[健康ビジネス・マーケティング&収益化編]3ステップで購入につなげる“損失”の活用
こんにちは、渡辺武友です。
「人間に起きる行動は3つの脳から生まれる」こと、ご存知でしょうか?
今回は新規ビジネスで活かせる“3つの脳”とは何かを見ていきます。
特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編
新規ビジネスは検討段階、リリース後、至るところに落とし穴が潜んでいます。
まったくの新規領域参入は、目隠しをして街中を歩くのと近い行為だ。と言っても過言ではないと思います。
先月に続き、新規ビジネスでつまずかないために、押さえておきたいポイントを紹介します!
納得感を生む値付けとは?
先月お届けした「ヘルスケア新規ビジネスのよくある質問とその回答」の中で、「価格はどうやって決めるの?」の説明に対してご質問いただきました。
「価格決めの仕方、参考になりました。ただ新規ビジネスの場合、まだ購入者も少ないので、他よりも安くする必要があるのではないでしょうか?」
確かに最初は、競合他社とまったく同じレベルで比べてもらうのは難しいでしょう。
また、まだ売ったことがないと自信もないので、安くしておいた方がよいのではないかと思ってしまうことがあります。
でもわかりやすく安くする、つまり市場相場よりもあまりに安いと、それはそれで怪しく感じてしまいます。
品質が悪いのではないかと、思われることに繋がります。
考えるべきことは、値段が高い安いに注力するのではなく、“お得と感じる”ようにしてあげればよいのです。
値段は一緒でも特典がたくさん付いていると感じられれば、十分に他社よりもお得感を持ってもらえます。
「でも、特典にも原価がかかるでしょう?」
と、考えたくなるかもしれませんが、そこが頭の捻りどころです。
提供する商品やサービスをうまく活用するための情報でもよいのです。
冊子にしたり、映像にしたり、顧客に合わせて適した形でお届けすればいいです。
何かモノを付けるのでも、試供品として改めて作らなくても、開発段階に作ったサンプルなども表現の仕方を工夫すれば十分特典になります。
価格を変えずに、他よりもお得にする方法のアイデアを膨らませてみてください。
3つの脳を刺激する仕掛けで購入に導く
お得だと感じられても、やはり市場で受け入れられているかは、判断材料として大きな要素になります。
まさに無いものねだりのジレンマですね!
人は購入に至る思考の過程が3ステップあります。
1990年に米国の国立精神衛生研究所のPaul D. MacLean博士が、「人間に起きる行動は3つの脳から生まれる」と提唱しました。
3つの脳とは
本能を司る“爬虫類脳”
感情を司る“哺乳類脳”
理性を司る“人間脳”
この3つが刺激されることで人は行動するというものです。
“爬虫類脳”とは、考える前につい手が出てしまう生存欲求のことです。
“哺乳類脳”とは、愛情や喜び、逆に怒りや恐怖などからくる情動的欲求のことです。
“人間脳”とは、論理的に考え、納得することです。
実はこの話し、以前にも紹介していますので、覚えている人もいるかもしれません。
けっこう重要な視点ですので、これを機会に覚えてしまってください。
思い出してもらうために、以前紹介した例で説明します。
例えば、高級時計を買いたいとしましょう。
高級時計を選ぶ基準は、頑丈でキズもつきにくい。200m潜っても壊れない。などのスペックだけで選ぶでしょうか?
ゴージャスでカッコいい!と直感的に感じる(爬虫類脳)
有名なブランドを持っていることでスゴイと言われたい。モテたい(哺乳類脳)
そして、高額を払うことに納得するため、「200m潜っても壊れないくらい頑丈だから10年以上使えて結果的には得だ」と考える(人間脳)
このように3ステップに分けることができます。
先にお話しした“無いものねだり”の部分が、3ステップ目の“人間脳”にアプローチする部分なのです。
例えば、スマートウォッチを提供したいとしましょう。
そのスマートウォッチを見た人が、
最新機能を搭載したカッコいいスマートウォッチだな(爬虫類脳)
今ならヘルスケアサポートサービスも無料で付いてお得だ!(哺乳類脳)
でも知らないメーカーだけど大丈夫かな?(人間脳)
このように後発だと最後の人間脳で不利になってしまう可能性があります。
先程の高級時計なら「水深200m防水」が人間脳にアプローチするために用意されたものです。
高級時計を選ぶ大半の人は200mも潜ることはないと思いませんか!?
頑丈さをわかりやすくするために200mとしているのです。
実際は50mだって十分な機能なわけですが、「50m防水」と書かれると微妙ですね。
逆に「1,000m防水」と書かれたら、実際にそうだとしても怪しくなってきます。
人が意識できる、適切な落とし所が200mなのです。
このように、人間脳(理性)を納得させてあげるものを用意すればよいのです。
損失を明確にして行動しやすくする
高級時計のように機能を追加するだけでなく、他にも方法はあります。
効果的な手法の一つが“選ばなかったときの損失を明確にすること”です。
例えば、新たにダイエットサービスを提供するとしましょう。
今話題のダイエット方法で、途中脱落を防止してくれるサポートが特徴だとします。
今購入すると、夏までにシェイプアップできると素敵な水着がもらえる特典が付きます。
ここで大きな実績を言えれば人間脳(理性)も納得ですが、まだありません。
そこで、このダイエットに取り組まなかったことの損失を伝えます。
夏までの期間は長くないこと。
夏までに痩せられないと海に行けないどころか、薄着もできないこと。
ただ痩せるだけでなく、見せられる体を手に入れないと意味がないこと。
海に行ったら一番したいことは何か?それが出来なくてもよいのか!?
このようなことを(追い詰めないように!)伝えていきます。
目的は人間脳を納得させることです。
ご自身のビジネス、3つの脳へのアプローチが入るように考えてみてください。
社内提案でも活かせる3つの脳へのアプローチ
5月10日に開催したセミナーでお伝えしましたが、今まで新規ビジネスをやってきていない企業、はじめてヘルスケアビジネスにチャレンジする企業において、「社内を通しやすい企画」と「実際の市場で受け入れられる企画」は違います!
我々がお手伝いする企業でも、市場の実態を知れば知るほど、このことに悩んでいる企業担当者は多いです。
実態があまりわからない決裁者からすると、今までの自身の経験と一般的に知ることができる情報で判断します。
でも担当者は知識を深めていくと「一般的情報」からは見えない事実を知ります。
担当者が知った情報をいきなり伝えられても、決裁者は判断に困ります。
それこそ今まで拠り所にしていた経験や情報が「役立たない」と否定されたようで、簡単には受け入れられません。
そのようなことにならないためにも、決裁者への伝え方もステップが必要になります。
本来目指すところは決裁者も担当者も同じです。
ですので後は伝え方なのです!
「社内を通しやすい要素」と「市場で受け入れられる要素」を押さえた上で、3つの脳に当てはめて表現してみてください。
きっと伝わり方が変わってきます。
新規企画を社内で通す・市場で伸ばす方法を知る!
まずは決裁者の視点、市場が求める視点を知らなければ、先に進むことができませんね。
決裁者の視点、市場が求める視点を、短時間でイメージしていただけるセミナーをご用意しました。
5月10日にも同内容で開催しましたが、参加者の方からは「注力しなければならないこと」がイメージできたとコメントいただいています。
ぜひお時間を調整してご参加ください。
<<ヘルスケア新規企画を社内で通す・市場で伸ばす方法>>
少人数制 オンライン無料セミナー
日時:6月2日(木) 受付15:45/セミナー16:00-17:15
会場:Zoomミーティング
定員:7名(満席になり次第締め切り)
新規ビジネスで社内を通し、さらに市場で伸ばしていくためには、どうしていく必要があるのか?
決裁者、ユーザーそれぞれの視点の違いを整理してお伝えします。
具体的にイメージできるよう、事例を踏まえながら紹介していきます。
今回はより深めていただくため、参加者皆さんの質問に回答していきますので、少人数セミナーとします。
詳細・お申込みはコチラ
https://healthbizwatch.com/seminar/hbw-040
健康ビジネスキーワード
「行ったようにしかならないのが新事業」
考え、企画した通りに、絶対ならないのが新事業です。
これは、新事業開発のお手伝いを長年させていただき分かったことの一つです。
ではどうなるのか?
小さな失敗を多く経験することで学んだことの改善と磨きを愚直に行った通りになっていくということです。
この時点で多くの事業は初期発想から離れたポジションに立っている場合が半分以上です。
あなたの想像を超えた心の動きをするのが顧客の常です。
これも新事業と同じで、具体的な対話(行動)無くしてその把握は不可能です。
貴社は新事業にどうアプローチしていますか?
今週の注目記事クリップ
[1]CureApp、高血圧症治療において医師と患者を支援するアプリ 世界初の薬事承認取得
https://cureapp.blogspot.com/2022/04/blog-post_27.html
本アプリは、患者さんごとに個別化された治療ガイダンスをスマートフォンを介して直接提供する。医師と患者さんを支援するアプリのソフトウェア単体での薬事承認取得は国内初、高血圧症対象では世界初となる。(2022/04/27)
[2]東京大学大学院、高齢日本の20年後:認知症患者は減るが、格差拡大・フレイル合併で介護費増
https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/press.html#20220427
60歳以上の認知症とフレイル(虚弱)の有病率と医療介護費について2043年までの将来推計を明らかにした。20年後の日本では人口高齢化にもかかわらず認知症患者の総数は減るという予測を世界で初めて発表。(2022/04/27)
[3]ミクシィ、お医者さんを自宅に呼べる往診アプリ「みてねコールドクター」誕生
https://mixi.co.jp/news/2022/0427/7783/
「みてねコールドクター」は、最短30分で自宅に医師を呼ぶことができる、健康保険が適用可能な夜間・休日の往診アプリ。24時間365日対応のオンライン診療や医療相談も提供。(2022/04/27)
[4]ネクストミーツ、異例の値下げで代替肉商品の取り扱い店舗が約270店舗増加!気候変動対策の大きな一手に
https://www.nextmeats.co.jp/news/oeom_t9evsii
同社は主力商品4つの卸売価格の引き下げを行ない、これにより全国の小売店での取り扱いが拡大。取り扱い店舗数の拡大は顕著で、値下げ前の今年3月と比べると約270店舗増加、前年同月(21年4月)との比較では約475店舗増加。(2022/04/27)
[5]ベネクス、多様な筋トレ環境でコロナ禍での運動不足を解消しよう
https://www.venex-j.co.jp/info/2022/04/20220428-01.html
10万人調査による「スポーツ・サステナビリティ白書2022」Vol.2。今回は、筋トレの行動率と疲労・休養状況の関係性について分析。筋トレを行う人が最も多い世代は男性が20代で27.4%、女性は70代14.4%。(2022/04/28)
[6]BEACHTOWN、日比谷公園内に会員制アウトドアフィットネス「BEACHTOWN 日比谷公園」をプロデュース&運営(2022年6月1日OPEN)
http://beachtown.co.jp/news/2022/1728/
日比谷公園に、公園の森を臨む開放的なインドアスタジオでのヨガをはじめ、公園内ヨガ、山・川・海でのスポーツといった「アウトドアフィットネス」をワンストップで楽しめる新たなスポーツコミュニティが誕生。(2022/04/28)
[7]シード・プランニング、市場調査レポート:メンタルヘルスアプリの現状と将来展望
http://www.seedplanning.co.jp/press/2022/2022042801.html
国内外の主要なメンタルヘルスアプリ約160種を調査。様々な企業の声と情報を集め、現在とこれからのメンタルヘルスアプリ市場を俯瞰する。海外の事例(13事例)、国内事例(5事例)を詳細に掲載、など。(2022/04/28)
[8]メディロム、世界初 24時間365日充電不要の活動量計「MOTHER Bracelet」数量限定で先行予約開始
https://medirom.co.jp/news/20220502/388
MOTHER Braceletは、歩数・睡眠量・消費カロリー・心拍数・体表温の5項目を1台で測定、記録。「温度差発電」技術と太陽光発電を採用することで、無充電が可能に。(2022/05/02)
[9]クラブビジネスジャパン、フィットネスをベースにしたニュービジネスを創造する「西根塾」開講
https://business.fitnessclub.jp/articles/-/1006
フィットネスをベースに足し算、引き算、掛け算、割り算しながらニュービジネス(新事業体)を創り上げ、フィットネス業界に広くそれを告知していく講座をリアル開催。講師は株式会社ヘルスケア・ビジネスナレッジ代表取締役 西根英一氏。(2022/05/02)
[10]日立製作所など、「ニューノーマルな働き方協創コミュニティ」活動レポートを公開
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2022/05/0509.html
「ニューノーマルな働き方協創コミュニティ」は、2020年10月から2022年3月まで1年半の活動期間で議論してきた内容を活動レポートとして公開。人的資本経営を見据え、一人ひとりが自らの価値を高め活躍し続けられる働き方を議論。(2022/05/09)
[11]クラブツーリズム、地域や企業との協業で新たなサイクリング市場を開拓ー国土交通省が推進するサイクルツーリズム、ツアー需要が拡大ー【PDF】
https://www.club-tourism.co.jp/jpn/wp/media/2022/05/%E3%80%90FNL%E3%80%91press22-13.pdf
https://www.club-tourism.co.jp/
サイクリングツアーの人気を受け、ツアーのエリアを拡大し商品ラインナップを拡充。人気の「しまなみ海道」での夏季の新商品や、紅葉の京都を渋滞しらずで楽しむ企画など新提案。(2022/05/09)
[12]asken、昼食の野菜不足と夕食の高脂質な食事が高血圧と関連
https://www.asken.inc/news/2022/5/10/-frontiers-in-nutrition
早稲田大学時間栄養学研究室との共同研究において、食事のナトリウム、カリウム、脂質の摂取量と血圧との関連性について調査。その結果、昼食の高カリウム・高食物繊維摂取が高血圧の抑制と、夕食の高脂質摂取が高血圧の促進と関連することが明らかになった。(2022/05/10)
[13]オムロン ヘルスケア、長期ビジョン「Going for ZERO 予防医療で世界を健康に」を発表
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2022/0510.html
3つのゼロ「脳・心血管疾患イベントゼロ」「呼吸器疾患増悪ゼロ」「慢性痛による日常活動制限ゼロ」の実現に挑戦。(2022/05/10)
[14]DAIZ、全国農業協同組合連合会と業務提携を締結
https://www.daiz.inc/news/2227/
本提携により、国産大豆の安定的な仕入れルートの確保が可能となり、また100%プラントベースフードのみならず、食肉とのハーフ&ハーフ商品などの開発において協業に取り組んでいく。(2022/05/10)
[15]ウェルネス総合研究所、「ウェルネストレンド白書 Vol.2」発刊
https://wellness-lab.org/news/%e3%80%90%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%80%91%e3%80%8e%e3%82%a6%e3%82%a7%e3%83%ab%e3%83%8d%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%ac%e3%83%b3%e3%83%89%e7%99%bd%e6%9b%b8%e3%80%80vol-2%e3%80%8f%e7%99%ba/
20代-70代男女、4,600名の生活者の健康・ウェルネスに関する意識と行動分析に基づき、今後予測されるヘルス・トレンドシナリオを洞察した調査レポート。監修は株式会社グローバルニュートリショングループ代表取締役/一般社団法人ウェルネス総合研究所理事の武田猛氏。(2022/05/10)
[16]SURL、女性専用&子連れOKのパーソナルジム「#サラトレ 池尻大橋本店」がグランドオープン!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000083857.html
「#サラトレ」では、女性の運動習慣者を増やすべく、若年層の女性が運動習慣をつくる上で弊害となりやすい「時間」「お金」「場所」「環境」などの問題を解決した持続的で通い続けやすいパーソナルジムを提供。(2022/05/10)
[17]エキスプレススポーツ、法人向けサービス「いえフィット for BIZ」を提供開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000074594.html
「いえフィット for BIZ」は、個人向けに多彩なライブレッスンを提供している「いえフィット」が、健康経営の一環として従業員の健康づくりに悩む全国の法人に向けて提供するサービス。(2022/05/10)
[18]クオリティライフサービス、時間栄養学にもとづく「対象別・効果の出る栄養指導講座(A・B・C講座)」(講座録画視聴)2022年度 第1期募集
https://www.qls.co.jp/honbukoza/index3.html
A講座:食事を減らさずに効果的に内臓脂肪を減らす食事と運動、B講座:女性ホルモンの変化に対応した年代別の食事と暮らし方、C講座:食生活とメンタルの関係を理解し心身の健康度を上げる食事と暮らし方(各講座約2時間30分)。
[19]Google、スマートウオッチに参入(日本経済新聞より)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN11EIK0R10C22A5000000/?fbclid=IwAR1_EQ6BZX_WxMmapco_xxT3kXyzGjlT7V4ypCmSnl3oglbIkg-FY2bVvXI
開発者会議「グーグルI/O」で発表。Pixel Watchは同社が開発し、韓国サムスン電子などで採用実績のある基本ソフト(OS)「Wear OS」を搭載。21年に買収したウエアラブル機器メーカー、米フィットビットの技術も活用する。(2022/05/12)
[20]『mHealth Watch』注目ニュース:Withings、新たにリモート患者モニタリングプログラム『WithingsRPM』を発表
https://mhealthwatch.jp/global/news20220516
『WithingsRPM』は、体重計、腕時計、体温計、血圧計などWithingsのコネクテッド・デバイスによって、心拍数、活動量、血圧、睡眠パターンなどの患者データをモニタリングする。(2022/05/16)