こんにちは、里見です。

ヘルスケアのサービスやプログラムの提供において、コンテンツが絡まないケースは少ないと思います。

ヘルスケアサービスやプログラムで外せない要素の一つであるコンテンツについて、今回はヘルスコーチングの視点からコンテンツ提供のポイントと落とし穴について解説してみたいと思います。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:コンテンツ提供のポイントと落とし穴

1、コンテンツの位置付け

ヘルスケアサービスやプログラムを提供する上で、コンテンツは必要不可欠です。

では、コンテンツは何のために提供しているのかと問われた時に、コンテンツの役割、提供している意図を明確にしているサービスやプログラムは、それほど多くない印象です。

ここで言っているコンテンツの役割、提供している意図とは、漠然と必要な情報だからとか、正しい知識として習得して欲しいからなどといったことではなく、コンテンツの提供からどんなことに導きたいのかとか、コンテンツの提供でどんな顧客体験を促したいのかといった、コンテンツを通した対象者との関係性の構築を含めたことです。

確かに、正しく理解してもらうためのコンテンツはあって当然なのですが、それらの最低限のコンテンツは、サービスやプログラムの顧客体験の導線の本流にはなりにくいものです。

今回、ここでお話したいコンテンツとは、サービスやプログラムの顧客体験の本流に組み込まれるコンテンツという位置付けについてです。

2、コンテンツの役割

コンテンツを提供する役割としては、サービスやプログラムによって大きく異なってきますが、ヘルスコーチングのような継続的なコミュニケーションがベースになってくるケースにおけるコンテンツは、コミュニケーションの一部になってきます。

ヘルスコーチから対象者へのコミュニケーションにコンテンツが組み込まれるケースや、コンテンツを起点にして対象者がヘルスコーチにコミュニケーションを取る流れを生み出すなど、様々なパターンが存在します。

また、コンテンツを起点に、他の行動に結びつけることを狙ったケースもあります。
例えば、コンテンツを提供した上で、記録に誘導するパターンなどです。

このように、コンテンツは流しっぱなしではなく、コンテンツを絡めたコミュニケーション、そして行動への誘導など、コンテンツに役割を持たせて提供することも必要なのです。

一つ一つのコンテンツは正しい知識の情報提供が目的だったとしても、そのコンテンツごとに役割を持たせることで、一方通行型のコンテンツから双方向型のコンテンツはもちろん、コンテンツから別のところに導く誘導役のコンテンツに変化していくのです。

3、ヘルスコーチングにおけるコンテンツづくりのポイント

では、ヘルスコーチングでコンテンツを準備して提供する際に、意識しているポイントについて、いくつかご紹介したいと思います。


1)信頼性の確保

健康に関する情報は広範囲にわたり、一部は科学的に裏付けられていないものも存在します。
したがって、ヘルスコーチは最新の研究やエビデンスに基づいた情報を提供する必要があり、コンテンツの信頼性を確認する必要があります。


2)パーソナライズ、カスタマイズ

対象者の状態、目標およびニーズに合わせてパーソナライズ、カスタマイズする必要があります。
一般的な情報をそのまま伝えるだけでは響かないケースがあるため、個別の状況に応じた情報の提供もポイントになってきます。


3)最新の研究とトレンド

新しい研究結果などの情報も必要なケースがあります。
一般的な健康情報だけでは、対象者が知っている基本的な内容になりがちで目新しさがありません。
そんな情報やコンテンツを提供しても、確実にスルーされるだけです。

しかし、少し変わった調査結果や視点が面白い情報、コンテンツであれば、対象者は「へぇ~」「ふーん」といった感じで興味を示してくれます。
対象者が、そのコンテンツや情報を周囲に伝えたくなるような内容を見つけることも必要です。


4)エビデンスの提示

提供するコンテンツや情報がどのようなエビデンスや研究に基づいているかの情報は、対象者に伝える必要があります。
特に、男性が対象者のケースでは、背景情報やエビデンスの情報が比較的響くポイントになるので、積極的にエビデンスを提示しています。

ヘルスコーチングでは、コンテンツを準備して提供する際に、上記のようなポイントを押さえた上でコンテンツを準備して、それぞれのコンテンツに役割を持たせて提供していきます。

4、コンテンツの提供の課題

ヘルスコーチングでコンテンツを提供する際のポイントを上記で説明しました。
ここからは、コンテンツを提供する上で注意すべきポイントや課題、落とし穴について、お話していきたいと思います。

ヘルスコーチングでは、一方的に「教える、指導する」といったいわゆるティーチング的なアプローチは基本的に行いません。

そのため、コンテンツを提供する上でも、押しつけの情報提供というアプローチではせっかくのコンテンツが活かされません。
やはり、対象者の目標や目的に目を向けて、行動にフォーカスした「選択支援のための情報提供」というアプローチが基本になります。

したがって、提供する全てのコンテンツに目を通して、理解してもらえることを前提にしていません。

一人一人の目標や目的は異なります。
また、取り組みの内容や状況はもちろん、ライフスタイルも異なれば、興味関心も違ってきます。

可能な限り、対象者に寄り添ったパーソナライズ、カスタマイズしたコンテンツ提供は行いますが、やはり全てのコンテンツに反応してもらうこと自体、対象者の目線で見れば期待できないことは明確です。

逆に、様々な角度や視点からのコンテンツを提供して、その中のいくつか、極端な言い方をすれば一つのコンテンツだけに興味を示して、対象者の行動などの選択に活かされ、対象者の行動や取り組みに変化を与えられれば、コンテンツの提供としては成果だと言えます。

しかし、多くの場合には、コンテンツを提供すれば対象者はすべて正しく理解してくれるものだ、もしくは、サービスやプログラムで成果を出すためには提供したコンテンツは全て目を通してもらわないとダメだ、というスタンスで提供しているケースが私の目には映って見えてきます。

5、コンテンツ提供の先にあるもの

なぜ多くのコンテンツ提供で、コンテンツを提供すれば正しく理解してくれるものだというふうに私に見えているかというと、やはりコンテンツを提供した先に対象者の行動変容のアプローチが全く見えてこないからです。

正しい知識や情報をそのまま提供しているだけになっているからです。

正しい知識や情報を対象者に届けることは重要です。
しかし、その情報をきっかけに行動に結びつけない限り、目標や目的に近づけないのです。

コンテンツは極端な言い方をすれば、対象者の行動に結びつかなかったら、どんなに良いコンテンツでも、サービスやプログラム的には単なる情報提供に終わってしまうのです。

多くのサービスやプログラムでは、提供者目線で正しい知識や情報を提供するといった目的でコンテンツを提供していますが、やはり本来のコンテンツ提供は、対象者の選択を支援するための提供であり、最終的には対象者の行動や取り組みにアプローチすることが必要なのです。

ヘルスコーチングでは、対象者の選択を支援するための情報提供という位置付けでコンテンツを提供しています。また、提供する際にはコンテンツごとに役割を持たせて、コミュニケーションを通して提供しています。


今回ご紹介したヘルスコーチングにおけるコンテンツのアプローチについては、さらに細かい要素やアプローチの工夫が存在しています。

ご興味ある方は、ぜひ一度情報交換しませんか?
ご連絡お待ちしています。
https://healthbizwatch.com/contact



●ヘルスコーチングの実証実験結果はこちら
https://healthbizwatch.com/future-build

健康ビジネスキーワード

「イノベーション3つの落とし穴」

P・F・ドラッカー氏のイノベーションに対する戒めを再確認しておきたい。

(1)凝りすぎてはならない
(2)多角化してはならない
(3)明日のためにイノベーションしてはならない

イノベーションは全て今日にフォーカスし、現事業の潜在的機会発見で未来を築くことである。
この3つから何を学びますか?

今週の注目記事クリップ

+++★注目ニュース解説動画(解説:里見将史)★+++

【今回の注目】

おいしい健康、AI献立アプリ「おいしい健康」管理栄養士によるパーソナル食事相談サービスを開始(2024/03/12)
https://corp.oishi-kenko.com/news/20240312.html

→解説はコチラ
パーソナライズ対応、個別化対応を提供する上で、避けては通れないハードルとは?(6分35秒)

https://youtu.be/CzdEOwYMJ_A



+++★注目記事クリップ★+++

[1]バリューHR、日本生命保険相互会社との資本業務提携に関するお知らせ【PDF】
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6078/tdnet/2409458/00.pdf
https://www.valuehr.com/docs/
本提携により当社は、日本生命と協働して、同社の法人顧客である各地域の地方自治体をはじめとした保険者、企業に当社の健康管理プラットフォームを活用したヘルスケアサービスを強化します。(2024/03/13)

[2]ブレインスリープ、睡眠課題を解決する、機能特化型ピロー2種を発売!
https://brain-sleep.com/news_products/10767/
気道を確保し、いびきをケアする「ブレインスリープ ピロー スノーレス」、寝ている間に首をストレッチし、理想のカーブに近づけ首・肩の疲れを緩和する「ブレインスリープ ピロー ネックコンディショニング」を発売。(2024/03/13)

[3]日本総合研究所、認知症初期集中支援推進事業のあり方に関する調査研究
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=107455
認知症初期集中支援チームは、複数の専門職が認知症が疑われる人や認知症の人およびその家族を訪問し、アセスメント、家族支援などの初期の支援を包括的、集中的(おおむね6カ月)に行い、自立生活のサポートを行うチームであり、市町村が実施主体となって設置している。(2024/03/13)

[4]ワコール・アイシービー・TOPPAN、セルフの3D計測でAIによる骨格タイプ判定が受けられる[SCANBE]の新サービス『わたしを知る骨格診断』を共同開発
https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2024/03/newsrelease240313_1.html
[SCANBE]旗艦店である東急プラザ表参道原宿にて提供を開始。3Dボディスキャナーを用いた3秒のセルフ計測により、従来の3D計測結果に加えて、ストレート・ウェーブ・ナチュラルの3タイプからなる骨格診断の結果がわかる。(2024/03/13)

[5]Do&Do.、データをもとに健康促進のモチベーションを2倍ブーストするサービス「Do」。健康経営を目指す法人企業様向けパッケージプランを強化し、提供を開始
https://corp.doando.club/posts/20240315-release
従来から提供している健康DXのシステムに様々なプログラムメニューを追加し、これから健康経営を本格的に目指す法人様が無理なく始めやすいサービスを構築いたしました。(2024/03/14)

[6]MTG、「肩こり」「腰痛」を集中リカバリー「NEWPEACE Recovery Pajamas Care」販売開始
https://www.mtg.gr.jp/news/detail/2024/03/article_2243.html
スリープテックブランド「NEWPEACE」より、リカバリーシリーズ第三弾登場。MTG独自の特殊繊維「Mediculation(R)」を使用しており、一般医療機器区分「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として「血行促進」「疲労回復」などの7つの効果が期待できます。(2024/03/14)

[7]ホットアルバム炭酸泉タブレット、ホットタブがオンラインクリニック処方品として採用されました
https://tansan-tablet.com/news/20240315-online/
「東京TMクリニック」が、ご家庭のお風呂を使ってオンラインで健康入浴指導・健康医療相談・診療を行うサービス「長湯式重炭酸温浴NO療法オンラインクリニック」を開始。本オンラインクリニックでの処方品として、弊社と共同開発した純正重炭酸入浴剤「HOT TAB Medicated(CBD入り)」が採用されることに。(2024/03/15)

[8]日本人の「睡眠負債」はスリープテックが解決?│TECHBLITZが選ぶスタートアップ5選(TECHBLITZより)
https://techblitz.com/sleep-tech/
スタートアップが開発する「スリープテック」製品が次々と登場している。TECHBLITZでは、スリープテック関連の国内外のスタートアップを独自に調査。(2024/03/15)

[9]NTT PARAVITAとS’UIMIN、業務提携の基本合意
https://nttparavita.com/news/240318/
両社は今回、睡眠課題を詳細に可視化できるS’UIMINの計測技術と、課題に応じて睡眠習慣を改善に導くNTT PARAVITAの睡眠改善メソッドを組み合わせ、新しい睡眠改善サービスを共同開発することで合意した。(2024/03/18)

[10]asken、国内No.1 AI食事管理アプリ『あすけん』累計会員数が1,000万人を突破(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000129.000058653.html
これを記念し、ユーザーの皆さまに感謝を込めて「累計会員1,000万人突破記念大感謝祭」として、キャンペーン企画を順次実施してまいります。(2024/03/18)

[11]NTTドコモ、スマートフォンに蓄積されたデータをもとに幸福度を推定する「Well-being 推定 AI」を開発【PDF】
https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_240319_00.pdf
https://www.docomo.ne.jp/
「Well-being 推定 AI」は、2024年5月以降、ドコモが提供する自治体向けヘルスケアサービス「健康マイレージ」の機能として提供を開始予定。(2024/03/19)

[12]保健同人フロンティア、保険者向け特定保健指導サービス「パーソナルコーチング」:体重の変化は全体平均で3.2kgの減量、腹囲は平均で4cm減を達成
https://www.hokendohjin.co.jp/ja/news/news-20240319-01.html
特定保健指導の参加者アンケートレポート。参加者全体のプログラム継続率は91%、また積極的支援対象者のうち100日以内の180ポイント達成率は88.7%、など。(2024/03/19)

[13]Awarefy、AIと公認心理師がタッグを組む、セルフケアの新サービスを始動
https://www.awarefy.com/news/press-release-20240319
今後さらにユーザーにとって価値のあるコミュニケーションを実現するために、よりきめ細やかなサポート手段として、公認心理師がAwarefyを活用して個人にあったセルフケアを紹介するカウンセリングサービスを開始。(2024/03/19)

[14]花王、進化型サブスクリプション ビューティプログラム「est Skin Athlete Gym(エスト スキンアスリートジム)」本格始動
https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2024/20240319-001/
本サービスは、科学的根拠に基づいた肌解析をもとに、パーソナルな美容プログラムを提案する、進化型サブスクリプションサービスです。(2024/03/19)

[15]シオノギヘルスケアとピクシーダストテクノロジーズ、ガンマ波サウンド オリジナル楽曲をUSEN音楽配信サービスで配信開始【PDF】
https://www.shionogi-hc.co.jp/content/dam/shc/jp/news/2024/03/20240319.pdf
https://www.shionogi-hc.co.jp/
シオノギヘルスケア、ピクシーダストテクノロジーズによる音で認知症に挑む「ガンマ波サウンド」の取り組み。音がなるすべての場所で、認知症予防・認知機能改善を目指すアプローチ。(2024/03/19)

[16]LacuS、1食に必要な33種類の栄養素をバランスよく摂取できる世界初のシニア向け完全栄養食アイス「Me ICE」販売開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000138949.html
おにぎり1.3個分のエネルギー、たまご1.2個分のたんぱく質、レモン1個分のビタミン、牛乳130ml分のカルシウムなど、33種類の栄養素をバランスよく摂取できるアイスを実現しました。(2024/03/19)

[17]Ambi、ポイ活×睡眠改善サポートアプリ「NeruBank」が睡眠を改善するスリープテック製品で注目のブランド「NEWPEACE」と連携した「貯まるクーポン」をリリース(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000111488.html
流行りのポイ活と今注目が集まるスリープテックとのサービス提供がついに実現。アプリユーザーが睡眠を計測・ポイ活をすることだけに留まらず、更なる行動変容を目指すための独自の施策。(2024/03/19)

[18]WebMD、新たな買収を通じて患者エンゲージメントサービスを強化
https://mhealthwatch.jp/global/news20240315-2
WebMD社はアイダホ州に拠点を置く医療教育コンテンツと患者のエンゲージメントツールのプロバイダーであるHealthwise社の資産を獲得した。(2024/03/15)

[19]『mHealth Watch』注目ニュース:ジンズホールディングス、世界一寝不足の国のあなたへ送る「睡眠負債度診断」にトライ!
https://mhealthwatch.jp/japan/news20240325-2
今回注目したのは、ジンズが睡眠の環境を整えるメガネの発売に合わせて「睡眠負債度診断」をチェックするWEBコンテンツを公開したニュースです。(2024/03/25)