こんにちは、渡辺武友です。
本年もよろしくお願いします。

昨年は、ヘルスケア業界もビジネスモデルが大きくシフトしてきました。
その一つが「健康経営」です。
現在の健康経営はいったい何が変わったのでしょうか?

特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編

健康経営活動から見えてきた向かうべき方向性

健康経営も目新しいものではなく、企業が持続的な活動をしていくには取組むのが当たり前のものとなり、当初健康経営をやることで得られると想定していた価値とは変化してきました。
これも多くの企業が健康経営に本気で取組んできたからこそ、気づけたことだと言えます。

現在、健康経営の価値がどのように変化し、何が必要とされているのかを整理したいと思います。

健康経営活動で見えてきたこと

経済産業省による「健康経営優良法人」の認定がはじまってから5年が経過し、2021年のホワイト500、ブライト500の認定数が7,000社を超えるほどになりました。

健康経営がはじまった当初、例えば
「企業による従業員の健康管理で従業員の生産性を向上させるもの」
このようなイメージだったのではないでしょうか!?

でも、実際に健康経営に取組んでみると、従業員がイキイキとしている姿を見られるようになるなど、「仕事はつらくて当たり前」ではなく、「やりがい、生きがいを持てるもの」といった、本来求めていたことが実現していったことを実感した経営者も多いようです。

健康経営によって従業員を大切にする。
そして従業員が、その会社にいることで安心、やりがい、喜びに繋がっていくことで、企業の課題の一つである人材不足(離職防止)に貢献することになりました。

企業活動をする上で持続可能な取組みとして行ってきたことが、結果的に、現在日本が抱える高齢社会における課題「働き手の不足」の解決に(もちろんこれだけで全て解決とはなりませんが)繋がっていきます。

健康経営は従業員の健康管理をするものと誤解もされてきました。
しかし、健康経営に取組むことで従業員がイキイキと働き、企業自体が活性化していったことから、今では健康経営よりも「ウェルビーイング経営」の方が適した表現だとも言われるようになってきました。

物質的豊かさだけでない、精神的豊かさに貢献するのが「ウェルビーイング経営」になるのではないでしょうか。

健康経営(ウェルビーイング経営)の広がり

健康経営は、取組む企業のためのものから、関連する企業や地域へと波及しています。
米国では、自社グループへの健康経営の浸透だけでなく、取引企業や活動する地域まで巻き込んだ取組みをする企業も増えています。

日本でも、1企業だけで考えるのではなく、地域全体として健康経営の良さを活かしていこうといった動きもはじまっています。
昨年から、社会的健康戦略研究所では愛媛地域の有志企業と共に、愛媛地域ならではの健康経営の活用を目指した活動をはじめました。

このように1企業のための活動から、社会全体へと広がりを見せています。

社会課題への貢献の可能性

私達は高齢社会問題だけでなく、もっと大きな地球規模での課題に直面することとなりました。
気候変動や格差社会をこのままにして資本主義的活動を続けていては、人間が地球に住めなくなる。そのようなことのないよう、国、組織、一人ひとりが取組む必要性を唱えたものがSDGsです。

すでにSDGsの活動は多くのメディアに取り上げられていますが、その取組みの多くが、二酸化炭素排出量の削減など環境にアプローチしたものです。
環境への取組みに対し、人の健康への取組みはまだまだ従来の取組みの延長程度とも言われています。

格差社会により、適切な医療が受けられない地域もいまだ多くあります。
また、医療が受けられれば解決なのではなく、そもそも衛生的な環境で生活できているのか?など、多くの問題があります。

医療が受けられる、衛生的な環境で生活できる、といった肉体面への支援の他に、精神面への支援も同時に行うことが必要になってきます。

そこに貢献するのが組織や地域社会で実践をあげてきている「健康経営(ウェルビーイング経営)」の発想ではないかと注目されているのです。
一時的な支援に終わらない、その地域社会が持続可能な健康的生活を営むための指針となるものになると期待されているのです。

企業の評価基準の変化

話しが大きくなってしまいましたが、ここまでの話しは企業活動にも多く結びついています。
ここ数年よく聞かれるようになりました「ESG投資」は、まさに連動する話しです。

ESG投資とはどんなものか?については、詳しく紹介している書籍も多いので、ここでは極々簡単に紹介します。

Environment(環境)
Social(社会)
Governance(企業統治)

ESGとは上記3つの頭文字を取った言葉で、今後企業が長期的に成長するために必要とされる観点です。
投資の視点も、以前は企業の営業利益やキャッシュ・フローの観点から判断していましたが、現在はESG活動の評価、分析から投資が行われるようになってきました。

日本は欧州や米国に比べると、ESG投資はまだ少ないですが、着実にESG投資に移行しています。
ESG活動をしていない企業からは投資を引き下げる例も出てきていますので、さらに加速していくものと思われます。

もうお分かりと思いますが、前項で紹介したSDGsの活動とも連動しています。
世界の課題にきちんと取組んでいる企業が投資に値すると評価されるようになってきたことになります。

そして、ESG活動の評価の対象となる「Social(社会)」に、「健康経営(ウェルビーイング経営)」が当てはまります。

企業が持続的に成長していくためには、SDGs、ESGを無視することはできないものになってきました。
以前は生産性の向上、医療費の削減などが目的と思われてきた(この視点がなくなったわけではない)健康経営ですが、現在求められるESG評価に活かすことのできる「健康経営(ウェルビーイング経営)」支援が、求められる時代になったと言えるでしょう。

ESG評価に向けて新市場が創生されます!

ESG評価に活かす支援とは何か?
「Social(社会)=組織」を「健康経営(ウェルビーイング経営)」で評価できるような取組みになります。

個人が自発的に取組むことで実現する健康行動ですが、組織においては、健康になって欲しい人ほど取り組んでもらえないことがよくあります。
ここが長年の課題です。

この課題を解決するため、社会的健康戦略研究所では、日本政府協力の下、動かない人を動かすことができる新たな市場を創生するための活動をスタートしました。

どのような活動となるのか、2月8日(火)-10日(木)に東京ビッグサイトで開催される「ヘルスケアIT 2022」内の展示ブースにてご紹介します。

感染対策をしっかりと行いお待ちしておりますので、ここだけでしかお伝えできないお話、ぜひご活用ください。

【ヘルスケアIT 2022】
日時:2月8日(火)-10日(木)
会場:東京ビッグサイト
主催:インフォーマ マーケッツ ジャパン

社会的健康戦略研究所ブース:2F-11
展示テーマ:
『動かない人を動かす!市場が開く!新ヘルスケアフィールドの創生』

展示会は事前登録で無料となります。
詳細はこちらをご覧ください。
https://www.care-show.com/healthit/

健康ビジネスキーワード

「見方・考え方を変える」

かなり難解な問題があるとする。
そこで、見方を変えてその問題を嫌うのではなく思い切って仲良くしたら、それはもう問題ではなくなっていく。

考え方を変えて、アイデアは隠すよりどんどん共有したほうが活性化するし、強くなる。
例えば、個人的消費で受けたサービスの残念な経験は、学びの仕入れであり投資と考えれば腹立たない。
そのような経験から事業アイデアが芽吹くことが多い。

見方を変えると味方が増えるという諺があるのをご存知だろうか?
混沌とした不透明な時代に見方・考え方を変えていくことが現状打破や進化には必須なのです!

今週の注目記事クリップ

[1]NTT PARAVITA、寝てヤセる!成果報酬型ダイエットプログラム「ねむりのジム」を提供開始
https://nttparavita.com/news/220105/
従業員の健康増進を図りたい企業や保険組合向けに提供する特定保健指導プログラム。専用のセンサーとアプリで日々の睡眠と歩数を計測し、日々の目標(睡眠8時間/日、歩数1万歩/日)にチャレンジするだけのシンプルな内容。(2022/01/05)

[2]グローバルニュートリショングループ、GNGニューズレター(国内情報):GNGが選ぶ健康食品業界10大トピックス|2022年新年特別号
https://global-nutrition.co.jp/gngnl/gng-newsletter-20220105/
2022年新年特別号では、毎年恒例、前年の健康食品業界の10大トピックスをセレクトして紹介。この記事では、その会員向けニューズレターの一部を抜粋して紹介する。(2022/01/05)

[3]IMPRINT、マンションコミュニティ向けスポーツ・健康ソーシャルマッチングサービス「SPOLUTION(スポリューション)」サービス開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000092801.html
マンション居住者同士がイベントやスクールを通じて自然と仲間になり、体験を分かち合う機会を提供することで、ヒト・コト・マンション・マチをつなげ、健康価値・スポーツコミュニティの共創、ウェルビーイングな社会の実現を目指す。(2021/01/06)

[4]イオンクレジットサービス、ヘルスケアアプリ「ROUTY(ルーティ)」を本格リリース【PDF】
https://www.aeoncredit.co.jp/-/media/AeonGroup/Aeoncredit/Files/newsrelease/2022/news220107.pdf?la=ja-JP
https://www.aeoncredit.co.jp/
ダイエットも食事も楽しみながら理想のカラダを実現するヘルスケアアプリ。日々の食事をスマートフォンで撮影するだけで栄養素を解析。本格リリースを記念してアプリダウンロードキャンペーンも実施中。(2021/01/07)

[5]野村不動産ライフ&スポーツ、満足度98.5%!運動習慣化プログラム「フィットネスジャーニー」の全額返金保証制度を開始【PDF】
https://www.megalos.co.jp/corporate/wp-content/uploads/2022/01/20220107.pdf
https://www.megalos.co.jp/
フィットネスジャーニーは、担当者専任制&少人数のセミパーソナルプログラム(2ヵ月/8回/4,400円)。全8回の中で運動を習慣化するためのプログラム、トレーニングサポートを実施する。(2022/01/07)

[6]厚生労働省、「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット(JHVS)2021シンポジウム」を開催
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23239.html
開催日は2月3日(木)-4日(金)。一歩踏み出したい医療系ベンチャー・アカデミアのための2-dayシンポジウム。国内の医療系ベンチャーが保有する優れたシーズやアイデア等の実用化を加速させ、エコシステムの波に乗ることができるよう支援することを目指して実施する。(2021/01/07)

[7]パブリックヘルスリサーチセンター、情報誌「ストレス&ヘルスケア」2022年 冬号を発行
https://phrf.jp/ssl/publication/index
特集は、睡眠と心身の健康 現代社会での睡眠・生体リズムの不調和と対処法(国立精神・神経医療研究センター 北村真吾)。(2022/01/07)

[8]多角的に生活者を分析できる「60のウェルビーイング指標」による調査でわかった、幸福の実態(性・年代別)(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/category-marketing-research-210107-1
朝日広告社が実施した「第1回 ウェルビーイングに関する調査」を見ると、まだまだ言葉の認知が進んでいないことや、性別による意識の違い、ウェルビーイングの構成要素について理解を深められる。(2022/01/07)

[9]ウェルビーイングデザインなど、日本初!Well-Being×組織変革プログラムの実証実験開始
https://www.kizunacast.co.jp/news/220111/
ウェルビーイングデザインは、EVOL、OD Lab、キズナキャストの3社と業務提携し「前野隆司監修 Well-Being マネジメントプログラム」の実証実験を2022年4月から開始する。(2022/01/11)

[10]再春館製薬所、「摂ってるつもり」に陥らない“腸活”と“コラーゲン”サプリが誕生
https://www.saishunkan.co.jp/news/newsrelease_bkno.html
生体リズムをサポートする製品・サービスを提供する新ブランド「Lashiku(ラシク)」を発足。ブランド発の新製品第一弾として“腸”に着目した「Lashiku 腸活」と、“コラーゲン”に着目した「Lashiku からだ・しなやか」を発売。(2022/11/11)

[11]カーブスジャパン、いいごはんの日(1月15日)はフードドライブの日<第15回「カーブス フードドライブ」実施>【PDF】
https://www.curves.co.jp/press/pdf/prfood20220111.pdf
https://www.curves.co.jp/
同社は、2007年よりフードドライブを実施。開始以来の参加者総数は、約165万人、集まった食料品の量は合計約2,280トンにのぼる。2021年は、13万1,100人が参加、約178トンの食料品が集まった。(2022/01/11)

[12]パブリックヘルスリサーチセンター、ストレス科学シンポジウム2021「うつにならない第11弾」WEB・会場開催
https://eventpay.jp/event_info/?shop_code=3107202840037644&EventCode=8167869823
開催日は2022年3月20日(日)。うつ病臨床の第一人者の先生方からうつ病予防について最新の知見をお話いただきます。毎日を生き生きと過ごすために、うつ病予防の正しい知識を身につけましょう。

[13]『mHealth Watch』注目ニュース:CES2022、デジタルヘルス製品6アイテム紹介
https://mhealthwatch.jp/global/news20220117-2
今年はラスベガスにCESが戻ってきた。消費者向けテクノロジーとして、独自のデジタルヘルストラッカーが多く登場。Omron HealthcareのVitalSight、Avokad、Circular Ringnaなど。(2022/01/17)