こんにちは、里見です。

ヘルスケアサービスでは、「パーソナライズ」の対応は外せない要素であり、今後ますます注目されてくると思います。

そこで今回は、「パーソナライズ」に関してヘルスコーチングのコミュニケーションの視点で整理し、「パーソナライズ」のアプローチについて解説してみたいと思います。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:パーソナライズとコミュニケーション

1)パーソナライズは提案、レコメンドでの活用が中心

ヘルスケアサービスを見渡してみると、パーソナライズ、個別化の対応では、提案やレコメンドの部分での活用が多くなってきている印象です。

ヘルスケアサービスにおいては健康行動の取り組みはもちろん、継続的な取り組みが必須になってきます。
しかし、一人ひとり取り組む目的や改善に向けた健康行動は同じであっても、取り組み方はもちろん、ライフスタイルや興味・関心などは様々で、やり方やアプローチが異なってきます。

また、健康行動の取り組みや継続という観点から見ても、一人ひとりに必要な情報はもちろん、モチベーションに作用するアプローチのポイントや継続ドライバも異なってくるからです。

さらに、一人ひとりに合わせた提案に対しては、サービスとしての付加価値を高めることにつながるため、ヘルスケアサービスの中では提案やレコメンドの部分でパーソナライズ、個別化の対応が多く使われてきているのです。

2)提案、レコメンドでのパーソナライズはロジックが重要

現状のヘルスケアサービスでのパーソナライズ化の対応では、何らかのデータや行動を見た上で商品や情報をレコメンドしたり、提案するといった活用が多くなってきています。

何らかのデータや行動を分析した上で、商品や情報をその人個人に向けてレコメンドしたり提案したりといった部分なので、この点におけるパーソナライズ化では提案、レコメンドするためのロジックが重要になってきます。

ロジックとは、例えば様々な情報やデータの組み合わせから該当するグループに割り振って、その該当するグループの人達にはAという商品とともにAという商品に関連する健康情報を提供する、というように分析して提案するためのルールといったイメージのことです。

上記のようなロジックによって数種類のグループに振り分けて提案やレコメンドする仕組みをより細分化することで、きめ細やかなパーソナライズな対応が可能になっていきます。

3)チャットボットやAIによるパーソナライズ対応

提案、レコメンドでのパーソナライズな対応では、質問に答えていく、データを入力していくパターン、最近ではチャットボットやAIによるナビゲーションと組み合わせた提供が目立ってきています。

チャットボットでは、会話形式によるナビゲーションであるため、疑似的にインタラクティブな感覚が提供可能です。

また、チャットボットにAIを搭載しているケースもあり、データの蓄積によっては、複雑なロジックや機会学習を活用することで、提案やレコメンドの精度を高めることができます。

4)「線」としてのパーソナライズ、個別化対応

さて、上記で紹介してきたパーソナライズ、個別化の提案やレコメンドの現状では、その時点で入手可能な情報をもとに、ロジックによって商品や情報の提案を行うため、どうしても表面的なパーソナライズ対応になりがちなのです。

言い換えると、その時点におけるパーソナライズ対応であって、その人の取り組み状況や過程、プロセスを加味したパーソナライズ、個別化の対応ではなく、その時点で把握できる情報、データのみを活用したパーソナライズ、個別化の提案になってきます。

実は、ヘルスケアサービスは継続がポイントになっており、パーソナライズも「点」として捉えるのではなく「線」としての対応が求められます。
特に、継続をサポートする上では「線」としてのパーソナライズ、個別化対応、すなわちサービス利用中のリレーション、コミュニケーションの中でのパーソナライズな対応、反応、寄り添いが重要な要素になってきます。

確かに、上記で紹介したチャットボットやAIによるナビゲーションと組み合わせたパーソナライズ、個別化提案もコミュニケーションを活用していますが、それは一時的な情報を入手する手段としてのコミュニケーション的な演出や仕掛けであって、対象者の取り組み状況や過程、プロセスを加味したパーソナライズな声がけ、フィードバックなどといった、人であれば絶対外さない部分のパーソナライズ、個別化とは全く別モノのパーソナライズ、個別化対応なのです。

パーソナライズへの対応として商品や情報のレコメンドや提案に注力することは、もちろん重要な要素ではあるのですが、やはりコミュニケーションの基本的な部分である対象者を見た上での反応、対応、寄り添いといった部分でのパーソナライズ、個別化対応にも目を向けて取り組むことが継続をサポートする上では重要なアプローチになってきます。

5)健康行動の継続にはパーソナライズな対応、反応は必須要素 

一般的な対面でのコミュニケーションでも、パーソナライズな対応、反応は基本中の基本です。

しかし、ICTを通したコミュニケーションやリレーションになると、このパーソナライズな対応、反応へのハードルが高まるため、きめ細やかなパーソナライズなコミュニケーションまで踏み込まず「点」としての特定の部分だけのパーソナライズ、個別化だけになっているケースが多いのも事実です。

そのため、特定の部分だけパーソナライズ、個別化しているのに、コミュニケーション、リレーションの中ではその人の取り組み状況や過程、プロセスを加味したパーソナライズな声がけ、フィードバックが全く感じられない万人に向けたコミュニケーションになっているため、見守ってくれている安心感はもちろん、寄り添ってくれている感覚が提供できていないのです。

健康行動の継続に向けたヘルスコーチングのアプローチでは、商品や情報のレコメンドや提案に関わる部分はもちろん、コミュニケーション、リレーションにおいても可能な限りパーソナライズ、個別化の対応が基本になっています。

ヘルスケアサービスのコミュニケーション、リレーションの中で、ちょっとした部分のパーソナライズや個別化対応をするだけでも、対象者の反応は異なってくるのです。

やはり行動の継続こそが、ゴール、目標に導くために欠かせない要素です。
この行動の継続をサポートする上では「点」としてのパーソナライズの対応だけではなく、「線」としてパーソナライズに対応したコミュニケーション、リレーションにまで踏み込んだ対応が必要なのです。


今回は、ヘルスコーチングのコミュニケーションの視点で「パーソナライズ」について整理して解説しました。
ヘルスケアサービスにおけるパーソナライズに関して、特にコミュニケーション、リレーションの中でのパーソナライズな対応について、ご不明な点などあれば、お気軽にご質問ください。

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「感想こそ人間関係善循環の第一歩」

気づきをもらい、感銘を受けたという経験は誰にもある。
出会った相手にその場面で感謝の気持ちを伝えた経験をお持ちでしょうか?
また、受けた感銘に関する感想を後日でいいので伝えたことはあるだろうか?

前者は恩恵的感謝で続けた方がいい習慣
後者は普遍的感謝で相手のために貢献するという一歩進んだスタンスです。
心のこもった感想をくれた人のことをあなたはどう思いますか?

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[14]ミラーフィット、次世代型IoTスマートデバイス「MIRROR FIT.」を「Makuake」にて先行販売スタート!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000076951.html
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[15]アールビーズ、「さつきラン&ウォーク2022 企業対抗戦」企業エントリー開始!
https://arbeee.net/topics/220222
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[16]フィットネス機器のPeloton、CEO交代-2,800人削減へ
https://mhealthwatch.jp/global/news20220218-2
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https://mhealthwatch.jp/column/news20220222-2
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[18]『mHealth Watch』注目ニュース:Z世代向け音楽療法アプリ『Spoke』
https://mhealthwatch.jp/global/news20220228
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