[健康ビジネス・マーケティング&収益化編]ウェルビーイング経営における社会的健康とは?
こんにちは、渡辺武友です。
ウェルビーイング経営というワードを聞く機会が増えてきました。
では、ウェルビーイング経営とは何でしょうか?
健康経営との違いは?
米国市場を例に考えていきます!
特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編
現在の法人市場では、健康経営からウェルビーイング経営にシフトしてきています。
ウェルビーイング経営で重要となるのが「社会的健康」です。
では、「社会的健康」とは何でしょうか?
従業員皆が健康になれば「社会的健康」?
企業を超えて地域にも貢献したら「社会的健康」?
このように結果論として大きな枠組みで評価するのが「社会的健康」と考えているかもしれません。
それも間違いではありませんが、結果論だけでなく、スタート時点から考え、活用することがウェルビーイング経営には必要です。
ウェルビーイング経営における「社会的健康」について、先行する米国市場を例に共有していきます。
ウェルビーイング経営とは
「ウェルビーイング経営とは?」
と検索すると、それぞれの視点で解説があり、どうも1つでないことがわかってきます。
我々が長年この市場動向を米国、国内と見てきた立場で「ウェルビーイング経営」をどう捉えているかと言うと、健康経営の先にたどり着いたのが「ウェルビーイング経営」だと考えます。
例えば、米国の健康経営(Corporate Health)は、医療保険料の増加を抑えることから始まっています。
医療保険料を抑えるには、従業員に健康でいてもらうことで、医療保険の利用を抑制するというものです。
その後、従業員が健康でいることで、生産性が上がるなど、医療保険料抑制以上の経営効果が得られることがわかってきました。
ただし、「生産性を上げるために健康でいろ」と業務命令になってしまうと、従業員は仕事だから仕方なく健康に取り組むことになり、場合によっては時間外手当を払わないと健康行動してくれないことになります。
そうではなく、従業員が自発的に健康行動をすることで、結果として健康でイキイキと働く従業員が増え、生産性に貢献するような施策が導入されてきました。
そして、従業員がイキイキと働くために必要なことがウェルビーイングだと言うことがわかってきたのです。
その企業で働くのは何のためか?人それぞれ違いがあり、置かれる立場によっても変化します。
人それぞれの(組織としても)ウェルビーイングの状態を得られるようにすることが、企業のパーパス(一律に生産性向上ではなく企業によって違うもの)達成に貢献すると位置付けた(たどり着いた)のが「ウェルビーイング経営」ではないでしょうか。
こう考えると国内でも複数年健康経営に取組んでいる企業は、同じような流れにあることがわかると思います。
最初は人材確保に必要なことだから見よう見まねで健康経営を始めたが、以前と比べ従業員がイキイキと働き、結果を導き出す姿を見た経営者は、「従業員こそが我が社の宝だ!」と思い、従業員をより良い状態(ウェルビーイング)にするべきだと考えるようになったという話は、ここ数年よく聞かれます。
健康における社会的健康・ウェルビーイング
WHO憲章では、その前文の中で健康について次のように定義しています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること(日本WHO協会訳)
原文からwell-beingは状態を表していることがわかります。
ここで見ていきたいのは、健康とは「個人の肉体と精神」だけを指していないということです。
その個人を取り巻く「社会(組織や家族、地域、友人など)」も満たされることまで含んでいます。
健康は、肉体、精神、社会の3つの因子で構成されていることになりますが、私が所属する社会的健康戦略研究所では、肉体、精神、社会が満たされるためには社会がベースとなると考えています。
例えば、組織内の人間関係が原因でメンタル疾患となった場合、当事者のメンタル改善は必要ですが、職場復帰を考えた場合、人間関係が悪い職場(社会)に戻ると再発のリスクがあります。
当事者のメンタル改善と合わせ、職場の人間関係のあり方も見直さなければなりません。
これが「ベースとなる社会を優先的に健康にする」という意味です。
社会的健康・ウェルビーイングの活用
先程の例では、悪い状態を良くする話でしたが、ウェルビーイング経営においては、悪い状態を良くするだけでなく、今の状態をより良くするとの視点も必要になります。
そのためには、最初から無理に1つのゴールにするのではなく、立場の違う関係者(経営層、従業員、その家族など)のウェルビーイングが必要になります。
複数あるウェルビーイングに取組むことで、最終的に企業のパーパス達成を目指します。
このような姿を目指すため、米国市場ではウェルビーイング経営(Corporate Wellbeing)実行支援のため、ヘルスケアサービス企業は「Wellbeing Program」を提供しています。
「Wellbeing Program」には、個人の肉体や精神にアプローチするプログラムもあります。そして、社会(部門やチーム、関連業者、家族など)に向けたプログラムもあります。
提供される「Wellbeing Program」の多くは、社会的健康がベースとなっていることがわかります。
この「Wellbeing Program」は、今後国内市場でも導入が進むであろう、ウェルビーイング経営において必要なものとなるでしょう。
ぜひ先行する米国の「Wellbeing Program」をチェックしていってください。
健康における社先行する米国「Wellbeing Program」を知る
先行する米国の法人市場では、どのような企業がどのようなサービスを提供し、どれくらいの収益を上げているのか?
気になるところだと思います。
そこで!
我々ヘルスビズウォッチは、総力を上げて米国法人市場のトレンドを調査しました。
その調査内容からぜひ知ってもらいたいポイントを解説するセミナーを開催します。
10月11日(金)開催分にキャンセルありましたので追加募集します。
(すでに埋まっていたらごめんなさい!)
追加で10月25日(金)に開催することとなりました。こちらは余裕あります。
リアルにいろいろ聞ける場になります。
この機会をご活用ください!
「米国法人向けヘルスケアビジネスのニュートレンド解説セミナー(無料)」
解説:
脇本和洋、渡辺武友(スポルツ/ヘルスビズウォッチ)
開催日時:
2024年10月11日(金) 17:00 - 18:30(開場16:45)
2024年10月25日(金) 17:00 - 18:30(開場16:45)
開催場所:
インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社
東京都千代田区鍛冶町1-8-3 神田91ビル 2F
定員:各回15名
費用:無料
主催:
株式会社スポルツ、インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社
詳細お申込はこちらまで
https://ex-pa.jp/item/55850
健康ビジネスキーワード
「所属欲求」
ブランドとしてのエンゲージメントへの入り口は?
それは所属欲求へフォーカスすること。
ブランドの仲間として認める方法を明確に提示すること。
ウェルネスサービスの一部ではすでに始まっていて、ヘルスケア系ブランドでは手付かずの領域。
貴社サービスに当てはめて考えてみましょう。
今週の注目記事クリップ
[1]研究:日常会話から嚥下障害を評価するAI
https://mhealthwatch.jp/global/news20240925
韓国のKonkuk University Medical Centerの研究チームは、AIを用いて日常会話の音声データを音節単位で分析し嚥下機能を評価することで、非侵襲的で簡便な方法を提案している。(2024/09/25)
[2]研究:手首装着型の加速度計で歩行障害を検出
https://mhealthwatch.jp/global/news20240930
Scientific Reportsから公開された研究論文では、手首装着型の加速度計とディープラーニングの組み合わせにより、高齢者の日常生活における「歩行から歩行障害を検出できる可能性」を指摘している。(2024/09/30)
[3]時差ボケ対策?光るメガネ『retimer 3』
https://mhealthwatch.jp/global/news20241001-3
『retimer 3』は、青緑色の光を発し体内時計を管理するというウェアラブルデバイス。(2024/10/01)
[4]ニッスイ、「運動習慣の実態と意識に関する調査」結果を発表
https://www.nissui.co.jp/news/20240925.html
本調査では、日々の運動習慣の実態を明らかにし、さらに有酸素運動・無酸素運動への意識や、速筋・遅筋の認知度、健康のための食事への意識についてWEBによるアンケート調査を行いました。(2024/09/25)
[5]住友生命保険とサントリー食品インターナショナル、デジタル共創プロジェクト第一弾「お客さまの健康に向けたコラボレーション」
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1522.html
第一弾では、Vitality会員向けに1か月間で毎週1本(合計4本)の「特茶無料引換券」を提供するキャンペーンを実施し、特茶を摂取しながら健康増進活動を実施した場合の健康効果や健康意識の変化等を両社で分析します。(2024/09/25)
[6]ブレインスリープ、【電気通信大学と共同研究】 新しいコンセプトの睡眠ステージ推定のアルゴリズムを構築
https://brain-sleep.com/blogs/news/11656
このたび、「ブレインスリープ コイン」の睡眠ステージ推定の更なる精度向上を目的に電通大と共同研究を行いました。これにより腰に装着した加速度センサを使い、身体の動きと人の睡眠中の生体リズムに基づいて睡眠の質を測定する新しい方法を確立しました。(2024/09/25)
[7]BtoGtoC・BtoBtoEのヘルスケアサービス導入で重視すること、「自治体」と「企業」で顕著な違い(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/market-240925-1
ヘルスケアサービスの社会実装を推進するAMEDが、自治体と企業が住民や従業員向けに外部のヘルスケアサービスをどの程度、利活用しているのか、また利活用における考え方や課題を明らかにするため、自治体と企業を対象に調査を実施した。(2024/09/25)
[8]リキッド・デザイン・システムズ、東洋医学×血圧測定、体調を可視化する健康管理システム「五行ドクター」新登場【PDF】
https://liquiddesign.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/Gogyo-doctor_introduction_20240925.pdf
https://liquiddesign.co.jp/
血圧測定と、東洋医学およびAI技術を融合させた革新的な健康管理WEBアプリ「五行ドクター」をリリース。健康得点、美肌得点、ストレス度、血圧傾向が一目で分かり、記録機能までカバーした新しいSaaS製品です。(2024/09/25)
[9]日本総合研究所、企業におけるデジタルヘルスサービス利活用の実態調査~「健康経営」での利活用推進に欠かせない産業医の意向も把握~
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=108796
産業医の8割以上が、健康経営の推進においてデジタルヘルスサービスの利活用に価値を見いだしていることが分かった、など。(2024/09/26)
[10]進む「顧客体験の高度化」ヘルスケア業界の事例(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/marketing-case-230928-3
女性の健康問題に対する社会的関心が高まり、各社の参入の激化が始まった今こそ、情緒的価値を追求し顧客体験を高度化するタイミング。(2024/09/26)
[11]NTTドコモ、寝ている間に女性特有の高温期と低温期の周期を把握できる「わたしの温度(R)」を発売【PDF】
https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_240930_00.pdf
https://www.docomo.ne.jp/
「わたしの温度(R)」は、就寝前に専用ナイトブラに装着して寝るだけで、女性特有の温度リズムを自動で計測し、記録することができるデバイスです。(2024/09/30)
[12]あすけん、創業17周年を記念して「あすけんオリジナル体組成計」発売決定
https://www.asken.inc/news/20241001-asken17thanniversary
「あすけん体組成計」は、食事管理アプリ『あすけん』と簡単に連携できるオリジナル体組成計です。『あすけん』と連携することで、体重や体脂肪率など全13項目の体組成データがアプリ上に自動入力されます。(2024/10/01)
[13]日本シグマックス、企業が実施する腰痛対策と、従業員が求める対策とのギャップとは?ー製造業における腰痛の実態を調査ー
https://www.sigmax.co.jp/news/6668/
腰痛は「4日以上の休業を要する職業疾病」の約6割を占める労働災害です。今回、製造業の工場勤務者を対象に、腰痛の発生状況とその対策に関する実態調査を実施いたしました。(2024/10/01)
[14]ウェルネス・コミュニケーションズ、クラウド型健康管理システム「Growbaseネクスト」 従業員1人あたり月額1,000円でchocoZAPが利用できる「新バリューパック」を販売開始【PDF】
https://wellcoms.jp/data/news/301/news.pdf
https://wellcoms.jp/
新バリューパックは、従業員一人あたり1,000円(税抜)で導入することができ、企業側はGrowbaseネクストを利用することで従業員一人一人の健康管理が、従業員はchocoZAPでトレーニングマシン等を使って自身の健康増進やリフレッシュが可能。(2024/10/01)
[15]『mHealth Watch』注目ニュース:ライフネット生命保険「認知症、ジブンゴト化してますか?」認知症に関するアンケート調査
https://mhealthwatch.jp/japan/news20241007-2
今回注目したのは、ライフネット生命が実施した「認知症に関する アンケート調査」に関するニュースです。調査結果の中で注目したい点は、「自分が将来認知症になると考えている人は16.4%」という数字の低さです。(2024/10/07)