こんにちは。脇本和洋です。

本メルマガでは、海外のヘルスケアサービスの最新動向をチェックしています。
今回は本編の下半期を振り返り、注目動向を確認しましょう。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

今年後半を「2つの視点」で振り返る


本編の今年後半では、

・生成AIの行動継続への活用
・米国法人向けヘルスケアビジネスのプレイヤー直近動向
(ComPsych Corporation、Workplace Options、WebMD Health Services、Grokker)
・米国法人向けサービスにみる「社会的健康」「経済的健康」

といった内容でお届けしました。
お読みいただけましたでしょうか。


今回はその中から

「生成AI×ヘルスケアサービス」
「米国法人向けヘルスケアビジネスのトレンド」

という切り口で掘り下げて解説します。

※参考>本編のバックナンバー

注目テーマ1)生成AI×ヘルスケアサービス


米国では、2024年は生成AIのヘルスケアサービスへの活用が大きく進んだ年になりました。
本編9月号ではその活用を紹介しました。


■9月号の要約

<主な動向>

・2024年4月:WHO(世界保健機構)が生成AIを活用したアドバイスを開始
・2024年5月:Googleの生成AI「Gemini」が進化、Fitbitへの新サービスへの応用
・2024年7月:OpenAI Startup FundとThrive GlobalがThrive AI Healthへの資金提供を発表


<示されたこと>

  • WHOとGoogleの生成AI活用は、個人向け(B-C)での可能性が示されたものだが、OpenAI Startup FundとThrive Globaは企業向け(B-B-E、日本でいう健康経営向け)での可能性が示された。
  • 企業向けではすでに人(専門家)が健康アドバイスを行っている場合も多く、生成AIを部分的に使いながら成果を高めることにつながる。導入も早いことが予想される。
  • 生成AIをリードするOpenAIがもつ画像、音声、動画、音楽といった生成技術を本格的に生かした行動定着サービスが開発されると予想される。


■生成AIの活用における3つの課題

WHOは試験的に生成AIを活用していますが、一部では情報提供の的確さが不足しているとのコメントもあり、爆発的な利用拡大には至っていないようです。
やはり、生成AIは多岐にわたる回答が可能なため、その制御方法が重要な課題となるでしょう。

これからは以下の3つが克服すべき課題と思われます。

  • 行動変容サービスのどの部分で生成AIを活用するか?(人との融合をどう図るか、どう制御するか)
  • 進化する生成AIらしさ(アイデア発想の力、画像生成の力)をどう発揮させるか?
  • ビジネスとしての可能性をどう示すか?(健康成果だけでなく、ビジネスモデルへの効果など)

注目テーマ2)米国法人向けヘルスケアビジネスのトレンド


本年後半では、米国の法人向け「ウェルビーイングプログラム」について解説しました。
こちらも簡単に振り返っておきましょう。


■ウェルビーイングプログラムは、なぜトレンドになっているか?

米国の法人向けプログラムは、ディジーズマネジメントプログラム(重症化予防が主目的)、もしくはウェルネスプログラム(疾病予防が主目的)といった切り口で語られることが多かったです。これらの価値はあくまで「個人の健康」です。

ウェルビーイングプログラムの特長は、「企業価値への貢献」にあります。
単に健康になるだけでなく、企業内での社会性(コミュニケーション)向上と、家庭内での社会性(関係性)向上を目指します。
そうすることで、単に個人の健康にとどまらない、企業価値への貢献を提供します。


■ウェルビーイングプログラムの特長は何か?

ウェルビーイングプログラムは、身体的健康と精神的健康に加え、社会的健康と経済的健康も含まれると考えるとわかりやすいです。
また、プログラムの成果の分析にも力を入れることが特長です。


■ウェルビーイングプログラムは日本にくるか?

日本と米国はビジネス環境が違うので、米国で流行っているものが日本に必ずくるとは言い切れないでしょう。
ただ、そのビジネス環境も常に変わっています。


ご存じの方も多いとは思いますが、11月にISOウェルビーイング・ガイドラインが発行されました。

ISO 25554:2024
Ageing societies - Guidelines for promoting wellbeing in communities


ウェルビーイング・ガイドラインがISOで規格化されたことにより、ウェルビーイング経営は、このガイドラインに則っているかが一つの基準となります。

すでに米国法人市場は以前からこのガイドラインに対応しています。
つまり、米国ウェルビーイングプログラムを詳しく知ることが、これから法人向けヘルスケアビジネスでは必須になると言ってよいでしょう。

この動きを早めにチェックしておくことをお勧めします。

米国法人向けヘルスケアビジネスのトレンドを最速で知るには


では、注目の米国法人向けウェルビーイングプログラムの中で、どの企業を見ればよいか。
成功企業からチェックしたいと思う方も多いでしょう。
ただ、非上場企業が多いですし売上を調べるには手間がかかる上、B-B-Eサービスの内容を把握するのには時間がかかります。

我々は今年の8月から集中的にこの分野をリサーチしました(200~300時間)。
そしてどの企業に着目したらよいか、その企業はどんなウェルビーイングプログラムを提供しているか、最速でわかるものを用意しました。

以下3点です。


■その1:米国法人向けヘルスケアビジネスマップ2024

総合型サービスとしてウェルビーイングプログラムを提供する企業を紹介するとともに、売上高を基準に主要プレイヤー48社をマッピングしました。
ロゴをクリックすると各社の事例サイトを確認できます。


■その2:【米国法人向けヘルスケアビジネスマップ2024】全48サービス・レポートリスト

その1のマップに掲載した48社すべての企業概要と売上高、特長が一目でわかるレポートです。今すぐ48社を見ておきたい方に向いています。


■その3:【米国法人向けヘルスケアビジネスマップ2024】詳細事例解説レポート
「売上好業績企業5社からわかる Wellbeing Programへ向かうニュートレンド」


その2で紹介した企業の中から特にウェルビーイングプログラムを提供する事例を中心に詳細をまとめたレポートです。
特典として、個別に質疑応答ができるだけでなく、事業検討の相談ができる無料ミーティング(1時間)をプレゼントしています。

健康ビジネスキーワード

「Eco Wellness」

我々が注目しているトレンドの一つにEco Wellnessがあります。
環境問題への意識の高まりと共に、
環境に配慮した健康的なライフスタイルニーズが増加しています。
サスティナブルな消費行動、エコフレンドリーな製品、
カーボンニュートラルなライフスタイルが注目されています。

このトレンドに貴社はどうアプローチしますか?

今週の注目記事クリップ

+++★注目記事クリップ★+++

[1]PatientsLikeMe、女性の健康に焦点を当てたAIアシスタントを開始
https://mhealthwatch.jp/global/news20241206
PatientsLikeMeは、生成AIプラットフォーム「Ema」を搭載した、女性の健康管理を支援するAIアシスタント『Ella』のリリースを発表した。(2024/12/06)

[2]Google、ヘルスケアアプリ開発者向けにオープン基盤モデルをリリース
https://mhealthwatch.jp/global/news20241209
Googleは、ヘルスケア開発者向けの公開リソースである『Health AI Developer Foundations(HAI-DEF)」』を導入した。当初は皮膚科、放射線科、病理学に重点を置いたヘルスケアアプリケーションの構築に役立つオープンウェイトモデルを提供する。(2024/12/09)

[3]パーソル総合研究所、「更年期の仕事と健康に関する定量調査」を発表。男女ともに40・50代正社員の4割前後が軽度レベル以上の更年期症状を保有
https://rc.persol-group.co.jp/news/202412041000.html
本調査では、更年期症状が仕事に与える影響を男女の違いも踏まえて分析し、セルフケアと職場内支援の観点から主に女性に対して有効な施策を明らかにしました。(2024/12/04)

[4]ハルメク・エイジマーケティング、2024-2025シニアトレンドを発表!「ラストパートナー(ラスパ)」「エイジフリーWORK」「シニア解放区」…“令和シニア”の進化が明らかに
https://www.halmek-holdings.co.jp/news/press/2024/u03-cjti0tok/
今、シニア世代はどういったモノに関心があるのか、どういった価値観を重視するのか、これからどのように過ごしたいと考えているのか。リアルな現状を明らかにしています。(2024/12/04)

[5]オムロン ヘルスケア、日本女子陸上競技 田中希実選手がはじめて明かす、低周波治療器を使ったセルフケア方法
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2024/1204.html
インタビューでは、股関節の痛みのケアや就寝前の筋肉疲労回復、さらには体幹トレーニングなど、田中選手が当社の低周波治療器をどのようにパフォーマンス向上とセルフケアに役立てているかを紹介します。(2024/12/04)

[6]ASUS JAPAN、ウェアラブルヘルストラッカー「ASUS VivoWatch 5 AERO」の黒色を発表(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001359.000017808.html
「ASUS VivoWatch 5 AERO」は、リアルタイムで健康状態、睡眠の質、運動データをモニターし、コンパクトで軽量、長時間稼働可能なウェアラブルヘルストラッカー。(2024/12/05)

[7]NECソリューションイノベータと倉敷中央病院、健康診断の結果から11種類の疾患リスクを同時に予測するAIを論文報告
https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/topics/20241206/
本研究では、倉敷中央病院が保有するカルテと倉敷中央病院付属予防医療プラザが保有する健康診断の情報を用いて、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、動脈硬化、急性心筋梗塞などの生活習慣病が4年以内に発症するリスクを予測するAIを開発しました。(2024/12/06)

[8]ヘルスケアテクノロジーズ、住友生命健康保険組合にヘルスケアアプリ「HELPO」を納入
https://healthcare-tech.co.jp/news/20241206_2.html
健康保険組合の医療費削減と組合員の利便性向上に向けて一部対象者へ導入。「HELPO(ヘルポ)」は未病と呼ばれる体調が悪くなり始めたときや、ちょっとした身体の不安や不調を医師・看護師・薬剤師などの医療専門チームに24時間365日、気軽に何度でも相談できるオンラインヘルスケアサービスです。(2024/12/06)

[9]ファーウェイ・ジャパン、管理医療機器の血圧計を内蔵 さらに進化したスマートウォッチ『HUAWEI WATCH D2 ウェアラブル血圧計』「GREEN FUNDING」にてお得な先行支援受付開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000557.000024671.html
前モデル『HUAWEI WATCH D ウェアラブル血圧計』から進化し、日中に加えて夜間は自動で血圧測定を行う自動血圧モニタリング機能を新たに搭載しました。(2024/12/06)

[10]わずか4分間の運動が女性の健康リスクを半分に減少 日本の女性は運動不足(保健指導リソースガイドより)
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2024/013508.php
わずか4分間という短時間の運動であっても、毎日の生活で積み重ねると、中年女性の心血管疾患のリスクを半分に減らせることが、オーストラリアのシドニー大学で明らかになった。(2024/12/09)

[11]『mHealth Watch』注目ニュース:アサヒ飲料、アプリ連動型ウォーターマネジメントサーバー『WATER BASE』実証実験開始
https://mhealthwatch.jp/japan/news20241216
自宅や外出先などで提供されている単一機能としての機器に、ちょっとだけ機能を追加するだけで、ヘルスケア、健康ステーションという役割に変化が可能な機器が存在しているような気がしています。(2024/12/16)



+++★デジタルヘルス解説動画(解説:渡辺、脇本)★+++

【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
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Walgreensが注目した課題とは?(5分48秒)
https://youtu.be/rI09TNrQqYY