こんにちは、渡辺武友です。
今年度から新たなテーマに取り組んでいる方も多いでしょう。
代表的なのが「法人企業向け健康ビジネス」です。
実はこのテーマ、多くの企業がチャレンジしますが、思ったような結果に結びついてくれません(泣)
今回はちょっと重いですが、「法人企業向け健康ビジネス」にチャレンジする方、必見の内容です!

特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編

法人企業向け健康ビジネスの罠

今年度から新規事業として「法人企業向け健康ビジネス」をスタートした方も多いことでしょう。

「法人企業にアプローチすれば、いっぺんに沢山の従業員が利用してくれる」
「会社が強制して使ってくれるはず」

このように考え、コンシューマ向けより効率的に契約でき、多くの収益を生むはずだと期待している企業を多く見かけます。

でも、実際に参入してみると期待とは裏腹の反応が待ち受けているのです!
まずは現実を知り、何のためにこのテーマに取り組むのかを改めて整理してみましょう。

法人健康市場の実態を知る

法人健康市場、つまり従業員の健康に関する支援においては、大きく分けて、法令の範囲のものと、法令外のものがあります。
例えば特定健康診査や特定保健指導は、厚生労働省令として定められています。それ以外にも労働安全衛生法など複数あります。
対して法令外とは、健康経営など、企業が自主的に行う取組みです。
法令内、法令外は別ものとして棲み分けて考える必要があります。

法令外とは、強制できない領域になります。
これを企業の方針で強制し、例えばウォーキングイベントに強制で取り組んだ従業員がケガをしたり、死亡した場合、労災として補償しなければならないなど、リスクが発生します。
ですので、法令外は基本的には自由参加となります。

企業向けに提供するから、強制的に従業員が使ってくれると思うのは、甘い考えになります!

自由参加となった場合、ご自身ならいかがですか?
忙しい時期に「健康改善プログラムの案内」などが届いて、率先して参加してきましたか?
ここで手を挙げるのは、健康に感度が高い人、つまり普段から健康行動をしている人が多くなります。

では法令内のものなら強制が働くから有利なのか?
と言うと、そう簡単ではありません。

法令内とは、やらなければならないことが定められています。
利用する企業や健康保険組合の多くは、法定の範囲で効果的でお得なものを求めます。
余計なオプションサービスまでは望まれないことが多いです。
そうなると価格競争になり、多くのサービスはギリギリの金額で提供されることになりやすいのです。

しかも、企業は義務として取り組むだろうと考える事業者がたくさん参入してくるので、競合もかなりの数になります。
ある健康保険組合が契約している事業者数、例えば特定保健指導では1,000を超える事業者が登録しているなど珍しいことではありません。

企業への価値と従業員への価値の違い

企業へ健康商品やサービスを提供するとなると、当然、企業側の担当者を通して提供することになります。
その場合、担当者が求める価値を考えることになります。

担当者が求める価値は、企業やタイミングによって変わってきますので一概に言えないですが、例えば、ある企業は30代、40代と年を重ねるごとに肥満になる率が高いとしましょう。
50代になると高血圧や糖尿病を発症する人が他社より多いとするなら、30代から健康な生活をして、太らなくなってもらいたい。それが求める価値と仮にします。
その要望に対して提供者は、太りにくいカラダを手に入れるための生活習慣改善プログラムを提供することになります。

担当者から求められるものを提供する。との視点では正しいのですが、その生活習慣改善プログラムの対象となる従業員がやってくれるかは別の話しになります。

つまり「担当者の欲求」と「従業員の欲求」が必ずしもイコールではないのです。

対象となった従業員が、20代のころと比べて太ってきたと認識していたとしても、今、痩せたいと思っているとは限りません。
担当者が求める価値をそのまま伝えたとき、従業員が今、求める価値が「50代に病気になるリスクを努力してでも下げたい」と思っていなければ、生活習慣改善プログラムに参加する動機にはならないのです。

法人企業向けの健康支援であっても、実行するのは従業員です。しかもプログラムとなると、就業時間以外の活動となることが多く、本人が率先して活動してくれなければ結果も出てくれません。

真面目に健康効果を伝えて動いてくれる人もいますが、参加意欲の高い人の多くは、すでに健康行動をしている対象者以外になることは、よくあることです。
対象となる従業員が自ら「やりたい」と思えるような、価値を感じてくれるテーマ選定とサービス提供が求められます。

このように、担当者に提供する価値と、従業員が自ら行動して結果を得たいと思う価値は別に考える必要があります。

即役立つ!最初にするべきこと

今回は「重い話しだな」と思ったかもしれません。
でも、まずはこのような実態を知った上で、何を提供するのかを考えていただきたいのです。
今回お伝えしたのは、ほんの一部です。そして法人企業向け健康ビジネスに参入する企業が、必ず頭を悩ますことでもあります。

せっかく法人企業向け健康ビジネスに参入するのでしたら、深いところまで検討し戦略を考えて挑んでいただくことが大切と考えます。
すでに歴史のある市場ですので、実態を知り、他社の活動をしっかりみた上で、何で効果に結びつけるのか?を戦略に落とし込んでください。

その近道となるセミナーを開催します。
この機会をお見逃しなく!

<<法人企業向け健康ビジネスの市場特性>>
―誰も教えない市場の実態を知り、収益化するビジネスを構築するー

少人数制 オンラインセミナー&ディスカッション

日時:6月8日(火)17:30-19:00、6月28日(月)18:00-19:30
会場:Zoomミーティング
定員:各回5名(満席になり次第締め切り)

詳しくはこちらを御覧ください。
https://healthbizwatch.com/seminar/hbw-030

健康ビジネスキーワード

「必ずしも、顧客は完璧を求めてはいない」

商品・サービスの開発側のこだわりとして
プロダクトの完成度がある。

どこまでつくり込めたかへのこだわりは多くの場合、
開発側の自己満足ではないか。
なぜか?そこには顧客からの評価がないからだ。

顧客は完璧を求めているのではないという前提で
顧客に役割を持っていただく関係づくりが
デジタル時代の開発マーケティングの肝になる。
つまり、顧客をパートナーにするのだ。

今週の注目記事クリップ

[1]文明堂東京、スポーツのための補食用カステラ「V!カステラ」新発売(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000021715.html
スポーツのために開発されたプロアスリートも認める補食用カステラ。1本約150kcalで糖質・脂質・たんぱく質のバランスが良く、おにぎり1個分のカロリーが摂取可能。(2021/05/05)

[2]ABC Cooking Studio・カゴメ・旭化成ホームプロダクツ、タイアップレッスンを開催
https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2021/li210506.html
事業分野の異なる3社がタイアップし、野菜摂取の重要性や野菜をおいしく楽しく調理する方法を学ぶことができる料理教室を開催。参加者約1,500名を“野菜アンバサダー”に認定する。(2021/05/06)

[3]Age Techのビッグウェーブがやってくる!世界が注目する急成長市場(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/category-news-market-210506-1
エイジテックとは、「高齢者×テクノロジー」のこと。高齢者の生活や健康をサポートするテクノロジーや、高齢化社会・高齢社会・超高齢社会における課題を解決するテクノロジーを指す。(2021/05/06)

[4]フェリシモ、「気づいたときにどこでも 2分からはじめる ゆるいピラティスレッスンプログラム」が新登場
https://www.felissimo.co.jp/company/contents/press/nrr2021202041/
同社が展開する“おうちレッスン「ミニツク(R)」”の新プログラム。からだのお悩みごとに毎月4つのエクササイズを紹介。10ヵ月で厳選40種類のゆるいピラティスを学べて、全身を整えることができる。(2021/05/07)

[5]TPCマーケティングリサーチ、ヘルス&フード ニュースレター Vol.23
https://www.tpc-cop.co.jp/topics/1600/
今月の気になる業界ニュース、新製品、プロモーション、ヒット商品など。(2021/05/07)

[6]エーテンラボ、運動継続アプリ「みんチャレ」神奈川県ME-BYO BRAND認定(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000024217.html
ME-BYO BRANDとは、神奈川県が進める未病産業の創出に向けた取組みの一環として平成27年5月からスタートした制度。優れた未病産業関連の商品やサービスを神奈川県が「ME-BYO BRAND」として認定している。(2021/05/07)

[7]CureApp、開発中のアルコール依存症治療アプリを用いた臨床試験が開始
https://cureapp.blogspot.com/2021/05/cureapp.html
CureAppは、岡山市立市民病院と共同で、アルコール依存症患者に対する治療用アプリの有効性・安全性を検討するための臨床試験を実施。内科でのアルコール依存症治療の実現を目指す。(2021/05/10)

[8]大正製薬、「リポビタンロコモウォーク」を新発売
https://www.taisho.co.jp/company/news/2021/20210510000761.html
疲労回復だけでなく、加齢に伴う膝や腰の不調を改善する指定医薬部外品ミニドリンク剤。タウリン1500mgにBCAA、コンドロイチン硫酸エステルナトリウムなどを配合。(2021/05/10)

[9]東日本旅客鉄道など、健康と障がいを考えるスペース「ウェルネスステーション東京 2021」を東京駅 グランルーフに開設【PDF】
https://www.jreast.co.jp/press/2021/20210510_ho03.pdf
https://www.jreast.co.jp/
「ウェルネスステーション東京 2021」では、「健康」と「障がい」を共通テーマに、パラスポーツ体験、農福連携マルシェの開催、血管・脳年齢などの健康測定や音楽演奏など、ウェルビーイングを感じることができるイベントを実施予定。(2021/05/10)

[10]ガーミンジャパン、「ガーミンビジネスアスリートキャンペーン」を開始
https://www.garmin.co.jp/news/pressroom/news2021-0510-business-athlete-campaign/
Garminのウェアラブルデバイスを活用した体験談を募集する。体験談が採用された方には、アプリでデータ管理ができるスマート体重計「Index S2」をプレゼント。(2021/05/10)

[11]健常女性だけが世界の主役じゃない!色んなボディポジティブを採用した有名企業の最新事例5選(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/category-marketing-case-210510-1
ボディポジティブのムーブメント推進に特に積極的なのは、グローバル系美容企業、ファッション業界、SDGs推進に積極的な企業、女性起業家によるスタートアップなどだ。(2021/05/10)

[12]博報堂シニアビジネスフォース×趣味人倶楽部シニアコミュニティラボ、2021年「アクティブシニア」調査 1 オンライン行動編
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/90696/
趣味人倶楽部会員(60-94歳)を対象にコロナ禍がアクティブシニアにどのような影響を及ぼしているかについて調査。孤独を感じている人は昨年より増加(20年:39%→21年:44.8%)。「女性」及び「後期高齢者」で上昇、など。(2021/05/11)

[13]日清食品、「完全栄養食メニュー」のさらなる進化を目指し慶應義塾大学医学部と最新の分子栄養学分野において共同研究に向けた協議を開始
https://www.nissin.com/jp/news/9574
共同研究によって、分子栄養学の見地から「完全栄養食」を進化させることで、健康増進や健康寿命延伸に寄与し、その先にある未病対策と予防医療の実現をサポートする新たな「食」の開発を目指していく。(2021/05/11)

[14]キユーピー、共創プロジェクト「kewpie Open Innovation 2021」を始動
https://www.kewpie.com/newsrelease/2021/2147/
日本最大級のオープンイノベーションプラットフォームAUBAを利用して、社会課題の解決を図りながら「食」の新たな可能性を探ることを目的に、2つのテーマでオープンイノベーションによるアイデア募集を開始する。(2021/05/11)

[15]バイエル薬品、夏の脳卒中を防ごうー健康寿命の延伸を目指して 自宅でできる予防ストレッチを学ぶ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000076998.html
開催日は6月21日(月)。バイエル ヘルシーエイジング 人生100年時代の「健康と幸せ力」プログラムとして、Zoomを使用した第1回オンラインセミナーを開催。

[16]『mHealth Watch』注目ニュース:ウーマンズラボ、女性のヘルスリテラシーと仕事のパフォーマンスの相関は?
https://mhealthwatch.jp/japan/news20210517-2
ヘルスリテラシーが高い人の方が、健康管理の必要性を理解しているので健康行動が起き、不調を自身でコントロールでき、その結果仕事パフォーマンスの低下を抑えられるということがこの調査から見えてきています。(2021/05/17)