こんにちは、里見です。

ヘルスケアサービスでは、行動変容と行動の継続が重要な要素であると、毎回のように言い続けてきています。
特に、健康行動の継続には、本人の「主体性」が重要な要素になってきます。
では、この「主体性」とは、どんなものなのでしょうか?

今回は、健康行動の継続に必要な「主体性」について、ヘルスコーチングの視点で解説してみたいと思います。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:行動の継続には「主体性」が重要

1、「自主性」と「主体性」


今回のキーワードは、健康行動の継続に向けた「主体性」です。

「主体性」に似た言葉として「自主性」があります。
「自主性」と「主体性」の違いを明確に認識し、みなさんは使い分けているでしょうか?

実は、この「自主性」と「主体性」には、大きな違いがあります。

「自主性」と「主体性」の大きな違いは、「主体性」には本人の考えや意志、判断が含まれるのに対し、「自主性」にはそれらが含まれない点です。

2、「自主性」はティーチングに向いている


「自主性」と「主体性」の違いは、本人の考えや意志、判断が含まれるかどうかなのですが、「自主性」には言われたことや決められたことを率先して行う、実践するという意味合いが強くなります。

決められた行動には、本人の考えや意志、判断は含まれず、言われた通りに行うことが求められます。
その決められた行動を強制されずに実行、実践することが「自主性」として良いとされます。

しかし、「自主性」であってもイヤイヤ感なく積極的に取り組むこと、やることは「主体性」と同じです。

例えば、宿題を出された生徒が、親や誰かに言われず学校から帰ったら素直に宿題を終わらせることは、自主的な取り組みです。


このように、行動を実行する側としては出された課題や取り組みに対して、特に考えや意識、判断を入れずに積極的に行動を実行、実践するので、どちらかというと行動に対しては受け身の取り組みになります。

行動を促す側としては、行動や取り組みを提示し、素直に積極的に実行してくれることは非常にやりやすいです。

この行動を促す側と行動を実行する側の関係は、日本型の典型的な指導・ティーチングのアプローチで「自主性」の方が都合が良いのです。


そのため、これまでのヘルスケアサービスでは、専門家がやり方などを教え、それを対象者が自主的に取り組むというスタイルが中心になっていたのです。

この先生が教えて生徒が忠実に実行するという構図は、教育現場を含め長年染み付いているため、「自主性」を重視する傾向が強く、「自主性」のアプローチに違和感を感じない人が多いのも事実です。

3、ヘルスコーチングによるアプローチは「主体性」を引き出す


「自主性」と「主体性」の違いは、本人の考えや意志、判断が含まれているかどうかです。
「自主性」は、言われたことや決められたことを率先して行う、実践するという意味合いが強いです。

「自主性」では決まった行動や取り組みを実行しますが、「主体性」では、行動や取り組み自体を自身の考えや判断で決定して実践します。

例えば、「自主性」では宿題は決まった行動、取り組みであり、その宿題自体に本人の考えや判断は必要ありませんが、「主体性」では誰からも課題を出されていなくても、自分の判断ややり方を考えて予習や復習を行います。

このように、「自主性」と「主体性」では行動、取り組みそのものへの本人の関与があるかないかという点が大きく違ってくるのです。


では、なぜ「主体性」において本人の考えや意志、判断に基づいて実行する行動、取り組みを決定することが行動の継続に必要なのでしょうか?

それは、取り組み行動自体を自分で決定することで、行動との向き合い方や行動への思い入れが強くなるからです。
そして自分で行動を決定することで、自分の行動に対しての責任も出てくるのです。

さらに、自分で行動を決定することはモチベーションに大きく影響し、行動の実践や取り組みへの集中の仕方はもちろん、継続の期間にも大きく関係してくるのです。

このように、本人の考えや意志、判断によって実行する行動や取り組みを自分で決定する「主体性」を引き出すコミュニケーションこそが、ヘルスコーチングのアプローチなのです。


ちなみに、RIZAP統括トレーナーの幕田氏も著書『ライザップ式接客術』の中で、モチベーションが低下したゲストを主体的に動かすためにコーチングのコミュニケーションを活用していると述べています。
ライザップのサービスの中でも「主体性」を引き出すアプローチとしてコーチングが活用されていることが紹介されています。

4、「主体性」を引き出すアプローチとは


ヘルスコーチングでは、目標に向けた行動の継続にフォーカスし、自走できるスタイルを見つけるために継続的なコミュニケーションで寄り添います。

このベースとなるのが、対象者の自らの気づきから「主体性」を持った取り組みにつなげていくプロセスです。

「主体性」を持った取り組みこそが行動変容、行動の継続には必要で、意識と行動の変化にアプローチするコミュニケーションがヘルスコーチングの特徴です。

健康課題の改善に向けたメソッドや方法、手法を用いた自主性重視のアプローチでは、実践して初めて効果を得ることができますが、この自主性を重視したアプローチでは、行動の継続が利用者に委ねられてしまうことが多いです。


メソッドやノウハウを学んだ通り、継続して取り組めば効果は期待できます。

しかし、そこには大きなハードルが存在し、ライフスタイルに取り入れて継続できるスタイルに変化させ、工夫することが必要になってきます。
健康行動の取り組みでは、行動に着目して行動の継続、それもその人に合ったやり方、ライフスタイルへの落とし込みが求められるのです。

この時、自分に合ったやり方や、ライフスタイルに合わせてアプローチを見つけていくプロセスでは、対象者自身の「主体的」な取り組み、姿勢が重要になってきます。

「主体的」な取り組みにするためには、コーチが寄り添うヘルスコーチングのコミュニケーションが効果的です。


具体的には、ヘルスコーチングでは、対象者の自らの気づきから「主体性」を持った取り組みにつなげるプロセスとして、コミュニケーションを通して、さまざまな視点から気づきを促し、言語化して身体の外に出すコミュニケーションをすることで、対象者の「主体性」を引き出します。

自ら取り組み、実践する健康行動に対象者本人の考えや意志、判断を入れて自分ごと化することこそが「主体性」を持った取り組みなのです。


今回お話した「主体性」へのアプローチは、ヘルスコーチングの基本的なアプローチの一例であり、ヘルスコーチングにはさらに多くのアプローチ要素があります。

そのヘルスコーチングの要素を含めたキーワードを毎日メールで解説する「『ヘルスコーチング』早わかりガイド」を用意しています。


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健康ビジネスキーワード


「サービスづくりと幸せ5つの軸」

サービスの究極の目的は、お客様の幸せづくりにつながるということです。
さて、幸せの5つの軸とは

「達成」
「快楽」
「良好な人間関係」
「意味合い」
「没頭」

※アメリカ心理学者マーティン・セリグマン提唱

モノ主導時代では「達成」「快楽」がメインの価値観でした。
サービスづくりのこれからは精神的要素に重きが移っていきます。
貴方のサービスは5つの軸の何があって何が足りていないでしょうか?

今週の注目記事クリップ

[1]Google、新たな健康とフィットネス機能を搭載した『Pixel Watch 3』を発表(mobihealthnewsより)
https://www.mobihealthnews.com/news/google-unveils-pixel-watch-3-new-health-and-fitness-features
新しい健康機能は、ランナーがトレーニングを管理し、その過程と改善を振り返るのに役立つように設計されている。PelotonやNordicTrackなどのジム機器を含む機器間の接続も可能となる。(2024/08/13)

[2]Modern Health、Anvil Healthの技術を買収しAI機能を強化
https://mhealthwatch.jp/column/news20240820-2
サンフランシスコを拠点とするModern Healthは、法人企業向けにサービスを提供しており、個人およびグループのメンタルヘルスサポートや自己指導教材を提供する。(2024/08/20)

[3]『mHealth Watch』注目ニュース:「Fitbit」でわかった睡眠と健康状態の関係についてGoogleらが研究
https://mhealthwatch.jp/global/news20240826
今回の「Fitbit」のデータを活用した分析では、プログラムに参加した6,700人以上のFitbitユーザーで、それぞれ平均4.5年間スマートウォッチを着用した中で集められたデータを使用していることが、まずは分析データからしても特徴的と言えます。(2024/08/26)

[4]スマイルコットン、カテゴリー「セルフメディケーションウェア」を提案するResona Bioが新宿伊勢丹でローンチ(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000060272.html
Resona Bioは、長年の研究開発を経て誕生したレゾナウェア技術を用いて、血行促進作用の最大化を目指す日本発のアパレルブランド。分子レベルの働きによって、分子間摩擦熱を発生させ、末梢血管の組織血流量を増大させる原理に基づく。(2024/08/07)

[5]クラシエ薬品、<“夏場の更年期”に関する実態調査>季節に応じて感じる更年期症状には違いが見られる結果に
https://www.kracie.co.jp/release/10191566_3833.html
春夏は「ホットフラッシュ」秋冬は「冷え症」がトップ。一方で更年期の各症状が発生した季節によって対処を変えている人はわずか1割。(2024/08/08)

[6]明治と国立長寿医療研究センター、明治栄養プロファイリングシステム(Meiji NPS)による食事指数が生活習慣病のリスクとなる複数の指標と関連することを示唆
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2024/0808_02/index.html
本成果は日本で初めて、栄養プロファイリングシステムと健康リスクとの関連性を報告した研究です。(2024/08/08)

[7]筑波大学、一時的なストレス時に身体が発する退屈を数値化する手法を開発
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/technology-materials/20240808140000.html
本研究成果は、主観的なストレスの基盤には「退屈」という感情があることを示唆しており、明示的な外部刺激の不在に対する反応としてのストレスという新たな視点を提供するものです。(2024/08/08)

[8]フェムテック市場はどうなる?2024年に起こる3つの転換(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/market-240626-2
フェムテック元年から5年目に突入し、過熱していた市場の期待感に落ち着きが見られてきた。国内のフェムテック業界は今後、どこへ向かっていくのか?(2024/08/08)

[9]サプリムとS.RIDE、タクシーアプリ「S.RIDE(R)」の法人向けサービス「S.RIDE Biz」利用で、睡眠時無呼吸症候群リスク計測サービス「Sleep Doc」を実質1,000円~/検査で提供
https://www.sapplym.com/assets/img/SapplyM_Press_Release_20240808.pdf
S.RIDEが提供する「S.RIDE Biz」を利用いただいた企業の従業員・家族に、睡眠時無呼吸症候群のリスク計測サービス「Sleep Doc」を、実質1,000円~/検査で提供いたします。(2024/08/08)

[10]iCARE、健康経営の実行力を高める従業員向け施策の代行サービスを新たに提供開始
https://www.icare-carely.co.jp/news/20240808
ヘルスリテラシー等が異なる従業員に対して、一律の施策・メッセージでは行動変容につながりにくい中、適切にグルーピングして伝達媒体・メッセージを使い分けつつ、行動変容を促していきます。(2024/08/08)

[11]FiNC Technologiesとディグラム・ラボ、共同でタイアップ診断コンテンツの販売をスタート
https://company.finc.com/news/16722
ディグラム・ラボ社の性格診断アルゴリズムとFiNCアプリの食事データ解析が組み合わさり、ユーザーの新たな気づきが生まれる食事アドバイスを提供します。ユーザーの性格に合わせ、生活パターンや食事傾向・食事課題を元に、栄養情報や健康に関するレコメンドを受け取ることができ、食習慣改善を促します。(2024/08/08)

[12]フラー、フィットネス&健康アプリの1日における利用時間は5.8分
https://www.fuller-inc.com/news/2024/08/fitness-health-app-report
アプリ市場分析サービス「App Ape(アップ・エイプ)」で蓄積するデータをもとに、フィットネスアプリや健康管理アプリなどの最新動向や特徴をまとめた「フィットネス&健康アプリ市場調査レポート2024」を公開しました。(2024/08/08)

[13]美容・健康商品のトレンドは“マルチ訴求”、Dior・花王・カゴメの事例(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/trend-240808-1
一つのアイテムで複数の美容・健康悩みをケアできる、マルチ訴求の商品が増えている。(2024/08/08)

[14]日本人の循環器病リスクを高める[高血圧・脂質異常・喫煙・糖尿病](保健指導リソースガイドより)
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2024/013275.php
日本人の冠動脈疾患・脳卒中・動脈硬化性疾患の生涯発症リスクを調査。若いうちからリスクを減らすことが予防では重要。(2024/08/13)

[15]ONE COMPATH、ウォーキングアプリ「aruku&」歩行と栄養に関する意識調査
https://onecompath.com/news/release/15306/
「勝手にウォーキング対抗戦」と題し、ユーザーが栄養を取る方法について「食事派」か「サプリメント派」に分かれて歩数を競うイベントを実施。イベント後、歩行と栄養摂取の関連性を調査しました。(2024/08/16)

[16]サントリー食品インターナショナル、18~34歳の若年層に聞く「若者の心と体の健康に関する実態調査」を実施
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1506.html?rss=0000000029
若年層の半数が「健康・体調」に悩みを抱えている。不調により仕事のパフォーマンスが3割低下しているという実態も。(2024/08/19)

[17]良品計画、無印良品グランフロント大阪店内に都市部初となる「まちの保健室」を新たにオープン
https://www.ryohin-keikaku.jp/news/2024_0819_01.html
「まちの保健室」は、「日々の暮らしを自然に見つめなおすきっかけをつくり、自分らしい健やかさを実現するための行動を後押しする」ことをコンセプトに地域行政、医療とも連携して活動しています。(2024/08/19)

[18]シュガコン、「自分だけの食事管理は美味しく健康」にする時代。2週間の食事記録を管理栄養士が徹底分析するサービスが登場!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000144055.html
血糖値と食事の関連性を可視化し、パーソナルなフィードバックを返せる新しいサービス『シュガコン2weeks』をリリース。(2024/08/20)