[サービスデザインと健康の関係編]ホームフィットネス時代の到来(中)
HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
コロナ禍で加速したホームフィットネス領域の可能性の2回目になります。
特集:サービスデザインと健康の関係編
今回はどんなホームフィットネス事業プレイヤーがいるかの紹介編で半分(中編)になります。
※次回は後編を準備しています。
※前編はこちら
ホームフィットネスサービス・プロバイダーは大別すると
- デバイス(専用マシン含む)型
- アプリ(スマホ&PCタブレット)型
または両者の組み合わせになります。
軸足をどちらに置いているか、ペアで初めて価値提案ができる内容であったり、分類することはいずれ意味を持たなくなっていくと思われますが、現時点での便宜上だと思ってください。
中編ではまずデバイス型に関して我々が注目しているアイテムを紹介しつつ解説をしていくことにします。(ここに紹介する以外にも多数存在します)
デバイス(専用マシン含む)型にはどんなものがあるか?
1)トレーニング&フィットネス器具の変容
デバイスとは本来は情報端末を指す言葉だと思うのですが、ここでは専用マシンもしくはギア(機器)まで含めて捉えた方が近未来的な可能性を明確にできると考えています。
個人が自宅でトレーニングするための器具はかなり昔から存在している領域です。
古典的なギアで言えば、ダンベルなどはウェイト(重さ)を利用したトレーニングとしてホームフィットネスの代表選手と言えると思います。
また、この分野ではトレーニング効果を引き出すための新たな器具の開発はまだまだ可能性があると言われており、毎年新商品開発が盛んに行われています。
縄跳びにジャンプ回数カウント機能をデジタル対応することでスマート縄跳びとなり継続的にレコーディングができるようになります。
このように古典的な器具のデジタル化は今後も続くトレンドです。
ランニングシューズのソールにセンサーを設置して足圧やそのバランスを計測したり、スピード計測ができ、より好ましいランニングフォームへ導くガイダンス機能を持つという流れも先のトレンドの一つと言えます。
シンプルなトレーニング器具端末が、デジタル化によって情報端末になっていくという変容の流れが今後増えていくはずです!
<これからも進化しそうな代表的なギア>
・ヨガマット
このヨガマットが家の中に置ければそこはフィットネススタジオになるわけです。マットをトレーニングチャンスと考えるマーケティングにチャンスを感じています。
・腹筋補助器
腹筋運動を補助する器具。この領域は1970年代にテレビショッピングで有名になった「スタイリー」に始まり日進月歩でプロダクトが開発され存続し続けてきたカテゴリーです。腹筋トレーニングはホームフィットネスの格と言ってもいいです。多彩なバリエーションも想定されるホットなカテゴリーです。
・ランニングマシン(トレッドミル)
室内ランニングマシンの軽量化小型化はまだ進化していくはずです。デジタルデータ相性が良いことも魅力です。
・ウォーキングポール
屋外での歩行をスムーズに補助するポール。中高年向けの歩行姿勢やスタイル補正ギアとしても注目を集めていて、センサーによるデータ取りや解析などのアプローチが始まっており注目のアイテムです。
2)プロダクトの出身領域による分類
A:プロフェッショナル・カルチャー
B:デジタルポテンシャル・カルチャー
この2つの違いはコミュニケーションカルチャーの違いやスペックへのこだわりに現れます。ここではカテゴリーを代表するプレイヤーのみを紹介していきます。
一つのカテゴリーが明確になると追随プロダクトが次々と出現するのが通常ですが、その中でも今後もリーダーであるはずのプレイヤーのみを紹介します。
A:プロフェッショナル・カルチャー
まずは、競技者向けからスタートした事業プレイヤーです。
<タイプ1>
Garmin(GPS搭載ランニングウォッチ)
https://www.garmin.co.jp/
Polar(心拍計付きウォッチ)
https://www.polar.com/ja
この2つの事業プレイヤーは古典的なアスリート向けデバイスで、無骨でありながら精度にこだわり競技者中心に支持されるパターンが中心です。
ブランドとしての高いイメージポジションを長きにわたり維持しています。
つまり、スポーツブランドしても成功しているプレイヤーです。
また、通信機能を活かしたコミュニケーションをデバイス黎明期より開始していましたが、無骨な真面目さが邪魔をして面白みに欠ける面もありました。
<タイプ2>
Peloton(ホームフィットネスバイク&トレッドミル)
https://www.onepeloton.com/
Mirror(鏡型遠隔トレーニングデバイス)
https://www.mirror.co/
この2つの事業プレイヤーは競技者向けのイノベーションとして生まれた背景を持ちます。
単純にホームでできるフィットネス以上の何かで事前期待を遥かに超えていくアプローチを実現することに成功しています。それは人的介入によるハイタッチ品質の徹底的追求です。
ホームフィットネスでありながら人的交流による感動や励ましや仲間と一緒に追い込む経験を提供しています。
<タイプ3>
SIXPAD(EMSトレーニングデバイス)
https://www.mtgec.jp/wellness/sixpad/
エビデンスのある機能で競技者向けのトレーニング効果を筋電気刺激で提供しているタイプになります。
一部有名アスリートにも認められていることから広がり始めているカテゴリーです。
B:デジタルポテンシャル・カルチャー
デジタルポテンシャル・カルチャーの筆頭として誕生したのがFitbitです。
フィットネストラッカーのあるライフスタイルの提案をベースとしたマーケティングは秀逸で、多くの生活者支持基盤を背景に職域(企業)での健康づくりギアとしてのポジションも確保しています。
Fitbit
https://www.fitbit.com/global/jp/home
AppleWatch
https://www.apple.com/jp/watch
デジタルで可能となるデータ活用コミュニケーションの追求は両者に共通することですが、医学的ポジションへの模索を最初からしているAppleに対して日常的な生活課題感覚からアプローチしているFitbitという違いがあります。
また、日本には導入されていませんが、非表示のリストタイプであるAmazon Haloが近々参入してくるはずです。
先とは違い、ゲームコミュニケーションから派生してきたタイプがWii fitです。
Wii fit
https://www.nintendo.co.jp/wii/rfnj/
今回は代表的なホームフィットネス事業のデバイスを紹介しました。
ここにアプリ(スマホやタブレット)が加わり、ホームフィットネスライフをサポートし、盛り上げ、継続を促し、仲間との出会いを創出し、生活の質を高めるベクトルで問題意識を共有するコミュニティが生まれ、新たな経済圏が生まれていくことになります。
次回はホームフィットネス時代の到来の総集編として、どのような経済圏が生まれていくかを俯瞰するアプローチをしていきます。
直接お問い合わせや質問などがあればこちらへ。ディスカッションも大歓迎です!
https://healthbizwatch.com/contact
健康ビジネスキーワード
「正解のオーバーフロー」
ヘルスケア領域の
プロダクト&サービスの一つの傾向として
正解のオーバーフロー現象がある。
間違ったモノの提供はできない領域だから
仕方がないのだろうか?
それだけだと、正しいけど、
機能差のないモノが溢れてしまう。
正解のオーバフローとはそういうこと。
価値としての論理的機能に加えて
意味や情緒価値へのアプローチが重要になる。
ここに気づくか否かが
ビジネスとしての勝負の分かれ目。
今週の注目記事クリップ
[1]医薬基盤・健康・栄養研究所、世界の7億人以上の高血圧患者が未治療ー1990年から高血圧患者数は12億8千万人に倍増ー
https://www.nibiohn.go.jp/information/nihn/2021/08/007256.html
非感染性疾患の危険因子に関する国際共同疫学研究グループは、1990年から2019年までの200か国・地域における高血圧の薬物治療管理状況の長期推移を明らかにした。(2021/08/25)
[2]筑波大学、睡眠中の脳のリフレッシュ機構を解明
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20210825140000.html
本研究成果は、認知症の発症に関するメカニズムの理解につながるとともに、レム睡眠を標的とした全く新しい治療法の開発にも貢献できると期待される。(2021/08/25)
[3]「ジェンダーニュートラル」の最新動向、ヘルスケア商品・サービス事例(連載Vol.2)(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/category-news-market-210825-1
ジェンダーニュートラルを実際に導入したヘルスケア商品・サービス事例を紹介。ヘルスケア界隈でニュートラル化の事例が増えているのは、美容系商品。健康系商品はまだ事例が少ないが、見せ方や表現の参考になるのでぜひチェックを。(2021/08/25)
[4]味の素冷凍食品、スポーツ栄養とおいしさが詰まった新ブランド「For ATHLETE」を立ち上げ【PDF】
https://www.ffa.ajinomoto.com/_var/pdf/20210825.pdf
https://www.ffa.ajinomoto.com/
トップアスリート強化支援事業「ビクトリープロジェクト(R)」でトップアスリートにも提供されている『「For ATHLETE」エナジーギョーザ(R)』と『「For ATHLETE」コンディショニングギョーザ』の2品種を発売。(2021/08/25)
[5]矢野経済研究所、遠隔医療市場に関する調査を実施(2021年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2767
2020年度の遠隔画像診断(読影サービス)市場は、前年度比102.5%の127億3,800万円。オンライン診療システム市場はコロナ禍で急速に拡大しており、2020年度の同市場(事業者売上高ベース)を前年度比200.0%の22億円と推計、など。(2021/08/26)
[6]パルコ、ウェルネス事業へ新規参入 医療ウェルネスモール「Welpa(ウェルパ)」心斎橋PARCOに開業
https://www.parco.co.jp/news/detail/?id=1874
Welpaでは、自身を知り、習慣的にケアするためのアクションを適切に行えていない20-40代の「健康無関心層」「健康関心層」の課題を解決するため、徹底的なユーザー視点で「知る・学ぶ」ことから「体験・通院する」ことまで、医療・物販・サービス・イベントを通して提供。(2021/08/26)
[7]九州大学、わずか3日間の脳波の訓練で長期記憶の向上に成功!【PDF】
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/44919/21_08_27_01.pdf
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/
本研究では、薬や電気刺激などを使わず、脳波計とコンピュータと自分の意思で「脳が物事を記憶しやすい状態」に脳活動を自己調節することができる可能性を示した。(2021/08/27)
[8]ニチバン、<自粛痛と睡眠に関する調査>コロナ禍の平均睡眠時間は6.5時間、睡眠不調は深刻に
https://www.nichiban.co.jp/news/2021/08_03/
20代から60代までの男女500名を対象に、コロナ禍の睡眠不調について調査を実施。その結果、感染拡大より1年半が経過した現在、約3割の人で睡眠の質が下がり、日常生活にも影響を及ぼしていることが明らかとなった。(2021/08/27)
[9]名古屋大学、人の声を聞きながら食べると、一人の食事でもおいしく感じる【PDF】
https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20210830_i.pdf
https://www.nagoya-u.ac.jp/
一人で食事をするときには、誰かが話しているのを聞きながらのほうが、話し声がないときよりも、おいしく感じることを明らかにした。(2021/08/30)
[10]アイリスオーヤマ、プロテイン市場に参入
https://www.irisohyama.co.jp/news/2021/?date=0830
第一弾として女性の美容と健康に配慮した「デリッププロテイン女性用」を発売。ソイプロテインとホエイプロテインをダブルで配合することで、美容と体づくりの両方にアプローチする。(2021/08/30)
[11]ニチレイ、献立自動生成アプリ統合のお知らせ
https://www.nichirei.co.jp/news/2021/394.html
株式会社ミーニューの全株式を取得。これに伴い、ニチレイが運営する「conomeal kichen」を、ミーニューが運営する「me:new」と統合。食の好み分析に基づくデータサービス事業を推進していく。(2021/08/31)
[12]シャープ、「メディカルリスニングプラグ」を新発売
https://corporate.jp.sharp/news/210831-b.html
ワイヤレスイヤホンスタイルの耳あな型補聴器。管理医療機器の認証を取得し、補聴器としての性能・品質・安全性を備えながら、リーズナブルな価格を実現。「COCORO LISTENING」サービスにより、本機の利用をスマートフォンを介してプロがワンストップでサポート。(2021/08/31)
[13]日本イーライリリー、「“みえない多様性”に優しい職場づくりプロジェクト」が日本の人事部「HRアワード 2021」に入賞【PDF】
https://news.lilly.co.jp/down2.php?attach_id=810&category=19&page=1&access_id=2148
https://www.lilly.co.jp/
有志企業・団体、自治体、医療従事者、健康経営専門家による共同プロジェクト。片頭痛のみならず、症状の可視化が難しく、理解されにくい健康課題を「みえない多様性」と定義。ワークショップから相互理解を深め、気づきを得る活動をしている。(2021/08/31)
[14]『mHealth Watch』注目ニュース:高齢者の方が、HingeHealthのデジタルMSKプログラムを使用する可能性が高い
https://mhealthwatch.jp/global/news20210906
今回の研究では、プログラムの達成率が高いのはジェネレーションXより上の世代だったと報告しています。ミレニアル世代以下と何が違うのでしょうか?いくつか考えられます。(2021/09/06)