こんにちは、里見です。

BtoBとBtoCのヘルスケアサービスでは、実際に使っていただく利用者さんの意識が大きく異なることは、ヘルスケアサービスに関わる多くの方々が認識されていることだと思います。

しかし、この意識の違いや意識の変化に対して、具体的にアプローチしているBtoBのヘルスケアサービスは、それほど多くないのではないでしょうか?

そこで今回は、この意識の違いや意識の変化に対してのアプローチについて、ヘルスコーチングの視点で解説してみたいと思います。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:BtoBのヘルスケアサービスの難しさの理由を利用者の意識の低さで片付けていませんか?

1、BtoB、BtoCでも健康課題認識は大きく変わらない

健康意識の違いというので一般的に知られているものに、以下の行動変容ステージがあります。

行動変容ステージ

・無関心期(6ヶ月以内に行動を変えようと思っていない時期)
  ↓
・関心期 (6ヶ月以内に行動を変えようと思っている時期)
  ↓
・準備期 (1ヶ月以内に行動を変えようと思っている時期)
  ↓
・実行期 (行動を変えて6ヶ月未満の時期)
  ↓
・維持期 (行動を変えて6ヶ月以上継続している時期)

BtoBという括りで見た場合、組織や団体の中には、これだけ意識の違う人達が存在するため、一つのアプローチ、サービスでは、なかなか良い結果が出せないのは当然だと言えます。

そのため、一つの組織や団体であっても、その中のどんな意識の人達に向けてサービスを提供するのかということが重要になってきます。

しかし、これはあくまでも「行動変容ステージ」での意識であって、例えば「無関心期」の人達は行動をすぐに変えようと思っていないだけで、健康課題に対しての認識、理解は当然あるはずなのです。
健診結果の数値が悪ければ課題としては認識だけはします。
また太っていることは健康にはよくないといった課題感はもっているのです。

テレビで健康をテーマにした番組をよく見かけますが、それだけ健康については多くの人々の関心事になっていることは間違いないはずです。
それが自分ごと化されているかどうかは次のステップなのですが、まずは健康に対して自分の健康課題は少なからず認識しているものです。

この時点での意識については、BtoB、BtoCそれぞれの領域の利用者であっても、健康課題としての認識レベルについては、それほど大きく異ならないものなのです。

2、BtoB、BtoCの意識の違いの分かれ道

BtoB、BtoC向けのヘルスケアサービスの利用者の意識が大きく違ってくるのは、健康課題を認識した後の意識の違いになってきます。

BtoCのヘルスケアサービスの利用者は、健康課題を認識した後、改善への意識、意欲がしっかりと内在化しています。
だからこそ、自ら費用を負担してまでサービスを受けるといった行動につながっていくのです。

しかし、BtoB向けのサービスでは、健康課題を認識した後、改善への意識、意欲が高くない、存在しない人達も少なからず利用者として含まれてきます。
サービスの成果、効果として見た場合に、この点がBtoC向けのサービスと比べると見劣りする結果として見えてしまうケースが多いものです。

3、健康課題を認識した後、改善への意識、意欲へは自分ごと化がカギ

健康課題を認識しても、改善への意識、意欲が高まらないと行動にはつながっていきません。
健康課題は認識したとしても、すぐに改善行動に向き合える人は、課題を自分ごととして捉えられているからなのです。

自らの健康課題を認識したといっても、一般的なことを自分に当てはめているレベルでは、課題そのものが自分ごと化されていないということになります。

例えば、
自分は太っている → 一般的に肥満は健康によくない → 自分はまだ大丈夫
血圧が高め → 血圧が高いと心疾患、脳疾患になる → 自分はまだ大丈夫

健康課題を認識して、しっかりと自分ごと化されることで、はじめて改善への意識、意欲が高まるのです。

この健康課題を認識して自分ごと化されている状態からスタートするのが、BtoC向けのサービスであり、BtoB向けのサービスでは、残念ながら健康課題を認識したとしても自分ごと化されていない状態で、改善への意識、意欲が高くない、存在しない人達も少なからず含まれていることを前提に、プログラム、サービスを提供していく必要があるのです。

4、健康課題を認識して自分ごと化に向けたアプローチ

健康課題を認識したとしても自分ごと化されていない人に向けたBtoBサービスでは、残念ながら一つのアプローチだけでは、効果を上げる、改善に向かわせることは難しいです。

特に、健康課題を認識したとしても自分ごと化されていない人にとっては、「健康」ど真ん中のアプローチだけでは、興味、関心を持ってくれません。
やはり、まずは興味、関心を持ってもらえるアプローチ、伝え方などの様々な工夫、アプローチが必要になってきます。

例えば、ヘルスプロモーションやゲーミフィケーション、インセンティブなどのアプローチです。

しかし、それらだけでは健康課題を認識したとしても自分ごと化へのアプローチになりません。
そこで必要になるのが、自分ごと化してもらうための本人への「気づき」のアプローチなのです。

例えば、病気による恐怖をコンテンツとして提供し恐怖を植え付けたとしても、そもそもまだ自分は大丈夫だと認識している人には響きません。
ティーチング的に情報を提示するだけでの手法だけでは、自分ごと化に作用することは難しいものです。

ここで出番となるのが、私が専門領域としているヘルスコーチングのコミュニケーション、アプローチです。
ヘルスコーチングのコミュニケーション、アプローチの基本は、対象者の自らの気づきから主体性を持った取り組みにつなげていくプロセスなのです。

健康課題を認識しても自分ごと化されていない人に向けては、まずは興味、関心を持ってもらえるアプローチ、伝え方でサービスを使ってもらいます。
その中でヘルスコーチングの要素を組み込みながら、次の段階である改善意識、意欲に向けた自分ごと化へのステップが、プログラム、サービスとしては必要になってくるのです。

BtoB向けのサービスでは、この意識の変化、自分ごと化へのステップアップのアプローチやプロセスを加味した提供が重要です。

このように、意識の変化や自分ごと化に向けたアプローチをしっかりと組み込んでサービス、プログラムを提供することが、BtoB向けのサービスでは求められているのです。

BtoBのヘルスケアサービスの難しさの理由を利用者の意識の低さだけで片付けていては、まだまだアプローチ不足と言えます。

BtoBのヘルスケアサービスの解決策として、ヘルスコーチングだけでなんとかなるとは一切考えておりませんし、BtoBのヘルスケアサービスがそんな簡単なものではないことは重々理解しています。
BtoBのヘルスケアサービスは難しいからこそ、様々なアプローチ、手法を組み合わせて提供していくことで、少しずつ解は見えてくるのではないかと考えています。

また、自分ごと化へのアプローチの必要性として、ヘルスコーチングのコミュニケーションや要素、アプローチもその一つとして位置付けられると私は考えています。

ヘルスコーチングは、あくまでもコミュニケーションや要素、アプローチなので、他のアプローチやメソッドと組み合わせることは可能なのです。

ヘルスコーチングの具体的なアプローチに関してご興味ある方、またヘルスコーチングとの組み合わせにについてご興味ある方、ぜひご連絡ください。


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健康ビジネスキーワード

事例活用法

我々は海外事例を多用してお客様企業のヘルスケアサービス事業の活性化をサポートしてきています。
事例活用には5段階あると考えています。

レベル1:表面的にパクる(真似る)
レベル2:真似て失敗して改善するがまた失敗する
レベル3:本質が何であるかを念頭に真似てみる
レベル4:本質が何であるかを念頭に真似てみて改善する
レベル5:改善プロセスで自分流に磨く

多くのプレイヤーはレベル2で頓挫します。
うまくいくプロジェクトチームはレベル3の発想から入ります。
この違いは前者がdoingだけ真似るアプローチで、後者はbeingを模索しながらdoingを試しているという違いです。
魅力的な事例は誰もが注目し真似したくなりますが、ほとんどが表面的なdoingしか見ないで進めてしまいます。
doingを生み出すエンジンとも言えるbeingを学ぶことが事例活用の醍醐味です。

我々ヘルスビズウォッチの事例活用はレベル3からを提案しています。

今週の注目記事クリップ

[1]セブン-イレブン・ドットミー・三井物産、ウェルビーイングブランド「Cycle.me」の新商品12アイテムを発売
https://www.sej.co.jp/company/news_release/news/2023/202306151000.html
「サイクルミー」は毎日の生活リズムを整えることをコンセプトに、“時間栄養学”をもとに朝・昼・夜それぞれの時間帯に合わせたウェルビーイング食品。(2023/06/15)

+++★追加解説動画:5分24秒(編集主幹 大川耕平)★+++
時間栄養学×ウェルビーイングでデザインされたオープンイノベーション・プロダクト
https://youtu.be/3-NRjDTktEU

[2]ウェルビーイング、さあ実践へ:自社はどれだけウェルビーイングか、5段階で測る「ビジョン・ゼロ企業成熟度モデル」第3回(日経デジタルヘルスより)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02483/060700003/?ST=ch_digitalhealth
ウェルビーイング(心身の健康や幸福)の実践方法を解説する連載第3回。今回は、自社のウェルビーイング度を確認するための「ビジョン・ゼロ(Vision Zero)」のツールを紹介します。(2023/06/14)

[3]SOMPOインスティチュート・プラス、Insight Plus「医療DX」の現在地と今後の展望
https://www.sompo-ri.co.jp/2023/06/14/8721/
2023年6月、政府は「医療DXの推進に関する工程表」を公表し2030年を目標とした医療DXの取り組み内容とスケジュールを示した。本工程表に基づいて、当面の政府の医療DXが進められていく見込みだ。(2023/06/14)

[4]あすけん、妊娠中の女性の喫食ランキングを発表
https://www.asken.inc/news/2023/6/13
妊娠中の女性が食べているおかず第1位は「卵・卵料理」、野菜は「トマト」。AI 食事管理アプリ『あすけん』のあすママコース利用者約1.7万人の喫食ランキングを発表。(2023/06/14)

[5]メドピア、医療機関起点の薬局予約サービス「やくばと」牧田総合病院にて運用開始
https://medpeer.co.jp/press/10779.html
「やくばと」は、薬局での待ち時間削減やかかりつけ化を推進する、処方箋画像事前送信による医療機関起点の薬局予約サービス。処方箋の事前送信で減らせる「待ち時間負担」「感染リスク」で患者さまをサポート。(2023/06/15)

[6]グローバルニュートリショングループ、98%の日本人が「ビタミンD不足」に該当、ほか
https://global-nutrition.co.jp/gngnl/gng-newsletter-20230615/
GNGニューズレター6月15日号。この記事では、会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。(2023/06/15)

[7]おいしい健康、献立を考える時間を15分以上も短縮!好きなレシピを1品選ぶだけでAIがあなたに合った献立を提案(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000043855.html
AI献立提案サービスの『ぴったん献立』をバージョンアップし、好きなレシピから一瞬で献立を提案する新機能“タップde献立”をリリース。(2023/06/15)

[8]Femtech Community Japan、男性視点からのFemtechを語るクローズドイベント「メンズで語るFemtech」を渋谷SOILで開催(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000102901.html
Femtech Community Japan主催クローズドイベント開催レポートを公開。「男性だけのグループで、フェムテックに取り組む男の悩みやあれこれを語りましょう!」というテーマでグループディスカッションを実施、など。(2023/06/15)

[9]シードプラニング、市場調査レポート:2023年版 対話AIビジネスの現状と将来展望を発刊
http://store.seedplanning.co.jp/item/11622.html
ChatGPT・GPT-4を含む大規模言語モデル(LLM)がもたらす新市場。国内の対話AIサービス市場を2027年まで予測、対話AI先進国の米国を中心に海外企業の113件の最新サービス事例を収録、など。(2023/06/15)

[10]グローバルインフォメーション、栄養補助食品市場:タイプ別、原料別、流通チャネル別、地域別-2030年までの予測
https://www.gii.co.jp/report/meti1292889-nutraceutical-products-market-by-type-functional.html
世界の栄養補助食品の市場規模は、予測期間の2023年-2030年にかけて7.8%のCAGRで拡大し、6,918億7,000万米ドルに達すると予測されています。(2023/06/15)

[11]ファンケル、FANCL NEWS LETTER2023 vol.1 自分にぴったりの運動量が一目でわかる世界初の技術を開発!【PDF】
https://www.fancl.jp/news/pdf/20230616.pdf
https://www.fancl.jp/
ダイエットやトレーニングからリハビリまで、自分にぴったりの運動量が一目で分かる世界初の画期的な技術をご紹介。(2023/06/16)

[12]矢野経済研究所、男性向け美容製品・サービスに関する調査を実施(2023年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3268
2021年度のメンズビューティー市場規模(5市場計)は、2,025億2,000万円(前年度比102.1%)となった。2022年度のメンズビューティー市場はコロナ禍の行動規制緩和により回復の見込。(2023/06/16)

[13]メドレー、働き盛りの父親世代が実はデジタルネイティブ世代以上にオンライン診療を活用(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000086.000013108.html
調査結果から、男性のオンライン診療の利用経験者を年代ごとに比較したところ、1位が30代男性(28.6%)、2位は50代男性(22.4%)、続いて3位が60代男性(20.4%)という結果。(2023/06/17)

[14]emol、「国内メンタルヘルステックカオスマップ 2023年版」を公開!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000043787.html
これまでメンタルヘルス領域では、対人支援が主流となってきておりましたが、自身でメンタルヘルスケア方法を学び、実践するための方法をアプリやwebサービスで提供する『セルフヘルプ』といったサービスが国内で展開を広げてきています。(2023/06/19)

[15]帝国データバンク、特別企画:生成AIの活用に関する企業アンケート
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230608.html
ChatGPTブームが追い風、生成AIを活用・検討している企業が6割超え。検討するも「具体的な活用イメージ湧かず」が37.8%、実践に課題。(2023/06/20)

[16]サントリー、サウナ専用ドリンク「DEKARA(デカラ)」が販路を拡大して帰ってきた!
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1387.html
商品開発を機にサウナにどっぷりハマり、熱波師検定の取得や『熱波甲子園』にも出場したサントリー担当者らによる熱波イベントも開催!(2023/06/20)

[17]ベースフード、AWS is how 広告キャンペーン[AWS「未来」編]にBASE Cookies(R)が登場
https://basefood.co.jp/news/1532
TVCMも全国エリアにて放映されていますので、ぜひご注目ください。YouTubeでもご覧いただけます。(2023/06/20)

[18]『mHealth Watch』注目ニュース:Walmart、自宅検査『Simple HealthKit』を提供
https://mhealthwatch.jp/global/news20230626
今回紹介のニュースは、「Walmartが新たに自宅検査キットを発表」というものですが、注目したいのは「Walmart Healthの体制が益々強化された」という点だと思っています。(2023/06/26)