こんにちは、里見です。

健康的な行動変容を支援して、行動の定着化、習慣化を目指すプロセスでは、いくつかのステップが存在しています。

前回の[ヘルスコーチングの視線編]では、この健康行動の習慣化のプロセスについて、分解してお伝えしました。

今回は「その2」として、健康行動の習慣化のプロセスにおいて、ヘルスコーチングのアプローチがどう機能するかについて、解説していきます。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:習慣化のステップにおけるヘルスコーチングのアプローチ その2

健康課題の改善には、生活習慣の改善、健康行動の取り組みが大切ですが、特に重要なことは、健康行動の継続、習慣化です。

前回の「その1」では、健康行動の習慣化として、4つのステップを紹介しました。
まず初めに、簡単に振り返っておきたいと思います。

健康行動の習慣化のステップ【ステップ:0】~【ステップ:3】

【ステップ:0】

健康行動の習慣化の大切さは理解しているが、特に必要性を感じていないステップ。
健康行動の習慣化に対しては、意識も行動も一切していないという人達。

【ステップ:1】

健康行動の習慣化の大切さを理解し、具体的な取り組みをスタートしようと試みているが、なかなか行動が追いつかない、上手くいかない人達。
健康行動の取り組みには意識はしているが、実際の行動、取り組みがイマイチ追いついていない状況。

【ステップ:2】

「ステップ:1」の意識はしているが実際の行動、取り組みがイマイチ追いついていない状況から、実際の行動、取り組みが行われている状況に変化、進化してきている人達。
健康行動の取り組みへの意識レベルも行動レベルも維持されているため、健康行動の習慣化に向けて順調な取り組みになってきている状況。

【ステップ:3】

健康行動の習慣化に向けた最終ステップ。
意識しなくても健康行動が出来ている人達で、無意識でも行動が出来ている状況。


健康行動の習慣化のステップとしては、【ステップ:0】~【ステップ:3】という分解になります。

この健康行動の習慣化のステップの分解で注目してほしいポイントは、最初の【ステップ:0】と最後のステップ【ステップ:3】は意識レベル無しの状態で、逆に【ステップ:1】と【ステップ:2】では、意識レベル有りで、意識することが必要な状態だという点です。

【ステップ:1】と【ステップ:2】では、意識レベル有りの状態を維持しない限り、行動の取り組みがついてこないので、いかに意識レベル有りの状態を保てるかがポイントになってきます。

また、【ステップ:1】と【ステップ:2】では、意識を継続する必要があるため、ある意味ハードルが存在するステップであって、意識を持ち続けて行動に結びつけていく中では、やはりサポートが必要になってくるステップだと言えます。

ここまでが、前回の「その1」で紹介した内容の振り返りです。


さて、今回の「その2」では、健康行動の習慣化に向けた【ステップ:1】と【ステップ:2】におけるヘルスコーチングのアプローチについて、解説していきます。

意識の継続への働きかけ

健康行動の習慣化に向けた【ステップ:1】と【ステップ:2】では、健康行動の取り組みについて、継続的に意識を持ち続けることが必要で、この意識が薄れた瞬間に、健康行動の取り組みもストップしてしまうため、一瞬で【ステップ:0】の居心地の良いステップに逆戻りしてしまう可能性が潜んでいるのです。

【ステップ:0】が居心地の良いステップというのは、健康行動を意識しなくて良い、持ち続ける必要がないため、心理的な負担が少ないからです。

このように、健康行動の習慣化に向けては、取り組みである行動が大切なポイントではあるのですが、行動との向き合い方を維持する上では、意識の継続が重要になってくるのです。

しかし、意識を持ち続けるにはなかなか一人では難しいのが現実で、この意識の継続に向けてはヘルスコーチングの「寄り添い方」が効果的なのです。

ゴール、目標へのアプローチ

ヘルスコーチングによるゴール、目標設定では、対象者の「課題」「問題点」が入り口であった場合でも、課題や問題を解決するといった後ろ向き的な視点ではなく、「課題」「問題点」の解決した先に存在するゴールや目的、具体的な達成イメージなど前向きな視点、「ポジティブ」な面にフォーカスしてゴール、目標設定のワクワク感にアプローチします。

また、取り組みがスタートして実際に行動に取り組んでいるタイミングでも、常にゴールや達成イメージに働きかけて、ゴール、目標の視点から行動、取り組みへとアプローチしていきます。

やはり、ゴールや目標こそがモチベーション維持には大きく関係してくるので、ゴール、目標の設定と継続的な働きかけは、ヘルスコーチングの「寄り添い方」の基本的なアプローチなってきます。

自己効力を高めるアプローチ

意識をして行動に取り組む過程では、最初から上手くいくことばかりではありません。逆に、行動の取り組みでは、スムーズにいかないことの方が多いものです。

継続して取り組むことが難しい場合、取り組みが難しいことや行動に目が向きがちで、どうにかして解決したいという意識が強くなったりするものです。
しかし、このようなネガティブな意識を持ち続けることこそ、意識が継続しない要因であったりするのです。

そのためヘルスコーチングでは、我慢や無理で一時的に改善できるようなアプローチではなく、出来ていることなどのポジティブな面にフォーカスして、ゴールや達成イメージに向けた継続的な働きかけを行っていきます。

ヘルスコーチングは、「行動」を追いかけPDCAのサイクルを回しながら、ポジティブな面に意識、視点を向けてもらうアプローチであり、ヘルスコーチからのポジティブなフィードバックによる継続的なコミュニケーションによって、意識の継続に寄り添うのです。

意識の継続に向けた継続ドライバ 

意識を持ち続けるヘルスコーチングの「寄り添い方」のアプローチについては、上記以外にも効果的なアプローチ、要素がたくさんあります。

また、ヘルスコーチングの「寄り添い方」とは別に、実際のサービス・プログラムの提供では、サービス全体として捉えた場合の対象者の意識に働きかける視点も必要になってきます。

その働きかけとしては、スポルツで整理している「継続ドライバ」があります。
しかし、「継続ドライバ」は対象者のゴールや目標、そして行動に直接的に結びついているわけではなく、対象者の興味や関心に結びつくものです。

そのため、対象者の意識の継続へのアプローチという視点では同じかもしれませんが、ヘルスコーチングの行動の習慣化に向けた意識の継続への働きかけと、サービスとして捉えた場合の対象者の興味や関心を引き出すための意識への働きかけは、意識的に分けて考える必要があります。

ヘルスコーチングの「寄り添い方」のアプローチと「継続ドライバ」の要素をいかに組み合わせて対象者の意識に働きかけられるかが、健康行動の習慣化のステップ【ステップ:1】と【ステップ:2】で、意識の継続がカギになっている人達に向けては必要なアプローチなのです。


前回と今回の2回に分けて、健康行動の習慣化のステップとヘルスコーチングのアプローチについて、整理しながらお伝えしました。

ヘルスコーチングには、今回紹介した「寄り添い方」の要素も含めて具体的な要素がたくさんあって、どんなタイミングでどのような意図を持って具体的に活用していくのかがポイントになっています。

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「企業にとってのコミュニティ」

企業にとってのコミュニティの活用目的やメリットを各企業特性に合わせて提案活動してきた結果、見えてきたものがあります。
その筆頭は、コミュニティを顧客経験品質アップや補足のために活用するというコンセプトです。

これを実装する手順は
・顧客同士の同類意識の醸成(共感)
・提供している商品・サービスのこだわりの(共有)
・顧客の役割付与から生まれる(共創)

共感→共有→共創になります。

小さく始めれば、多くの企業のコミュニティ活用のチャンスがあります。
その試行錯誤のチャレンジから新たなマーケティングの可能性が見えてくるはずです。

今週の注目記事クリップ

[1]SOMPO未来研究所、SOMPO未来研トピックス 2022Vol.01:パーソナルヘルスレコードの新たな展開
http://www.sompo-ri.co.jp/issue/topics/t202201.html
本レポートでは、多様なPHRサービスを分類整理した上で、最近の新たなPHRサービスとその普及に向けた課題を紹介。(2022/01/19)

[2]RIZAP、家事代行サービスを提供するベアーズと提携開始
https://www.rizapgroup.com/news/press-releases/pr-20220119-01/
ボディメイク期間中の食事サポートとして、料理代行の作り置きサービス「ライザップ×ベアーズ共同開発【楽ラクコミットごはん】」を提供。ベアーズの家事代行スタッフが自宅に伺いRIZAPと共同開発した高タンパク質・低糖質メニュー「主菜7品目、副菜7品目、合計14種類」を作り置き。(2022/01/19)

[3]インテージリアルワールド、インフルエンザ患者数は例年比約650分の1【PDF】
https://www.intage-realworld.co.jp/admin/wp-content/uploads/2022/01/notice_20220119.pdf
https://www.intage-realworld.co.jp/
2021年12月の経口インフルエンザ治療薬の推計患者数は約1,500人、コロナ禍前の2016年-2019年平均比で約650分の1、2020年比でも約3分の1と大幅に患者数が少ない状況。流行の兆しは未だ見えていない。(2022/01/19)

[4]テクノブレーン、写真3枚から始める健康経営!「健康習慣プラスサポート」ライトプランリリース(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000068756.html
健康習慣プラスサポートとは、LINE、Zoomを用いた完全オンラインでの若年層向け保健指導サービス。より手軽に参加者が生活習慣改善に取り組めるよう従来のプログラムをアレンジしたライトプランを新たに展開。(2022/01/19)

[5]カゴメ、「野菜一日これ一本Plus(プラス)」リニューアル発売
https://www.kagome.co.jp/company/news/2022/2022012003.html
“野菜一日これ一本”は、30品目の野菜を350g分使用した野菜ミックス濃縮ジュースで、2004年に誕生したロングセラーブランド。今回“高めの血圧を下げる”の機能性表示を新たに追加。(2022/01/20)

[6]ティップネス、「在宅太り対策の基礎代謝アップ術」提供開始【PDF】
https://www.tipness.co.jp/cms-data/pdf/7cr35rmf1vz886jxq932ovbj89c7zz.pdf
https://www.tipness.co.jp/
健康経営に取組む企業向けの、健康で太りにくく疲れにくい身体づくりを目的とした新プログラム(オンラインのセミナー形式)。明治の協力により、運動&食の両輪で効率よく基礎代謝を上げるための生活術を伝授する。(2022/01/20)

[7]メディリード、日本人中高齢者においてカレーを長期的かつ頻繁に摂取する食習慣は良好な認知機能と関係していることを確認
https://www.medi-l.com/news/20220120/
50歳以上の一般生活者を対象に、「調査直前1年間」(短期)と「成人以降で調査1年前まで」(長期)のカレー摂食頻度について、認知機能との関係を明らかにした。(2022/01/20)

[8]クラフト、オリジナル血液検査キット「健康サポートパック」発売開始
https://www.kraft-net.co.jp/news/2022/0120-6366/
自宅で手軽に生活習慣病リスクをセルフチェックできる血液検査キット。採血はたった1滴。13項目の血液成分を測定し、肝機能・脂質・腎機能・糖代謝・栄養状態のリスクを評価。(2022/01/20)

[9]東京海上日動火災保険とケアプロ、「大阪スマートシニアライフ実証事業推進協議会」へ参画【PDF】
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/220121_01.pdf
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/
東京海上日動はこれまでに培ったスマートシティ領域での知見を活かし、幹事会企業として事業全体のビジネスモデルの構築と大阪府に暮らすシニアの生活を豊かにするサービスデザインを検討。ケアプロは外出支援プラットフォーム「ドコケア」の運営を通じて、シニア層の抱える課題解決推進に取組む。(2022/01/21)

[10]ナイキ、「ナイキ ズームエックス ストリークフライ」登場
https://nike.jp/nikebiz/news/2022/01/21/5039/
5km、10kmなどの短いロードレーシングや、トレーニングを行うアスリート向けの最新ロードレーシングシューズ。(2022/01/21)

[11]2022年ヒット予測で話題の「次世代自販機」、ヘルスケア業界の活用事例(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/category-news-market-220121-1
多様な商品・サービスを販売する自動販売機が流通の新勢力として注目を集めている。事例として多いのは、やはり自販機販売との相性が良い食品関連。今回のリサーチで編集部が一番注目したのはマーケティングへの活用。(2022/01/21)

[12]戦略的国際脳科学研究推進プログラム、脳とこころの研究推進プログラム 公開シンポジウム「脳とこころの不思議に迫る」開催
https://www.amed.go.jp/news/event/20220206.html
日本医療研究開発機構協賛イベント。開催日は2月6日(日)。脳とこころの研究推進プログラムの取組みを紹介するオンラインシンポジウム。

[13]エムステージとヒューマネージ、「企業事例×55万人のストレスチェック結果から考える コロナ禍3年目に向けた《新》メンタルヘルス対策」ーウェルビーイング向上と健康経営の実現に向けてー
https://www.mstage-corp.jp/2022/01/19/2348
開催日は2022年2月15日(火)と2月18日(金)。人事労務・健康経営の担当者向け無料オンラインセミナー。ストレスチェック大規模分析の結果と、先進的な2社の取組み事例を紹介。

[14]心電図などさまざまなデータを測定するWithingsのスマート体重計
https://mhealthwatch.jp/global/news20220119
Withingsは体のあらゆることを測定するブランドであることをこれからも目指して「Withings Body Scan」を発表。(2022/01/19)

[15]CES2022:大注目カテゴリーのフィットネスリング、医療機器『Movano』が女性向けを発表
https://mhealthwatch.jp/global/news20220119-2
女性をターゲットにした製品で、心拍数、睡眠、歩数、カロリー、血中酸素、呼吸など標準的なフィットネス項目を測定するよう設計されている。(2022/01/19)

[16]悪い姿勢を指摘し、マッサージまでする姿勢矯正ガジェット『GOPOSE』
https://mhealthwatch.jp/global/news20220125-2
「GOPOSE」は、姿勢が悪くなるとすぐに感知し、スマホに通知してくれる。さらにカラダが疲れた時はマッサージ機としても活躍する。(2022/01/25)

[17]CES2022:Abbottが、一般向けバイオウェアラブルの開発を発表
https://mhealthwatch.jp/global/news20220125
より一般的なフィットネスやウェルネスを目的としたコンシューマー向けバイオウェアラブルの新製品ライン『Lingo』を開発していると発表。(2022/01/25)

[18]『mHealth Watch』注目ニュース:IBM、「Watson Health」を手放すとの報道
https://mhealthwatch.jp/global/news20220131
今回この記事を取り上げたのは、“ヘルスケアにおけるAIの進化”のことよりも、「Watson Health」の存在認識について考えていきたいと思います。(2022/01/31)