こんにちは。脇本和洋です。

[海外事例にみる継続支援アプローチ編]では、我々のリサーチ活動の中から、注目テーマ(事例)を毎月紹介しています。

今号のテーマは「CGM(持続血糖モニター)」。

CGMは、行動変容を促す新たな測定機器として注目されていますが、はじめてこの言葉をお聞きになる方も多いと思います。

今回は、CGMについて簡単に触れた後、

  • CGMは、何をするもの?
  • CGMの代表例(abbott「FreeStyleリブレ」)
  • CGMの今後

という切り口で紹介します。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

行動変容を促すCGMとは?(その1)

CGMとは、Continuous Glucose Monitoringの略です。
日本語だと「持続血糖モニター」と呼ばれ、血糖値(注1)の変動を測定する医療機器です。
血糖値は1日のなかでも、食事(内容、量など)、運動、ストレスなど、さまざまな要因で変動しています。

※(注1)
正確には、CGMで測定するのは皮下の間質液中のグルコース濃度です。
一般的な血糖値(血液中のグルコース濃度)と、間質液中のグルコース濃度との間には、高い相関があります。

CGMは、何をするもの?:行動変容を促す

患者が自宅で血糖値測定をする際、今までは指先から採血し、血糖値を測定していました。
しかも、一日に測定を数度行う必要があり、患者にとって大きな負担でした。

CGMの特長は、

  • 採血が不要なこと(皮膚にパッチのようなセンサーを付ける)
  • 血糖値(間質液中のグルコース濃度)が連続的にわかること

です。

そして、日々の生活の中で、どんな行動が血糖値を上昇させ、どんな行動が血糖値を下げるのかが、容易に身をもってわかるのです。
これが、健康行動を継続させることにつながる新しい切り口であり、『行動変容を促す機器』とも言われる理由なのです。

CGMの代表例:abbott「FreeStyleリブレ」

■企業名:abbott

■企業概要
医療用医薬品、栄養剤、医療機器、診断薬、診断機器の製造開発および販売を行うグローバル企業

■提供するCGMサービス名:「FreeStyleリブレ」
https://www.myfreestyle.jp/patient/


■サービス概要(主な構成)

  • FreeStyleリブレ センサーキット(患者用):直径35mm、厚さ5mmの小型センサー(使い捨て)。上腕後部に最長14日間装着し、連続的にグルコースを測定・記録する
  • FreeStyleリブレ Link(患者用):センサーと連動するよう設計されたスマートフォンアプリ。患者がスマートフォンを使っていつでも、どこでも、より自然な形でグルコースがわかる
  • リブレ View(医師向け):医療従事者が血糖トレンドをわかるレポートを提供し、より良い糖尿病診療を可能にするクラウドベースのデータ管理システム
  • リブレ LinkUp(家族向け):患者と家族がつながり、家族も一緒に糖尿病の自己管理のサポートを行うことができるスマートフォンアプリ


■実績

・FreeStyle リブレは、CGM技術を用いた世界をリードするデバイスであり、2014年に欧州で発売されて以来、50カ国以上で400万人近くの人々に使用されている

・日本では2016年5月に製造販売承認を取得し、2017年1月に発売されている

・FreeStyle リブレの売上(世界)
ー3,700億円(2021年)
ー2,600億円(2020年)
ー1,800億円(2019年)
※1ドル100円換算の場合


■健康行動継続の工夫

  • 日常生活の中で楽に血糖値(間質液中のグルコース濃度)を計測できる(都度採血する必要がない)
  • どんな行動が血糖値を上昇させ、どんな行動が血糖値を下げるのかが、容易に身をもってわかる
  • 1日平均のグルコース値がわかるので、1日という単位で生活全体を評価できる(測定の都度、一喜一憂しないですむ)
  • 医師や家族と共有できる

CGMの今後:CGMが様々な形で応用されていく

今回は、簡潔にCGMについて解説してみました。
いかがでしたでしょうか。

日本でも利用者はさらに拡大していくものと予想されますが、今後の気になる展開を一つ紹介します。
それは、一般向けの展開です。

2022年1月のConsumer Electronics Showで、アボットの取締役会長 兼 最高経営責任者(CEO)のロバート・B・フォード氏が、発表を行いました。
以下がその要点です。

  • アボットはLingoと名付けられた、全く新しいカテゴリーとなるコンシューマー向けのバイオウェアラブルを開発している
  • Lingoは、FreeStyle リブレのセンシングテクノロジーに基づき、設計されている
  • センサーに使われている技術は、血糖、ケトン体、乳酸、そして将来的にはアルコールといった体内の主要な指標を記録できるよう設計されている


アボットの最新動向を見てもわかるよう、今後CGM技術は一般向けにも応用されることが予想されています。
来月のメルマガ本編では、このあたりの動きについて紹介します。 【脇本和洋】


※参考>アボット、バイオウェアラブルの未来形を発表(2022年1月)
https://www.abbott.co.jp/media-center/press-releases/01-06-2022.html

参考>本編「海外事例にみる継続支援アプローチ編」をお読みの方へ

我々スポルツが今までに調べてきた500超の事例から実績をベースに16事例を選定。米国先進事例の「行動継続を促す工夫」を調査分析したレポートの紹介です。

詳細は以下となります。ぜひ参考にしてください。

●ヘルスビズウォッチ・レポート
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
ー サービスの継続利用を高めるアイデアを、
チームで精度高く短期間で生み出すための発想素材! ー

健康ビジネスキーワード

「教わるのではなく、学ぶ! 」

不成功とは負けることではない。
負けることで学び、それが成長につながる。
失敗から勝ち筋を学ぶことができる。
受動的に教わるだけではだめ。
また、不成功は何もしないことだ。
能動的に何事からも学ぶ時代。

今週の注目記事クリップ

[1]ブレインスリープ、睡眠計測ウェアラブルデバイス「ブレインスリープ コイン」発売~毎日の眠りがコインになる、より良い眠りが新しい価値に~
https://brain-sleep.com/uncategorized/5778/
睡眠医学に基づいて独自開発したアルゴリズムによる高性能な解析と、細分化された計測項目から、パーソナライズ化された自身の睡眠課題が抽出でき、効率的に改善に導きます。(2022/10/05)

+++★追加解説音声:100秒(編集主幹 大川)★+++
睡眠計測経済圏のヒントになります!
https://youtu.be/KkTLJB3dBy0

[2]キリンホールディングス、キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」を配合した免疫機能の機能性表示食品ラインアップを2.2倍に拡大
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2022/1005_02.html
免疫ケアを通じた人々の健康に貢献する社会的意義に賛同いただき、大正製薬や常盤薬品工業など、パートナー企業が拡大。ライフスタイルに合わせて選べる38商品に。(2022/10/05)

[3]アドビ、未来の働き方に関する調査を8カ国で実施
https://www.adobe.com/jp/news-room/news/202210/20221005_survey-on-the-future-of-work.html
調査では、70%以上の管理職と従業員が職場での変化が普遍的なものになってきていることに同意。また、従業員は生産性を維持するためだけでなく、不確実な時代において安心感を得るためにもデジタルツールを信頼するようになっていることが判明。(2022/10/05)

[4]KAKUDO、ランニングしながらコーチングを受けられる「Commit Run」スタート(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000100526.html
最大8人でグループ通話を繋ぎ、ランニングをしながらコーチングを受けられるコミュニティサービス。毎週朝6時から1時間、参加者でグループ通話を繋ぎながら一緒にランニングをします。(2022/10/05)

[5]パーソナル・サウナ KUU、個室サウナは温泉・銭湯のサウナ以上に“ととのう”!?近年話題の個室サウナにしかない魅力を徹底調査!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000100951.html
個室サウナに通っている男女を対象に「個室サウナにしかない魅力」に関する調査を実施。個室サウナーさんが個室サウナに通い始めたきっかけや通う頻度、そして魅力や重視しているポイントが明らかに。(2022/10/05)

[6]ヘルスツーリズム認証プログラム「サンスター心身健康道場一日体験」に挑戦(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/column/00010/100300024/
時代に先駆けたサンスターの健康への取り組み(前編)。国内有数のオーラルケアメーカーであるサンスターが、ごく早い時期から進めてきた幅広い健康事業について、その背景と成果をお伝えしたい。(2022/10/05)

[7]mediVR、“成果報酬型”リハビリ施設「mediVRリハビリテーションセンター東京」を日本橋に開設(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000051411.html
mediVRは業界で初めて成果報酬型の料金システムを採用。“治ったとき、治った分だけ”報酬を受け取るシステムで、他院から「改善が見込めない」と言われてしまった患者を応援。(2022/10/06)

[8]360 Wellness、究極の予防医学セミナー「受胎・妊娠中から始まる生理学的プログラミングと病気発生の仕組み」開催(PR TIMESより)
https://360wellness.co.jp/seminar_20221123/
開催日は11月23日(水・祝)。酵素栄養生化学、細胞分子生物学の世界的トップエキスパートの一人、マハマン・ママドウ博士2年半ぶりの来日ワンデイセミナー。(2022/10/06)

[9]今後新たに普及していくのはどのようなウェアラブルデバイスか?(Healthtech DBより)
https://healthtech-db.com/articles/wearable-device-2022-02
本記事では、現在普及しているウェアラブルデバイスとは異なるデータ・利用目的を有するものの中で、特にどのような機器が勢力を伸ばすかについて考察する。(2022/10/06)

[10][2022年トレンド7]加速するアクティブエイジング(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/trend-221006-1
ウーマンズが毎年2月に発表する恒例の「女性ヘルスケア市場のトレンドキーワード」。2022年は8つのキーワードを発表した。本稿では「加速するアクティブエイジング」を解説。(2022/10/06)

[11]雪印メグミルク、「中高年に対する外出・骨の健康に関する調査」を実施
https://www.meg-snow.com/news/2022/15598/
全国40歳-79歳の男女計500名を対象に調査。コロナ禍でのインドア生活により、中高年世代の約半数が運動量の低下を訴える結果に。10月の「骨と関節の月間」に合わせ、骨の健康状況の把握に役立つ「骨の健康度チェッカー」を公開。(2022/10/07)

[12]「リーンマネジメント」とは?事業の変革や創出をしていくためのヒント(Fitness Businessより)
https://business.fitnessclub.jp/articles/-/1266
リーンマネジメントとは、「顧客起点」でゴールを設定し、ゴール到達までの無駄を排除(リソースの節約)しながら、事業やサービスを最大限に高めるための継続的なプロセスのことを指す。(2022/10/07)

[13]セールス・オンデマンド、コロナ禍で増える宅トレの環境で最も意識が低いのは空気環境!運動時の呼吸量は平常時の10倍、専門家も宅トレ時の室内空気に警鐘を鳴らす(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000116.000000862.html
スウェーデン発の高性能空気清浄機「Blueair」の日本総代理店であるセールス・オンデマンドは、コロナ禍で増えた自宅トレーニングと運動時の室内空気に対する意識について、宅トレ実施者を対象にした調査を実施。(2022/10/07)

[14]博報堂生活総合研究所、30周年を迎えた生活者への時系列調査「生活定点1992-2022」の最新結果を発表
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/100243/
本リリースでは2022年に“過去最高”・“過去最低”を更新した主な項目についてご紹介。1992-2022年=平成初期から令和にかけての30年間の調査データの推移からは、社会や慣習に縛られず自律に向かう生活者の様子がみえてきました。(2022/10/11)

[15]協和、生命科学の人気書籍を読み解く!Youtube番組「生命科学アカデミー」本要約チャンネル開設【PDF】
https://www.kyowa-group.co.jp/wp-content/uploads/2022/10/pr-20221011.pdf
https://www.kyowa-group.co.jp/
このチャンネルでは、それぞれの個性をもったキャラクターが集結した「細胞活性化し隊」が、書籍を読み解くことで世界中の若返りの秘訣を探ります。(2022/10/11)

[16]HiJoJo Partners、世界が注目する最新イノベーション企業がわかる、米国ユニコーン企業100社リスト[2022年10月版]公開(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000035.000035674.html
米国に本拠を置くユニコーン企業を企業評価額順に100社リストアップした米国ユニコーン企業100社リスト「UNICORN100」の最新版をHiJoJo Partnersの投資家向け情報サイト「HiJoJo.com(https://www.hijojo.com/)」で公開。(2022/10/11)

[17]『mHealth Watch』注目ニュース:Google、Suica対応『Pixel Watch』正式発表
https://mhealthwatch.jp/global/news20221017-2
ついにGoogleからスマートウォッチ『Pixel Watch』の発売です。私はスマートウォッチの魅力は、ヘルスケア機能がどれだけあるか?ではない、他の部分でのワクワク感が重要と思っています。(2022/10/17)