こんにちは、里見です。

ヘルスコーチングのコミュニケーションは、健康行動にフォーカスをして行動の継続を促し、健康的な行動変容を支援していきます。
この健康的な行動変容を支援して行動の定着化、習慣化を目指すプロセスでは、いくつかのステップが存在しています。

そこで、今回と次回の2回に分けて、健康行動の習慣化のプロセスを分解し、ヘルスコーチングのアプローチがどう機能するかについて、解説してみたいと思います。

まず今回は、健康行動の習慣化のプロセスについてです。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:習慣化のステップにおけるヘルスコーチングのアプローチ その1

健康を維持するための予防はもちろん、健康課題の改善には、生活習慣の改善や健康行動の取り組みが大切ですが、一番重要なことは、いかに継続して習慣化まで持っていけるかどうかになります。

しかし、この健康行動の取り組みの継続、習慣化は簡単には手に入れることが難しく、一番ハードルが高い要素です。

この健康行動の習慣化は、大きく分けると4つのステップに整理できるような気がします。

【ステップ:0】

「ステップ:1」ではなく、あえて「ステップ:0」としたのは、この「ステップ:0」に分類される人達は、いわゆる行動変容のステージでいうと「無関心層」のあたりの人で、健康行動の習慣化の大切さは理解しているが、特に必要性を感じていない人達です。

  • 健康行動の取り組みへの意識 : 意識レベル:無し
  • 健康行動の具体的な取り組み : 行動レベル:無し

健康行動の習慣化に対しては、意識も行動も一切無いという人達です。

この「ステップ:0」の領域の人達は、現状維持を好み、心地が良い状況だとも言えます。

【ステップ:1】

「ステップ:1」の人達は、健康行動の習慣化の大切さを理解し、具体的な取り組みをスタートしようと試みているが、なかなか行動が追いつかない、上手くいかない人達です。

健康行動の習慣化に対する、意識と行動レベルは以下になります。

  • 健康行動の取り組みへの意識 : 意識レベル:有り
  • 健康行動の具体的な取り組み : 行動レベル:無し

健康行動の取り組みに対しては意識しているけど、実際の行動や取り組みがイマイチ追いついていない状況です。

例えば、ダイエットでいうと、痩せようと思っているけど、なかなか生活の中で食事や運動の取り組みに向き合えていないという感じです。

「ステップ:0」と「ステップ:1」の大きな違いは、健康行動の取り組みへの意識レベルが有るか無いかだけなのですが、この意識が有るだけで大きく異なってくるのです。

というのも、意識が先でその後で行動という流れが健康行動の習慣化には必要だからです。

【ステップ:2】

「ステップ:2」では、「ステップ:1」の、意識しているけど実際の行動や取り組みがイマイチ追いついていない状況から、実際の行動、取り組みが行われている状況に変化、進化した状況です。

  • 健康行動の取り組みへの意識 : 意識レベル:有り
  • 健康行動の具体的な取り組み : 行動レベル:有り

健康行動の取り組みへの意識レベルも行動レベルも維持されているので、健康行動の習慣化に向けて順調な取り組みになってきています。

そのため、「ステップ:2」が健康行動の習慣化に向けた最終ステップかというと、まだこの「ステップ:2」では、習慣化に至っていないのです。

なぜなら、意識をしないと行動が維持できないといった状況だからです。

ダイエットで例えると、一人の時は意識できるので食事の際に気をつけることが出来るけど、大勢での食事会や飲み会などでは意識が薄れてみんなと同じように食べてしまう、など意識によって行動が左右されてしまう状況が「ステップ:2」なのです。

【ステップ:3】

健康行動の習慣化に向けた最終ステップが「ステップ:3」になります。

習慣化とは、意識しなくても行動できている状況なので、意識と行動レベルは以下になります。

  • 健康行動の取り組みへの意識 : 意識レベル:無し
  • 健康行動の具体的な取り組み : 行動レベル:有り

みなさんも現在の生活の中で、いくつか習慣化できていることがあると思いますが、それらの習慣を行う際に「行動しなきゃ!」と毎回自分に言い聞かせていますか?

おそらく、究極の習慣化は、意識しなくても出来ているものだと思います。

そのため、健康行動の習慣化とは、無意識でも行動が出来ている状況だと言えると思うので、健康行動の習慣化のステップでは「ステップ:3」が最終と位置づけることになります。

意識が必要なステップこそサポートが必要 

健康行動の習慣化のステップで、「ステップ:0」~「ステップ:3」を整理してみると「ステップ:0」と「ステップ:3」の最初と最後のステップは意識レベルが無しの状態、逆に「ステップ:1」と「ステップ:2」では、意識レベルが有りで、意識することが必要な状態なのです。

この「ステップ:1」と「ステップ:2」の意識レベル有りの状態とは、習慣化に向けて自身でトライしている状況と言えます。なんとかして取り組みを継続して行動を習慣化し、自分の生活の中に取り入れようとしています。

「ステップ:1」と「ステップ:2」の意識レベル有りの状態を維持しない限り、行動の取り組みが付いてこないので、いかに意識レベル有りの状態が保てるかがポイントになってきます。

「ステップ:1」から「ステップ:2」へとステップアップしたとしても、意識レベルが薄れていくと、一気に「ステップ:0」に戻ってしまう危険性があるのです。

また、健康行動の習慣化への意識を保つためには、それなりに負荷もかかるものです。逆に、「ステップ:0」は意識しなくて良いので、気分的な負荷を感じることがなく、現状維持が心地良い状態とも言えます。

このように、健康行動の習慣化に向けては、「ステップ:1」と「ステップ:2」がある意味ハードルが存在するステップで、意識を維持して行動の取り組みに結びつけていく中では、サポートが必要な要素になってくるのです。

今回の健康行動の習慣化のプロセスの分解と整理はここまでとさせていただきます。

健康行動の習慣化に向けて「ステップ:1」と「ステップ:2」で、ヘルスコーチングのアプローチがどう機能するかについては、次回「その2」で解説しますので、ご期待ください。

 
2021年、メルマガをご購読いただき、誠にありがとうございました。
2022年も、引き続きよろしくお願いします。

みなさま、少し早いですが、良い年をお迎えください。

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でも、地味な起業も注目していいのではないかと我々スポルツは考えています。
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今週の注目記事クリップ

[1]asken、プレミアム会員限定の新機能「AI体型測定機能」リリース
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スマートフォンカメラで全身写真を撮るだけで、胸囲、ウエスト、ヒップ、二の腕、ふくらはぎの計5カ所の身体サイズを測定し、3Dアバターが表示される。測定結果を一覧で振り返ると、体型変化を実感できる。(2021/12/15)

[2]武田薬品工業、「タケダ・女性のライフサポート 助成プログラム」公募開始
https://www.takeda.com/ja-jp/announcements/2021/womens-life-support/
生きづらさを抱える女性とその子どもの健康を支援する助成プログラム。日本NPOセンターと共に、女性が抱える社会問題の解決に取組むパーソナル支援団体を応援し、女性やその子どもたちが安心して健康的な生活が送れるよう支援する。(2021/12/15)

[3]シオノギヘルスケア、「健腸計画 腸内フローラ検査キット」オンライン版スタート【PDF】
https://www.shionogi-hc.co.jp/content/dam/shc/jp/news/2021/12/20211215.pdf
https://www.shionogi-hc.co.jp/
自宅で簡単に自身の腸内環境と改善のための対策を知ることができる検査キットをオンライン版に完全リニューアル。腸の不調に不安を抱える人が、より手軽に腸内環境の改善に取り組めるよう支援する。(2021/12/15)

[4]MEFREE、「秒でできる完全栄養カレー KOREDEカレー」を使った完全栄養食オリジナルレシピの特設ページ開設!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000088328.html
2022年は完全栄養食で健康的にダイエット。Makuakeで目標額の5倍の応援資金を集めた注目のカレー。熱量・糖質・脂質以外の栄養素をバランスよく配合し、脂質50%カット。作り方は、水を入れて混ぜるだけ。(2021/12/15)

[5]エムティーアイ、コンディションノート『Atleta』が指導者・選手に「新型コロナウイルス感染症と部活動の関係に関するアンケート調査」を実施
https://www.mti.co.jp/?p=30731
本調査では、指導者や選手700名超から回答が寄せられ、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに7割以上の指導者、過半数の選手がコミュニケーション方法をデジタルにシフトしたことがわかった。(2021/12/16)

[6]笹川スポーツ財団、「チャレンジデー2022」実施概要を掲載、申込み受付開始
https://www.ssf.or.jp/dotank/challengeday/2022/
チャレンジデーは、日常的なスポーツの習慣化や住民の健康増進、地域の活性化に向けたきっかけづくりを目的とした住民総参加型のスポーツイベント。実施日は2022年5月25日(水)。(2021/12/16)

[7]花王、“髪のキメ”によってポジティブな感情が高くなる!【PDF】
https://www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/jp/ja/corporate/news/2021/pdf/20211217-001-01.pdf
https://www.kao.com/jp/
今回の検討では、髪のキメをそろえてキレイを実感した際に、ポジティブな感情が生じていることを確認した。また、自信にもつながり、行動にも変化を与える可能性が示唆された。(2021/12/17)

[8]パナソニック、家電と食のサブスク「foodable」に新コース追加でサービスを拡充
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2021/12/jn211217-1/jn211217-1.html
foodableに5つのコースを追加。キッチン家電とこだわり食材に加えて、オリジナルレシピや食のシーンを彩るテーブルウェアもセットでお届けすることで、特別な日をおうちで楽しむ新たな食体験を提案する、など。(2021/12/17)

[9]東北大学、歯を失うと認知症になるメカニズムを明らかに
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/12/press20211220-01-dementia.html
調査の結果、歯の喪失と認知症発症との間に有意な関連が見られた。男性では特に友人・知人との交流人数、女性では特に野菜や果物摂取が、歯の本数と認知症発症の因果関係を仲立ちする役割を果たしていた。(2021/12/20)

[10]日本医療政策機構、「現代日本における子どもをもつことに関する世論調査」妊娠を望む人が妊娠できる社会の実現を目指して(速報版)
https://hgpi.org/research/wh-survey-2021.html
女性の健康プロジェクトは、全国の25-49歳までの男女を対象に、妊娠を望む人が妊娠することに関連する要因を検証すべくアンケート調査を実施。約8割が「不妊治療を受けたら、女性は40歳を超えても妊娠することができる」と回答、など。(2021/12/20)

[11]デロイト トーマツ、「Digital Consumer Trends 2021」(日本版)を発表
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20211221.html
本レポートでは、COVID-19の影響で一変した生活環境により日本のデジタル消費行動がどう変化したかについて、「デバイス所有状況」「COVID-19の消費行動への影響」「デジタルヘルス」などのテーマで洞察を提供。(2021/12/21)

[12]新潟大学、よく噛めない男性はメタボになりやすかったー4年間の追跡調査により世界で初めて判明ー
https://www.niigata-u.ac.jp/news/2021/98514/
50-70歳代の男女を4.4年間追跡した結果、男性においては咀嚼能率が低い場合メタボの新規罹患率が2.2倍高く、特に血圧高値、脂質異常、高血糖のリスクが高いことが明らかに。興味深いことに、こうした傾向は女性では見られなかった。(2021/12/21)

[13]デサントジャパン、「Umditional SUIT LIMITED」を新発売
https://www.descente.co.jp/jp/press_releases/211221_umb/
フットボールブランド「アンブロ」より、そのままサッカーもできてしまうほど動きやすい高機能スーツの第2弾が登場。ジャケット裏地には同社独自開発の蓄熱保温素材「HEAT NAVI(R)」を採用。(2021/12/21)

[14]グローバルインフォメーション、市場調査レポート:不妊治療の世界市場(2021年~2028年)
https://www.gii.co.jp/report/dmin1037921-global-infertility-treatment-market.html
世界の不妊治療市場について調査。市場規模、機会や影響、成長および抑制要因、COVID-19による影響、製品・治療法・患者タイプ・エンドユーザー・地域別の市場分析、競合情勢、主要企業のプロファイルなどの情報を提供。

[15]Google、健康情報の検索をよりアクセスしやすくするための新しい検索機能を導入
https://mhealthwatch.jp/global/news20211216-2
新しい検索機能の追加により、患者は自分のニーズに合う近隣の医師を容易に探すことができ、プロバイダーがメディケアを認めるかどうか、プロバイダーが何語を話すかなどの質問に対処できるようになる。(2021/12/16)

[16]『mHealth Watch』注目ニュース:HelloBetter、糖尿病とうつ病の治療コースが処方箋で利用可能に
https://mhealthwatch.jp/global/news20211227-2
今回はドイツのデジタルセラピューティクス(デジタル治療薬)のニュースをお届けします。ドイツは2019年11月にデジタルケア法が成立してから、多くのデジタルセラピューティクスが誕生してきました。(2021/12/27)