こんにちは、渡辺武友です。
あなたはどうやってサービス名称を決めていますか?
実はサービス内容は同じでも、サービス名称で参加率に格段の差が出てしまいます。
今回は、ヘルスケアにおけるサービス名称について解説していきます。

特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編

本当に動かしたい人を動かすサービス名称とは?

提供するサービス名称はどうやって決めていますか?

「禁煙プログラム」
「減量プログラム」
「腰痛改善プログラム」

このような名称にしたとき、誰が参加したいと手を挙げるのか?
それは禁煙や減量、腰痛改善をしたい人ですね。

企業・健保向けや自治体向けでは、参加して欲しい対象者は、禁煙プログラムであれば、タバコを吸っている人全員で考えます。
しかし、募集してみると参加率は喫煙者の内1、2%程度に留まってしまうことがあります。

なぜそんなことが起きるのか?

ほとんどの場合、入口となるタイトル付けから間違ってしまっているためです。
今回は、本当に動かしたい人を動かすためのサービス名称について解説していきます。

そのサービス名称は誰のため?

例えば、禁煙プログラムの名称は「卒煙プログラム」などがあります。
喫煙と卒業を組み合わせた的を射たサービス名称ではあります。
但し、このサービス名称はプログラムで得られる結果のみを表しています。

ですので、このサービス名称で集まるのは

「タバコをやめたいと思っているが、自分ではなかなかやめることができなくて困っている人」

になります。

ターゲットを「禁煙したい人」に絞るならよいですが、喫煙者全般、つまり喫煙をやめたいと思っていない人には響かないことになります。
これが、参加率が喫煙者の内1、2%程度に留まってしまう原因です。

確かに「卒煙プログラム」とした方が、提供者と企業などの担当者で議論する上ではわかりやすく採用されやすいです。
でもこれでは決裁者には響くかもしれませんが、本当に振り向かせたい人に興味を持たすことには貢献しないままになってしまうのです。

タイトルはターゲットに合わせた「得たいゴール」を

減量プログラムを提供しようとした場合も同じことが起きます。
サービス名称はそのまま「減量プログラム」や「メタボ改善プログラム」などがありますね。
このサービス名称で集まる対象者は「減量したい人」に絞られます。

肥満度合いなどの条件を絞らないで募集すると、見た目はモデルのように痩せている人まで集まってしまうことがあります。
そのような人は体型に関して意識が高いので、自身の理想とする体型に近づけるなら、いろいろとチャレンジしたいと思っている人が多いようです。
課題となる「太っていることを気にしない人」には響かないことになります。

「太っていることを気にしない人」に響かせるために考えるべきは、痩せるというゴールではなく、彼らが痩せることで「何を得られるのか?」「それは頑張ってまで得たいと思うことなのか?」を見つけることです。

未婚者や若手をターゲットにするなら、異性からどう見られるか?は気になるポイントです(Z世代なら異性より同性の方が気になるでしょう)。
子供がいるなら「かっこいいパパ」「きれいなママ」に見えることに憧れる人は多くいます。
仕事に子育てに忙しいので自分の体型は諦めている人もいるので、そんな人も無理なくできそうと思えれば響く可能性が出てきます。

このように注力したいターゲットを中心に考えると「痩せた先に得たいこと」がはっきりしてきます。

同じサービスを戦略的に展開する方法

「ターゲットに合わせた痩せた先のゴールの見せた方で集まるのはわかったけど、対象者は幅広く考えたい」

このように思うことがあります。
実際、企業担当者からも「全従業員均等に提供したい」と言われることがあるでしょう。

でも、誰にでも響きそうなゴールにすると、感度の高い人しか集まらず、元の木阿弥です。
ここで考えるべきは戦略的に展開することです。

あえてターゲットを絞って結果を出し、次のターゲット向けに前回の実績を見せつつ募集します。
このように少しずつ違うターゲットに展開していきます。

実は全従業員均等にしたテーマでも、最初に集まるのは感度の高い人ですので、その参加者(イノベーターやアーリーアダプター)が成果を出したのを見て、次のアーリーマジョリティーが興味を持ち、結果的には段階を踏むことになります。

但し、全従業員均等にしたテーマのままでは、いつまでも本当に参加して欲しい人には響かない可能性があります。
ですので、本当に参加して欲しい人を動かす具体的なテーマ設定をしていった方が、参加してもらえる可能性が高まるのです。

企業担当者とも、1回の施策だけで話すのではなく、戦略的に展開する全体像を伝えることがポイントとなります。

話しを戻して「禁煙プログラム」にどうやって集客すればよいでしょうか?

実は「減量」より、はるかに難易度は上がります。
なぜなら「減量」の場合、痩せることがイヤと思っている人はかなり少なく、多くは「できたら痩せるに越したことはない」と考えています。

でも「禁煙」はそうはいきません。
「タバコを吸い続けたい」と思っている人達なので、タバコを否定されることを言われることに聞く耳を持ってくれません。
まずは「タバコを吸うことを認めてあげる」ことから入らないと、そもそも耳を傾けてくれません。
ですので、タイトルも「タバコをやめて得られるゴール」ではなく「タバコを肯定しながらもその人が興味を持つこと」から入る必要があります。

この展開方法の意味するところがわかるようになると、難易度の高いテーマでもアプローチできるようになります。
ぜひチームメンバーと議論してみてください。

デジタルヘルスの最新動向をまとめて掴む

「デジタルヘルス」とは何か?一言で表現するのは難しく、扱うテーマも広範囲となります。
議論の中で「デジタルヘルス」と言われても、「デジタルヘルス」の定義は人それぞれのため、議論が噛み合わない場面も見受けられます。

現在の「デジタルヘルス」が示すのはどのようなテーマなのか、また最新動向はどのようになっているのかを1冊にまとめたのがITヘルスケア学会監修「デジタルヘルスの最新動向2023」です。

第1章で「デジタルヘルス分野における課題と将来展望」として、私(渡辺武友)も執筆させていただきました。
HealthBizWatchでも紹介してきた海外のValue Based Health Care、国内のPay For Successにより、どのようなことが起き、今後何が必要とされるのかを、詳しく解説しています。

年度が替わるこのタイミングで、デジタルヘルスの最新動向を掴んでおきましょう。

詳細・ご購入はこちら
https://research.impress.co.jp/topics/list/smartcity/662

健康ビジネスキーワード

「卒業という接点づくり」

顧客との関係性をどう続けていくか?
LTV(顧客生涯価値)を追求することが正しい戦略という空気圧のもとに、様々なメディアやレポートで語られていることを難しいと感じている読者も多いことと思います。
実際、この取り組みは簡単ではありません。

未来永劫関係性を途切れず描いていくことはとても難易度の高い仕事になります。
いや、、ほとんどの場合無理。

顧客がサービス価値を享受し、自己変容し、卒業していくことを受容し、そこに意味を込めて、また再開できるための接点をどう繋ぐか?を考え工夫していく方が現実的であり実現可能性が高いです。

今週の注目記事クリップ

[1]大正製薬、人生100年時代を健やかに生きる「NMN taisho」新発売
https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230301001244.html
昨今美容雑誌などで話題の成分“NMN”(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド)を配合したサプリメント。一日摂取目安量の3粒あたり、枝豆約33,300粒分に相当するNMN250mgを配合。(2023/03/01)

+++★追加解説音声:120秒(編集主幹 大川耕平)★+++
人生100年時代マーケットが始まっています。
https://youtu.be/xG1rgV18AF4

[2]サンスター、女性の健康と口腔に関する調査:出産経験者の約4割が「むし歯治療・歯周病予防」を妊娠前から実施せずに後悔
https://www.sunstar.com/jp/newsroom/news/20230301-1/
「女性の健康週間」(3月1日-3月8日)に合わせて、全国の女性1,309名を対象に調査を実施。妊娠前から「むし歯予防・歯周病予防」をした方が良いことを知っていた方は約7割(66%)、など。(2023/03/01)

[3]ブレインスリープ、「脳まで眠る 睡眠がすべてを解決する」宝島社より発売開始
https://brain-sleep.com/news_corporate/7704/
本書ではブレインスリープが提唱する良質な睡眠を実現させるためのメソッドを余すところなく解説。日常生活におけるパフォーマンス力向上や健康・メンタル面などに関係する日常生活における様々な悩みを睡眠で解決する方法を提案。(2023/03/01)

[4]mitoriz、2人に1人が週1日以上のペースで1日3食、誰とも食事をしない!でも「孤食=寂しい」とは限らない!?“あえて1人が良い”孤食派が3割
https://www.mitoriz.co.jp/pressrelease/20230301-3878/
消費者購買行動レポートデータサービス「Point of Buy(R)」の会員2,006名に「食事に関するアンケートによる孤食の調査」を実施。回答者の4人に1人が「ほぼ毎日」すべての食事を一人でとっている、など。(2023/03/01)

[5]FiNC Technologies、アサヒビール「スタイルフリー<生>」から提供する 糖質量や純アルコール摂取量が可視化できるアプリ「スタフリ」のサービス開始!
https://company.finc.com/news/15994
飲酒レコーディングアプリ「スタフリ」は、飲酒した商品の純アルコール量、糖質、カロリーを記録できるほか、体重や食事、運動量、睡眠なども記録し、可視化することができます。(2023/03/01)

[6]Intellect Japan、「Intellect」に「ウェルビーイング診断」機能が追加(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000102702.html
「ウェルビーイング診断」結果を13領域で数値化し、個々の従業員が抱えるメンタル課題の抽出と解決策を通して従業員を「ウェルビーイング」な状態に導く。(2023/03/01)

[7]ソニーネットワークコミュニケーションズ、ヘルスケアサービスプラットフォーム「X.SINCE」、運動サポート機能を提供開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001387.000000196.html
本機能では、ユーザーが音声やUIに沿って運動を行い、自身でその様子をスマートフォン上で動画撮影すると、撮影された情報をリアルタイムで解析し、運動の回数や時間をカウントします。(2023/03/01)

[8]アキュリスファーマ、睡眠業界の横断組織「睡眠サービスコンソーシアム(Sleep Services Consortium)」に参画
https://aculys.com/jp-partnership-sleepservicesconsortium-20230302/
新しい製薬モデルを目指すベンチャーとして業種の垣根を超えた睡眠改善の取り組みに賛同。(2023/03/02)

[9]ファンケル、心理社会的ストレスと腸内細菌の関係性における新知見 腸内環境を整えることがストレス対策につながる可能性に!
https://www.fancl.jp/news/20230021/news_20230021.html
本研究では、うつ病との関連が強い心理社会的ストレスと、それに関わる脳活動について、健康な男性を対象に前頭葉における心理社会的ストレス反応と腸内細菌の関係を検討しました。(2023/03/02)

[10]大阪大学とNECによる「NEC Beyond 5G協働研究所」、確率的デジタルツインの社会実装に向けたリビングラボを設立
https://jpn.nec.com/press/202303/20230302_01.html
「NEC Beyond 5G協働研究所」は、生活空間の場において研究開発を実施するリビングラボの手法を用いた実証を、サービス付き高齢者向け住宅「柴原モカメゾン」にて開始しました。(2023/03/02)

[11]パナソニック ソリューションテクノロジー、パナソニックの長時間労働抑止システム「Chronowis」がバージョンアップ(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000062053.html
今回のバージョンアップでは、強制ログアウト機能の追加により、シンクライアント環境でもクライアントPCの利用抑止が可能に。(2023/03/02)

[12]ロッテ、「“噛む”で嬉しい 親子ガムトレ教室」を開催!【PDF】
https://www.lotte.co.jp/info/news/pdf/20230301180944.pdf
https://www.lotte.co.jp/
フーセンガムトレーニングは口腔機能の発達に繋がる!専門家が「正しい噛み方」と「お口ポカンのリスク」について解説。(2023/03/02)

[13]メディロムグループ、Goodな腸は1日にしてならず!Re.Ra.Ku(リラク)式腸活がスタート
https://medirom.co.jp/20230302
リラクゼーションスタジオRe.Ra.Kuで、新サービス「Re.Ra.Ku 式腸活」のファスティングプログラムを販売開始。4つのSTEPを通じて身体の内側と外側からアプローチを行い、第二の脳と呼ばれる腸を整えて慢性的な疲労解決を目指す。(2023/03/02)

[14]アサヒグループ食品、機能性表示食品「骨こつケア」の新プロジェクトで骨の健康の重要性を訴求
https://www.asahi-gf.co.jp/company/newsrelease/2023/0302/
3月3日は『骨の健康デー』、5月23日は『骨密度ケアの日』と制定。それぞれの記念日の制定に合わせて、新たなアンバサダーを活用した新広告の展開、骨密度測定会などのイベントを実施していく予定。(2023/03/02)

[15]エコナビスタ、コーポレートサイトをリニューアル
https://econavista.com/news/20230306_release_renewalhp/
「睡眠が見えれば、世界はもっと良くなる」をテーマにデザインを刷新。新たなコーポレートサイトでは、エコナビスタのミッションや事業内容などを詳しく掲載しています。(2023/03/06)

[16]JMDCとライフログテクノロジー、食事データを含めたライフログデータの活用に向けた業務提携を締結
https://www.calomeal.com/pressrelease/20230307.html
JMDCはPHRサービス「Pep Up」において、ライフログテクノロジーが提供する「カロミルWebView」等を導入し、「Pep Up」ユーザーの利便性向上と同時に、食事データを含めたライフログデータの活用に向けて業務提携を締結。(2023/03/07)

[17]Emma Sleep Japan、「働く女性の睡眠と健康に関する意識調査」を発表(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000070849.html
20代女性の約4人に1人は眠るまでに60分以上かかっていることが判明。女性が眠りにつけない理由トップ3は「プライベートの考えごと」「心配ごと」「仕事の考えごと」。(2023/03/07)

[18]ニッセイ基礎研究所、データヘルス改革による健康・医療データ利活用推進の状況 基礎研REPORT(冊子版)3月号[vol.312]
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=74029?site=nli
健康・医療情報プラットフォーム構築と利活用の概要、データヘルス改革・集中改革プランの進捗などについて。(2023/03/07)

[19]グローバルインフォメーション、市場調査レポート 世界のスマートウェアラブル温度計市場:考察と予測(2029年まで)
https://www.gii.co.jp/report/qyr1230624-global-smart-wearable-thermometer-market-insights.html
当レポートは、スマートウェアラブル温度計市場について調査しており、市場規模や動向・需要の予測、成長要因および課題の分析、競合情勢、主要企業のプロファイルなどの情報を提供しています。(2023/03/07)

[20]日本計画研究所、北欧のデジタル先進国から学ぶ 次世代型スマートシティ構築の秘訣
https://www.jpi.co.jp/seminar/16447
開催日は2023年05月23日(火)。本セミナーでは、海外先進事例を参考にスマートシティを実装するメカニズムを明らかにすると共に、我が国の次世代社会システムの高度化を通じイノベーションによる発展を導くにはどのように対応するべきなのか?と言ったテーマについて考察いたします。

[21]Samsung、『Galaxy Watch5』に温度センサーによる高度な周期追跡機能を追加
https://mhealthwatch.jp/global/news20230301-2
Samsungによると、この高度な月経周期追跡機能は北米、ヨーロッパ、アジアを含む世界32か国のスマートウォッチ所有者が利用できるようになる。(2023/03/01)

[22]Amazon.com、One Medicalの買収完了。サブスク医療サービスを年額144ドルで提供へ
https://mhealthwatch.jp/global/news20230307
AmazonはOne Medicalのサービスを米国で年額144ドル(約2万円)で提供する。プライムサービスとは別の独立したサービスとしての提供となる。(2023/03/07)

[23]『mHealth Watch』注目ニュース:調査:消費者の80%がテレヘルスを利用したことがある
https://mhealthwatch.jp/global/news20230313
今後のテレヘルス普及のために参考にしたいのが先行する米国の動向です。ビデオ・テレヘルス(顔が見えるテレビ電話の状態)の利用率は横ばいなのに対し、音声、メール、アプリでのコミュニケーションなどの利用率が上がっています。(2023/03/13)