こんにちは。脇本和洋です。

[海外事例にみる継続支援アプローチ編]では、健康サービスの継続利用を促す「基本」と、海外で注目したい「継続支援アプローチ」を紹介しています。

今号は、米国の主たる健康企業の2020年決算報告に基づき、最新動向をお届けします。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

米国代表企業の2020年決算をチェック

スポルツでは、毎年この時期に米国の健康関連企業の決算・売上を調べています。

どこが売上を伸ばしたか、どこが低迷しているか、どこがどのように危機を乗り越えたか、そんな視点で分析を進めています。

今号では、食品、流通、施設、情報という切り口で例年とりあげている代表事例を中心に、2020年の売上をみます。そして、2020年の主な動きも確認します。

1.健康食品販売:Medifast

■Medifast
http://www.medifast1.com/index.jsp

■直近の売上動向
302億円(2017年)→501億円(2018年)→714億円(2019年)→935億円(2020年)

■企業概要
Medifastは、肥満女性向けにダイエット代替食を販売する企業です。2005年に「痩せた後リバウンドしない」という価値をいち早く提供し、売上を拡大してきました。

■2020年の動き
同社は、自社のダイエット法で痩せた人の中から「ヘルスコーチ」を育て、ヘルスコーチが無料コーチングサービスを提供し、顧客との信頼性をあげ、商品販売を行います。

2020年はコーチ数が増加。また、はじめてコーチになる人でも、顧客に的確にアドバイスができ成果をだせるよう、コーチ育成のしくみを強化しました。

コロナ禍でも好調だった理由は、元々顧客とコーチの間で築かれていた信頼関係があり、退会数が少なかったこと、その上で新規顧客が増加したことが考えられます。

2.ドラッグストア:Wallgreens

■Wallgreens
https://www.walgreens.com/

■直近の売上動向
11兆8,214億円(2017年)→13兆1,537億円(2018年)→13兆6,866億円(2019年)→13兆9,537億円(2020年)

■企業概要
Wallgreensで扱う商品は他のドラッグストアと似ていますが、顧客との関係性を深めるために「Balance Rewards」というしくみを入れている点が特長です。
これは様々な健康行動ごとにポイントが設定され、そのポイントが貯まると、商品を安く買えるというもの。会員数は8,600万人とされ、顧客の継続来店を促しています。

■2020年の動き
Balance Rewardsを、「myWalgreens」というプログラムにバージョンアップしました。
具体的には、4週間チャレンジを用意。4週間だけ運動など健康行動を続けると、ポイントが倍増して貯まるというものです。行動継続の最初の段階にフォーカスしたプログラムです。

また、コロナ禍において睡眠がうまくとれない人が増加したことに対応し、睡眠関連の商品を充実させています。

3.施設:WeightWatchers

■WeightWatchers
https://www.weightwatchers.com/us/

■直近の売上動向
1,306億円(2017年)→1,514億円(2018年)→1,413億円(2019年)→1,378億円(2020年)

■企業概要
Weight Watchersは肥満女性をターゲットとし、ダイエットセンターというリアル施設(ダイエット教室)とデジタルサービスを中心に展開する企業です。
リアル施設では、グループリーダーと呼ばれるコーチが、一人ひとりと深いコミュニケーションを行いながらダイエットを進めます。

■2020年の動き
同社のサービスの中心はリアルの施設(ダイエット教室)。コロナの影響を受け、リアルからオンラインでのダイエット教室に切り替えると、売上は大きく落ちると予想されていましたが、売上はほぼ維持できています。

その理由は、元々リアルの場で築いていた信頼がベースにあり、たとえオンラインに変わったとしても、続けて利用した人が多かったことだと考えられます。

また、コロナ禍において、将来に対して不安を感じる人が多くなったことを受け、瞑想プログラムをライブ配信するなど、素早い対応があった点も見逃せません。

4.情報:Calm

■Clam
https://www.calm.com/

■直近の売上動向
2019年までは公開せず。2020年は有料ユーザー数を発表。売上約560億円(スポルツ推定)

■企業概要
マインドフルネス(瞑想)のアプリを提供する企業。アプリを使って瞑想ができ、また、入眠をよくするコンテンツをもつことで、日々利用されるアプリになっている。

■2020年の動き
米国で2007年から続いているマインドフルネス(瞑想)のブームに乗って、本サービスは拡大してきました。そして、コロナ禍において、将来に対する不安を抱える人が増加したため、さらにブームが加速、本サービスの利用者も急増したということが背景にあります。

業績好調の背景

今回確認した4つの代表事例は、いずれもコロナ禍においても業績を拡大(ほぼ維持)していました。

その背景には、Wallgreens、WeightWatchers、Calmのように、コロナによる「将来不安」に対して、すぐに対応した点があげられます。(将来への不安があまりに大きいと、健康行動を続けるという気持ちにもならないですよね)

そして、もうひとつの背景。それは、MedifastやWeightWatchersのように顧客との信頼関係が元々しっかり築かれていたということがあります。

コロナで収入が減った時、なにから節約するかということになったはずです。
それでも、「自信を与えてくれたり、ほめてくれる、自分が認められる」、そんな感情を与えてくれるこれら2社のサービスは、なかなかやめるわけにはいかなかった。そう考えられます。

・将来不安への対応
・顧客との信頼関係づくり

この2点をおさえている点が、今回紹介した代表事例の特長と思います。 【脇本和洋】

参考>本編「海外事例にみる継続支援アプローチ編」をお読みの方へ

我々スポルツが今までに調べてきた500超の事例から実績をベースに16事例を選定。米国先進事例の「行動継続を促す工夫」を調査分析したレポートの紹介です。

詳細は以下となります。ぜひ参考にしてください。

●ヘルスビズウォッチ・レポート
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
ー サービスの継続利用を高めるアイデアを、
チームで精度高く短期間で生み出すための発想素材! ー

健康ビジネスキーワード

「アイデア創出の手順」

アイデア創出の手順は、おそらく1940年代に
既に公開され、共有されてきている
ジェームス・W・ヤング氏のものではないか!?

その手順とは

1)資料集め
2)咀嚼
3)孵化
4)発見
5)磨き

とても重要な強化ポイントとしては
・資料集めと咀嚼の詰め強化
・磨きをタフに

もっと詳しく知りたい方は「アイデアのつくり方」で
ググってください!

今週の注目記事クリップ

[1]ヘルシーフードの新潮流ー2021上半期のトレンドから先読みー(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/trend-8-210610-1
上半期にヒットした商品やトレンドが、各業界から続々と発表される時期になった。健康業界も然り。各社の発表内容や商品事例を参考に上半期を振り返りつつ、ヘルシーフードの新潮流を先読みしていこう。(2021/06/09)

[2]キユーピー、原材料の大部分を植物由来で作ったスクランブルエッグ風商品「HOBOTAMA」を業務用市場に向けて新発売
https://www.kewpie.com/newsrelease/2021/2182/?_ga=2.63268143.1806220215.1623763903-1075424344.1621388619
「HOBOTAMA」は、豆乳加工品をベースに、スクランブルエッグのような見た目と食感を再現したプラントベースフード。アレルギーなどさまざまな理由で卵を食べられない人にも寄り添うことができる商品。(2021/06/10)

[3]パナソニック、冷蔵庫内の在庫情報を活用した食品ロス削減の取り組みを開始
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2021/06/jn210610-3/jn210610-3.html
冷蔵庫内の在庫情報をスマートフォンで確認できる「ストックマネージャー」の在庫情報に基づいて、サッポロホールディングスが運営するWebアプリ「うちレピ」でレシピ提案する実証を行う。(2021/06/10)

[4]シャープ、「COCORO KITCHEN」レシピサービスと「うちレピ」の連携による専用レシピ閲覧・ダウンロードサービスの実証実験を開始
https://corporate.jp.sharp/news/210610-a.html
実証実験では、サッポロホールディングスが提供するWebアプリ「うちレピ」のユーザーがヘルシオやホットクックの機種を登録して使いたい食材を入力すると、「COCORO KITCHEN」のおすすめレシピの一部を閲覧できるようになる、など。(2021/06/10)

[5]東芝データ、サッポロホールディングスと「料理体験」にイノベーションをもたらすフードテックサービス構築に向けた実証試験を開始
https://www.global.toshiba/jp/news/corporate/2021/06/news-20210610-01.html
買い物からレシピ提案までをシームレスにつなぐ新たなフードテックサービスとして、東芝テックの電子レシートサービス「スマートレシート(R)」と、サッポロホールディングスが運営するレシピ提案webアプリ「うちレピ」を連携させた実証実験を行う。(2021/06/10)

[6]RIZAP、「花王 リリーフ」と「RIZAP」初コラボプロジェクト。衝撃のビフォーアフター動画公開
https://www.rizapgroup.com/news/information/20210610-01/
本プロジェクトは、尿もれに悩む50歳以上の女性を応援するべく、RIZAPの全面サポートのもと「リリーフ アクティブ吸水ショーツ」をはいて不安なく思いっきりトレーニングを行い、キレイも健康も前向きでアクティブな女性たちにプロデュースしていく企画。(2021/06/10)

[7]バスクリンと順天堂大学、高強度運動の合間の「メントール配合炭酸ガス入浴剤」入浴がパフォーマンスを向上させる
https://www.bathclin.co.jp/news/2021/0610_10696/
本研究の結果から、高強度運動の合間に行う「メントール配合炭酸ガス入浴剤」を用いた入浴は、その後引き続き行う高強度運動パフォーマンスの低下を抑制する可能性が示唆された。(2021/06/10)

[8]カーブスジャパン、初のレシピ本「1品15分!時短、かんたんにプロの味 おいしく食べて太らない 健康たんぱく質レシピ」【PDF】
https://www.curves.co.jp/press/pdf/p202106111300.pdf
https://www.curves.co.jp/
本書では、レシピの提案に留まらず、たんぱく質を「どのくらいとればよいのか」「いつとればよいのか」「どのようにとればよいのか」という知識も、わかりやすく伝える。(2021/06/11)

[9]東日本旅客鉄道、駅からハイキングアプリに「カードコレクション」が登場!【PDF】
https://www.jreast.co.jp/press/2021/20210614_ho01.pdf
https://www.jreast.co.jp/
駅を起点とした日帰りのウォーキングイベント「駅からハイキング&ウォーキングイベント」では、2021年4月1日より「駅からハイキングアプリ」の使用を開始。「カードコレクション」では、「駅からハイキング」の参加ミッションに応じて、「列車カード」をアプリ内で集めることができる。(2021/06/14)

[10]厚生労働省、令和3年度「輝くテレワーク賞」の募集を開始
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19214.html
募集期間は6月14日(月)から8月20日(金)。テレワークの活用によって、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現に顕著な成果を上げた企業や団体、個人を厚生労働大臣が表彰する。(2021/06/14)

[11]富士経済、本格的な拡大期を迎える代替肉の用途別市場実態とポテンシャル調査 2021
https://www.fuji-keizai.co.jp/report/detail.html?code=162102761
日本における食肉代替食品の最新の市場規模、シェア、加工食品の種類別販売動向等や、今後の方向性、日本における市場のポテンシャルを明らかにする。(2021/06/14)

[12]MMD研究所、「食材宅配に関する利用実態調査」を実施
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1968.html
ネット注文で生鮮食材の注文・配送利用者が最も利用している食材宅配サービスの上位は「おうちCO-OP」「コープデリ」「イオンネットスーパー」。(2021/06/15)

[13]綜合ユニコム、ヘルスケア産業への投資手法研究 ファンド・不動産業界からの参入アプローチを開催
https://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2021/0804.html
開催日は8月20日(金)。本セミナーでは、ファンド運営に長年携わってきた実務家が、ファンド・不動産業界からの医療・介護業界への参入形態の考え方、ならびに投資やM&Aの可能性と留意点について、自らの経験を交えながら解説。

[14]Amazonのフィットネスバンド『Halo』に新機能「Movement Health」-体の動きを評価
https://mhealthwatch.jp/global/news20210611
Movement Healthは、スマートフォンのカメラを利用し、曲げる、伸ばす、持ち上げる、ひねる、引く、押す、歩くといった日常の基本的な体の動きをベースに分析する。(2021/06/11)

[15]『mHealth Watch』注目ニュース:患者の多くはパンデミック後、対面ケアに戻ることを望んでいる
https://mhealthwatch.jp/global/news20210621
アメリカの遠隔診療市場はこの1年で大きく伸ばしました。Teladoc Healthなど売上が1年で倍増しました。果たして新型コロナ収束後も、この好景気が続くのでしょうか?これから求められる価値に、どう刺さるものを提供できるかが勝負になってくるでしょう。(2021/06/21)