こんにちは、渡辺武友です。
国内外のデジタルヘルス・ニュースをクリッピングするmHealth Watchでは、今年前半も多くの「デジタルヘルス」を取り上げてきました。
中でも、デジタルヘルスの利用率アップに向けて必要な要素とは何か?
「注目ニュース」を振り返りながらチェックしていきます!

特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編

デジタルヘルスにおける利用率アップに必要な要素

ここ10年を見ても毎月かなりの数のデジタルヘルスアイテムが登場しています。
毎日更新しているオンラインメディア「mHealth Watch」でも掲載しきれない量です!

では、すべてのデジタルヘルスアイテムが生き残り、収益化できるか?と言えば、そんなことないのが実態です。

今回は、デジタルヘルスアイテムを収益化するために必要な「利用率アップ」の視点で、今年前半にmHealth Watchで取り上げた「注目ニュース」からピックアップしてみたいと思います。

DTxの撤退増加の背景

●デジタルヘルスの導入にヘルスケアプロバイダーが必要とするもの(5月15日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20230515-2

話題となってきたデジタル処方薬であるデジタルセラピューティクス(以下DTx)ですが、この1年で撤退する企業が増加しました。
その理由を取り上げたのが上記インタビュー記事です。

DTxの利用が伸びない要因は2つです。
1つは「医療従事者」、もう1つは「患者」が積極的に利用してくれないためです。

導入においては「医療従事者」が大きな役割となりますが、「患者」がたとえ使い始めても、継続利用してもらえる仕組みが足りていないことが課題です。


●Nox Health、Pear Therapeuticsの資産に390万ドルの入札について(6月12日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20230612

撤退が続くDTx第1世代に対し、継続支援に注力したDTx第2世代は保険市場を中心に導入が伸びています。
今後世代交代となっていくことでしょう。

Nox Health は、すでにFDAから認可されているDTx第1世代の価値を活かしたアプローチを検討しています。
それは、DTx第2世代に備わる、「医療従事者」「患者」に対し、導入しやすい環境を整備し、継続ドライバを組み込むこととなります。

デジタルヘルス利用率アップのヒント

●脳の健康度に基づいた、日本初の『金融商品適合性チェック支援AIアプリ』を開発、三菱UFJ信託銀行にてパイロット運用を開始(3月20日掲載)
https://mhealthwatch.jp/japan/news20230320

デジタルヘルス利用率アップに欠かせないのは、

・計測で終わらない、課題解決となるソリューション提供
・利用者が使い続けたくなる継続ドライバの導入

この2つをどのようなニーズに、どのように組み込むかが勝敗を分けます。

上記記事で紹介されているのは、BtoBでの利用を目的に開発されました。
BtoBと言っても、病院や企業従業員の健康支援ではなく、金融機関のスタッフにユーザーの状態、ヘルスデータを活用した支援となります。
デジタルヘルス利用率アップの要素が備わったものとなっていると言えるでしょう。


●目標について話す頻度が高いほど目標に向けて行動を起こしていることが明らかに(4月17日掲載)
https://mhealthwatch.jp/japan/news20230417

デジタルヘルスにおけるソリューションでは、ソリューションの内容に目がいきがちです。
しかし、どんな優れたソリューションも、日々実行できてはじめて効果を発揮します。
「日々実行」するための指針がないと、何のために行動しているのかを見失い、脱落しやすくなります。

そこで重要になるのが目標です。
そしてヘルスケア特有の「目標のすり替わり」が次の課題となります。
この記事では、目標の位置づけ、目標のすり替わりについて解説します。


●「会話へのAI利用」がもたらす影響(4月24日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20230424-2

デジタルヘルスにおける利用率アップには、コミュニケーションが重要な役割となります。
そのためにAI活用は、今後益々増加していくでしょう。

ただし、デジタルヘルスでのAIの活用には、AIが適した場面、そうでない場面があります。
この記事では、人とのコミュニケーションとAIのコミュニケーションの違いについて解説します。

デジタルヘルス覇者の条件

デジタルがどれだけ発展しても、改善のために健康行動を行うのが対象者本人である限り、提供するデジタルヘルスアイテムを使い続けて貰わなければ結果には結びつきません。

「継続促進を征する者がデジタルヘルスにおける覇者」

とまで言ってしまっても過言ではないのではないでしょうか!?

今回取り上げた記事では、ヘルスケアと直接関係ない記事も題材にしています。
ヘルスケアに関わらず、デジタル活用におけるビジネスでは、デジタルヘルス利用率アップとして紹介した

・計測で終わらない、課題解決となるソリューション提供
・利用者が使い続けたくなる継続ドライバの導入

この2つのポイントは重要なファクターとなっています。
ヘルスケア以外のデジタル活用したビジネスを、改めて分析してみると気づきも多くあります。

継続ドライバに注力した実証実験の結果

今回ピックアップしたニュースからも、

デジタルヘルスにおいて
「利用者が使い続けたくなる継続ドライバの導入」

が必要なことはイメージしていただいたと思います。

その具体策として、NTT西日本の未来共創プログラム「Future-Build」にて、糖尿病予備群に向けて、継続ドライバを活用したデジタルヘルスに改善支援となる実証実験を行いました。

継続ドライバの取り組みは、今までヘルスビズウォッチで紹介してきた、成功企業の要素をふんだんに取り入れたものになっています。

実証実験結果をまとめましたので、ぜひご覧ください。
https://healthbizwatch.com/future-build

健康ビジネスキーワード

カルチャー再構築の向こうに

カルチャーとはその組織の文化・企業風土のこと。
その組織に漂う空気感のようなもので見えないけど極めて強力な圧を持っている。
多くの場合、特に大企業ではアンタッチャブル領域といってもいいかもしれない。

そこをこじ開ける勇気を持てるか?
そこに問題があることを明言できるか?
そこを変えることがもたらす可能性を語れるか?

圧に負けず変えていく行動を持続できるか?

空気による思考停止をいかに防ぐか?
当事者意識をどれだけリアルに巻き込むことができるか?

今後の組織はカルチャーを進化させていく集団のことなのだと思うのです。
言うは易く行うは難しです。

今週の注目記事クリップ

[1]コナミスポーツ、「デジタルノート成人水泳教室」9月からコナミスポーツクラブ36施設でスタート
https://www.konami.com/sportsclub/corporate/topics/2023/07/03/
IT技術を駆使した大人向けスクール「デジタルノート成人水泳教室」は、「運動塾デジタルノート」を大人向けのプログラムにカスタマイズ。泳ぎの可視化による、分かりやすい水泳教室を目指しています。(2023/07/03)

+++★追加解説動画:8分33秒(編集主幹 大川耕平)★+++
TECHアプローチがもたらすスポーツビジネス進化の事例です!
https://youtu.be/SthRmsF4hDY

[2]今後伸びるヘルスケアマーケティングは?「トレンドマップ2023」から読み解く(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/trend-230628-1
マーケティングメディアの日経クロストレンド(日経BP)は「今後伸びるビジネス」をあらわした「トレンドマップ2023上半期」を発表。今回は88のキーワードを調査。本稿では、同社が発表したうち「マーケティング」分野に注目。(2023/06/28)

[3]ゼロワンブースター、サラダのかわりに飲む緑茶「ALL GREEN」がMakuakeで目標金額の500%超を達成!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000525.000016550.html
Makuakeプロジェクト開始からわずか50分で目標達成!上質なシングルオリジン・ティーの栄養を丸ごと美味しく補給できる新しい健康習慣。7月中旬、一般販売を開始します。(2023/06/28)

[4]日本総合研究所、経済産業省「令和5年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業(ヘルスケアビジネス創出推進等事業)地域ヘルスケアビジネス水平展開等推進事業」ー採択候補結果の公表についてー
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=105543
応募のありました提案内容について、外部の有識者等による評価委員会において厳正な審査を行った結果、4件の企業・団体による事業が採択候補事業として選定されましたので、お知らせします。(2023/06/29)

[5]LEVEL1、全身7つの主要筋肉のトレーニングがおうちで手軽に!AI専属トレーナー付きホームジムがMakuakeにて日本初公開「GYM PAL」(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000049342.html
GYM PALとは、ジムのほとんどの器具を再現し、これ1台で全身のトレーニングが可能な、AI専属コーチ付きパーソナルトレーニングジムです。(2023/06/29)

[6]オムロンなど、業界を超えた健康経営の実践に取り組む148社・団体が集結「健康経営アライアンス」が本格始動
https://www.omron.com/jp/ja/news/2023/06/c0630.html
健康経営アライアンスでは、業界・業種・企業の枠を超え、企業間はもちろんのこと、省庁や学術機関などとも連携して、健康経営の実践とソリューションの開発・実装をリードすることで日本を“元気”にしていくことを宣言します。(2023/06/30)

[7]日本フェムテック協会、フェムテック製品・サービスを取り入れる“きっかけ”を創造する『Femtech Brand(フェムテック銘柄)』(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000083342.html
第1回Femtech Brand商品として、日本製紙グループの日本製紙クレシア株式会社の『ポイズ(R) さらさら素肌 パンティライナー』を認定。(2023/06/30)

[8]活躍し続けられるインストラクターに必要な資格と考え方(Fitness Businessより)
https://business.fitnessclub.jp/articles/-/1695
社会におけるフィットネスの在り方が多様化する中、活躍し続けられるトレーナーやインストラクターとは。最新の動向と必要な資格・考え方を業界のリーディングカンパニーに訊いた。(2023/07/03)

[9]オムロン ヘルスケア、ヘルスケア事業の歩みをまとめたデジタル社史を公開
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2023/0703.html
2003年にオムロン株式会社より分社し「オムロン ヘルスケア株式会社」を創立してから2023年7月1日で20周年を迎えました。また今年は血圧計の第1号機を発売してから50年目にもあたります。(2023/07/03)

[10]グローバルニュートリション、味の素(株)、東京大学と社会連携講座「栄養疫学・行動栄養学講座」を開設、ほか
https://global-nutrition.co.jp/gngnl/gng-newsletter-20230703/
GNGニューズレター7月3日号。この記事では、会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。(2023/07/03)

[11]NeU、安全運転を目的とした「運転脳トレ」サービスを西日本鉄道株式会社へ提供開始
https://neu-brains.co.jp/information/press/2023/07/04/2843.html
「運転脳トレ」を通じて認知機能を鍛えることによって、ドライバーの運転技術の向上はもちろん、バスサービス全体の円滑な運行やお客様視点の運行にも寄与することができると考えています。(2023/07/04)

[12]矢野経済研究所、ワッツセミナーvol.158:コロナ禍をひとつのきっかけに美容を意識する男性が増加!注目を集めるメンズビューティーマーケット
https://www.yano.co.jp/seminar/whats/2023/0728_2.html
開催日は2023年7月28日(金)。今回はメンズビューティーマーケットの概況から近年の国内市場の動向や展望を解説していく。

[13]Google CloudとMayo Clinic、生成AIによる医療業界の変革に向け提携
https://mhealthwatch.jp/global/news20230628
まずは、「Generative AI App Builder」ツールの「Enterprise Search」によって、ヘルスケア業界のワークフローを強化することを目指して協力するという。(2023/06/28)

[14]『mHealth Watch』注目ニュース:Clvi、「ラテンアメリカのLivongo」を目指す
https://mhealthwatch.jp/global/news20230710-3
デジタルヘルスを活用して生活習慣病に貢献する支援ビジネスは、患者が自発的に健康行動できるようにできるかが最も重要になります。その代表的企業がLivongo Healthです。(2023/07/10)