[海外事例にみる継続支援アプローチ編]WHOOPに見るサービスを組み合わせた販売方法
こんにちは。脇本和洋です。
本編では、ヘルスケアサービスの継続率を高めるためのヒントをお届けしています。
今回は、「デジタルヘルス×継続ドライバ」カオスマップ2023から海外事例「WHOOP」についてお話しします。
WHOOPは機器開発企業でありながら、サービスを組み合わせて新しい販売方法を採用する注目の事例です。
特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編
健康機器(モニタリング機器、診断測定、運動支援機器)は、購入当初はよく使われますが、その後は使われなくなるのが一般的です。
利用をやめる人が多いため、記録アプリなどのサービスがよく付随します。
ただ、サービスはあくまで付帯サービスであり、アピールはあまりされない場合が多いでしょう。
このような健康機器のサービスの一般的な捉え方と真逆の考え方を提案する会社が海外にはいくつかあります。
その一つが今回紹介する「WHOOP」です。
WHOOPは、サービスの継続率を高めるアイデア出しの参考になる事例をマップにした「デジタルヘルス×継続ドライバ」カオスマップ2023に掲載されている注目事例です。
https://healthbizwatch.com/news-045
【今回の目次】
1)WHOOPのサービスの考え方
2)WHOOPのサービス概要
3)WHOOPの特長
4)WHOOPという事例の見方(注意点)
1)WHOOPのサービスの考え方
WHOOPが販売するのはリカバリー度を測定できる機器ですが、
「アスリートのパフォーマンスを最大化する」というミッションにあるよう、
例えば、
・マラソンでさらに好記録を出したい
・ゴルフでさらに高スコアを出したい
といった、アスリート(プロ、一般含む)の願望を実現するサービスです。
測定機器は一つのサービス要素であり、あくまでこの願望を実現するのがWHOOPというサービスです。
そして、サービスの利用料は年額239ドル(測定機器を含むサービス全体)として設定されています。
同社にとってサービスは、ミッションを実現するためになくてはならないものであり、全面的にアピールしています。
2)WHOOPのサービス概要
・企業名:WHOOP
https://www.whoop.com/us/en/
・サービス開始:2012年
・資金調達額:約606億円
(2020年から2021年に約450億円を調達。1ドル150円換算)
・売上:約150億円(IncFactによる推定)
・サービス概要
アスリート向けに日々のリカバリー状態の測定に基づくチェックとソリューションサービスを提供する
・主なチェック
睡眠(量・質・負債)、リカバリー度(心拍変動を測定)などの測定記録ができるデバイス(デバイスは軽量、ストラップは多彩な色から選べる)を提供。
休息や追い込みタイミングがわかる。必要な睡眠時間がわかる
・主なソリューション
2020年から2021年に資金調達した約450億円を使って、特に強化していると予想される
<1>Whoop Coach:生成AIを活用した個別性の高いパーソナルコーチング(顧客のリカバリーデータ、WHOOPの独自アルゴリズム、最新のパフォーマンス研究などをChatGPTに学習させ、回答を作る)
<2>Habit tracking:食事やリカバリーの習慣記録に基づきリカバリーに効く方法を発見できるサービス。
野菜を意識した食事、ベッドでの読書、アロマをつけるなど140以上の行動や習慣を適宜追加できる。
パフォーマンスによい(悪い)影響を与える習慣がわかる
・費用:デバイスとサービスをセットにしたサブスクリプションで年額239ドル(1年契約の場合)
※デバイス単体では販売しない
※トライアルでは1か月無料(デバイスの返品送料は無料)
3)WHOOPの特長
WHOOPの特長は、リカバリー状態を日々可視化するだけでなく、Whoop CoachやHabit trackingを通じて一人ひとりに効果的な行動の定着を促し、パフォーマンス向上の効果を感じてもらうことにあります。
顧客の視点では、サービスがメインであり、測定機器はサブ的な要素であると考えられます。
4)WHOOPという事例の見方
確かに、WHOOPのビジネスには見どころがあります。
しかし、この事例をヒントに日本でアイデアを広げるには注意が必要です。
注意点1)
やる気のある米国のスポーツアスリート向けである
WHOOPの顧客はタイムアップしたい、スコアを伸ばしたいといったことを強く思っているアスリートです。
意識を高く保つための動機付けの要素は、そもそも本サービスには含んでいません。
ここは前提として考える必要があります。
注意点2)
新機能の生成AIは、どれだけ顧客のデータをもっているか次第
話題の生成AIを使ったアドバイスであっても、顧客データをよく学習しパーソナルな回答を提供できない場合、特にWHOOPの生成AIを使う必要はないでしょう。
無料で使えるChatGPTに直接聞けばよいからです。
顧客データの収集が中途半端な状況で、アドバイス全般を行う生成AI活用には注意が必要です。
カオスマップの他の事例も深く知りたいならを知っているへ
今回は、「デジタルヘルス×継続ドライバ」カオスマップ2023の中から、
新たな取り組みを行うWHOOPを紹介しました。
海外事例は、特長となる本質を見抜くことが必要であり、事例を深堀りしてから、
アイデア展開に役立てることが大切です。
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●【海外先行デジタルヘルスレポート】
健康行動の継続率を高めるノウハウ(2024年版)
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https://healthbizwatch.com/seminar/report002