[海外事例にみる継続支援アプローチ編]米国のダイエットサービス代表2社の動向
こんにちは。脇本和洋です。
今号のテーマは、「米国のダイエットサービス代表2社の動向」です。
毎年、決算発表に合わせて、この時期に業績と動向をチェックしている
- Medifast
- WeightWatchers
を紹介します。
特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編
MedifastとWeightWatchersは、ダイエットビジネスで売上1,000億円を超える代表企業です。
Medifastは2006年に、WeightWatchersは2005年に初めて本メルマガでとりあげて以来、動向を追い続けています。
2020年までの売上はWeightWatchersの方が大きかったのですが、2021年にMedifastの方が大きくなり、逆転が起きています。
事例1.Medifastの業績と2021年の動き
■企業名:Medifast
https://medifastinc.com/
■企業概要
Medifastは、肥満女性向けにダイエット代替食を販売する通販企業。2005年に「痩せた後リバウンドしない」という価値をいち早く提示し、売上を拡大してきた。
■ダイエットサービスの特長
Medifastは、自社のダイエット法で痩せた人の中から「ヘルスコーチ」を育て、ヘルスコーチがコーチングサービスを提供し、顧客との信頼性をあげて商品販売を行う。
■直近(5年)の業績
・302億円(2017年)
・501億円(2018年)
・714億円(2019年)
・935億円(2020年)
・1,526億円(2021年)→2021年は急激な伸びを示す。
※1ドル=100円換算
■2021年の主な動き
- 2021年はヘルスコーチ数が増加(4.4万人から5.9万人へ増加)。ヘルスコーチになったばかりの人でも、顧客に的確にアドバイスができ成果を出せるよう、ヘルスコーチ育成のしくみを強化した。
- コロナ禍でも売上が伸び続けた背景には、顧客とヘルスコーチとの間に信頼関係ができていて、既存顧客があまり退会しなかったとみている。
- Medifastは、「同じ経験をした人からのサポートが、生活習慣の改善に大いに役立つ」との調査結果を発表。具体的には、ダイエットにサポートが必要と答えた人のうち、81%が同様の経験をした人からのサポートがあるなら、もっと成功すると回答した(Medifastのヘルスコーチは、Medifastのプログラムで成功しないとなれないので、その点を強みとして訴求したものと思われる)。
■健康行動継続の工夫
- Medifastのヘルスコーチは、実行するコツを提供するだけでなく、小さな成功体験に気づかせ、ほめていく。長く寄り添っていくことで顧客に自信を感じてもらい、継続を支援する。
事例2.WeightWatchersの業績と2021年の動き
■企業名:WeightWatchers
https://www.weightwatchers.com/us/
■企業概要
WeightWatchersは、肥満女性をターゲットとし、ダイエットセンターというリアル施設(ダイエット教室)を展開。デジタルサービスも提供する。
■ダイエットサービスの特長
WeightWatchersのダイエット法(食事法)を行っている人が集まり、成果を発表したり、知識を得たり、励まされたりする「場」を提供する。
■直近(5年)の業績
・1,306億円(2017年)
・1,514億円(2018年)
・1,413億円(2019年)
・1,378億円(2020年)
・1,212億円(2021年)→リアル施設中心のため、コロナ禍の影響は避けられず。
※1ドル=100円換算
■2021年の主な動き
- 2021年はWeightWatchersのサービス自体に大きな変化は見られなかった。
- WeightWatchersのサービスはリアル施設で行うダイエット教室であるため、コロナ禍の影響を受けた。
- しかし、全体としては、リアルの場で築いていた信頼がベースにあるので、売上の落ち込みは最低限に抑えることができている。依然ダイエットだけで、売上1,000億円を超える企業であることは変わらない。
■健康行動継続の工夫
- WeightWatchersの店舗で、ダイエット教室の司会を行う人はグループリーダーと呼ばれる。
- グループリーダーは、WeightWatchersのプログラム成功者で同社の教育を受けた人。つまり、どんなタイミングで、どんなことが起き、それをどう克服するかを経験者としてわかっている。
- 実際の経験者が共感してくれて、一歩先の提案までしてくれることが、行動継続につながっている。
2社のダイエットサービスの共通点
Medifastは通販企業、WeightWatchersは施設サービス企業であり、サービス形態は違いますが、サービスの共通点は、
「自社のダイエット法で成功した人が、教えてくれる」
ということです。
Medifastは、その『理由』として、
「ヘルスコーチは、プログラムを通じて自分自身の変化を知り、クライアントの置かれている状況を理解していて、顧客を最適に支援できるから」
と答えています。
これは言い換えると、
「提供する人自身がサービス経験者であり、成功者だからこそ、顧客の心に寄り添うことができ、一歩先の世界にまで導けるから」
とも言えるでしょう。
改めて、売上1,000億円を超える代表2社のサービスの共通点である
「自社のダイエット法で成功した人が、教えてくれる」
に注目したいですね。 【脇本和洋】
参考>本編「海外事例にみる継続支援アプローチ編」をお読みの方へ
我々スポルツが今までに調べてきた500超の事例から実績をベースに16事例を選定。米国先進事例の「行動継続を促す工夫」を調査分析したレポートの紹介です。
詳細は以下となります。ぜひ参考にしてください。
●ヘルスビズウォッチ・レポート
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
ー サービスの継続利用を高めるアイデアを、
チームで精度高く短期間で生み出すための発想素材! ー
健康ビジネスキーワード
「幸せの5つの軸」
それは
「達成」
「快楽」
「良好な人間関係」
「意味合い」
「没頭」
※マーティン・セリグマン(米国心理学者)提唱
今まで「達成」「快楽」が価値観のメインだった時代が大きくシフトを始めていることに読者の皆さまも気づいているはずです。
とても重要な価値観のシフトを括ると「便利」から「意味がある」です。
あなたのビジネスはどうシフトしているのでしょうか?
今週の注目記事クリップ
[1]東京大学大学院、食に関する価値観、知識、技術と性別・年齢との関連:一般日本人成人を対象とした質問票調査
https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/press.html#20220511
研究グループは、日本人成人2,231人を対象に詳細な質問票調査を実施し、食品選択における価値基準、栄養知識、料理技術、食全般に関わる技能には、男女間、世代間で大きな差があることを明らかにした。(2022/05/11)
[2]オムロン ヘルスケア、ウェアラブル血圧計で社員の日中血圧変動を調査
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2022/0511.html
20代-60代男女37名(高血圧患者7名、非高血圧患者30名)を対象に調査。起床後の最高血圧値とその他の状況で測定した最高血圧値を調べた結果、高血圧患者と非高血圧患者ともに、起床時と会議時との変動幅が最も大きくなることがわかった。(2022/05/11)
[3]イーウェルと産業医科大学、健康経営推進のキーポイントは管理職のリーダーシップによる健康的な職場文化の醸成
https://www.ewel.co.jp/category/news-release/p19440/
経済産業省補助事業において健康施策の効果的な推進につながる取組みを実証。本実証は、健康投資管理会計における無形資源に着目し、無形資源の蓄積度を可視化することでコラボ-コラボヘルス(複数のコラボヘルスによる実証)による効果検証を取り入れている点が特徴。(2022/05/11)
[4]楽天と日清食品、「完全栄養食」を軸に新たなビジネスの創造を図る包括的なパートナーシップ協定を締結
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2022/0511_02.html?year=2022&month=5&category=corp%20ec%20fintech
ウェルビーイングな社会の実現を目指し、EC、保険、健康経営、シニア等の領域で協働。第一弾として楽天の社員食堂で「完全栄養食」の導入に向けた取り組みを開始。(2022/05/11)
[5]MIG、「40代」後半の約半数は、すでにアルツハイマー病の最初期の可能性
https://www.medicalig.com/news/
アルツハイマー病の進行状況年齢分布を発表。認知症の原因の70%程を占めるアルツハイマー病は、発症まで20-30年もの年月をかけて水面下でひっそりと進行している。40代50代は「隠れ認知症」世代ともいえる。(2022/05/11)
[6]ファンケル、「パーソナルワン」アスリート向けのサービス提供を開始【PDF】
https://www.fancl.jp/news/pdf/20220511_parsonalone.pdf
https://www.fancl.jp/
尿検査と食習慣・生活習慣に関するWEBアンケートで、アスリートに必要な鉄(フェリチン)や亜鉛をはじめとする栄養状態を分析し、サプリメントをオーダーメイドで提供。(2022/05/11)
[7]ロコモ チャレンジ!推進協議会、「ロコモ年齢」判定ツール提供開始
https://locomo-joa.jp/news/official/post_76.html
スマホ上での質問回答だけで「移動の健康度」を測定する新手法を開発。ロコモ認知度向上に向け、「いつでも・どこでも・だれでも」ロコモリスクを調べられる。(2022/05/11)
[8]Mizkan、「しあわせ、ぽん!」プロジェクトに先駆け「半径1メートルのしあわせ調査」を実施
https://www.mizkan.co.jp/company/news/detail/220512-70.html
現在、しあわせを感じることTOP3は「家族の健康」「自分の健康」「家族や大切な人と一緒に暮らせること」。コロナ禍以前は健康に次いで「趣味」の比重が高かったが、コロナ禍を経て趣味より「食事」が重視されるように。(2022/05/12)
[9]NTTデータ経営研究所、応用脳科学コンソーシアム:脳科学の産業応用に向け、新たな取り組みをスタート
https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/220512.html
応用脳科学コンソーシアムは、2022年度のキックオフシンポジウムにて、脳科学の産業応用に関する今年度の新たな取組みを発表。Well-beingやVR/メタバース、AIによる創造性支援等を新たなテーマに設定。(2022/05/12)
[10]メドピア、簡易株式交換による株式会社クラウドクリニックの完全子会社化に関するお知らせ
https://medpeer.co.jp/press/10045.html
クラウドクリニックは、「患者さんが在宅医療を選べる世の中に」をミッションに、在宅医療事務のアウトソーシングサービスを提供している会社。専門性の高いスタッフによる在宅医療に特化した独自のサービスが強み。(2022/05/12)
[11]ティップネス、「在宅ワーカーにおススメ!脳活性 集中力アップ術」販売開始【PDF】
https://www.tipness.co.jp/co/news/archive/dl131jkx1unpwvyre0el0ao95zrvki.pdf
https://www.tipness.co.jp/
“脳活”の専門家であり、脳の活性度可視化サービス「脳検」を展開する脳活性総合研究所(脳活総研)と協業し、脳の活性化による集中力アップを目的とした法人向けの新プログラムを開発。(2022/05/12)
[12]塩野義製薬、「製薬×データサイエンス Meetup 2022」開催のお知らせ
https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2022/05/20220513.html
開催日は2022年6月25日(土)。製薬企業8社のデータサイエンティストが登壇。医療・ヘルスケア領域でのデータ活用の取り組みを紹介する、データサイエンティスト、データエンジニア向けのイベント。(2022/05/13)
[13]MMD研究所、「ヘルスケアとウェアラブル端末に関する調査」を実施
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_2065.html
予備調査では18-79歳の男女15,000人、本調査ではApple Watch利用者、スマートウォッチ利用者、スマートバンド利用者の400人を対象に調査。健康に関する記録をしている人は約4割、うちデジタル媒体で記録している人は6割以上。(2022/05/17)
[14]ベースフード、「BASE BREAD ミニ食パン・プレーン」新発売!
https://basefood.co.jp/news/850
朝食の定番“食パン”が登場。発売を記念して期間限定カフェ「BASE BREAD BAKERY&CAFE」を恵比寿にオープンし、新商品の「BASE BREAD ミニ食パン・プレーン」を使ったオリジナルフードやスイーツを提供。(2022/05/17)
[15]エヌ・ディ・シー、ベーコンの常識をくつがえす「大豆ベーコン」販売開始
https://www.v-ndc.com/soybacon
日本初、大豆で作ったプラントベースのベーコン開発に成功。従来の豚肉ベーコンの栄養素と比べると、鉄分が4倍、食物繊維は7倍。さらに脂質93%オフ、コレステロールはゼロ。もちろん植物性たんぱく質も豊富。(2022/05/17)
[16]月刊総務、全国の総務担当者を対象に「ウェルビーイングに関する調査」を実施(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000060066.html
ウェルビーイングに取り組んでいる企業は約半数。まだ取組んでいない企業の半数が「経営陣の理解がない」と回答。ウェルビーイングで注力しているのは「フィジカルウェルビーイング」が最多。(2022/05/17)
[17]クックパッド、「クックパッドの食育サポート for 保育施設」の提供を開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000240.000027849.html
「クックパッドの食育サポート for 保育施設」は、クックパッドが作成した年間の食育計画と、実施マニュアル、教材、おやつをセットにし、読み聞かせから簡単な調理実習までを可能にした食育実習プログラム。(2022/05/17)
[18]ディーツフードプランニング、おからとこんにゃくから生まれた次世代フード「Deats(R)」新商品ディーツミートシリーズを使ったレシピコンテストを開催(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000086329.html
ディーツミートシリーズは、独自製法により植物性100%でありながら、まるでお肉のような食べ応えを実現。動物性原料からは摂取しにくい食物繊維を摂取できる、など。(2022/05/17)
[19]新社会システム総合研究所、三井物産から見たヘルステック最新動向とウェルネス事業戦略ー「予防・予後」ニーズ拡大に備えたデータ活用の変革ー
https://www.ssk21.co.jp/S0000103.php?spage=pt_22281
開催日は2022年6月29日(水)。重点講義内容は「マクロ視点からみたヘルステック動向」「ヘルステック動向を踏まえた三井物産のウェルネス事業戦略」。
[20]『mHealth Watch』注目ニュース:おいしい健康『2型糖尿病患者を対象とした、スマートフォンアプリによる食事療法』に関する探索的研究を筑波大学と共同で開始
https://mhealthwatch.jp/japan/news20220523
今回注目するのは、献立・栄養管理支援アプリを活用した2型糖尿病患者の食事療法に関する研究開始のニュースです。(2022/05/23)