こんにちは、里見です。

米国のヘルスケアサービスを見ていると、ヘルスコーチングのアプローチを取り入れている事例が多くなってきています。

そこで、今回は2007年からスポルツが健康行動継続支援技術として整理してきている「継続ドライバ」のトレンドを見ながら、ヘルスコーチングに注目が集まっているポイントを解説してみたいと思います。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:継続ドライバのトレンドから見るヘルスコーチングへのシフト

1、ICTを駆使したサービスから「人」への流れ

米国のヘルスケアサービスの中で「ヘルスコーチング」というキーワードが多く使われ始めたのが、2014年くらいだったと記憶しています。

その流れをいち早く捉え、同じタイミングくらいからスポルツでもヘルスコーチングを取り入れたヘルスケアサービスのサポートを開始してきています。

それまでは、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)などといったデータの集約、見える化が注目を集め、ICTを駆使したサービスの提供や効率化してスケールを追求するようなサービスが中心でした。

「ヘルスコーチング」といった「人」が絡む、どちらかと言えば効率化とは相反するサービスへとシフトしてきている流れは、どのように変化してきているのでしょうか?

それは、ヘルスケアサービスにおける課題と大きく関係していると言えます。

2、継続ドライバのトレンド

スポルツで整理している継続ドライバは、2007年に発表した時点(「継続ドライバ1.0」)では10個のドライバでした。
その後、ICTの発展やビジネスモデルのスタンダードの進化などを考慮して2016年7月に「継続ドライバ2.0」として、以下の8個にドライバに再編成しています。

「継続ドライバ2.0」の8個のドライバ

1、インセンティブ
2、ヘルスコミュニケーション
3、ヘルスナレッジ
4、パーソナライズ
5、モニタリング
6、コミュニティ
7、ゲーミフィケーション
8、IoTリンケージ

この継続ドライバは、時代の変化によって取り入れられているドライバも変化してきています。

*以下、◯印が付いている継続ドライバが、その時期のトレンド

<2007年~2011年の継続ドライバのトレンド>
情報提供やリテラシーの提供のヘルスケアサービスが中心
◯インセンティブ
◯ヘルスナレッジ
◯モニタリング

<2012年~2017年の継続ドライバのトレンド>
データの管理、見える化(セルフモニタリング)が中心
◯ゲーミフィケーション
◯IoTリンケージ
・インセンティブ
・ヘルスナレッジ
・モニタリング

<2018年~2021年の継続ドライバのトレンド>
成果、ソリューションのアプローチ強化
◯ヘルスコミュニケーション
◯パーソナライズ
◯コミュニティ
・ゲーミフィケーション
・IoTリンケージ
・インセンティブ
・ヘルスナレッジ
・モニタリング

上記のトレンドは、我々がヘルスケアサービスを継続的に見続けてきた中で、その時期に業績を上げているヘルスケアサービスが取り入れている継続ドライバとも合致しています。

また、それぞれの時期に業績を上げたヘルスケアサービスも、その当時の継続ドライバのままのスタイルで提供し続けていたり、新たな継続ドライバを取り入れていないヘルスケアサービスは、現時点では伸び悩んでいる状況も見えてきています。

3、継続率改善が大きなテーマに

ヘルスケアサービスにおける大きな課題は「継続利用」です。
日米のヘルスケアサービスの成功事例を経年で追いかけてウォッチしていると、多くのサービスは、継続利用に向けた取り組みに力を注いでいます。

また、利用者の意識としても、一時的な成果はもちろん必要なのですが、継続できないことへの不満や改善に目が向いてきています。

サービス提供者側の継続利用に向けたアプローチは、利用者の継続へのサポートにもつながっているのです。

2012年~2017年の継続ドライバのトレンドは、ゲーミフィケーション、IoTリンケージといったデータの管理や見える化が中心のセルフモニタリングをICTを駆使してサポートすることが中心でした。

しかし、セルフモニタリングだけでは成果に導くことは難しく、やはりそこにはソリューションの提供であったり、具体的な取り組み、また取り組みの継続が必要になってくるのです。

日米のヘルスケアサービスの成功事例、特に継続的に利用されているサービスを見ていると、利用者をしっかりと見守っているサービスが多く、特に「人」が介在したサービスモデルが多くなってきています。
やはりICTだけに頼った「継続利用」へのアプローチではなく、「人」の存在を演出したり、人の寄り添いの演出を絡めて「継続利用」の課題を解決しようという流れになってきています。

ヘルスコーチングの基本的なアプローチは、健康に向けた行動変容を支援することを中心に据えて寄り添うものです。
ヘルスコーチングは、これまでの「教える」「指導する」アプローチではなく、目標に向かって行動を自走できるように寄り添うところがこれまでとは大きく異なる点です。

また、ヘルスコーチングは継続ドライバの「ヘルスコミュニケーション」、そしてアプローチする際は、継続ドライバの「パーソナライズ」が基本です。

さらに、「人」の存在を感じるコミュニティを絡めたヘルスコーチングのアプローチも可能なのです。

ヘルスコーチングは本当の意味での「継続」に向けたアプローチであり、継続ドライバの最近のトレンドとも合致していると言えるのです。

今回は、「継続ドライバ」のトレンドとヘルスコーチングのアプローチの関連性についてお伝えしました。

ヘルスケアサービスにおいて「継続」は重要なテーマで、外すことができないアプローチです。

その中で、ヘルスコーチングは継続に働きかける効果的なアプローチの一つです。

米国のヘルスケアサービスの事例をみていても、「継続」に注力する事例が多く、近年、米国の医療保険業界も健康サービスを強化する動きが顕著になってきており、その健康サービスをみていると「継続」がトレンドになってきております。

そこで、米国の大手医療保険会社が共通して導入する健康サービスをご紹介して、その健康サービスの中で、共通して提供されているサービスやブームとなっている健康サービスについてお届けするセミナーを開催します。

このセミナーの中で、医療保険業界の健康サービスでも活用されている、ヘルスコーチングについて、私から解説させていただきます。

みなさんのご参加お待ちしております。

ー医療保険のサービスブームをおさえる!ー
<<米国の医療保険会社10社に見る健康サービスのトレンド>>
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日時:8月30日(月)受付15:50/セミナー16:00-17:30
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参加は同一部門(企業)から1名とさせていただきます。
同一部門で別の方が参加の際は、別の日程をご案内させていただきます。

健康ビジネスキーワード

「ニーズとインサイトの違い」

ニーズとはみんなが知っている分かりやすい問題
それはアンケートで知ることが可能
しかし、顧客アンケートからイノベーションは決して生まれない
単純なニーズアプローチでは顧客は動かない

インサイトとは人を動かす隠れた心理のこと
インサイトを刺激するアイデアの提供で
はじめて顧客が行動してくれる

今週の注目記事クリップ

[1]電通デジタル、Vanguard Industries社と生活密着型IoTサービスクリエーション組織「IoL(Internet of Life)スタジオ」を設立
https://www.dentsudigital.co.jp/release/2021/0616-000903/
IoLスタジオで構想中のIoTサービス例は、「生活者と精神的な繋がりをつくることでメンタルケアを行うAIロボット」「個々の健康状態に加えて生活習慣や味の好みも反映させた、リピートされやすい調味デバイス」など。(2021/06/16)

[2]ポーラ、ダイバーシティ経営を強化「男性育休100%宣言」に賛同
https://www.pola.co.jp/company/news/po20210616/
「男性育休100%宣言」とは、株式会社ワーク・ライフバランスが推進する、男性の育児休業取得率100%を実現するために、企業の経営者が宣言し、目標をもってアクション及び発信していくプロジェクト。(2021/06/16)

[3]クラブビジネスジャパン、フィットネスイベント企画・運営代行サービスを開始!新サービス・暮らしとフィットネスが“つながる”two-nagual今秋始動。(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000022662.html
アウトドアスポーツを愉しむ新メディア=フィットネスとスポーツが“つながる”「two-nagual」は、フィットネスクラブ会員のフィットネス継続を目指し、withコロナ時代のクラブ経営に対応した、アウトドアと健康、スポーツツーリズムが“つながる”イベントをクラブ会員向けに企画している。(2021/06/16)

[4]オムロン ヘルスケア、オムロン低周波治療器ブランド初のアンバサダーにプロサッカー選手の長谷部誠さんが就任
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2021/0617.html
マイクロカレント搭載の低周波治療器「オムロン 低周波治療器 HV-F080シリーズ」のアンバサダーとして、長谷部誠さんを起用。運動でダメージを受けた体を修復する目的でおこなうリカバリーの重要性を伝えていく。(2021/06/17)

[5]名古屋大学、高齢者の認知機能低下予防に効果的な運動要素とは?【PDF】
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/research/pdf/Alz_Dis_210529.pdf
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/
認知機能低下の予防には有酸素運動が効果的であり、また、認知機能が低下し始める前から有酸素運動を取り入れることにより、この効果が明らかであることが見出された。(2021/06/18)

[6]SOMPO未来研究所、SOMPO未来研トピックス2021Vol.04「ヘルスケアデータの民間活用は進むのか?制度改正の動向と民間企業への影響」
http://www.sompo-ri.co.jp/issue/topics/t202104.html
民間企業にとって、マイナポータルの機能拡充や利用できるヘルスケアデータの増加は、商品サービスの魅力向上やDX推進のチャンスとなる。民間企業が魅力的な商品サービスを開発することで、マイナポータルを利用する人々を増やす効果も期待できる。(2021/06/18)

[7]矢野経済研究所、シニア関連市場に関する調査を実施(2020年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2708
シニア関連12市場65サービスを対象としマーケットの動向を調査。日本国内での高齢化がさらに進行し、シニア関連マーケット市場は拡大基調で推移する見通し。コロナ禍はシニア関連マーケットにも直撃、ニューノーマルへの対応が進む。(2021/06/21)

[8]インサイツ、延べ4.5万人が参加した「WEB 減量キャンペーン」令和2年度結果報告および次回開催のご案内【PDF】
https://insights.jp/services/info/release_20210621.pdf
https://insights.jp/
本企画は「週に1回だけ体重をはかって入力」という低いハードルで健康無関心層を取り込み、貯まったポイントと賞品を交換できるインセンティブ式を特徴としたWEB減量プログラム。次回「みんなでちょこやせ・AUTUMN キャンペーン」は、2021年9月27日から11月21日(8週間)で開催予定。(2021/06/21)

[9]グローバルニュートリショングループ、コラーゲンペプチドに関する研究
https://global-nutrition.co.jp/blog/2021-06-21/
ウェルネスフード・ワールド第93回。今後市場規模の拡大が予測されるコラーゲンペプチドは、肌や関節以外にも様々な体の部位への有効性に関する研究が進められている。(2021/06/21)

[10]ポピンズホールディングス、少子化STOP!「産みたいときに産める社会の実現」を目指し、不妊予防の新事業をスタート
https://www.poppins.co.jp/news/23238/
国内初の不妊予防の新サイト「Poppins i-ce」(ポピンズアイス)の開設、最先端の不妊治療医によるオンラインセミナーの開催、企業向け研修の開講など。(2021/06/22)

[11]ユーグレナ、栄養豊富なスーパーフードをさらにおいしくする「ユーグレナ あとはおいしくするだけプロジェクト」発足
https://www.euglena.jp/news/20210622-2
ミシュランシェフ「sio」鳥羽周作氏がコーポレートシェフに就任決定。鳥羽シェフと共に新商品の開発や発売中の商品を活用したレシピ開発などに取り組んでいく。(2021/06/22)

[12]リンクアンドコミュニケーション、AI健康アプリを活用したオンラインカウンセリングシステム「カロママ オンライン」を7月リリース
https://www.linkncom.co.jp/news/press/599/
第1弾は、リンクアンドコミュニケーション自体がこのシステムを活用し、同社が提供するオンライン特定保健指導を大幅リニューアル。同時に、特定保健指導に取組む健康保険組合や、栄養指導・カウンセリングに取組むスポーツクラブなどに対してシステムのライセンス提供も開始する。(2021/06/22)

[13]コクヨ、電動昇降デスク「STANDSIT(スタンジット)」を新発売
https://www.kokuyo.co.jp/newsroom/news/category/20210622fn.html
在宅勤務の座りっぱなしを解消するフットレスト付き電動昇降デスク。3つの姿勢(立位・座位・後傾座位)をひとつのデスクで実現。スタンディングワークでアタマ・ココロ・カラダをサポート。(2021/06/22)

[14]ミレニアとNOBORI、「あたまの健康チェック(R)」と“PHRアプリ”が連携開始【PDF】
https://www.millennia-corporation.jp/press/images/NewsRelease20210622.pdf
https://www.millennia-corporation.jp/
ミレニアが全国の健診・ドック施設向けに提供する認知機能スケール「あたまの健康チェック(R)」のデータと、NOBORIの提供するPHRアプリが連携。PHRシステムにおいて、未病・予防領域における認知機能情報の健診データ連携は、全国で初めての取組み。(2021/06/22)

[15]ラントリップ、リアルとデジタルが融合した音楽を補給するランイベント「Music Aid Run」を全国5地域で開催(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000016697.html
本イベントは、マラソン大会のエイドステーションで水分を補給するように街中で音楽を補給することができる、3密回避の地域特化型バーチャルランイベント。各地域のFMラジオ局とも連動しながら地域の回遊性向上や健康増進に寄与する。(2021/06/22)

[16]睡眠段階を自動解析するAIプロジェクト『U-Sleep』
https://mhealthwatch.jp/global/news20210618
デンマークのコペンハーゲン大学は、国内の睡眠医学研究センターと共同で、睡眠障害の診断と治療、そしてその理解を深めるAI開発プロジェクト『U-Sleep』を実施している。(2021/06/18)

[17]『Amazon Care』、忍び寄る遠隔医療業界の「Xデー」
https://mhealthwatch.jp/column/news20210622
Amazonが3月に公表した『Amazon Care』は、遠隔医療業界に多大なる波紋を広げた。ITの巨人による正面突破の領域参入は、既存の小中規模プレイヤーを駆逐する可能性が高く、業界の構図を大々的に書き換えると見られている。(2021/06/22)

[18]『mHealth Watch』注目ニュース:薬局で食事管理DXツールを活用した食生活改善アドバイス
https://mhealthwatch.jp/japan/news20210628-2
今回注目するのは、健康サポート薬局での服薬指導と食事指導をワンストップで提供できるように、食事指導の効率化に向けてアプリと指導ツールを活用したというニュースです。しかし、今回のように既存のアプリや指導ツールを業務の効率化に活用する上では、注意しなければいないポイントがあります。(2021/06/28)