[海外事例にみる継続支援アプローチ編]米国法人向けヘルスケアビジネスのプレイヤー直近動向
こんにちは。脇本和洋です。
今回は、前号に引き続き「米国の法人向けヘルスケアビジネス企業」に注目し、その直近動向をお伝えします。
特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編
経済産業省が2014年に健康経営銘柄を開始して10年が経ちました。
「健康経営優良法人2024」では、大規模法人部門に2,988法人、中小規模法人部門に16,733法人が認定され、その数は大きく増加しました。
それに比例して国内の健康経営市場は活性化していますが、競争も激しく、一歩先の価値を提供することが求められます。
そこで、本編では一歩先の価値を考える際のヒントとして、「米国の法人向けヘルスケアビジネスのプレイヤー直近動向」を2回に渡って紹介しています。
今回は、先行組にあたるWebMD Health Services(1996年設立、売上375億円)と、後発組のGrokker(2012年設立、売上38億円)について紹介します。
参考バックナンバー(前号)>
米国法人向けヘルスケアビジネスの主力プレイヤー直近動向(2024.10.15)
WebMD Health Servicesの直近動向:Weight Management Coachingを訴求
■企業名:WebMD Health Services
https://www.webmdhealthservices.com/
■売上:375億円(2023年度推定)
■企業概要
身体的健康、精神的健康、社会的健康、経済的健康といった切り口でのサービスを28年に渡って提供している。
■最新ブログ
同社のブログは毎週一度更新。法人企業の担当者向けに様々な切り口で記事を紹介している。
その中の一つとして、同社が提供しているウェイトマネジメントコーチングというサービスの記事が以下となる。
Feeling Healthy Is More Than a Number on the Scale(2024年9月)
(要約)
・タイトル:
日々充実していること、それが体重数値より大切だ
・内容:
同社のサービス「Positively Me Weight Management Coaching」は、参加者が減量し、生活のさまざまな面で気分が良くなるよう、全人的なアプローチを採用している。
WebMDヘルスコーチは、SMART目標設定、動機付け面接、社会認知理論など、さまざまなテクニックのトレーニングを受けており、参加者が目標を小さな実行可能なステップに分解して、簡単に達成できるように支援する。
■注目点
- このサービスは単に体重が減ることだけでなく、その先にある「なりたい姿(例えば、仕事の生産性を上げること、マラソンを走りたいなど)」を実現することに力を入れている。
- ヘルスコーチは体重が減ることの先にある「なりたい姿」を共有してコミットし、参加者に伴走していくことで、成果を実現している。
Grokkerの直近動向:生成AIを活用したエージェントサービス
■企業名:Grokker
https://www.grokker.com/
■売上:38億円(2023年度推定)
■企業概要
同社の設立は2012年。法人向けヘルスケアビジネスでは後発組と言ってよい。
企業向けに食事、運動、メンタルヘルス、睡眠、ファイナンシャルウェルビーイングに関わる多彩なビデオを提供。また社員同士のコミュニティサービスもある。
■直近プレスリリース
業界初ともされる新たなサービスをはじめた。
それが、福利厚生(健康施策含む)に関する質問に一発回答する生成AIを活用したエージェントサービス「GrokkyAi」。
(要約)
・タイトル:
福利厚生サービスを最大化するための会話型AIエージェントサービス
・内容:
米国の従業員の50%以上が雇用主の提供するプログラムの存在を認識していないといわれる。同社の新サービス「GrokkyAi」は、この課題を解決する。
従業員の固有のニーズに対して、生成AIを活用し、適切なプログラムやサービスを即座に紹介する。
■注目点
- 「GrokkyAi」の解説動画を見ると、福利厚生サービス(健康施策を含む)の様々なプログラムについて、従業員が探す手間がなく、会話型で聞き、即答が得られるという点が特長となっている。
- 福利厚生サービスを導入しても、従業員がその存在を知らない場合も多い。従業員の困りごとに対して、企業がすでに保有しているサービスの中から一発回答させるものと言ってもよい(生成AIを活用)。
競争激しい法人向けヘルスケアサービスで勝ち抜くには
今回紹介した法人向けヘルスケアサービスの直近動向はいかがでしたでしょうか。
WebMD Health Services(先行組)、Grokker(後発組)も競争を勝ち抜くために取り組みを加速させています。
では、日本の法人向けヘルスケアビジネスの競争を勝ち抜くために
- 米国の法人向けヘルスケアサービスにはどんなトレンドがあるか?
- そのサービスのトレンドは、日本にくるのか?
- 日本版では何がポイントになるか?
そこまで詳しく知りたい方もいらっしゃるでしょう。
これらに回答する機会として、現在セミナーを開催しています。
以下、参考になさってください。
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米国法人向けヘルスケアビジネスのニュートレンド解説セミナー(無料)
https://ex-pa.jp/item/55850
開催日時:
2024年11月27日(水)16:00~17:30
(セミナー、ディスカッション、名刺交換会)
定員:15名
開催場所:
東京都千代田区鍛冶町1-8-3 神田91ビル 2F
インフォーマ マーケッツ ジャパン 株式会社
健康ビジネスキーワード
「新サービスの切り口」
ヘルスケア領域での新サービスでありがちなのは、「経済合理性」を主軸に顧客へ健康提案をするというアプローチ。
経済合理性なら売れるという発想です。
このタイプなかなかものになりません(笑)
ではどうすればいいか?
売るという発想ではなく、お役に立つことを考え抜くことで可能性は広がります。
いかがですか?
買うべきだ!という提案は難しいことを確認しましょう。
今週の注目記事クリップ
+++★注目記事クリップ★+++
[1]TalkspaceとWisdo Healthが提携し、高齢者の孤独と戦う
https://mhealthwatch.jp/global/news20241108-2
この提携は、医療費を削減し、会員への関与を高めて、高齢者の間で蔓延している深刻化するメンタルヘルス危機に対処する。(2024/11/08)
[2]損保ジャパン、従業員の長期就業不能リスクを補償する保険にRIZAPの体験サービスを追加~「誰もがウェルビーイングを実感できる社会の実現」に向けた取組み~
https://www.rizapgroup.com/news/detail?topics_id=1217
本サービスは、団体長期障害所得補償保険の被保険者を対象として、RIZAPグループがSOMPOオリジナルプランとして「食事・運動アドバイス+パーソナルトレーニング体験」を無料で提供するものです。(2024/11/06)
[3]三菱商事と吉本興業ホールディングス、「笑い」を活用した事業共創に係る業務提携契約を締結
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/news/release/2024/0000054890.html
日本では超高齢社会の到来を見据え、認知症や脳の老化等の予防、ウェルビーイングの実現等が求められているなか、笑いが健康にもたらす効果が改めて注目されています。(2024/11/06)
[4]テックドクター、信州大学医学部と妊産婦のメンタルヘルス支援に向けた研究を開始
https://www.technology-doctor.com/news/AfUkRZVC
本研究では、ウェアラブルデバイスやアンケートから得られる長期データを解析し、産後うつ症状に関連する特徴量を算出します。これにより、産後うつの早期発見や予防を図り、妊産婦のメンタルヘルスケアに貢献することを目指します。(2024/11/06)
[5]R&G、[筋トレのモチベーションを上げる方法ランキング]男女500人アンケート調査(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000144554.html
筋トレのモチベーションを上げる方法1位は「理想の自分をイメージ(123人)」。「ダメな自分を想像する」など危機感をもってやる気を高める人よりは、よりよい自分をイメージしてやる気を高めている人が多いとわかりました。(2024/11/06)
[6][アンケート結果]多量飲酒者はコロナ禍を経て増えた?「職域でのアルコール健康障害対策および飲酒に関する保健指導の実態調査」(保健指導リソースガイドより)
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2024/013404.php
本調査では、特に現役世代と接することが多い、企業や健康保険組合に勤務する職域の保健指導専門職・医療従事者に、従業員や指導対象者の飲酒状況や指導の実態を詳細に伺いました。(2024/11/06)
[7]博報堂、100年生活者研究所とタカラトミーは、価値観が変わる中、前向きな100年人生の実現に向けた「100年人生ゲーム」を共同開発
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/112839/
「100年人生ゲーム」は幸福を点数化したウェルビーイングポイントを集め“幸せな100年人生”を疑似体験するゲーム。お金を集めて億万長者を目指す通常の人生ゲームとは異なり、幸福を点数化した「ウェルビーイングポイント(=ウェルポ)」を集める仕様です。(2024/11/07)
[8]パナソニック、[ビジネスパーソンの自己投資に関する意識調査]自己投資のNo.1は『健康』!富裕層は“タイパ”重視でリフレッシュ効率化
https://panasonic.jp/topics/2024/11/000000975.html
20~69歳のビジネスパーソンを対象に調査を実施。ビジネスパーソン、特に自己投資をしている富裕層は、仕事のパフォーマンス維持のために健康への自己投資が重要と考えつつも、「時間のなさ」から十分にできていない実態が明らかに。(2024/11/07)
[9]医療DX業界のカオスマップ2024年度版、診療効率化・web集患・電子カルテなど6カテゴリー62社(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/market-241107-3
医療機関向け採用支援事業のメディカルリンクが、医療業界のDXに関連するサービス・ツールをまとめた「2024年度 医療DX業界カオスマップ」を公開。(2024/11/07)
[10]Yume Cloud Japan、AI分析でストレスを30秒で高精度可視化を実現!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000024394.html
AI分析技術を活用して、脳疲労や自律神経のバランスを30秒で高精度に測定できる新機能を搭載したMindScaleをリリース。本リリースは、大手企業や自治体約40社団体の導入実績とフィードバックをもとに改善が進められたものです。(2024/11/11)
[11]笹川スポーツ財団と明治安田厚生事業団、国内初!“国民の身体活動量の実態”を把握する大規模調査の報告書を発刊【PDF】
https://www.ssf.or.jp/files/SSF_Release_20241112rr.pdf
https://www.ssf.or.jp/
厚生労働省が推奨する身体活動量の達成率は、運動・スポーツ実施者が69.1%で非実施者を上回る、など。(2024/11/12)
[12]千葉大学、高齢者の社会参加を促すアプリの効果を実証~2ヶ月間の社会参加頻度が約3回増加~
https://www.chiba-u.jp/news/research-collab/_23.html
本研究により、社会参加を促進するアプリが高齢者の社会参加、特に趣味や文化的活動への参加を促進する効果があることが示されました。これは、スマートフォンアプリが高齢者の社会参加を促す有効なツールの1つとなる可能性を示唆しています。(2024/11/12)
[13]広島大学、研究成果:心臓病患者の日常生活における身体活動パターンを解明~個別化された心臓リハビリテーションプログラムの重要性が明らかに~
https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/86899
本研究では、92人の日本人外来患者を対象に、加速度計を用いて日常生活における身体活動と座位行動を詳細に測定しました。その結果、患者は1日の大半を座位で過ごし、中強度以上の身体活動時間は非常に短いことが明らかになりました。(2024/11/12)
[14]『mHealth Watch』注目ニュース:「ザバス-食事記録とスポーツ」を開発
https://mhealthwatch.jp/japan/news20241118
今回注目したのは、明治が提供を始めたスポーツ競技者向けの食事管理アプリに関するニュースです。(2024/11/18)
+++★デジタルヘルス解説動画(解説:渡辺武友)★+++
【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
デジタルヘルスのビジネスに関わる人に役立つ情報をお届けします。
第46回 Amazon、ヘルスケア戦略の続報(7分16秒)
https://youtu.be/cCto7iTnBsw