こんにちは。脇本和洋です。

3月も中旬を過ぎ、新年度のスタートダッシュに向けて準備を進めている方も多いでしょう。

今回は、先週の本メルマガでAuthorの渡辺武友が取り上げた
「新年度スタートダッシュを成功させる企画作成3ポイント」
に関して、海外事例を参考にしてその内容を深めます。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

新年度スタートダッシュを成功させる企画作成3ポイント(その2)

ヘルスケアビジネスを新規で検討する際の企画作成ポイントについて、本メルマガ3月12日号でAuthorの渡辺武友が3つのポイントをお伝えしました。
お読みいただけたでしょうか。

・新年度スタートダッシュを成功させる企画作成3ポイント
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1077

この内容は、実際の事例を使うと理解が深まります。
そこで今回はこの3つのポイント

・ポイント1:お客さんは何にお金を払いたいのかを知る
・ポイント2:お客さんの欲を突く
・ポイント3:既存品を上回る価値

に関して、海外事例を使って深めてみましょう。


【今回使う海外事例】

・Calm
https://www.calm.com/ja

不安(不眠)を抱える人向けに瞑想法・読み聞かせコンテンツを提供する有料アプリ。
2012年に事業を開始。推定売上は840億円。

新規企画ポイント1:お客さんは何にお金を払いたいのかを知る

●要点:
ビジネスとして考えるなら「お金を払ってでも解決したい健康課題であるか?」を見極めることを最初にやるべき。
そのためには “競合が多くいる市場” を選ぶこと。


●Calmの場合:
Calmの設定した健康課題は「不眠」でした。
市場には、睡眠薬(医薬品)、サプリメント、カウンセラーなど競合はたくさんいました。
つまり不眠はお金を払ってでも解決したい健康課題といってよかったわけです。

設立者Michael Acton Smit氏は、オンラインゲームの立ち上げ経験があり、オンラインビジネスに精通していて、アプリでヘルスケア分野に参入するにあたり「お金を払ってでも解決したい健康課題であるか?」を十分見極めていたと予想されます。

新規企画ポイント2:お客さんの欲を突く

●要点:
競合が多くいる市場を選んだ後は、競合の “不足している” 点をみつけること。
どんな商品サービスであっても、100%満足することはない。
不足していることが必ずあるので、それをみつけだす。


●Calmの場合:
Calmの競合と不足点は何だったかをみましょう。

  • 睡眠薬の不足点:効き目はあるも、できれば飲み続けたくない(後ろめたさがある)
  • サプリメントの不足点:食品であり気軽に試せるも、人によって効果を感じにくい場合がある
  • カウンセラーの不足点:カウンセリングを受けて一時的によくなることはあるも、日々の実践が難しく、思考を変え続けるのは難しい

不眠市場の競合にはそれぞれ不足点があり、Calmはこれらの不足点に着目しビジネスを創っていきます。

新規企画ポイント3:既存品を上回る価値

●要点:
競合の不足点を見つけたら、そこを補う開発をする。
それが商品サービスの強みになる。
競合商品を選んでいる人にアプローチすることで、リリース後早い段階でマネタイズが見込め、ビジネスを軌道に乗せやすくなる。


●Calmの場合:

  • Calmは「不安意識をそらすこと」「自分を客観視できるようになること」を目指したサービスを出した
  • 具体的には、デイリーカーム(毎朝の瞑想10分)と就寝時のスリープストーリー(大人の読み聞かせで、様々な読み手を選べる楽しさがある)
  • 瞑想を実践(習慣化)しやすくすることで、高い効果を期待できるようにした


つまり、

ー睡眠薬のような使う時の後ろめたさがなく
ーサプリメントより安定した効果が期待でき
ー思考を変える習慣を定着させ、一般的なカウンセリングのような一時的な思考の改善ではない

といった、競合の不足点を解決していることが最大の強みなのです。

そしてCalmは、競合商品を選んでいる人にアプローチし、2012年に事業を開始後、短期間で軌道にのせ、アプリ単体でのビジネスながら推定売上は840億円という企業に成長しました。

新年度スタートダッシュに必要なヘルスケア成功失敗モデル

今回は、新規企画の3つのポイントに対して、海外成功事例のCalmがどうなっているかを紹介しました。
このポイント1から3は大変重要なので、ぜひ覚えておいてください。



<お知らせ>

「他の成功事例のポイントをもっと知りたい」
「成功事例だけでなく失敗事例も知りたい」
「新年度スタートに向けて、このタイミングでもっと仕込みをしておきたい」

と思った方向けに、

スタートダッシュで必要なヘルスケア成功失敗モデルを解説するセミナーを4月に開催します。

案内が準備でき次第、お知らせします。どうぞ楽しみにお待ちください。

健康ビジネスキーワード

「幸せホルモンの分泌スイッチ」

オキシトシンは幸せホルモンと言われており、
増やすことによって不安やストレスからの解放ばかりか
ハッピーな気持ちにつなげたいところ。

感動する
感謝する
感情を素直に表す
他人(推し)を応援する
他人の幸せを祈る

夢を語る
触れ合う(スキンシップ)
好きなことをする
友達と食事する
プレゼントを贈る
親切にする

などがそのスイッチだと言われています。
この後、皆さんはどのスイッチを入れますか?

今週の注目記事クリップ

+++★注目ニュース解説動画(解説:脇本和洋)★+++

【今回の注目】

大正製薬、日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」発売!(2024/03/04)
https://www.taisho.co.jp/company/news/2024/20240304001509.html

→解説はコチラ
アライにみる「脂肪を落とす市場の方向性」(9分18秒)

https://youtu.be/Fpf3xXNYhsQ



+++★注目記事クリップ★+++

[1]issin、体重測定できるバスマット「スマートバスマット」に健康習慣が楽しく身につく新機能「4週間チャレンジ」を追加(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000103350.html
「4週間チャレンジ」は、日常的な体重測定などの健康アクションの習慣を身につけられる新機能。楽しく実行できるよう、パーソナル伴走ヘルスケアAIキャラクター「ウェリーくん」がサポートします。(2024/03/07)

[2]科学技術振興機構など、中年太りの仕組みを解明~肥満による生活習慣病の画期的な予防・治療法へ大きな1歩~
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20240307/
本研究成果は、生活習慣病の未病段階での予防法や画期的な治療法の開発につながることが期待されます。(2024/03/07)

[3]ブレインスリープ、2024年版有職者10,000人の睡眠調査結果報告
https://brain-sleep.com/news_corporate/10739/
全国47都道府県の有職者1万人を対象に「睡眠偏差値(R)」調査を2020年から実施。睡眠の質のいい人と悪い人では年間経済損失額の差は76万円。(2024/03/07)

[4]東北大学、いつもの食事が血液中の脂質に反映される|一般住民4,000人の脂質濃度と食習慣との相関を解析
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/03/press20240307-03-4000.html
東北メディカル・メガバンク計画のコホート調査の参加者、約4,000人分の血漿中の脂質濃度と食習慣を関連解析したところ、数十種の脂質分子と複数の食習慣との間の相関を発見しました。(2024/03/07)

[5]オムロン ヘルスケアとエムティーアイ、基礎体温を活用した体調管理啓発プロジェクトを通して、女性アスリートを支える指導者をサポート
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2024/0308.html
3月28日(木)19時30分より女性アスリートの指導者を対象とした無料オンラインセミナーを開催します。(2024/03/08)

[6]三幸製作所、スマートリング「JC リング」新発売!
https://sanko-med.com/news/%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%80%80jc-%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%82%b0%e6%96%b0%e7%99%ba%e5%a3%b2%ef%bc%81/
JCリングは、血糖値、血中酸素濃度、心拍数、ストレス、体温、ストレス、運動状態などの健康状態を指に取り付けるだけで簡単にモニタリングできる製品。(2024/03/08)

[7]わかもと製薬、フェムケアコミュニティサイトが国際女性デーの3月8日にグランドオープン【PDF】
https://wakamoto-pharm.co.jp/upd/pdf/0000001294_1.pdf
https://wakamoto-pharm.co.jp/
生理や出産、更年期などをはじめとする女性特有の健康課題をテーマに、社会や家庭で日々奮闘する女性たちがリアルな情報を共有し、日常で気軽に取り入れていけるようなフェムケアコンテンツをご提供いたします。(2024/03/08)

[8]経済産業省、「健康経営優良法人2024」認定法人が決定しました!
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240311004/20240311004.html
「健康経営優良法人2024」として、日本健康会議により、大規模法人部門に2,988法人(上位法人には「ホワイト500」の冠を付加)、中小規模法人部門に16,733法人(上位法人には「ブライト500」の冠を付加)が認定されました。(2024/03/11)

[9]花王とアイスタイル、『RNA共創コンソーシアム』を設立
https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2024/20240311-002/
企業の垣根を超えて「作る」「売る」「選ぶ」の新基準を制定。ビューティ&ヘルス産業全体で、サステナブルな消費サイクル実現に挑む。(2024/03/11)

[10]日本調剤、電子お薬手帳「お薬手帳プラス」災害時も安心の新機能を追加
https://www.nicho.co.jp/corporate/newsrelease/20240311_nr1/
今回の機能追加によって、災害で通信が不安定な状態でも、お薬手帳プラスに記録された過去6カ月分の薬剤情報や患者さま情報をオフラインで確認することができます。(2024/03/11)

[11]慶應義塾大学医学部、医師と患者のコミュニケーションギャップを埋める患者報告アウトカムの活用を-より患者のニーズに沿った治療の提案が可能に-
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2024/3/11/28-157411/
患者が報告する症状、および健康状態と医師の認識にギャップがあり、症状の把握および治療の最適化のために患者報告指標(Patient-Reported Outcome:PRO)が有用であることを明らかにしました。(2024/03/11)

[12]富山大学、労働者の飲酒【PDF】
https://www.u-toyama.ac.jp/wp/wp-content/uploads/20240311.pdf
https://www.u-toyama.ac.jp/
問題飲酒の関連要因として、ワーク・ライフ・バランスの重要性が明らかとなりました。また、男女で異なる要因も抽出されました。(2024/03/11)

[13]ジンズホールディングス、世界一寝不足の国のあなたへ送るWEBコンテンツ「睡眠負債度診断」にトライ!
https://www.jins.com/jp/topics_detail.html?info_id=681
JINSは、睡眠の環境を整えるメガネ「JINS SCREEN FOR SLEEP」の発売に合わせ、楽しくゲーム感覚でトライできるWEBコンテンツを公開。自分の睡眠について振り返り、睡眠負債度や快眠のためのナイトルーティンをチェックしてみましょう!(2024/03/12)

[14]おいしい健康、AI献立アプリ「おいしい健康」管理栄養士によるパーソナル食事相談サービスを開始
https://corp.oishi-kenko.com/news/20240312.html
一人ひとりの異なる質問に対して管理栄養士がメールで答えるパーソナル食事相談サービスを開始。今後は「デジタル技術+専門家との対話による支援」を融合させ、ご利用者様の健康と食事の悩みの解消に向けて、より丁寧にサポートいたします。(2024/03/12)

[15]ビースタイル、人生100年時代!健康のために多くの人が取り組んでいることとは?(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000127304.html
40-50代男女335人を対象に、健康対策に関する調査を実施。「加齢による身体の不調を感じる人」の割合は、実に74.3%。(2024/03/12)

[16]シックスセンスラボ、40代以上の男性の4人に一人が自分が男性更年期ではないかと感じている[全国調査](PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000039600.html
4人に一人が自身の「変化」を男性更年期によるものと意識。症状は、疲労感・倦怠感が6割以上。記憶力、集中力、性欲の低下が続く。(2024/03/12)

[17]日本直販総本社、約7割が間違った寝姿勢を取っている?約2割は寝具に不満があることも明らかに(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000093169.html
全国の20代-60代の男女1,000名を対象に「現代人の寝姿勢」に関する調査を実施。約4割の人がぐっすり眠れていないという問題が浮き彫りになりました。(2024/03/12)

[18]『mHealth Watch』注目ニュース:スマート シャワーの新興企業Showeeがアクセシビリティに光を当てる
https://mhealthwatch.jp/global/news20240318-2
この1、2年、各先進国で高齢者対策が勢いを増しています。今回紹介するShoweeの取組も、高齢者施設、病院、重度の自閉症の人向けのケアセンターなどで受け入れられています。(2024/03/18)



+++★デジタルヘルス解説動画(解説:渡辺武友)★+++

【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
デジタルヘルスのビジネスに関わる人に役立つ情報をお届けします。

第42回 急加速するインドのデジタルヘルス(8分51秒)
https://youtu.be/4L-mRmqDmvM