こんにちは、渡辺武友です。
国内外のデジタルヘルス情報をお届けするmHealth Watch
この1年で取り上げたニュースを見ていくと、いくつかの傾向が見えてきました。

中でも、「世界的に新型コロナが収束に向かったこと」によって、ヘルスケア業界に大きな変化が起きています。
その変化とは何か?紐解いていきたいと思います。

特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編

今年後半を振り返る、「デジタルヘルス」動向

国内外のデジタルヘルス情報をお届けするmHealth Watchでは、今年も多くのデジタルヘルス・ニュースを取り上げてきました。
今年は世界的に新型コロナが収束に向かったことからも、ヘルスケアにおいても大きな変化がありました。
今年後半のニュースを参考に見ていきます。

「デジタルヘルス」の転換期

・デジタルメンタルヘルスへの投資が重度な病気にシフト(6月27日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20220627


2021年はデジタルヘルスへの投資が過去最高となりました。
特にメンタルヘルス関連が躍進した年でした。
それに対し、今年は状況が一転したようです。

まず2021年までデジタルヘルスの投資が増えたのは、新型コロナが思った以上に長引いたことで、健康課題の変化が起き、それに対応したビジネスモデルに注目が集まりました。

特に米国は新型コロナによりロックダウンし、外出制限が課せられ、今までの生活と一変したことによって不安によるメンタル不調が増加しました。
そこで求められたのが、病院に行かなくても改善できるデジタルヘルスの活用です。

この傾向はメンタル領域だけではありませんでした。
外での運動ができない、フィットネスクラブに行けないことで、ホームフィットネスが注目され、Pelotonは過去最高益となりました。

しかし、今年は新型コロナによる制限緩和が一気に進んだことで、人々が率先して外に出るようになり、人々の欲求も変わってきました。
またメンタル領域でも、以前は軽度な人を対象としたものが主流でしたが、より重度なメンタル疾患に対応したものが求められるようになりました。

結果として、コロナ禍で伸ばしたビジネスも下降傾向となり、多くの企業で人員削減が行われています。
まさに“「デジタルヘルス」の転換期”となったと言えます。

必要とされる新たなアプローチとは?

・Calm、従業員の20%を解雇(8月22日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20220822-3

・Calm、臨床メンタルヘルスの提供を発表(10月28日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20221028-2


“「デジタルヘルス」の転換期”の中で、早くも対応した動きが見られます。
Calmは睡眠改善にアプローチすることで伸ばしてきました。
まさに軽度なメンタルへのアプローチだったわけですが、新たに臨床レベルのサービスを立ち上げることで、重度のメンタルヘルスに対応してきました。

Calmの様に、時代の変化に合わせる。つまり新たなブームという波をうまく捉えた対応ができるかが「デジタルヘルス」領域で発展するために必要な要素となってくるでしょう。

これはCalmの規模だからとか、扱うテーマがメンタルだからと言うことではないと思っています。
このような変化の重要性を指摘する記事は他にもありますので紹介します。


・Mayo Clinic心臓専門医、小売業と同じく、ヘルスケアにも仮想プレゼンスが必要(8月8日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20220808-2

・投資の減少がデジタルヘルスにとってプラスになる理由(10月31日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20221031


前者の記事では、医療だからとリアルに重点を置き過ぎてはいけない。
過去にも小売業はリアルがメインでオンラインが置き換わることはないと思われてきたが、多くがAmazonなどに置き換わってしまった。
医療も同じことが言える。と指摘しています。

後者の記事では、新興企業は投資を集めることよりも、収益性を高めることに重点を置くべきだ。と指摘しています。

今後、新型コロナがまた拡大するかもしれません。変異した新たな感染症が流行するかもしれません。
少なくとも現在の米国では、アフターコロナと位置づけた動きとなっています。

日本でも、アメリカから遅れる形で「デジタルヘルス」に求められることが変化してきています。
ヘルスケアにおける新しいテクノロジーへの投資は活況を迎えていますが、その状況が少しずつ変わってきているのです。
日本でもデジタルヘルスの投資が得やすいのはブームと捉え、ブームは過ぎ去ることを前提とした次なる戦略が必要になります。

先行する米国で起きていることを分析し、来年に向けた次の一手を検討していきましょう。

今年最後のセミナー
「デジタルヘルス」に求められることとは?

ヘルスケア領域においても、新たなブームの予兆を捉えて、上手く活用することが重要なことはPelotonやCalmが実践し、証明してきています。

では、今捉えるべき予兆とは何か?

それは政府の指針から連動する市場動向を観察すると、必要なことが見えてきます。

11月24日に開催したランチタイムセミナーでは、デジタルヘルスの環境変化「政府の指針から連動する市場動向」についてお伝えしました。
明後日となる12月15日(木)のランチタイムセミナーでは、市場動向を踏まえて具体的なアプローチとはどんなことなのかをお伝えしていきます。

お申し込みは明日の12:00までです。お見逃しなく!


【ランチタイムセミナー】
デジタルヘルスをめぐる環境変化を知る「成果重視の流れ(その2)」

日程:2022年12月15日(木)12:10-12:50(40分)
申込締切:2022年12月14日(水)12:00
会場:Zoomミーティング
定員:40名(定員になり次第、募集は終了します)
費用:無料

お申込みはこちら:
https://healthbizwatch.com/seminar/hbw-047

健康ビジネスキーワード

「サービスの本質理解と実践_1/8 」

HBWではヘルスケアビジネス力という考え方を持っております。
8つあるのですが今回よりそれを紹介していきます。

ヘルスケアビジネスを展開していく上で、サービスとは何たるものであるかの深い理解と、それをベースとした行動選択ができることが極めて重要です。
ヘルスケアビジネスは、グッズ・ドミナント・ロジック(GDL:モノ機能価値主導)ではなく、サービス・ドミナント・ロジック(SDL:使用価値主導)で動きます。

サービスの特徴とは

  • 無形性
  • 生産と消費の同時性
  • 権利移転を伴わない
  • 顧客との共同生産
  • 購入前、評価できない
  • 購入後、結果とプロセスが評価される
  • 提供者・時間・場所によって品質が左右される

各ファクターの本質を再確認しましょう。

今週の注目記事クリップ

[1]ヘルステック、次のM&Aターゲットは誰?
https://mhealthwatch.jp/global/news20221206-2
CVS、Walgreens、Walmart、そしてテクノロジー巨大企業であるAmazonは、医療サービスを提供することによってヘルスケア市場へのより大きな足がかりを得ようと躍起となっている。(2022/12/06)

+++★追加解説音声:80秒(編集主幹 大川耕平)★+++
米国大手小売事業者のヘルステック買収に注目しましょう!
https://youtu.be/iM48Q9tpa3Y

[2]ベネフィット・ワン、ワン・オー・ワンとHR Tech領域で連携【PDF】
https://global-assets.irdirect.jp/pdf/menu_file/2412/20221130093659_8198.pdf
https://corp.benefit-one.co.jp/
人事・総務部の業務効率化支援を目的に、ベネフィット・ワンが提供する「ベネワン・プラットフォーム」と、ワン・オー・ワンが提供する「スキルナビ」のデータ(CSV)連携を開始。(2022/11/30)

[3]CAN EAT、アレルギーヒアリングシステムのご利用者数が3万人を突破!
https://about.caneat.jp/news/20221130/
これまでの申請の内訳は、「食物アレルギー50.4%」がもっとも多く、続いて「妊娠中・授乳中」「お酒が飲めない」「ベジタリアン・ヴィーガン」の順。登録された食物アレルギーは500種類以上、甲殻類・果物・ナッツ類が上位を占める。(2022/11/30)

[4]issin、「スマートバスマット(TM)」は“妊娠中”や“新生児”の体重管理に対応。さらにオンライン医療相談サービス「産婦人科・小児科オンライン」を開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000103350.html
無意識に一生分の体重管理を目指す「スマートバスマット(TM)」は、「マタニティモード」「ベビーモード」を追加し、ユーザー様向けに“妊娠中の心配”や“赤ちゃんの成長に関する悩み”を解消するサービスを導入。(2022/11/30)

[5]NTT DX パートナー、睡眠状態を可視化する API・SDK を販売開始【PDF】
https://www.nttdxpn.co.jp/news/20221130release.pdf
https://www.nttdxpn.co.jp/
本 API・SDK により、第三者が提供するシステムやアプリケーションに対し、睡眠研究で使用されている技術を応用し睡眠医学に基づき開発された独自アルゴリズムによる高精度な睡眠計測機能を追加することが可能に。(2022/11/30)

[6]矢野経済研究所、機能性表示食品に関する消費者アンケート調査を実施(2022年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3149
20代-60代以上の男女5,790名の機能性表示食品の摂取比率は3割。最も関心の高い機能性表示は男女全ての年代で「おなかの脂肪(体脂肪・内臓脂肪)・体重の減少」がトップ。(2022/11/30)

[7]シード・プランニング、[新刊案内]デジタル治療(Digital Therapeutics:DTx)の受容性と将来展望2022
https://www.seedplanning.co.jp/news/news2022113001/
医師200名、患者500名のアンケート調査等からDTxの受容性とマネタイズの方向性を探る!デジタル治療(DTx)に適していると思う疾患の1位は、医師が「高血圧性疾患」、患者は「うつ病」となり、生活習慣病と精神疾患に期待。(2022/11/30)

[8]サントリー食品インターナショナル、サントリーウォーターレポート
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1318.html
生活者のミネラルウォーターに対する意識と飲用実態を明らかにするとともに、「健康」や「環境配慮」に関する意識や行動を明らかに。飲み物としてあえて「水」を選ぶことがある人は7割以上、20代、30代は約8割。(2022/11/30)

[9]リンナイ、全国47都道府県別「冷え・ヒートショック」に関する意識調査
https://www.rinnai.co.jp/releases/2022/1130/
医師の早坂信哉先生に監修いただき、全国47都道府県別に20-60代の男女計2,350名を対象に調査を実施。2人に1人が悩む冬の冷え、滋賀県と熊本県は6割越え。(2022/11/30)

[10]オノフ、更年期前後の大人の女性向けのフェムケアサービス「ゆるれこ」サービス提供開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000011645.html
心身共に揺らぎやすい時期であっても「カラダもココロも、いい感じ」に過ごしていくための、新しいオンラインサポートサービスの形、『ゆるれこ』とは?(2022/11/30)

[11]KEYWORD:プロダクティブ・エイジング(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/keyword/19/00191/
プロダクティブ・エイジング(Productive Aging)とは、高齢者が身体的にも精神的にも健康を保って人生を楽しみ、長年培ってきた経験を生かして生産性を維持し、社会に貢献しながら年齢を重ねる生き方を示す。(2022/12/01)

[12]LINEヘルスケア、オンライン診療「LINEドクター」処方薬の配送サービスを全国エリア対象に本日より提供開始
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2022/4418
オンライン診療「LINEドクター」は、LINEアプリ上で診療の予約、無料ビデオ通話での診療、決済を完結することができ、体調不良時にLINE上で医師とつながり診療を受けることが可能なサービス。(2022/12/01)

[13]日本国内で薬事承認(製造販売承認)を取得したAI医療機器一覧(Heathtech DBより)
https://healthtech-db.com/articles/ai-medical-devices-approval-2022
AI医療機器の上市には、PMDAによる製造販売承認(いわゆる薬事承認)が必要となる。2018年に内視鏡画像診断支援ソフトウェアが国内初承認を取得してから、現在に至るまで計23点の機器が承認されてきた。(2022/12/01)

[14]ならでわ、AIフィットネスアプリ「ODOLL」リリースのお知らせ
https://naradewa.co.jp/news/2900.html
自宅を最高のフィットネス空間に。AIで骨格検出・多彩なエフェクトで楽しく続けることができるトレーニングアプリ。(2022/12/01)

[15]asken、Google Play ベスト オブ 2022 アプリ「ユーザー投票部門」と「自己改善部門」の大賞を受賞
https://www.asken.inc/news/2022/12/1/google-play-2022-
『あすけん』は、今後もユーザーの皆さまへの感謝の気持ちを込めてさらなるサービス向上に努め、さまざまな人のライフステージに寄り添い、食生活改善をサポートしながら人生を共に歩むパートナーになることを目指してまいります。(2022/12/01)

[16]クロス・マーケティング、「温活」とは?意識層と無意識層で異なる女性の行動傾向 体の内側から寒さに負けない体作りへの意識
https://www.cross-m.co.jp/news/release/20221201dpj/
全国20歳-69歳の男女を対象に「『温活』に関する調査(2022年)」を実施。女性で何かしら体を温める行動をしている人は88.9%。一方で「意識して温活をしている人」は17%に留まる。(2022/12/01)

[17]ミソド、全国10都市で開催の「良眠みそ汁 料理教室」で賞賛の声続々~ご当地の味噌でさらにおいしく対策を~(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000039806.html
秋冬にそれぞれ高まる生活習慣病とその入り口とされる睡眠問題への懸念を解消するため、睡眠の専門医と睡眠栄養士監修のもと、不眠対策に特化した食材を選定し、人気の料理研究家と「良眠みそ汁」レシピを開発。(2022/12/01)

[18]花王、「フェムケア エピソードバンク」の運用を開始
https://www.kao.com/jp/corporate/news/sustainability/2022/20221202-001/
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 情報科学領域 ソーシャル・コンピューティング研究室が開発した「エピソードバンク」を応用し、女性の健康に関するエピソードを自由に投稿・閲覧できる独自のソーシャル・メディアを開発。(2022/12/02)

[19]東京大学、朝食・昼食・夕食・間食の栄養学的質の評価を目的とした簡易食習慣評価ツール(MDHQ)の開発
https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/press.html#20221205
MDHQから推定された各食事の栄養学的質を、食事記録法から推定された各食事の栄養学的質と比較し、MDHQから推定された朝食・昼食・夕食の栄養学的質が十分に正確であることを明らかにしました。(2022/12/05)

[20][月刊NEXTコラボ記事]世界4,500人のヘルス&フィットネス指導者が注目する2022フィットネストレンドとは(Fitness Businessより)
https://business.fitnessclub.jp/articles/-/1365
今年で16年目を迎えるACSMのトレンド調査は、世界のヘルス&フィットネス業界関係者が、消費者に影響を与えるプログラムを知り、ビジネス上の意思決定を行う際に役立てられている。(2022/12/05)

[21]すてきなじかん、1日5分のリラックス体験をあなたの日常に!体験型ドリップコーヒー「自然じかん-焚き火と楽しむ珈琲-」が誕生(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000020927.html
辻本珈琲・村田製作所・MEETSHOPと三社合同で行った「コーヒーのリラックス効果についての実験」をもとに開発された、新しいコーヒーの楽しみ方。(2022/12/05)

[22]メディアシーク、「DTx カオスマップ2022」を公開!
https://www.mediaseek.co.jp/corporate/notice/11544/
「がん」「循環器系疾患(心臓血管)」「内分泌・代謝系疾患(糖尿病)」「整形外科系疾患」「脳卒中」「認知症」「精神・行動障害」「感染症(呼吸器)」「その他」の9カテゴリーに分け、およそ50の企業を掲載。(2022/12/06)

[23]CCA、眠れない原因はストレス?!解消するための取り組みをしている方は4割以上!しかし継続できなかった方も…(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000104147.html
睡眠に悩んでいる20代-60代女性を対象に「睡眠の悩み」に関する調査を実施。寝つきが悪く30分以上経っても眠れない方が3割以上、取り組みはしたものの改善していない方が4割、など。(2022/12/06)

[24]MEETSHOP、オンライン完結の体質改善ブランドOR THIS ONE(オアディスワン)が新サービスを開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000052867.html
15日間10万円ながらも253名が参加した「食べるファスティング」も正式リリース。1日あたり200円の体質改善プログラムも登場・新webサイトも公開。(2022/12/06)

[25]Googleの『Health Connect』アプリがベータ版で利用可能に
https://mhealthwatch.jp/global/news20221130
現在、MyFitnessPal、Oura、Pelotonなど、10以上の健康およびフィットネスアプリが『Health Connect』との統合を開始している。(2022/11/30)

[26]Amazon、バーチャル診療サービス『Amazon Clinic』を開始
https://mhealthwatch.jp/global/news20221201-2
Amazonは、新たに立ち上げた『Amazon Clinic』を通じて、米32州の患者にバーチャル医療を提供すると発表した。20種以上の一般的な疾病の治療を求める患者に、メッセージに基づくサービスを提供する。(2022/12/01)

[27]仮想理学療法プロバイダーのOneStep、スマートフォンを使用して上肢の可動域を評価
https://mhealthwatch.jp/global/news20221202
OneStep社対応のスマートフォンを握りながら指示される通りに腕を動かすことによって、理学療養士が動きの範囲を評価し、外科手術後の回復度や関節機能の治療について情報提供することができる。(2022/12/02)

[28]血圧の点と点を結び行動変容を促すAIアプリ『Dot-to-Dot』
https://mhealthwatch.jp/global/news20221205-2
Hello Heart社は、日々のライフスタイルが血圧とどう関係しているかを視覚化し、管理するAIプログラム『Dot-to-Dot』を発表した。(2022/12/05)

[29]『mHealth Watch』注目ニュース:デジタルヘルスへの投資はROIと臨床的検証を指標とする
https://mhealthwatch.jp/global/news20221212-2
デジタルヘルス、2023年の投資予測が発表されました。今年に引き続き、低迷すると予測されています。すべてが低迷すると言うことではなく、注力テーマ(課題)を扱うことができれば、投資は得やすくなるようです。(2022/12/12)