こんにちは。脇本和洋です。

[海外事例にみる継続支援アプローチ編]では、我々のリサーチ活動の中から注目テーマ(事例)を毎月紹介しています。

今年最後の本遍では、まず2022年に取り上げたデジタルヘルスケアの切り口を振り返った後、

1)米国で先行する業界
2)米国で先行する健康テーマ
3)2023年に注目したい業界と健康テーマ

をお話しします。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

2022年に注目した10の切り口

本編をお読みの方は、

「デジタルヘルスケアにおいて、新サービスをつくり、成果(健康面、収益面)を大きく上げたい。そのためのヒントは、海外事例にある」。

そう思われている方が多いと思います。
確かにその通りで、むやみにアイデア発散するより米国のトレンドをしっかり見極めて、アイデアを磨く方が成功確率は高まります。

そのような読者の方の想いを受けつつ、2022年は米国のデジタルヘルスケアのトレンドを追うために、4つの業界と6つの健康テーマという切り口で、事例を紹介しました。

<切り口:4つの業界>

・米国健康機器の動向(2022年10月、11月)
・米国専門家プラットフォームの動向(2022年9月)
・米国法人向けサービスの動向(2022年8月)
・米国医療保険会社の動向(2022年4月)

<切り口:6つの健康テーマ>

・歯周病・禁煙・アルコール依存(2022年7月)
・認知症領域(2022年6月)
・ダイエット領域(2022年5月)
・心臓病領域(2022年3月)
・更年期障害(2022年2月)
・シニアの健康(2022年1月)

※参考>2022年本編のバックナンバー
https://healthbizwatch.com/author-cat/wakimoto

1)米国で先行する業界

米国ではデジタルヘルスという視点でみると、医療保険業界が先行しています。

理由は、医療保険業界では成果(いかに行動が継続され、健康になるか)が求められるからです。
その背景には、日本と米国の医療制度の違いもあります。

巨大な医療保険業界に向けて、様々なヘルスケアサービスのプロバイダーが競争しており、当然サービスも磨かれています。

では、成果を出すために何をしているのでしょうか?

それは、今まで以上に「健康行動の継続支援」をすること。

2022年4月号で特集した、United HealthとAetnaという保険会社は、インセンティブサービスはもちろん、ヘルスコーチングという行動変容ノウハウを詰め込んだサービスを提供、さらにはエンターテイメント性の高いサービスをつぎ込んできています。

このように、医療保険業界は行動変容技術が集積されているのです。

※関連バックナンバー
米国医療保険会社2社の健康サービス動向(2022年4月)
https://healthbizwatch.com/column/hbw-986

2)米国で先行する健康テーマ

では、健康テーマでみた場合、米国で先行するテーマは何でしょうか?

最も先行するのは、ダイエットというテーマです。

理由は、ダイエットというテーマは「痩せてかっこよく見せたい」という人間の本質的欲求をついていて、歴史的にも長く大きな市場だからです。
当然、競争も激しいですし、失敗も多いです。
だからこそ、その中で成功している企業には注目だと思うのです。

では、成功するために企業は何をしているのでしょうか?

それは、「健康行動の継続支援」を徹底強化すること。

2022年5月には、MedifastとWeightWatchersという成功事例の特長を紹介しました。
両社とも、実際にそのサービスを使って痩せた人が教え、共感を重視したコミュニケーションをとります。

確かに、ヘルスコーチングという手法が採用されていることも特長ですが、それ以上に「誰から教わるか」を大切にしている点に特長があります。

※関連バックナンバー
米国のダイエットサービス代表2社の動向(2022年5月)
https://healthbizwatch.com/column/hbw-990

3)2023年に注目したい業界と健康テーマ

2023年の本編は、

「日本でのデジタルヘルスケアの成功確率を高めるために、米国トレンドを追う」

というスタンスは変えません。
ただ、読者の方は多忙で毎回メルマガに目を通す時間がない場合もあるでしょう。
それならば、最低限見るべき米国の業界とテーマは何でしょうか?

その答えは、

・業界は保険業界
・健康テーマはダイエット

です。

この二つで起きていること(コンセプト、価値、サービス)が、他業界、他テーマに落ちていくというパターンだからです。

もちろん、日本と米国は医療制度も違いますし、文化も違います。
米国トレンドがそのまま日本で通じるわけもないでしょう。
ただし、その『本質』が何かを見極めて応用すれば、日本でゼロから考えるより、圧倒的なスピードで成功に近づけると思っています。

そのような観点で、来年もお届けしていきます。
本年もご愛読ありがとうございました。 【脇本和洋】

参考>本編「海外事例にみる継続支援アプローチ編」をお読みの方へ

我々スポルツが今までに調べてきた500超の事例から実績をベースに16事例を選定。米国先進事例の「行動継続を促す工夫」を調査分析したレポートの紹介です。

詳細は以下となります。ぜひ参考にしてください。

●ヘルスビズウォッチ・レポート
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
ー サービスの継続利用を高めるアイデアを、
チームで精度高く短期間で生み出すための発想素材! ー

健康ビジネスキーワード

「相手が成果を得るまでの行動変容を伴う健康行動継続支援技術が重要_2/8」

今回は「ヘルスケアビジネス」力 8の2つ目になります。

ヘルスケアサービス購入者の満足は目指す成果になります。
提供するサービスやプロダクトの継続利用によってその成果が生まれます。
つまり、健康行動を継続することが成果に結び付きます。
ヘルスケアビジネスは健康行動継続支援技術を持つことが必須であり、とても重要になります。
ここに気づき準備するか否かでビジネスの近未来が決まります。

HealthBizWatchでは健康行動継続支援技術を「継続ドライバ」として8つ設定し、運用し成果を上げています。

1)インセンティブ
2)ヘルスコミュニケーション
3)ヘルスナレッジ
4)パーソナライズ
5)モニタリング
6)コミュニティ
7)ゲーミフィケーション
8)IoTリンケージ

の8つになります。
解説PDFを用意しましたのでご希望の方は下記期日までにダウンロードしてください。

継続ドライバ解説PDFのダウンロードはこちらから。
(2022年12月27日まで)
https://healthbizwatch.com/member/hbw2212

今週の注目記事クリップ

[1]Pinterest、Pinterestが予測する来年注目のトレンド:Pinterest Predicts 2023レポートを公開
https://newsroom.pinterest.com/ja/post/pinterest-announces-its-pinterest-predicts-2023-report-to-reveal-the-trends-that-pinterest
ウェルビーイングは、ここ数年でさらに重要性を増している主要なカテゴリーです。2023年は携帯を置いて、ストレッチやスクワットなど正しい姿勢を意識したワークアウトが主流に。(2022/12/07)

+++★追加解説音声:90秒(編集主幹 大川耕平)★+++
ピンタレストのマーケティング利用のヒントになります!
https://youtu.be/CY2s5TFWmEc

[2]ファイザー、「ファイザープログラム~心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究支援」2022年度助成プロジェクトを決定
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2022/2022-12-07.html
2022年度は、新規助成に8件(助成総額1,420万円)が、継続助成に8件(助成総額1,500万円)が、それぞれ選考委員会による厳正なる選考の結果、助成対象プロジェクトとして選出されました。(2022/12/07)

[3]日本サブスクリプションビジネス振興会、日本サブスク大賞2022グランプリ発表!!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000050148.html
日本一は安全な登山情報を提供するサブスク『YAMAP』。シルバー賞はオンラインピル診療サービス『mederi Pill』、ブロンズ賞は全国のレジャー施設が利用できる『レジャパス』が受賞。(2022/12/07)

[4]筑波大学、長期間のテレワークは運動不足への危機意識を低下させる可能性がある
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20221207140000.html
COVID-19流行によって通勤を伴わないテレワークが急速に広まりました。本研究では、このような働き方の変化が、運動量や運動不足に対する意識にどのような影響を与えたのかを調べました。(2022/12/07)

[5]Repro、AI食事管理アプリ「あすけん」のアプリストア最適化支援の成果を発表
https://company.repro.io/press/pr/pr/20221207/-1
askenが運営するAI食事管理アプリ「あすけん」にASO支援ツール「ASO Insight」の導入および分析から施策提案、モニタリングまでをトータルで支援する「エキスパート支援」により、iOSのオーガニックダウンロード数が111%を達成するなどの成果を創出。(2022/12/07)

[6]フラー、ヘルスケアアプリ市場調査レポートを公開
https://www.fuller-inc.com/news/2022/12/healthcareapp-marketreport-2022
ヘルスケアアプリの市場規模がどのように変化していったのかを調査。2022年9月の日本のスマホユーザーにおけるヘルスケアアプリの利用率は53%で、3年前に比べ21ポイント増となりました。(2022/12/07)

[7]カリフォルニア・アーモンド協会、アーモンドの摂取が過体重や肥満の成人における摂食調節ホルモン反応の改善に役立つことを示唆する新しい研究結果を発表
https://www.almonds.jp/about-us/press-room/press221209
本研究では、アーモンドの摂取により摂食調節ホルモン反応が改善し、インスリン分泌が抑えられ、血糖調節が改善することが示唆されました(2022/12/08)

[8]大阪イノベーションハブ、次世代のヘルスケア市場を切り開いていく15のビジネスプランを発表!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000090165.html
「大阪公立大学ヘルステックスタートアップス2022デモデイ」視聴者募集を開始。開催日は2023年1月21日(土)。(2022/12/08)

[9]ユーキャン、[2022年学びのトレンド調査]何かを学んでいる人ほど人生満足度が4.9ポイント高いという結果に
https://www.u-can.co.jp/company/news/1217376_3482.html
「現代用語の基礎知識」選 2022ユーキャン新語・流行語大賞に「リスキリング」がノミネートされたことを受け、20代-60代の男女402名を対象に、将来の不安やリスキリング、人生の充実度に関する意識調査を実施。(2022/12/08)

[10]ウェルネス・コミュニケーションズ、AI insideとの協業により、健康診断結果報告書のデジタルデータ化とその活用による新規事業を創出
https://wellcoms.jp/data/news/206/news.pdf
両社の強みを活かして、企業による従業員の健康管理を効率化・効果最大化するスマートヘルスケアの新サービスを創出します。(2022/12/08)

[11]アジアのメディカルツーリズムが活発な背景には何があるのか?(Heathtech DBより)
https://healthtech-db.com/articles/medical-tourism-asia
メディカルツーリズムはタイ、シンガポールを中心にアジア圏で活発に行われている。医療という面では欧米地域の方が最先端をいくが、メディカルツーリズムにおいてなぜアジアが活発なのか?についてこの記事では取り上げたいと思う。(2022/12/09)

[12]グローバルニュートリショングループ、消費者の関心は、睡眠、認知、免疫に集中:Fonterra社、7カ国調査、ほか|GNGグローバルニュース2022年12月12日号
https://global-nutrition.co.jp/gnggn/globalnews-20221212/
消費者の最大の関心は睡眠の質、認知機能、免疫であることが、ニュージーランドの乳業企業、Fonterra社が行った消費者意識調差(「The Global State of Health & Wellbeing-Volume 1」)で判明した、など。(2022/12/12)

[13]インテージ、「健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ+セルフヘルスケア市場実態把握レポート2022年度版」発刊
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2022/20221212.html
2022年度の日本の健康食品・サプリメント市場規模(同社推計)は1兆3,729億円で横ばい。「コロナ前より健康気にする」人は55%で、3年連続5割超。ストレス、女性関連市場が拡大。(2022/12/12)

[14]cotree、「キャリアカウンセリングプログラム」を開始
https://cotree.co/posts/careercounseling
本プログラムでは、経験豊富なキャリアカウンセラーがマンツーマンであなたのキャリア計画をサポートします。「スムーズな復職」「全く新しい働き方へのチャレンジ」「才能の発見」の3つのプログラムをご用意。(2022/12/12)

[15]Morgan Health、元Walmartの幹部、さらに多くのデジタルヘルスの従業員を雇用へ
https://mhealthwatch.jp/global/news20221207
JPMorgan Chase'sのヘルスケア事業部門であるMorgan Healthの発表によれば、ヘルスケアにおけるギャップを埋めるための同社の戦略的投資をCheryl Pegus博士が支援することになった。(2022/12/07)

[16]Apple、2024年に医療保険サービスを提供か!? Apple Watchのデータを活用
https://mhealthwatch.jp/global/news20221209
CCS Insightは、Appleが大手保険会社と提携して米国の医療保険市場に参入すると述べる。また、中国の保険関連メディア「保観(Insur View)」はAppleが2024年にUnitedHealthcare社を提携先に選ぶと予想する。(2022/12/09)

[17]音で良質な睡眠を実現する睡眠誘導スピーカー『Banala Sense』
https://mhealthwatch.jp/global/news20221213-2
アイソロニックトーンという一定間隔で発される超低周波の音を用いて、脳をリラックス、睡眠状態に導く。(2022/12/13)

[18]『mHealth Watch』注目ニュース:日本ケアリフトサービス、介護現場の腰痛リスクを徹底見える化
https://mhealthwatch.jp/japan/news20221219
今回のニュースの介護現場の腰痛リスクの見える化サービスは、個人の腰痛にフォーカースを当てるのではなく、まずは介護の現場の腰痛のリスクを見つける役割を果たすという位置付けです。(2022/12/19)