[海外事例にみる継続支援アプローチ編]今年前半を振り返る、「行動継続を促すアイデアを出すための3つの視点」
こんにちは。脇本和洋です。
2023年も半分が過ぎましたね。
1月から6月の本編では、サービスの継続利用を高めるアイデアがグンと広がるよう、3つの視点でお届けしました。
今号はそれを振り返ってみましょう。
特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編
本編は、ヘルスケアサービスの継続利用を促すアイデアを出す際の「即戦力ヒント」を様々な角度でお伝えしています。
今年前半は以下の3つの視点でお届けしました。
1)海外ヘルスケアサービストレンド
(医療保険業界、メンタルヘルスサービス、ヘルスコーチング)
2)海外事例をヒントにする際に覚えておいていただきたいこと
(日米の違い、継続ドライバという本質要素)
3)神は細部に宿る、「行動継続を促す工夫」を知る方法
今号ではこれらのポイントを振り返ります。
1)海外ヘルスケアサービストレンド
(医療保険業界、メンタルヘルスサービス、ヘルスコーチング)
■医療保険業界の継続支援サービスはどこに向かう?
米国のヘルスケア(予防)産業で最も注目している業界として、「医療保険業界」の行動継続支援サービスについて紹介しました。
動向を簡潔にまとめると、
- インセンティブ(報酬)
- データ共有によるアドバイス
だけでなく、
- ヘルスコーチングサービスを加える
- エンターテイメント性を加える
というものでした。
医療保険会社は、自社の医療費抑制のために健康行動の継続には力を入れています。
その中で今成果を出している動向なので、おさえておいてください。
※参考本編(4月)>なぜ米国の医療保険会社のサービスに注目するのか?
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1034
■ヘルスコーチングサービスは本物か?
医療保険業界で主流になっているヘルスコーチングサービス。
日本ではまだ聞きなれないが、一体どんな歴史があるサービスか。それを紐解きました。
米国での歴史を簡単にまとめると、
- 2005年にヘルスコーチングサービスが開始され体系化が始まる
- 2006年に大手食品会社Medifastが電話での無料ヘルスコーチングサービスを開始したところ、7年後の2013年には売上が導入前の8倍に達した
- この成功をヘルスケア業界の企業が注目した。当然医療保険業界も成果を出せる手法として注目し、2021年では大手医療保険会社10社中8社がヘルスコーチングサービスを提供するまでになった
日本でも導入され始めているヘルスコーチングという手法。
キーワードとしておさえておいてほしいです。
※参考本編(3月)>米国で主流になってきたヘルスコーチングサービス
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1030
2)海外事例をヒントにする際に覚えておいていただきたいこと
(日米の違い、継続ドライバという本質要素)
■海外事例はそのまま使うと危険!
多くの読者の方は、ヘルスケアサービスの先端をいく米国事例を参考にアイデアを出している場合が多いでしょう。
ただ、そのままマネして本当にいいか?その点をクリアにするため、3つの注意点を紹介しました。
- 健康意識の差を考慮する
- 文化の違いを考慮する
- 地理的違いを考慮する
これらの注意点がわかれば、日本で応用する際のポイントが自然に見えてくるはずです。
「この海外事例おもしろい!」と思ったらすぐにマネするのでなく、3つの注意点で確認してみてアイデアの有効性を高めてください。
※参考本編(1月)>米国事例をヒントに発想する際の3つの注意点
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1022
■効率的にアイデアを出す切り口はココにあった!
一つ一つの海外事例を見ることは大切ですが、それらに共通する「継続利用を高める切り口」を最初に知っておけば、アイデア出しはもっと楽になります。
その切り口として「継続ドライバ」を紹介しました。
- インセンティブ、ヘルスナレッジ、モニタリング、IoTリンケージ
- ゲーミフィケーション、ヘルスコミュニケーション、パーソナライズ、コミュニティ
それぞれのドライバは簡単に言うとどういうことか?そんなお話をしました。
※参考本編(5月)>行動継続を促すアイデア出しには、どんな切り口を使うとよいか?
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1038
3)神は細部に宿る、「行動継続を促す工夫」を知る方法
■神は細部に宿る
成功事例は、表からは見えにくい「サービス利用を高める工夫」をしています。
つまり細かい部分にこだわり抜いているのです。
そのこだわりがわかれば、精度高いアイデア、競争に勝てるアイデアに結び付きますよね。
でもそれを知るには、調査にコツが必要です。
そのコツを「行動継続を促す工夫を知る4つの方法」と題し紹介しました。
- CEOインタビューを見る
- 自ら体験する
- 利用者インタビューを見る
- 理論を頭に入れて見る
詳細を知りたい海外事例がある場合、まずこの方法を実践してみて下さい。
※参考本編(6月)>「行動継続を促す工夫」を知る4つの方法
https://healthbizwatch.com/column/hbw-1042
「海外事例を知ること」と「アイデアを出すこと」を直結させるために
今年前半は、
・一歩先を行く「海外事例やトレンド」
・それらを知った上で「アイデアを出す即戦力ヒント」
これらを意識して本編をお届けしました。
いかがでしたでしょうか。
今やネット上で簡単に海外事例を集めることができるようになりました。
事例を知っているだけでは、社内で紹介してもインパクトは低いでしょう。
・海外と国内を比較し、トレンドでわかるようにする
・アイデアを出しやすくするため、様々な事例を分析し「切り口」を用意する
これらは、24年にわたってヘルスケアサービスを見てきている私たちスポルツだからこそできることでもあります。
今年後半もこの視点にこだわって紹介していきます。 【脇本和洋】
お知らせ
■ヘルスビズウォッチ・レポートを発刊しています
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
https://healthbizwatch.com/seminar/report001
- 上記3)の「神は細部に宿る、海外事例の行動継続を促す工夫を知る方法」を実際に使って先行事例を調査したもの。
- ヘルスケアの有名企業/大手企業の方からレポート活用の声として「アイデア出しに効果があった」といったコメントが寄せられており、それを紹介しています。
- 特典の解説音声は私が担当しました。
健康ビジネスキーワード
インサイト
インサイトって何だろう?
よく比較されるのがニーズとの違い。
ニーズとはみんなが知っている分かりやすい問題。
それはアンケートなどで知ることが可能とされている。
しかし、顧客アンケートからヒット商品は決して生まれない。
単純なニーズアプローチでは顧客は動かないということ。
インサイトとは人を動かす隠れた心理のこと。
インサイトを刺激するアイデアの提供で、はじめて顧客が行動してくれる。
表面的なニーズではない、顧客も気づいていないインサイトを探そう。
今週の注目記事クリップ
[1]味の素、新規事業創出プログラム「A-STARTERS」第1号案件|女性のセルフケアのためのプロダクト&コミュニティサービス「LaboMe(R)」提供開始
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2023_07_10_02.html
「LaboMe(R)」は、“Selfcare for Selflove”をビジョンに掲げ、自分らしい心とからだで生きるためのセルフケアの探索・共有をかなえるプロダクト&コミュニティサービス。(2023/07/10)
+++★追加解説動画:6分43秒(編集主幹 大川耕平)★+++
ウェルビーイング経済圏創りモデルケースの一つです!
https://youtu.be/KJGXhXsWmAw
[2]cotree、ポーラの産後ケアアプリ「mamaniere」とオンラインカウンセリングのcotreeが連携
https://cotree.co/posts/mamaniere
産後の生活を健康でより楽しく過ごすためのサポートの一環として、オンラインカウンセリングを気軽に利用していただけるよう今回の連携に至りました。(2023/07/05)
[3]電通、ヘルスケア領域において生活者の属性や、性格、価値観から健康意識/健康行動を予測するアルゴリズム「actibit」を開発
https://www.dentsu.co.jp/news/business/2023/0706-010625.html
生活者が自身の属性情報と性格、価値観についての簡単なアンケートに答えるだけで、電通の調査結果をもとにした独自データを根拠とする予測AIのアルゴリズムにより、食や運動などの健康意識/健康行動を予測します。(2023/07/06)
[4]東京理科大学、汗中イオン濃度をリアルタイムに測定できるウェアラブルデバイスを開発ー脱水症状や熱中症の早期発見に有用ー
https://www.tus.ac.jp/today/archive/20230706_2837.html
本研究成果をさらに発展させることにより、Tシャツやリストバンド、インソールなどに組み込むことができるようになれば、健康状態をリアルタイムでモニタリングできるさまざまな製品の実現が期待されます。(2023/07/06)
[5]広がるインクルーシブデザイン、ヘルスケア商品・サービス事例4選(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/marketing-case-230706-1
インクルーシブデザインとは、これまでビジネスの対象から除外されてきた人たちの視点やニーズに着目した製品・サービスを開発する手法で、ビジネスの次の一手として注目されている。(2023/07/06)
[6]ベースフード、食べ方・アレンジいろいろ!ふっくらまろやかパンが新登場「BASE BREAD リッチ」販売開始!
https://basefood.co.jp/news/1541
今回発売する「BASE BREAD リッチ」は、全粒粉をはじめとした自然由来の原材料に加えて、精白した小麦粉を配合することで、ふっくらまろやかな口あたりと、必要な栄養素をバランスよくとることの両立を実現。(2023/07/07)
[7]デロイトトーマツグループ、デロイト調査:退職希望の女性の4人に1人が、フレキシブルな働き方ができないことを理由に回答
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20230707.html
世界調査「Women @ Work 2023:A Global Outlook」の日本版を発表。約40%の女性が、生理や更年期による痛みや症状があっても休暇を取らずに働き続けており、約50%の女性が生理や更年期症状のための有給休暇を求めている。(2023/07/07)
[8]ニッセイ基礎研究所、平均寿命と長生きの年数-生命表をもとに長生きの年数について考えてみよう
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=75277?site=nli
基礎研REPORT(冊子版)7月号[vol.316]。日本の平均寿命は年々伸びている。「令和3年簡易生命表」(厚生労働省)によれば、平均寿命は男性81.47年、女性87.57年だ。今回は、この生命表をもとに長生きの年数について考えてみたい。(2023/07/07)
[9]WizWe、明治安田未来共創ファンドより資金調達を実施したことをお知らせいたします
https://wizwe.co.jp/news044/
明治安田未来共創ファンドからの出資を通じて、明治安田生命と協業し、保険と未病予防のための行動の習慣化を連動させた、新しい価値創造に取り組んでまいります。(2023/07/07)
[10]3年に1度の大規模調査「国民生活基礎調査2022」公表、健康・介護・世帯などの状況(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/news-women-230709-1
厚生労働省は今月4日、国民生活基礎調査(2022年)を公表した。3年に1度行われる大規模調査では、男女別・年齢別の「健康」「介護」「貯蓄」「貧困率」についても調べており、今回はその大規模調査の公表となる。(2023/07/07)
[11]PwC Japanグループ、ヘルスケア企業向け生成AIのPoC支援サービスの提供を開始
https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/generative-ai-for-healthcare-company230710.html
ヘルスケア企業を対象に、業界固有のニーズやリスクを考慮しつつ、生成AIの活用による既存ビジネス変革の可能性を検証するPoCを支援するサービス。(2023/07/10)
[12]東京都健康長寿医療センター研究所、自治体の健診で使われている「後期高齢者の質問票」はその12項目でフレイルの識別が可能
https://www.tmghig.jp/research/release/2023/0710.html
研究グループは、大阪大学らと共同研究で実施している「SONIC研究」で収集したデータを分析し、「後期高齢者の質問票」(15項目)に含まれる「フレイル関連12項目」について、健康リスクがあると考えられる回答が4項目以上あるとフレイルの可能性があることを明らかにしました。(2023/07/10)
[13]慶応義塾大学など、ブレイン・テック エビデンスブックを公開ーブレイン・テックに関する科学的な根拠をまとめた消費者・事業者向けハンドブックー
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2023/7/10/28-139304/
本エビデンスブックには、システマティックレビューという科学的手法に基づいて検証された、ブレイン・テックの有効性や安全性がまとめられています。(2023/07/10)
[14]東京理科大学、看護に求められる倫理概念をロボットやAIに実装できるのか?ー現状分析から実装の可能性を考察、看護におけるAI活用の倫理的課題を整理ー
https://www.tus.ac.jp/today/archive/20230706_1527.html
看護実践を行う上で重要視されている倫理的な概念をロボットや人工知能(AI)に実装できるかどうかについて、倫理学の観点から分析を行った。(2023/07/10)
[15]Apple、ウォッチを直接身体に貼り付けて計測を行える技術の特許を申請(iPhone Maniaより)
https://iphone-mania.jp/news-544548/
Apple Watchの本体またはその一部を胸部および/または脚部に固定し、心臓の活動をより正確にモニタリングできる新たな「パッチシステム」に関する特許を申請したことが明らかになりました。(2023/07/10)
[16]森永乳業×ファンケル、腸内ケアに特化したスペシャルコラボメニューを提供
https://www.morinagamilk.co.jp/release/newsentry-4258.html
腸から未来を変えていこう!「ビフィズス菌トレ」プロジェクトコラボ企画。7月14日(金)-8月10日(木)期間限定でファンケル直営レストラン「FANCL BROWN RICE MEALS(東京銀座)」で実施。(2023/07/11)
[17]Uber Health、食料品や店頭商品の配達を追加
https://mhealthwatch.jp/global/news20230705
Uber Eatsのシステムを利用することで、プロバイダーや支払者は、食料品や市販品を患者の自宅に直接配達することができる。(2023/07/05)
[18]研究:Lark Health、全米糖尿病予防プログラムで減量とコスト削減を実証
https://mhealthwatch.jp/global/news20230706
Lark Healthが提供する完全デジタル型のDPPは、AIコーチングとコネクテッドデバイスを用い、会員の2型糖尿病リスク低減を支援している。(2023/07/06)
[19]『mHealth Watch』注目ニュース:星天出版、『尊トレ 1ヵ月で2.5次元ボディ』発売前重版
https://mhealthwatch.jp/japan/news20230718-3
今回注目するのは、「推し活ダイエット」に関するニュースです。「推し活」とは、自分のイチオシを決めて応援する活動のことですが、その「推し活」と「ダイエット」がどう結びつくのかに興味を持ちました。(2023/07/18)
+++★デジタルヘルス解説動画(オーサー 渡辺武友)★+++
【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
デジタルヘルスのビジネスに関わる人に役立つ情報をお届けします。
第1回 「デジタルヘルスって何?」(7分53秒)
https://youtu.be/ygscm0BM12g
第2回 「デジタルヘルスで話しが噛み合わない理由」(4分25秒)
https://youtu.be/6L8-D2lWPc4