HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
弊社7月より26期に突入しました。
これも読者の皆様のお陰であると心より感謝しております。

特集:サービスデザインと健康の関係編

健康ビジネスに貢献する3つのフレーミング

私大川が担当するこの[サービスデザインと健康の関係編]は4月よりプチリニューアルし、多種多様なサービス事業のデザインへの工夫から健康ビジネスに役立つ学びを共有することをテーマにしていくと再定義しました。

5月号ではコロナ禍の影響で大きく変わっていく「コミュニケーション環境」の中でPOP UP STOREを活用したコミュニケーションプロセスのデザイン工夫を紹介しました。
https://healthbizwatch.com/column/614

6月号は今後IoTをベースとしたコネクテッドな環境が拡大浸透していく中でサービスビジネスが取り入れるべきスタンスとしての「共創」を取り上げその種類を紹介しました。
https://healthbizwatch.com/column/526

今回は健康ビジネスのサービス化に機能する3つのフレーミングについて解説します。(後日追加で事例紹介ミニZoomセミナーも予定しています)

健康ビジネスは対象者の行動変容の流れをどう設計するかが決め手

一瞬にして健康になってしまうことはあり得ません。

なんらかの健康行動を継続することによってアウトカムを得ることができ、あらゆる健康ビジネスもこの基本をベースにする必要があります。

今回紹介する3つは様々な業種業態のサービスで活用されているものです。
それを健康ビジネスに当てはめると以下のような流れになります。

チェック&ソリューション → チョイス&チェンジ → ピア&トゥギャザー

1)チェック&ソリューション

まず、健康ビジネスのユーザーは明確なゴールがどれだけ描けているかの差はありますが、大きな方向性を持ってなんらかの手がかりを探し始めるのが普通です。

・ちょっと太り始めたのでダイエットしようかな?
・血圧高めを指摘されたので何かやろうかな?
・どうも睡眠が足りていないようで仕事中も眠い!
・肌のコンディションが良くないのでなんか方法はないかしら?

自分が感じている課題がどのレベルであるのかをチェックし、現在地点を明確にした上で課題解決に向けたソリューション(方法やルート)が提示されるというフレーミングが「チェック&ソリューション」です。

漠然と行きたい方向があっても現在地を確定しないとルート(道順)が描けません。

例えば
「減量したい」=漠然
10kg体重が増えたので(現時点)
a)10kg減量を半年でしたい
b)5kg減量を1年でしたい
現時点が明確になって方向がさらに明確になっていますが、a)とb)では減量へのアプローチ行動が異なることになります。

健康ビジネスサービスのユーザーの行動起点設計を行うプロセスがチェック&ソリューションになります。

2)チョイス&チェンジ

ソリューション行動を自分にあったものとしてチョイスでき、チェンジ(変わっていく行動)にすぐ移せる流れがフレーミングされているのが「チョイス&チェンジ」です。
まさに行動プロセスになります。

自分でチョイスすることがポイントです。それによってその行動は自分ゴト化しやすくなります。
自分ゴト化=主体性の発揮は成果への達成率が高まることは言うまでもありません。
そしてチョイスとチェンジ行動が直結し、スムーズに行われることによって初期成果を早いタイミングで経験しやすくなることが分かっています。

また、即行動できる流れを提供することによって、初期選択行動が自分にあっていなかった場合でもその変更もスムーズになる場合が多いのです。

このチョイス&チェンジは健康ビジネスのサービス化の核となるプロセスであり、サービスコンテンツとなるので継続的なアップデイトが求められます。

3)ピア&トゥギャザー

チョイス&チェンジで自分にとっての効果が期待できる行動を選択できたユーザーが成果を得ることができるような継続環境を提供するフレーミングが「ピア&トゥギャザー」になります。

自分が選択した(購入した)健康ビジネスサービスの利用者やアドバイザーなどと交流できるコミュニティ機能と言ってもいいです。

ピア(同じテーマを共有する仲間同士の刺激)と行動をトゥギャザー(一緒に)継続できる環境を提供できるか否かはすべてのサービス事業者の課題と言われてもいます。
もちろん健康ビジネスにとっても同様です。

3つのフレーミングをテンプレートに自社サービスの活性化ポイントを探す

3つのフレーミングを自社サービスプロセスに導入する前提で課題の在り処と可能性を抽出してみることを健康ビジネス事業の皆様へ提案したいのです。

この3つのフレーミングのすべてが揃っているプレイヤーは国内においては実はそう多くはありません。
自社商品サービスの価値提供の最大化のためにどのフレーミングが使えそうか?を探っていただき、自社サービス品質をどう向上させていくかの補助線として活用していただきたいのです。

3つのフレーミングに対するご質問などあればぜひ!大歓迎です!!!

●今回紹介した3つのフレーミングの事例を解説するZoomミニセミナーを少数限定で予定しています。

 日 時:2020年7月15日(水)16:00-16:40 の40分
 締 切:2020年7月10日(金)もしくは満席になり次第
 募 集:5名
 参加費:無料

お申込みはこちら
https://healthbizwatch.com/seminar/1082

健康ビジネスキーワード

「場所の意味の再定義」

あらゆる場所への自由な移動が期せずして禁じられた3ヶ月弱の間に起きた様々な現象で体験した生活者がどう変化していくか?それを見据えて我々も我々にとっての場所の再定義が必要です。

今週の注目記事クリップ

[1]エーテンラボ、チーム制アプリが行動変容に寄与することを証明 2型糖尿病・予備軍同士が励まし合えば目標歩数達成率は2倍に!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000024217.html
エーテンラボは、神奈川県のプラットフォーム「神奈川ME-BYOリビングラボ」を活用し、2型糖尿病・予備群に習慣化アプリ「みんチャレ」を提供し、生活習慣改善の効果検証を行った。その結果、「みんチャレ」を活用したグループにウォーキングの目標歩数の達成率の有意差が認められた。(2020/06/26)

[2]コスメカウンターで買い物気分 オンライン美容相談の満足度は93%(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/case-200626-1
オンラインでの美容相談は、スキンケアやコスメアイテムを効率よく販売する方法として新定番になっていくかもしれない。ランコム(日本ロレアル)は、デジタルカウンセリング「オンライン美容相談」を行っており、高い満足度を獲得している。(2020/06/26)

[3]がんサロンとは?女性特有のがんや治療中の美容悩みに対応(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/case-tips-200626-2
女性特有のがんに限定したサロンや、治療中の美容悩みを解決するハウツー講座を開催するサロンなど、女性に特化したがんサロンもあり、がんサバイバーのQOL向上を支える重要な役割を担っている。患者会との違いや、全国のがんサロンのテーマ事例を調査。(2020/06/26)

[4]日立製作所、幸せの見える化技術で新たな産業創生をめざす「出島」としての新会社を設立
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2020/06/0629.html
日立製作所は、独自開発してきた幸福度計測技術を事業化してwith/afterコロナ時代の企業のマネジメント支援などに活用するとともに、計測した幸福度を多様な場面で活用して、新たなハピネス&ウエルビーイング産業を創生することを目的とした株式会社ハピネスプラネットを設立する。(2020/06/29)

[5]JTBベネフィット、リモートワークによる社員の不健康化・経済的負担などの課題に対応
新サービス『リモート社食withえらべる倶楽部』提供開始

https://press.jtbcorp.jp/jp/2020/06/%E3%83%AA%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E7%A4%BE%E9%A3%9Fwith%E3%81%88%E3%82%89%E3%81%B9%E3%82%8B%E5%80%B6%E6%A5%BD%E9%83%A8.html
福利厚生向け電子食事カード「チケットレストラン タッチ」を提供するエデンレッドジャパンと共同開発。JTBベネフィットの総合福利厚生サービス「えらべる倶楽部」を食事補助に付帯した新サービス。(2020/06/30)

[6]キャピタルメディカ・ベンチャーズと社会変革推進財団、ヘルスケア分野に特化したベンチャーキャピタルによる社会的インパクトの評価レポート発行
https://capimedi.com/202006301pr/
投資先企業の財務的な企業価値の向上を目指すベンチャーキャピタルファンドが、投資先の創出する社会的インパクトの可視化を試み、まとめた本レポート「ヘルスケア・ニューフロンティア・ファンドのインパクトレポート(2019)」は2018年度版に引き続く、第二弾となっている。(2020/06/30)

[7]カナダスポーツウエア大手が「スマートミラー」の新興企業を買収へ、狙いは家庭内フィットネス市場(日経デジタルヘルスより)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/08250/?ST=ch_digitalhealth
カナダのスポーツウエア大手、lululemon athletica(ルルレモン・アスレティカ)は、フィットネス新興企業の米Mirror(ミラー)を買収することで合意したと明らかにした。ルルレモンは今回の買収で、家庭内フィットネス市場を開拓する。(2020/06/30)

[8]まるで自分だけの小さなドラッグストア!救急ボックス&アプリ『Qurelife』
http://mhealthwatch.jp/global/news20200625-2
「Qurelife」は、オランダで開発された救急ボックス。薬は専用アプリを通して割引価格で購入でき、使用期限やストック状況をアプリ上で管理もできる。(2020/06/25)

[9]ゲームベースの「デジタル治療」をFDAが認可、小児ADHDの注意機能を改善
http://mhealthwatch.jp/global/news20200626-2
FDA(食品医薬品局)は、発達障害の一種である小児の注意欠陥・多動性障害(ADHD)の注意機能を改善するデジタル治療を認可したと発表した。認可したのはベンチャーの米Akili Interactive Labsが開発した『EndeavorRx』。同時に2つの課題をクリアしていく形式の治療向けゲームになる。(2020/06/26)

[10]『mHealth Watch』注目ニュース:社会的健康戦略研究所『社会変化に強い健康経営・働き方改革』
http://mhealthwatch.jp/column/news20200706-3
「一般社団法人 社会的健康戦略研究所」によるオンラインセミナーを開催します。今回は健康経営に参入しようと考える方々に役立つ情報として、7月28日(火)に渡辺より「社会変化で求めれる健康支援とビジネスのあり方」をお届けします。(2020/07/06)