こんにちは、里見です。

一般的に、コーチングと聞くと「教えない」「アドバイスはしない」というイメージを持たれていることが多いようです。
しかし、コーチングでもヘルスコーチングでも、「ティーチング」的なアプローチが必要なケースがあります。

そこで今回は、ヘルスコーチングにおける「ティーチング」的なアプローチについて、情報提供の視点で解説してみたいと思います。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:教えるのではない選択支援のための情報提供

1)一方的なティーチングのデメリット

ここで言う「ティーチング」的アプローチとは、「教える」「指導する」といった一方的な押し付けのようなコミュニケーションのことを指します。

この一方的な「ティーチング」的アプローチは、ヘルスケアサービスのプログラムや健康専門家によるサポートで良く見かけるコミュニケーションで、健康効果を手に入れるための様々なやり方・メソッド・ノウハウの提供で使用されています。

やり方・メソッド・ノウハウを「教える」「指導する」場合には、この「ティーチング」的なアプローチでも良いのですが、やり方・メソッド・ノウハウを学んだだけでは効果には結びつかず、やはり継続して行う、取り組むことが大前提になってきます。

どんなに良いやり方・メソッド・ノウハウであっても、継続できないものやライフスタイルに取り入れることが難しいものは、無理して一時的には効果や成果を得られたとしても、本当の意味での継続できる成果に導くことは難しいものです。

このように「ティーチング」的なアプローチ、「教える」「指導する」だけの一方的な押し付けのようなコミュニケーションは、「継続」へのアプローチであったり「習慣化」に導くアプローチが抜け落ちてしまうケースが存在するのです。

2)「継続」や「習慣化」に必要なこととは?

ヘルスケアサービスで提供されている様々なプログラムやサービスで取り入れられているやり方・メソッド・ノウハウは、しっかりと取り組めれば確実に効果、成果を手に入れることができるものがほとんどです。

しかし、どれもが「継続」して取り組むことが前提になるのですが、効果が高そうなものや理想的なやり方・メソッド・ノウハウほど継続が難しかったり、ライフスタイルに取り入れるにはハードルが高かったりするものが多いのも事実です。

やり方・メソッド・ノウハウを学んだ通り、言われた通りに継続して取り組めば効果は期待できるのですが、その前の大きなハードルであるライフスタイルに取り入れ継続できるスタイルに変化させる、工夫することが必要になってきます。

「ティーチング」的なアプローチ、「教える」「指導する」だけの一方的な押し付けのようなコミュニケーションでは、やり方・メソッド・ノウハウの提供にとどまり、その先のヘルスケアサービスでは一番重要になってくる「継続」へのアプローチが抜けているケースが非常に多いです。

行動に着目して行動の継続、それもその人に合ったやり方、ライフスタイルへの落とし込みが求められるのです。

この時、自分に合ったやり方だったり、ライフルスタイルに合わせてアプローチを見つけていくプロセスでは、対象者自身の主体的取り組み、姿勢が重要になってきます。

この「主体的」な取り組みにしていくためには、ティーチングのコミュニケーションのような対象者は受け身の状態ではなく、ヘルスコーチングコミュニケーションの基本である対象者が主体で、対象者の行動を支えるためにコーチが寄り添うコミュニケーションの方が効果的なのです。

3)ヘルスコーチングと「ティーチング」での情報の扱い

ここまで、「ティーチング」とコーチングの違いについて説明してきました。

ここまでお読みになった人は、やっぱりヘルスコーチングでは「ティーチング」的なアプローチはNGなのかと思ったかもしれませんが、ここからヘルスコーチングにおける「ティーチング」的なアプローチの活用、位置付けについてお話したいと思います。

まず最初に、ヘルスコーチングにおいて「ティーチング」的アプローチが一切NGかというとそんなことはありません。

では、どんな時にヘルスコーチングにおいて「ティーチング」的なアプローチが必要になってくるかということを説明する前に、ヘルスコーチングにおけるコミュニケーションの主体は誰なのかということからお話します。

一般的な「ティーチング」の場合、コミュニケーションの主体は伝える側である提供者や専門家になりますが、コーチングのコミュニケーションの主体は対象者側であることが基本になります。

「ティーチング」では、やり方・メソッド・ノウハウを「教える」「指導する」ことが中心ですが、コーチングのコミュニケーションでは対象者の行動を支えるための情報提供や気づきを与える寄り添い型のコミュニケーションになります。

つまり、会話の「主体」の違いによって、情報の扱い、位置付けが異なってきます。

やり方・メソッド・ノウハウの情報を伝える場合でも、「ティーチング」では「教える」「指導する」という扱いになり、コーチングでは対象者が会話の「主体」になるため、同じやり方・メソッド・ノウハウという情報であっても、あくまでも対象者の行動の継続、加速させるための情報であって、対象者はその情報を自分ごと化させて行動に役立てるといった選択支援のための情報という扱い、位置付けとなるのです。

4)ヘルスコーチングにおける「ティーチング」的なアプローチ

ヘルスケアサービスで取り組む行動は、正しい知識、正しい理解の上で取り組むことが求められます。

また、行動を自分ごと化して継続して取り組む上では、対象者自身の中での理解、納得感なども必要になってきます。

一方的に「伝えられた」「教えられた」「指導された」だけの情報では、なかなか自分ごと化し納得した取り組みには成りづらく、やはり伝わってきた情報を自身で咀嚼する、納得するプロセスが必要になってくるのです。

そのため、ヘルスコーチングではコミュニケーションの主体は対象者であるということを基本に、「選択支援」のための「情報提供」という位置付けでの情報の提供は積極的に行います。

ヘルスコーチングでは、一方的に教えるような「ティーチング」自体はしませんが、対象者の「選択の幅」を拡げ「選択を支援」するための「情報提供」という位置付けで、「ティーチング」的なアプローチは行うのです。

このように、同じ情報であっても、コミュニケーションの主体の違いと情報の取り扱いの違いによって、「ティーチング」とコーチングでは大きく異なっているのです。

しかし、「ティーチング」とコーチングは相反するように認識されることがありますが、対象者の主体性を認識した上で「ティーチング」とコーチングを組み合わせることでより効果が期待できるのです。

ヘルスコーチングにおける情報提供は、あくまでも対象者の選択を支援するという位置付けで、対象者の目標に向けた行動の継続、そして自走できるスタイルを見つけていくために積極的に取り入れていきます。

今回は、ヘルスコーチングにおける「ティーチング」的アプローチと選択支援のための情報提供について解説しました。
実は、ヘルスコーチングはコミュニケーション技法なので、対象者をゴールに導くための効果的なメソッドやノウハウとの組み合わせは、本来相性が良いのです。

メソッドやノウハウとヘルスコーチングを組み合わせたプログラムの提供や、メソッドと商品を連動させたパターンなど、ヘルスコーチングのコミュニケーションと組み合わせたプログラム提供を数多く実践してきております。

ご興味ある方、是非一度ご相談ください。

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健康ビジネスキーワード

「幸せを手に入れるのではない」

幸せを手に入れるのではない。
幸せを感じることのできる心をつくるのである。
※詠人知らず

これこそ、well-beingを手に入れる最善なるアプローチではないだろうか?
そして、それは自分を面白がることがスタート。

今週の注目記事クリップ

[1]セルフケアテクノロジーズ、Apple Watchで取得した睡眠データから睡眠課題を深掘り!セルフバンクで課題分析コンテンツと栄養アドバイスをリリース(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000060548.html
セルフバンクでは、Apple Watchから取得して自社で独自解析している睡眠データを元に、睡眠課題を寝つき・中途覚醒・寝起きの3つにブレイクダウンした上で、それぞれの課題スコアを算出する新機能を追加。(2022/06/21)

+++★追加解説音声:90秒★+++
https://youtu.be/hfyDQo3MAdc

[2]損害保険ジャパン、「SOMPOダンスプロジェクト」第三弾ー「脳が活性化するダンス」動画公開ー【PDF】
https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/2022/20220615_1.pdf?la=ja-JP
https://www.sompo-japan.co.jp/
「脳が活性化するダンス」は、注意力が高まり、判断力が早くなる等の脳機能の改善が実証されているシナプソロジーと、「手先を動かす」「左右で違う動きをする」などのアクションによって脳の活性化が期待できるタットダンスを組み合わせたオリジナルダンス。(2022/06/15)

[3]DeNAが取り組むヘルスケア事業の苦難の道のりと今後の光(Healthtech-DBより)
https://healthtech-db.com/articles/DeNA-healthcare-business
DeNAは2014年からヘルスケア事業を立ち上げ、数々の苦難を通り越して今に至る。本稿ではDeNAのヘルスケアのこれまでの取り組みについて扱い、今後のヘルスケア事業の可能性についても検討する。(2022/06/15)

[4]RIZAP、高齢者向け健康プログラムがオンラインでも成果。フレイル予防実証事業、更に健康寿命延伸を強化
https://www.rizapgroup.com/news/press-releases/20220616-01/
RIZAP、JDSC、ユカイ工学3社合同で、三重県桑名市での健康寿命延伸サービスの実証実験が完了。体力年齢マイナス27歳の若返りを達成。(2022/06/16)

[5]ピックアップ特集 リハビリ新時代:第2回 大学病院内に公的保険外リハビリ施設がオープン(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00053/060900003/
社会保障財源の逼迫などを背景に、リハビリに関する公的保険外サービスの発展と充実が課題となっている。そんな中「国内初の大学病院内における公的保険外リハビリ施設」として注目を集めたのが、昨年オープンした「フィジオセンター」。(2022/06/16)

[6]明治・伊藤ハム米久ホールディングス・マルハニチロ、たんぱく質コンソーシアム「めざせ1日80g!たんぱく摂ろう会」を設立
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2022/0617_01/
本コンソーシアムは、たんぱく質摂取を通じて“ウェルネス社会の実現”を目指す。「知識」と「行動」の両方が一度に学べる食育コンテンツ「たべる教科書」もお披露目。(2022/06/17)

[7]日本リカバリー協会など、調査リリース:休養・抗疲労白書2022_抗疲労成長銘柄予測
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日本疲労学会、神戸リサーチコンプレックス協議会、ベネクスと共同で全国10万人への健康調査を実施。今回は「休養・抗疲労(疲労解消)カテゴリーの行動率」を比較分析した結果をまとめた。(2022/06/17)

[8]庄子育子が斬る!行政ウオッチ:骨太方針明記で新たなフェーズに入った医療DX(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00010/061600089/
医療DXが実現した際にはどんな未来が待ち受けているのか。経済産業省は一足先に、そのイメージを具体化して見せた。6月8日の健康・医療新産業協議会で「デジタル化による未来の健康づくりイメージ」と銘打って3パターンを披露した。(2022/06/17)

[9]経済産業省、「PHRサービス事業協会(仮称)」を設立します
https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220620005/20220620005.html?from=mj
製薬・医療機器をはじめ、健康アプリや保険等のPHRサービス事業を展開する企業15社が業種を超えて集まり「PHRサービス事業協会(仮称)」設立宣言を行った。今後2023年度早期の設立を目指す。(2022/06/20)

[10]NTTデータなど、スマートライフパス柏の葉にて がん患者が「バイタルデータ」と「食事」を管理できるサービスを提供開始
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/062001/
2022年7月1日開業の「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」に滞在するがん患者さん向けに、デジタル技術を活用したバイタルデータ管理サービス「Health Data Bank for Medical」と、食事管理サービス「カロママ プラス」を提供。(2022/06/20)

[11]ニューロスペースとワーク・ライフバランス、[睡眠シンポジウム2022]よく眠る会社が勝つ時代の幕開け!
https://www.neurospace.jp/blog/event220615?categoryId=299
開催日は2022年7月11日(月)。最新の睡眠と労働生産性の研究結果、睡眠を基礎として健康経営や働き方改革を実現している企業様の具体的な事例とその現場への浸透のさせ方、そしてそれらの実現をサポートするツールや知識を紹介。(2022/06/20)

[12]クラブビジネスジャパン、「日本のフィットネスクラブ業界のトレンド2021年度版」発売
https://business.fitnessclub.jp/articles/-/1083
クラブビジネスジャパン、フィットネスビジネス編集部が毎年発行している、前年度のフィットネス業界についてまとめたレポート「日本のクラブ業界のトレンド」。(2022/06/20)

[13]グローバルニュートリショングループ、日本人のヘルスリテラシーは低いのか?
https://global-nutrition.co.jp/blog/2022-06-20/
ウェルネスフード・ワールド第102回。今回のウェルネスフード・ワールドでは5月31日に発刊された『ウェルネストレンド白書Vol.2』から「7つの健康セグメント」とその特徴について紹介。(2022/06/20)

[14]花王、<歩行モニタリング技術>日常歩行モニタリングのさらなる進化ー認知機能低下の推定や歩行安定性の評価へ応用できる可能性ー
https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2022/20220621-001/
今回「認知機能低下」と「1日の中での日常歩行速度の変化」との間に関係性があることを見いだした。また「加齢歩数」という指標を加えることで、加齢に伴う歩行安定性の変化をより詳細に把握できることがわかった。(2022/06/21)

[15]丸善製薬、Z世代から団塊ジュニアまで比べて検証!「男性の美容意識」に関する調査を実施(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000070472.html
調査対象は10代-50代男女。年齢や性別に基づき群間比較した結果「外見を良くすることや、若々しさを維持すること」に対して関心を示す男性は各世代で5割~6割程度となり、世代間のバラつきが比較的少ないことが確認された。(2022/06/21)

[16]クオリティライフサービス、時間栄養学のエビデンスを読み解き保健指導に活かす学び方講座【PDF】
https://www.qls.co.jp/school/pdf/2022school-manabi.pdf
https://www.qls.co.jp/
開催日は2022年8月7日(日)。講座録画動画配信は8月8日(月)-14日(日)。本講座は、体内時計についての理解を深め、どのように時間栄養学のデータを読み解き、保健指導で活用していくか、学び方と、その活用方法を解説する。

[17]Apple、投薬追跡機能とより多くの健康アップデートを発表
https://mhealthwatch.jp/global/news20220616-2
Apple WatchとiPhoneの両方で提供されているヘルスケアアプリの新しい機能では、医薬品、ビタミン、サプリメントを管理することができるようになった。(2022/06/16)

[18]『mHealth Watch』注目ニュース:デジタルメンタルヘルスへの投資が重度な病気にシフト
https://mhealthwatch.jp/global/news20220627
COVID-19による課題解決は一種のブームです。ブームは過ぎ去るものなので、次の波に乗っていかなければ取り残されてしまいます。(2022/06/27)