の多くがセルフケアとの組み合わせを標榜することになる!ということです。
あらゆる健康&ウェルネス事業は、健康行動の継続が成果(顧客の目標達成と満足)につながります。
その健康行動を自分ゴトとして顧客が自律的に継続し、関係性のなかでマネタイズが生まれていく方向性がスタンダードになっていくはずです。
ポイントは、セルフケア(自助努力)そのものが楽しくなれば努力というものがなくなってしまうというプロセスを描くことだと思います。
また、今後も拡大していくのであろうサブスクリプションにとって、セルフケアは欠くことのできないプロセスメソッドになっていくはずです。
また、直接お問い合わせや質問などがあればこちらへ
https://healthbizwatch.com/contact
NoteにHealthBizWatchのサブ読本的なコンテンツアーカイブを始めました。
併せて読んでいただくとさらにアイデア開発に役立つと思います。
セルフケアTECH研究室
https://note.com/kouheio/m/mc565124eff8b
健康ビジネスキーワード
「会議品質時代へ」
テレワークの常態化拡大だからこそ重要になる会議。
そもそも必要な会議なのか?
何時間、何回やるか?
よりもどのレベルの品質にするか?
何をアウトプットし、どう行動へつなげるか?
今週の注目記事クリップ
[1]東京地下鉄・NTTドコモ・東京海上日動あんしん生命保険、東京における「MaaS×健康応援」の取組みがスタート
https://www.tokyometro.jp/news/2020/208976.html
3社では、東京における大都市型MaaSの取組み「my! 東京MaaS」の一環として、「MaaS×健康応援」での連携を開始。東京メトロの新アプリ「東京メトロmy!アプリ」では、新機能「ひと駅歩く検索」を提供開始。(2020/12/15)
[2]味の素、コーポレートベンチャーキャピタルを新設
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2020_12_16.html
味の素は、「食と健康の課題解決企業」実現に向けた新事業モデル創出を達成するために、イノベーション探索、エコシステムの構築・強化、企業文化変革の牽引を実行するコーポレートベンチャーキャピタルの活動を開始。(2020/12/16)
[3]インテージ、「健食サプリ・ヘルスケアフーズレポート2020」発刊
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2020/20201216.html
コロナ禍において、生活者のセルフヘルスケア・ニーズに変化がみられる。健康に関心がある生活者の半数以上が、コロナの流行やそれに伴う行動様式の変化により、健康に関わることで「以前よりも気にするようになったことや、新たに気にするようになったことがある」と回答。(2020/12/16)
[4]ユーキャン、「温活アドバイザー講座」デビュー!
https://www.u-can.co.jp/company/news/1210137_3482.html
温活アドバイザーは、万病のもとといわれる「冷え」対策のスペシャリスト。睡眠、入浴などの生活習慣や、食事の見直し、運動やマッサージの実施など、さまざまなアプローチから「温活」を行い、冷えの改善を目指す。(2020/12/16)
[5]スクラムベンチャーズ、「新“食”産業」を創出する『Food Tech Studio - Bites!』にフジッコ、ハウス食品、カゴメ、東京ガスの追加参画を決定
https://scrum.vc/ja/2020/12/16/press-release-2020-12-17/
『Food Tech Studio – Bites!』は、スクラムベンチャーズ主催のグローバル・オープンイノベーション・プログラム。食品業界の“元祖イノベーター企業”が計10社参画し、一体となり世界中のスタートアップとの新たなフードテックの共創を推進。(2020/12/16)
[6]女性の未来を変える!2020年に注目されたヘルスケアベンチャー(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/case-201216-1
女性のヘルスケア領域では、月経・妊娠関連の商品・サービスをローンチするフェムテックベンチャーが大きく注目を集め、女性特有の健康問題に商機を見出すプレイヤーが続々と登場。2020年に注目されたヘルスケアベンチャーを、分野別にピックアップ。(2020/12/16)
[7]クラシル、2020年の消費者行動を振り返る「コロナ禍の食需要変化」調査結果を公開(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000019382.html
delyは、2020年における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大、およびそれに伴う国・自治体の施策が家庭の料理に与えた影響を測るため、運営する国内No.1のレシピ動画サービス「クラシル」のユーザーの行動の調査分析を実施。(2020/12/16)
[8]LINEヘルスケア、オンライン診療サービス「LINEドクター」首都圏の一部医療機関で先行提供を開始
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2020/3539
「LINEドクター」は、新たなアプリをダウンロードする必要もなく、医療機関の検索・予約から、診察、そして決済まで、LINEアプリ上でシームレスに行うことができる。(2020/12/17)
[9]クックパッド、「殿堂入りレシピも大公開!クックパッドで見つけた!糖質オフの大人気レシピ」発売
https://cookpad.com/articles/20976
殿堂入りレシピのほか、毎日の食事に取り入れやすい糖質オフのレシピを厳選。肉・魚を使ったメインおかずやヘルシーな副菜、主食の代用レシピなども収録!巻頭には「糖質オフダイエット成功のポイント」の解説付き。(2020/12/17)
[10]パナソニック、コミュニケーションで食を再定義する「EATPICK」がリニューアル
https://news.panasonic.com/jp/topics/204061.html
パナソニックは、2020年5月からサービスを開始した食に関する新たな発見や楽しみを共創するWebコミュニティサービス「EATPICK」をリニューアル。「キッチン家電コーナー」を新設、個性豊かな食の出店者が集う「EATPICKマルシェ」をリニューアル。(2020/12/18)
[11]メドピア、「コロナ禍のいま、広がる危険な新現代病」ランキングを公開
https://medpeer.co.jp/press/8861.html
医師12万人が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer」のアンケート調査。結果は、1位が「マスク皮膚炎」、2位が「マスク依存症」となり、新型コロナウイルスの感染予防のために多くの人が日常的に着用している「マスク」に関する疾患が上位となった。(2020/12/19)
[12]SOMPO未来研究所、SOMPO未来研トピックス 2020 Vol.23「公的医療保険のデジタル化と保険事業への影響」
http://www.sompo-ri.co.jp/issue/topics/t202023.html
本稿では、公的医療保険のデジタル化が求められる背景と効果、デジタル化が進んだ他国の事例を紹介し、日本において公的医療保険のデジタル化が実現した場合に、生損保険事業にどのような影響を与える可能性があるかを検討する。(2020/12/21)
[13]Googleの新しい調査アプリは、参加者のデータが健康に関する洞察をどのように促進しているかを示す
https://mhealthwatch.jp/global/news20201216
臨床研究への参加と関与を改善するために、Google Healthチームは、消費者の研究募集を合理化し、調査とセンサーデータが健康研究にどのように採用されているかを示す新しいAndroidアプリを発表した。(2020/12/16)