こんにちは。脇本和洋です。
[海外事例にみる継続支援アプローチ編]では、毎回テーマを決めて注目事例を紹介するとともに、健康サービスの肝となる「継続支援アプローチ」を紹介しています。

今号のテーマは、「認知症」。

認知症患者は、2025年には730万人になると推計され、65歳以上の5人に1人が認知症になるとされています。
(出所:令和元年厚生労働省資料「認知症施策の総合的な推進について」)

そこで今回は、

  • 認知機能のアセスメント
  • 認知症の早期発見
  • 認知症の予防

を切り口に3つの事例を紹介します。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

「認知症関連」海外注目サービス

日本では、令和元年に「認知症施策推進大綱」が発表になり、「共生と予防」が大きなテーマとなっています。
今や認知症への対策は、日本の社会課題となっていると言えるでしょう。

今回は、認知症をテーマに以下の3つの事例を紹介します。

事例1.モバイル系認知機能アセスメントサービス「Savonix」
事例2.話し方系認知症早期発見サービス「Winterlight Labs」
事例3.歌を使った認知症予防・ケアサービス「SingFit」

事例1.モバイル系認知機能アセスメントサービス「Savonix」

今まで認知機能のアセスメント(評価)は、対人で行うものが多かったが、最近ではモバイルを使い、その場で簡単にチェックできるものが増えてきている。

■事例名:Savonix
https://savonix.com/

■設立:2015年

■資金調達額:16億円(2022年5月時点)
※1ドル=100円換算

■サービス概要
脳の認知機能をアセスメントできるモバイルアプリ。
記憶力、注意力、集中力などの領域ごとに判定してくれる。

■サービスの流れ
1:アプリをダウンロードし、アセスメントを行う(20分ほど)。

2:記憶、集中力、注意力など領域ごとに認知機能の診断結果がわかる。
産業医と連携がある場合、必要なアドバイスをもらい予防・改善行動をとれる。

3:半年から1年ごとに定期的にアセスメントを行い、推移を確認する。

■サービス継続の工夫
・モバイル対応なので、日常的にチェックがしやすい。

■販売先:非公開(企業向けが多いと予想される)

■参考情報
2020年に富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社がSavonixと提携し、らくらくスマートフォンで本サービスを利用できるようにした。

事例2.話し方系認知症早期発見サービス「Winterlight Labs」

今まで認知症の早期発見は、血液検査という方法が注目されていたが、最近では「話し方」で認知症の早期発見ができる技術もでてきている。

■事例名:Winterlight Labs
https://winterlightlabs.com/

■設立:2015年

■資金調達額:5億円(2022年5月時点)
※1ドル=100円換算

■サービス概要
話し方や声で認知症の早期発見をするアプリサービス。
人間が聞き取れない音声の波長に見られる認知症特有の兆候などをAIが音声バイオマーカーに沿って診断する。

■サービスの流れ
1:専用アプリをダウンロードする。

2:タブレットまたはスマートフォンで特定の画像を見て、口頭で画像内容を説明する。
(例:父親、母親、子供がキッチンの中にいる様子を描いた画像を見て、それぞれが何をしているのか、キッチンに何があるのかなどを話してもらう)

3:AIによって特定された音声バイオマーカーに沿って、発音、言葉の繰り返し、単語の選択など、いくつかの特徴が解析され、認知症の兆候を判定する。

4:週単位で行える簡易アセスメントと、6か月ごとに行う包括的なアセスメントを継続し、認知症の早期発見や進行度を測定する。

■サービス継続の工夫
・話すだけで良いので患者の負担が少ない。
・全体でもチェック時間は5分程度となっている。

■販売先:非公開

■参考情報
2021年に株式会社DG Daiwa Venturesが出資。

事例3.歌を使った認知症予防・ケアサービス「SingFit」

認知症予防のためには様々な方法があるが、続けることが難しいものも多い。
そこで、「楽しさ」を前面にだし、認知症予防につなげるアプローチもでてきた。

■事例名:Musical Health Technologies「SingFit」
https://www.singfit.com/

■設立:2017年

■資金調達額:不明(2022年5月時点)

■サービス概要
音楽を使った認知症予防・ケアを目指すサービス。
ただ音楽を流すだけでなく、コーチとの対話を絡めたセッションが行われる。

■サービスの流れ
1:コーチがこれから流す音楽についてクイズを交えながら話す(導入)。

2:音楽を流して一緒に歌う。
歌詞が音声案内されるので、歌詞を忘れた人も歌える。

3:音楽に合わせた振りを決めて(手を振る、ハンカチを振る、上半身を音楽に合わせて動かすなど)運動し、レベルやニーズに合わせてプログラム内容を調整していく。

■サービス継続の工夫
・利用者に認知症の対策をしているという意識をあまり感じさせない。
・漠然と曲を聴くのではなく、コーチが対話の流れを作り盛り上げることで、充実した時間を過ごせる。
・主にグループでのアクティビティとして利用でき、施設スタッフがコーチとなりセッションを行えるようマニュアル(どんな声かけ・対話をするかなど)で学習できる。

■販売先:B-B(主に高齢者介護施設向け)、B-Cも一部あり

注目事例の共通点

今回紹介した、

事例1.モバイル系認知機能アセスメントサービス「Savonix」
事例2.話し方系認知症早期発見サービス「Winterlight Labs」

が共通して目指しているのは、『手軽な測定』ということです。

認知症(認知機能)関連の測定では、

  • 体への負担が少なく
  • 短時間で測定でき
  • 低価格で購入できる

ものがまだ確立されていません。

言ってみれば、ダイエットビジネスでいう「体重計」のような「手軽な測定」が確立されていないわけです。
ただ、今回紹介した事例のように測定技術はさらに進化していくでしょう。
そして、測定技術の進化に伴い、認知症の予防市場も拡大していくものと予想しています。

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健康ビジネスキーワード

「たった一人」

お客様を一人だけ選ぶとしたら誰ですか?

あなたならどう感じますか?

現在コミュニケーションがあり、今後もずっとお役に立ちたいと思える人を限定してください。
その人にどのように喜んでもらいたいですか?
ペルソナ、、。ここでは忘れてください。

その一人をはっきり、鮮明にしていくほどあなたの提供価値が明確になり、磁力を持ち始めるはずです。
最も大切にしたいお客様との約束を果たしていけば、お客様は広がっていきます。

※参照:売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則 笹井清範著

今週の注目記事クリップ

[1]ロート製薬×カフェ・カンパニー、「2種のお豆とかぼちゃのオートミールクリーミードリア」を期間限定スペシャルメニューとして新発売!
https://www.rohto.co.jp/news/release/2022/0610_01/
お互いの強みを活かした健康的な「食」コラボレーション第1弾。ロート製薬の商品であるオーガニック豆の具だくさんスープ「ダルーラ」を用いた新メニューがカフェ・カンパニーの4店舗でスタート。(2022/06/10)

+++★追加解説音声:80秒★+++
https://youtu.be/_4GyTbRm4k8

[2]asken、妊娠・授乳期の栄養管理をサポートする新コース「あすママコース」の提供を開始
https://www.asken.inc/news/2022/6/8
会員数700万人超の国内No.1食事管理アプリ『あすけん』に妊娠・授乳期の女性の健康的な食事・体重管理をサポートする新しいアドバイスコースを開設。(2022/06/08)

[3]エムスリー、医療従事者向け診療現場モバイルアプリのリーディングカンパニーiDoctusを子会社化ースペイン医師のカバー率は80%以上にー【PDF】
https://corporate.m3.com/assets.ctfassets.net/1pwj74siywcy/40pN59TDc7xgr77bSC98wv/5c78a442507e2af439449587f1843142/20220608_Public_J.pdf
https://corporate.m3.com/
2011年のサービス開始以来、iDoctusはスペインおよびメキシコを含むラテンアメリカで最も広く使われている医師向けアプリのひとつ。現在の医師会員数は約50万人となり19カ国でローカライズされたコンテンツを提供。(2022/06/08)

[4]博報堂DYグループ「ショッパーマーケティング・イニシアティブ(R)」HAKUHODO EC+、「EC生活者調査」を実施
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/98196/
EC購買シェア率は、健康食品・飲料で約7割、化粧品で約4割。購入チャネルがECにシフトしているジャンルが浮き彫りに。(2022/06/08)

[5]太陽生命、太陽生命少子高齢社会研究所とMCBIとの共同研究で「歩行・思考・会話」する長期の活動が認知症リスクの低下につながる可能性を確認【PDF】
https://www.taiyo-seimei.co.jp/wr2/pdf/press_article/2022/c1lqbg00000003oo-att/20220609_1.pdf
https://www.taiyo-seimei.co.jp/
本研究のなかで、当社従業員の「MCIスクリーニング検査」の結果を同時期の他の受検者と比較したところ、70-80代において当社従業員の免疫力が高く、認知症発症リスクが低いという傾向が明らかになった。(2022/06/09)

[6]ブレインスリープ、質の下がる梅雨時の睡眠に向けた“快眠テクニック”を解説!2022年の梅雨は「短い期間に集中して多くの降雨」例年より低気圧が懸念
https://brain-sleep.zzz-land.com/news/1404/
全国的な梅雨入りで寝苦しい季節到来。梅雨時の2大快眠テクニックは、低気圧による「自律神経の乱れ」対策、高湿度や寒暖差による「不安定な体温調整や環境」対策。(2022/06/09)

[7]キーワード1:ジェンダード・イノベーション発想のヘルスケアソリューション(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/trend-220401-1
フェムテックの興隆により業界人の間で広まった“性差視点”が発展した概念がジェンダード・イノベーション、と捉えると理解しやすいかもしれない。国外で提唱されたのが始まりで、日本でもすでにアカデミアやヘルスケア以外の業界で使われるようになってきた。(2022/06/09)

[8]FODS、世界初!脈波でバイタルサインの測定が可能に。針を刺さずに手首に装着するだけで血糖値が測れるウォッチ型計測器「シュタインヘルスケア」を全国の美容院へ(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000102881.html
信州大学発の研究開発型ベンチャーであるSSST株式会社と、世界初の手首に巻くだけで瞬時に血糖値が測定出来る、シュタインヘルスケア(ウォッチ型)について、全国25万店ある美容室への独占販売契約を締結。(2022/06/09)

[9]ピックアップ特集 進む「健康まちづくり」:第16回「学生が地元の団地に住みながら地域貢献」の狙い(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00052/060200017/
「団地活性サポーター」として入居した学生と高齢者を中心とする住民との交流により地域活性化を図る。2016年、神奈川県立保健福祉大学と神奈川県住宅供給公社の連携により始められたこの取り組みは、多様な成果が生まれているプロジェクトとして注目を集めている。(2022/06/09)

[10]Beyond Femtech「女性×テクノロジー」の未来:今の健康診断では女性の健康は守れない?求められる検査項目とは(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00037/060800011/
女性活躍推進法が今年4月に施行され、ダイバーシティへの取り組みも広がる中、女性特有の健康課題への対応が注目されている。(2022/06/10)

[11]WELL BE INDUSTRY、未病を6次産業化する「株式会社WELL BE INDUSTRY」の顧問に西根英一氏が就任ー未病判定ツール“WELL BE CHECK(R)”の社会実装体制を強化ー(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000088006.html
未病ヘルスケア領域に明るい西根英一氏を顧問として迎え、未病産業を社会実装していくためのロードマップの監修等に参画いただく。(2022/06/13)

[12]ピックアップ特集 リハビリ新時代:第1回「ホテルリハビリ」登場ー車椅子でチェックイン、歩いてチェックアウト(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00053/060700002/
昨年秋、ホテル滞在型のリハビリプランをスタートさせたのが「リーガロイヤルホテル」。ホテルとリハビリの組み合わせは、どのようにして生まれ、どう進められてきたのか?(2022/06/13)

[13]日本バナナ輸入組合、臨床試験によりバナナの長期摂取による日本人肥満者における貧血抑制効果の可能性を確認【PDF】
https://www.banana.co.jp/doc/pressrelease4.pdf
https://www.banana.co.jp/
世界の中でも鉄不足が顕著な「貧血大国」日本。バナナを食べることで、肥満者特有のメカニズムが引き起こす“隠れ貧血”リスクの低減に期待。(2022/06/14)

[14]トップアナリストに聞く「2030年のヘルスケアビジネス」:投資家は米国ヘルスケア企業のどこを見ているのか?(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00019/060700027/
世界の投資家は米国ヘルスケア企業の何に期待し、どこに注目しているのか。SBI証券の榮聡氏に聞く、株式市場から見た米国ヘルスケアセクターの注目点。(2022/06/14)

[15]クラブビジネスジャパン、「フィットネスコミュニティリーダー養成講座」2022年7-9月期 参加者募集中!
https://business.fitnessclub.jp/articles/-/1073
フィットネスクラブや地域での、コミュニティの立ち上げから、継続的な運営方法を実践的に学ぶ講座。1講義目:7月14日(木)オンライン、2講義目:7月24日(日)大阪府内公園、3講義目:8月2日(火)オンライン。

[16]テキストメッセージのNLP解析-増悪する若年者メンタルヘルス
https://mhealthwatch.jp/global/news20220610
テキストベースの無料メンタルヘルスサービスを提供するCrisis Text Line社はこのほど、同団体の活動を通じて明らかにされた「米国におけるメンタルヘルス状況」に関する報告書を公開。(2022/06/10)

[17]『mHealth Watch』注目ニュース:フィリップス、現代人の生活習慣を整える「光環境ヘルスケア」
https://mhealthwatch.jp/japan/news20220620
今回注目するのは、体内時計と光に関連した「光環境ヘルスケア」というアプローチです。(2022/06/20)