[ヘルスコーチングの視線編]ヘルスコーチングの可能性を探る:ヘルスコーチングの成果指標とは?
こんにちは、里見です。
ヘルスケアサービスを提供する際には、目的や成果に合わせたKGI(キー ゴール インジケーター)や目標達成に向けたプロセスの進捗状況を定量的に評価するためのKPI(キー パフォーマンス インジケーター)などを成果指標として設定します。
今回は、ヘルスコーチングにおいてどのような項目が成果指標となるのか解説していきます。
特集:ヘルスコーチングの視線編
1、ヘルスケアサービスとしての成果指標
ヘルスケアサービスを提供する際、最終的には売上や利益が求められることが多いでしょう。
一部のヘルスケアサービスでは、社会貢献や健康寿命の延伸、医療費削減を目的に事業を展開しているケースもありますが、ビジネスとして提供する以上、売上や利益は外せない成果指標です。
そのような中で、ヘルスコーチングを活用する場合、単独でビジネスを展開することは少なく、多くは別の目的にヘルスコーチングを組み合わせて、継続支援を通じてビジネスを進めるケースが多いです。
そのため、ヘルスコーチング自体が直接的に売上や利益に関わるのではなく、間接的にそれらに貢献しているかどうかが成果指標となります。
今回お話しするヘルスコーチングの成果指標は、直接的に売上や利益につながるものではなく、利用者の行動変容や継続に影響し、結果として間接的に売上や利益に貢献するものとして位置づけられます。
具体的には、ヘルスコーチングを活用することで、対象者が健康や生活習慣の改善にどの程度進歩したかを評価する指標が重要になります。
2、ヘルスコーチングの成果指標
ヘルスコーチングの成果指標は、対象者が健康や生活習慣の改善に向けてどの程度の成果や変化があったかを評価するための具体的な項目です。
以下のような指標が挙げられます。
1)健診結果の変化、健康状態の変化、身体の変化
健康状態や身体の変化は、ヘルスコーチングの主要な成果指標であり、客観的な数値やデータで確認できます。
代表的な指標は以下の通りです。
・体重や体脂肪の減少
・健康診断データの改善(血圧や血糖値など)
・睡眠の質の向上
など
2)行動変容、生活習慣の改善
対象者の行動変容や生活習慣の改善が成果指標になります。
・運動習慣の定着
定期的な運動の実施、運動頻度、種類、持続時間、強度の変化が評価対象です。
・食事の質、食習慣の改善
食習慣の改善や栄養バランスの取れた食事の定着などが指標となります。
・生活活動の改善、向上
日常生活における活動量や内容の変化も成果指標として評価されます。
3)意識の向上
意識の変化は、健康的な生活習慣を継続する上で重要な要素です。
・自己効力感の向上
自己効力感とは、目標を達成できるという自信のことです。
対象者が自分で健康行動を実行できるようになる変化も成果指標となります。
・目標達成に対する満足度
目標に向けた過程で感じた変化や自己満足感も、モチベーション維持に影響するため重要な成果指標です。
4)対象者の主観的な感覚、感情
対象者がどのように感じているかも成果を評価する際に重要です。
ヘルスコーチングの効果は数字やデータだけでは捉えきれないため、感覚的・感情的な面からの情報も必要です。
5)長期的な行動変容
ヘルスコーチングの最終的なゴールは、対象者が長期間にわたり健康習慣を維持できるかどうかです。
サービスやプログラム終了後も健康的な生活を続けられるかが重要な成果指標になります。
これらの成果指標は、対象者の個別の目標やサービス、プログラムの目的に応じて組み合わせて評価されることが一般的です。
3、行動を続けていけそうな手応えや期待感も重要
「行動を続けていけそうな手応えや期待感」を感じることは、ヘルスコーチングにおいて非常に重要な成果指標の一つです。
前述した成果指標や項目は、主にサービスやプログラム期間中、もしくは終了時に焦点を当てたものです。
しかし、対象者が「このまま進めば自分は変わることができる」という期待感や手応えは、サービス終了後のモチベーション維持に大きく影響します。
さらに、「行動を続けていけそうな手応えや期待感」を持ってプログラムを卒業することは、サービスやプログラムへの満足度を高める要因となり、重要な成果指標として位置付けられます。
「行動を続けていけそうな手応えや期待感」を感じてもらうためには、以下のアプローチが必要です。
1)行動継続の自信(自己効力感の進展)
自己効力感とは、「自分が目標を達成できる」と感じる力です。
対象者が「これからもこの行動を続けられる」という自信を持つことが重要であり、それはヘルスコーチングの効果を示す指標にもなります。
2)小さな成功体験の積み重ね
日常の小さな成功体験を積み重ねることが、行動継続の手応えや期待感につながります。
これに気づかせることは、ヘルスコーチングの重要なアプローチの一つです。
3)ゴールと行動への確信
対象者がゴールに向けて手応えを感じているかも重要です。
「このまま続ければ○○になれる」という明確なゴールや行動への確信があれば、行動を続けるモチベーションが生まれます。
4)寄り添い、コーチへの信頼
対象者がヘルスコーチのサポートに信頼感を持ち、継続的にそれを活用できることも、行動継続には重要です。
コーチからのフィードバックが役立っていると感じられることで、行動への自信が高まります。
5)課題に対する柔軟な対応力
行動を継続するには、予期せぬ課題や困難に柔軟に対応できる力が必要です。
対象者が自分なりの対処法を持ち、効果的な行動を整理できているかどうかも、手応えに影響します。
これらの要素を取り入れることで、目に見える成果だけでなく、対象者の内面的な変化を促し、持続的な行動継続を支援します。
行動継続の手応えや期待感を育むことは、真の健康改善の成功に欠かせない要素です。
今回はヘルスコーチングの成果指標について解説しましたが、ヘルスコーチングの効果や活用方法については、まだ多くの方からお問い合わせをいただいています。
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「新規事業をつくれる人はいない」
ある新規事業開発コンサルタントの方からの学びです。
新しいものへのチャレンジに最初から用意された答えはないという前提を社内で共有できる企業の新規事業は、目標達成にかかる時間軸の差はあれどもアウトカムをゲットするのだそうです。
そして、新規事業は企業にとって新たなカルチャーづくりに尽きるとのこと。
ここでいうカルチャーは、共有された心構え(価値観)をベースに行われるアウトプットが醸し出す空気感。
新規事業は人づくり、カルチャーづくりということなのですね。きっと!
つくるをつくるが可能性あるアプローチです。
今週の注目記事クリップ
+++★注目記事クリップ★+++
[1]OuraがSparta Scienceを買収。2年間で3度目の買収
https://mhealthwatch.jp/global/news20241113-2
スマートリングメーカーのOuraは、ベイエリアを拠点とするヘルストラッキングのスタートアップSparta Science社を買収したと発表した。(2024/11/13)
[2]『mHealth Watch』注目ニュース:「片足立ち」が老化測定でもっとも効果的 “バランス能力”は性別関係なく如実に低下
https://mhealthwatch.jp/global/news20241125-2
今回発表されたMayo Clinicによる研究結果は、簡単な測定で高齢者の身体機能の変化を把握できるものであり、特に器具などを使わず、どんなところでも行えるものとなっています。(2024/11/25)
[3]NEC X、慢性疾患患者向けにウェアラブルデバイスを用いた遠隔モニタリングソリューションを提供するGPx社に出資(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000759.000078149.html
GPx社が提供するソリューション「CardioID」は、スマートウォッチやスマートスケールなどのデバイスから心拍、歩数、音声、体重などのデジタルバイオマーカーを収集。慢性疾患患者の状態をリアルタイムでモニタリングします。(2024/11/13)
[4]Loop BV、音のコントロールであらゆる日常を整えるベルギー発イアーウェアブランド「loop」、良質な睡眠を実現する「loop Dream(TM)」を発売(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000152700.html
「loop Dream(TM)」はloop製品の中で最も高い騒音軽減効果を持ち、27dB(SNR)で静かな睡眠環境を提供します。(2024/11/13)
[5]TRULYとパラマウントベッド、更年期世代の健康をサポート:睡眠とホルモンの相関を探る調査を実施
https://www.truly-japan.co.jp/news/20241114_media
本調査では、パラマウントベッドのシート型睡眠計測センサー「Active Sleep ANALYZER」で取得した睡眠データと、TRULYが提供する毛髪による男女のホルモン検査キット「MENOPO CHECK」で得たホルモン検査結果を比較し、更年期世代における睡眠とホルモン値の相関を明らかにすることを目指しています。(2024/11/14)
[6]NTTドコモとRIZAP、業務提携契約を締結
https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2024/11/14_00.html
本提携により、chocoZAPの通常の月額料金3,278円(税込)で、chocoZAPの利用に加えて、ドコモが提供するスマートフォン向け健康管理・増進アプリ「dヘルスケア」が利用でき、さらにchocoZAPの月額料金(税抜)の5%分となる最大149ポイントのdポイントを進呈する「chocoZAP×ドコモパッケージ」を提供いたします。(2024/11/14)
[7]ブレインスリープ、累計1万人以上のビジネスパーソンの眠りの深さを改善!「ブレインスリープ コンディショニングスタジオ」が有楽町にオープン!
https://brain-sleep.com/blogs/news/11659
第3号店となる「ブレインスリープ コンディショニングスタジオ 有楽町マルイ店」は、鍼とボディケアを掛け合わせたオーダーメイドメニューに特化し、より多くの方が継続的に通いやすくなるよう定額プランもご用意いたしました。(2024/11/15)
[8]キリンホールディングス、キリンの新規事業「エレキソルト スプーン」が「CES Innovation Awards(R) 2025」の2部門で受賞
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2024/1115_02.html
減塩食品の塩味やうま味を増強する食器型デバイス「エレキソルト スプーン」が、「CES Innovation Awards(R) 2025」の「Digital Health部門」および「Accessibility & AgeTech部門」の2部門で受賞しました。(2024/11/15)
[9]Wellmira、「なごや健康経営支援プロジェクト」に、パートナーシップ締結企業として参画します
https://www.wellmira.jp/news/news/2006/
当社は自社サービスの「オンデマンド・健康セミナー動画」「栄養相談サービス・食Desk」を無料で提供することで、名古屋市内の中小企業が健康経営優良法人を取得するよう支援します。(2024/11/14)
[10]パナソニック、健康経営の普及促進に向けて、美容を切り口にした健康イベントを旭化成本社で実施
https://news.panasonic.com/jp/topics/205997
両社で連携して健康習慣を改めて見つめ直してもらう契機として美容という身近で関心の高いテーマを設定し、旭化成本社でオーラルケアセミナーとパナソニックの美容家電・健康家電を体験していただく健康イベントを実施しました。(2024/11/18)
[11]ANA Xとノバルティス ファーマ、「ANA Pocket」アプリ内で健康促進コンテンツの提供開始
https://www.anahd.co.jp/group/pr/202411/20241119.html
ANA Pocket内に健康促進コンテンツ「ANA Pocketヘルスケア Powered byノバルティス ファーマ」を新設します。第一弾は「高血圧」に関する様々なコンテンツを、アプリ内から閲覧できるミニアプリという形でユーザーに提供します。(2024/11/19)
[12]慶應義塾大学とインサイツ、特定保健指導の成果を「見える化」する新たな評価方法を開発
https://insights.jp/news/20241122
この度開発した評価方法は、特定保健指導の該当/非該当だけでなく、単年度達成困難者も含めた特定保健指導の実質的な成果を「見える化」できる方法としてご活用いただけるものとなっております。(2024/11/22)
+++★デジタルヘルス解説動画(解説:渡辺武友)★+++
【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
デジタルヘルスのビジネスに関わる人に役立つ情報をお届けします。
第47回 Vitality、コーチングプロバイダーWellSparkを買収(6分33秒)
https://youtu.be/8Q9sCvGZvqU