こんにちは、脇本和洋です。
本メルマガでは、海外のヘルスケアサービスの最新動向をチェックしています。

今回は「米国法人向けヘルスケアサービストレンド」として、社会的健康と経済的健康に特化した事例を紹介します。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

米国法人向けサービスにみる「社会的健康」「経済的健康」


本編6月号『米国法人向けヘルスケアサービス「Wellable」にみるトレンドとは?』にて、Wellableが提供するウェルビーイングを意識したサービスを紹介しました。

米国の法人向けヘルスケアサービスでは、ウェルビーイングプログラムが注目されています。
ウェルビーイングプログラムは、身体の健康、心の健康、社会的健康、経済的健康の4つに分かれます。

日本では、身体の健康と心の健康に関するサービスは数多いですが、社会的健康と経済的健康に関するサービスはまだ少ないのが現状です。

今回は、健康を訴求する事例として「O.C. Tanner」と「Cleo」、経済の健康を訴求する「myFiTage」を紹介します。

参考>バックナンバー:「Wellable」にみる米国法人向けサービストレンド
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1090_

社会的健康(会社):O.C. Tanner


O.C. Tannerは、企業向けに企業文化を作るためのレコグニション(称賛・承認)を促進するサービスを提供しています。
また、企業文化のコンサルティングやブランディングなどを支援しています。
https://www.octanner.com/


設立は1927年で、当時は大学の卒業生向けに記念品などを販売していました。
その後、2014年頃から企業文化を作るためのレコグニションをテーマにしたサービスを展開しています。

現在では、1,400万人の従業員が世界180か国以上で利用しています。
売上は495億円です(スポルツによる2023年推定、1ドル150円換算)。

主なサービスであるCulture Cloudでは、新しいチームメンバーにチーム特有のグッズを送ったり、チームメンバーの達成や努力に合わせてポイントが貯まり報酬がもらえたり、チームの個人同士で認め合うしくみを提供しています。

狙っているのは、チームに早く溶け込み、お互いを認め合うという文化を作ることです。

社会的健康(家族):Cleo


Cleoは、企業(保険会社)向けに、子育てや介護に忙しい従業員の「家族支援サービス」を提供しています。
設立は2016年、売上105億円です(スポルツによる2023年推定、1ドル150円換算)。
https://hicleo.com/
https://apps.apple.com/us/app/cleo-for-families/id1280643227


特長は、アプリを使って介護支援の状況を定量的に見える化し(介護のバランス、介護に対する自信、心の健康度合、周りのサポートをどの程度受けているかなど)、その後、改善プランを提示することです。

さらに専門家が質問に応じたり、オンデマンドのライブラリで知識を身につけたりすることができます。

従業員の家族に介護が必要になった時、まず自分自身の状況を客観視し、どう取り組めばよいか見通しを示し、安心して仕事に従事できることを目指したサービスと言ってよいでしょう。

経済的健康:myFiTage


経済的健康は、Financial Health(またはFinancial Well-Being)とも呼ばれ、米国のウェルビーイングプログラムでは重視される要素の一つです。

myFiTageは、人事、リスクコンサルティング会社であるWillis Towers Watson(WtW)が提供する経済の健康を作るサービスです。
https://www.wtwco.com/en-se/solutions/products/myfitage


myFiTageとは、経済的自立(Financial Independence)を達成できる年齢のことです。
働き方、医療費、貯蓄財産、投資といった要因をどうプランニングすれば、何歳で経済的に自立(老後の心配なく過ごせること)ができるか、見通しを示してくれます。

myFiTageでは、経済的健康は何歳まで働くか(どんな働き方をするか)、心身の健康度合(治療費のかかる程度)によって大きく変化することを重要な視点として示します。
単なる資産運用とは違い、キャリアプランや心身の健康との結びつきを高めている点が特長と言えます。

社会的健康の大切さ


米国の法人向けヘルスケアプログラムは、ウェルビーイングを意識したものが増えてきています。

我々は、ウェルビーイングを「社会、心、身体が満たされている状態」と考えています。
社会が最初に来るのは、個人の「心、身体」を満たすには、まず「社会(就業環境、地域環境、家庭環境)」を満たしておく必要があるからです。

その点でいうと、米国では社会的健康に力を入れているプロバイダーが存在し、特長あるサービスを展開しています。
経済的健康とも併せて、日本の法人向けプログラムにおいても参考になる点があるのではないでしょうか。



<お知らせ>

今回紹介した「O.C. Tanner」「Cleo」を含め、米国法人向けサービス提供企業50社の業績を軸に、分野別に1枚のマップにしたものを9月に発刊いたします。
本メルマガでもお知らせしますので、楽しみにしておいてください。



健康ビジネスキーワード


「サービス・商品開発の今後」

サービス・商品をつくるよりも、
そのサービス・商品を使う(買う)理由から考えるのはどうだろうか?

つくりたい、売りたい機能を全面に出したサービス・商品企画を売るのに苦労するよりも、
売れているサービス・商品の開発自体をリバースしてみるイメージです。

今週の注目記事クリップ

[1]「Fitbit」でわかった睡眠と健康状態の関係とは|グーグルなど3団体が研究(ケータイWatchより)
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1611226.html
グーグル(Google)は、同社公式ブログ「The Keyword」において、スマートウォッチシリーズ「Fitbit」を使用し、睡眠の質や時間が人間の健康状態に与える影響をまとめた研究結果を公開した。(2024/07/27)

[2]Axena HealthとUpScriptHealth、女性向け遠隔医療サービスで提携(mobihealthnewsより)
https://www.mobihealthnews.com/news/axena-health-upscripthealth-partner-telehealth-service-women
女性の骨盤の健康のためのデジタル治療薬を製造するAxena Health社は、消費者直結型遠隔医療を提供するUpScriptHealth社と提携し、尿失禁の症状に苦しむ女性への相談と治療を提供している。(2024/07/30)

[3]妊娠トラッキングアプリFlo Healthが10億ドル超の評価額で2億ドルを調達(TechCrunchより)
https://techcrunch.com/2024/07/30/fertility-tracking-app-flo-health-raises-200m-at-a-1b-valuation/
ロンドンを拠点とし、不妊治療に特化した生理周期追跡アプリのFlo Health社は、General AtlanticからシリーズCで2億ドルを調達したと発表した。(2024/07/30)

[4]Teladoc、Brightlineと提携し、小児メンタルヘルスケアを提供
https://mhealthwatch.jp/global/news20240802
Teladocは、バーチャルビヘイビアヘルスを提供するBrightline社と提携し、Teladocのプラットフォームを通じた子供や青少年やその家族へのメンタルヘルスケアの選択肢を拡大する。(2024/08/02)

[5]『mHealth Watch』注目ニュース:故障したスマート健康機器による人身傷害に対処する方法
https://mhealthwatch.jp/global/news20240813-3
今回のニュースで改めて確認したいことは、健康に貢献する商品やサービスでも、人身傷害は付きものだということです。(2024/08/13)

[6]日本リカバリー協会、調査リリース:有職者のコロナ前後の健康状況
https://www.recovery.or.jp/recobar-news/6726/
コロナ前後ではより60代と70代で元気な人が大きく減少し、シニア世代の疲労問題が深刻に。また、未病に取り組む神奈川県では減少率が最も少ない結果に。(2024/07/31)

[7]ワンストップビジネスセンターとMedit、体が資本のフリーランスに健康実態を調査
https://www.1sbc.co.jp/press/2024/2532
起業家は心身のケアに時間をつかって、肥満者の割合が低いことが判明。週2回以上の運動をしている人が4割超え。(2024/07/31)

[8]エス・エム・エス、国内最大級の栄養士コミュニティ「エイチエ」、商品評価サービスを新規提供開始
https://www.bm-sms.co.jp/news-press/prs_20240731_eichie_suisho-logo/
本サービスでは、商品・サービスについて管理栄養士が客観的に評価を行い、一定の評価を得られた場合に推奨度合を表示した推奨ロゴを発行します。企業は、推奨ロゴを店頭販促やWebサイトへの掲載等、商品やサービスのPRに使用することが可能です。(2024/07/31)

[9]キリンホールディングス、キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」シリーズ、販売好調!1~6月の販売金額は、前年比114%
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2024/0731_02.html
キリンホールディングスが2024年1~5月に実施した「プラズマ乳酸菌」の機能である“免疫ケア”の名称認知度調査では、“免疫ケア”の名称認知度が前年同期比で約1割増となりました。(2024/07/31)

[10]ジャクトリンク、[耳鼻科医も納得]最大35倍も音が大きくなる、高感度集音器「ミミクリア」が新発売!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000099534.html
聞こえ方に困っている場合、高スペックで且つ気軽に試しやすいのが「ミミクリア」です。オリジナルの高感度CICチップが、音声のゆがみが少なく、よりクリアな音声を実現します。(2024/07/31)

[11]「カルビー×スタートアップ」の協業事例|ボディグラノーラ発売から1年の手応えは(TECHBLITZより)
https://techblitz.com/collaboration/calbee/
「Body Granola(ボディグラノーラ)」発売から1年が経った手応えや今後のさらなる展望を、カルビー事業開発担当者の金子哲也氏に聞いた。(2024/07/31)

[12]エムスリー、余命予測で健康づくりを促す「EBHS Lifeレポート」 富士通の「セルフケアAI支援サービス」に塔載~「健康無関心層」の参加率が約3割増加~【PDF】
https://corporate.m3.com/assets.ctfassets.net/1pwj74siywcy/432PhvWNDCQlWtS4e8rI9t/99f735be47b7e63620eb7f6945f82e99/20240801_Public.pdf
https://corporate.m3.com/
「EBHS Life」は、健診結果や生活習慣データを用いて個々の相対的な平均余命を科学的に予測し、健康状態を数値化する新たなアプローチの健康指標スコアです。(2024/08/01)

[13]ニューバランス、New Balance Fitnessより秋冬シーズンの新作アパレルとシューズが登場
https://store.newbalance.co.jp/press/2024/p-67184
運動強度で選べる2種のレギンスや裸足感覚で履けるジムトレーニングシューズ「NB minimus Training」を発売。フィットネスを日常に取り入れ、健康でエネルギッシュな生活を送りたい女性にぴったりのアイテムを提案します。(2024/08/01)

[14]ミルテル、「スキャンテスト 乳がん ハイリスクサポート+」の販売をLINEでスタート!【PDF】
https://www.mirtel.co.jp/fwp/wp-content/uploads/2024/08/f31107aeeb276c3b476c0554fafea7a7.pdf
https://www.mirtel.co.jp/
乳がんで苦しむ女性を1人でも減らすための早期発見支援付きサービス。簡便なリスク検査で乳がん検診のきっかけ作りをサポートし、検診受診率向上と乳がん死亡率ゼロを目指す。(2024/08/01)

[15]産業技術総合研究所など、心血管疾患リスクを早期に発見する指標-上腕脈波波形と心音の同時計測で簡便に計測可能-
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20240801/pr20240801.html
心血管疾患の発症と関連のある心臓近位部の大動脈の硬化度を評価する簡易計測技術を開発。心血管疾患は、国内における主な死亡原因や要介護原因になっています。(2024/08/01)

[16]クラシエ薬品、クラシエの漢方×フェムケア|ママの約2人に1人が産後にさまざまな心身の不調を経験していることが明らかに
https://www.kracie.co.jp/release/10191528_3833.html
20代~40代の母親を対象に産後の不調に関する実態調査を実施。ママは産後の不調を溜め込みがち!?ママの約3人に1人が産後不調を我慢していると回答。漢方視点で視る産後の身体とおすすめのケアについて解説。(2024/08/01)

[17]PHRサービス事業協会、2023年度 各委員会の活動報告を会員専用サイトに公開いたしました
https://phr-s.org/news/20240801.html
対外向けに公開できる資料、もしくはタイトルのみ掲載いたします。各委員会のすべての検討資料、議事要旨、勉強会の資料・動画などはご入会いただいた後、会員専用サイトにてご覧いただけます。(2024/08/01)

[18]ニューロスペース、職場で睡眠時無呼吸症候群のリスク者を早期発見する重要性と一次予防で産業保健に求められる姿
https://www.neurospace.jp/blog/sas-risk-industrial-field?categoryId=299
最も重要な事は、睡眠時無呼吸症候群は『適正な睡眠時間の確保および正しい睡眠衛生習慣の実施では決して寛解に至らない疾病である』ということです。(2024/08/02)

[19]AI活用で、顔の温度から慢性疾患を検出|中国の研究(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/news-women-240802-1
北京大学の研究者らは21-88歳までの2,800人以上の中国人の顔面温度を分析。その結果、「鼻、目、頬などの温度が、年齢と健康に大きく関連していること」を発見した。(2024/08/02)