[海外事例にみる継続支援アプローチ編]生成AIをヘルスケアサービスに活用する際のメリット(2)
こんにちは。脇本和洋です。
本編では海外のヘルスケアサービスの継続支援に関わる最新動向をチェックしています。
今回も2025年の注目動向である「生成AIの活用」についてお伝えします。
特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編
こんにちは。スポルツ脇本です。
ヘルスケアビジネスで高収益を上げるには、次に来る波を予測し、準備することが成功につながると考えています。
その一つの波が、ヘルスケアサービスにおける「生成AIの活用」です。
先日、我々も行動変容サービスに生成AIを組み込んだ
「きっかけデザインAI for Biz(仮)」のデモ版をリリースしました。
ただ、ヘルスケアサービスでの生成AI活用がまだ普及していない現段階では、そのメリットを十分に想像しにくいのではないでしょうか。
そこで、本編ではまず「生成AIをヘルスケアサービスに組み込むメリット」と題して、先月号で3つ紹介しました。
- メリット1:商品の継続利用率の向上
- メリット2:専門家が短時間でパーソナルな指導を行える
- メリット3:既存アプリでのフィードバックの強化
今回も続いてメリットを3つ紹介しましょう。
※参考>(2025年3月号)生成AIをヘルスケアサービスに活用するメリット
生成AIをヘルスケアサービスに活用するメリット(2)
今回も、生成AIを活用した行動変容サービスの開発を通じてわかってきた「生成AIをヘルスケアサービスに組み込むメリット」を3つ(メリット4から6)紹介します。
■生成AI活用メリット4:パーソナルな動機づけをする
特定保健指導などでよくみられるのですが、対象者本人が「改善意識が低い」場合があります。
今までなら将来の疾患リスクを見せるなどして動機づけしていました。
それも一つの方法ですが、本人にとっての個人的メリットを具体的に示すことが大切ですが、その提示が難しいという課題がありました。
この課題解決に生成AIが役立つのです。
生成AIを活用すれば、その人のプロフィールに合わせてパーソナライズされた動機づけが可能になります。
単に痩せることを目標にするのでなく、例えば、プロフィールに合わせ、痩せた後に「趣味のスキューバダイビングのスーツが楽に着られるようになる」など、人それぞれの動機づけのアイデアを生成AIが数多く提示できます。
最終的には、対象者自身が納得する形にしていく必要があるのですが、ヒントは十分に提示できるのです。
「パーソナルな動機づけ」のために生成AIが使える。
これは4つ目の生成AI活用メリットです。
■生成AI活用メリット5:専門家の文章作成時間の短縮化
ヘルスケア分野では多くの専門家が活躍されています。
そして、専門家が対象者に対して一定期間に渡ってプログラムを提供する場合、週ごともしくはプログラムの最後に「振り返りの文章を書いて送る」というシーンが生まれます。
どのような視点でどのような文章を書くかを考える際は、たとえフォーマットがあってもかなりの時間がかかります。
また、専門家ごとの文章力によるばらつきも生まれてしまいます。
この課題解決に生成AIが役立つのです。
生成AIを活用すれば、対象者の実行記録を参照させ、どのような視点で振り返り文章を書くよう指示すれば、一定レベルの共感性もある文章ができます。
もちろん最後は専門家が編集するとしても、トータルとして見れば時間の大幅な短縮になるのです。
生成AIの特長というべき文章を作る力。この力を活用し「専門家の文章作成時間の短縮化」ができます。
これが5つ目の生成AI活用メリットです。
■生成AI活用メリット6:対象者本人が気づきにくい点を気づかせてあげる
これはメリット5の続きでもあるのですが、専門家が対象者本人さえも気づいていないができていることを見つけフィードバックすると、それは大変価値があります。
ただ、これを専門家がやろうとすると大変な時間とセンスが必要になることが課題でした。
この課題解決に生成AIが役立つのです。
生成AIは、行動習慣・教育・心理学など、膨大な記録を学習しています。
その学習データの中から、本人が気づきにくいパターンや傾向を抽出できる力をすでにもっています。
実際に使ってみると、生成AIには「対象者本人が気づかない点を気づかせる」優れた能力があり、専門家によるフィードバックの有益なヒントを提供してくれます。
生成AIの特長というべき莫大な健康以外の異分野含めた記録データ。これを生かした「気づきにくい点を気づかせてあげることができる」。
これが6つ目の生成AI活用のメリットです。
ヘルスケアサービスへの生成AI活用のメリットをもっと知るために
今号も「そもそもヘルスケアサービスに生成AIを活用するとどんなメリットがあるのか?」というご質問を多くいただいたため、その視点で紹介しました。
生成AIの活用をチームで検討しはじめるには、今回のようなメリットをまず最初に理解することが有効です。
現在、生成AIを活用した行動変容サービス(企業向け)のデモ版のご紹介をしています。
デモ版のご紹介では、今回紹介した生成AI活用メリットをもっと具体的にお伝えしています。
◆◇◆(お知らせ)------------------------------------
生成AIを活用した行動変容サービス(企業向け)
「きっかけデザインAI for Biz(仮)」
■デモ体験会のご案内
「わかっているけどなかなか健康行動を続けられない」
そのような人を対象顧客としている企業担当者の方、是非ご検討ください。
<デモ体験1時間コース(無料、オンライン)>
・生成AIを使ったヘルスケアサービストレンド紹介
・具体例で理解を深める!「きっかけデザインAI for Biz」デモのご案内
・質疑応答
となっています。
お申込みは以下よりこちらからご連絡ください。
(貴社のご参加予定人数も教えてください)
(順番に紹介しております。少々お待ちいただくこともございます)
健康ビジネスキーワード
「ヘルスケア日米の差からの学びへ」
アメリカと日本のヘルスケア・マーケット、何が決定的に違うのでしょう?
それは、“前提の共有”です。
アメリカは「自分の健康は自分で守る」がスタート地点。
日本は「病気になったら国がなんとかしてくれる」が根っこにある。
この違いが、健康づくりに向き合う姿勢や、サービスの受け取り方に大きく影響しています。
例えば、米国では「予防」がスケールする土壌があります。
なぜなら、予防こそが医療コスト削減の武器であり、自己防衛の一環だからです。
一方、日本では皆保険制度があることで、「とりあえず病院に行けばなんとかなる」という感覚が根強く残っています。
でも、ここ数年で潮目が変わりつつあるのをご存知でしょうか?
アプリやウェアラブル、パーソナルサプリ、睡眠スコア、腸内フローラ。
今や、ヘルスケア情報はあふれ、選び、使い、試すことが誰にでもできる時代になりました。
その中で、日本でも「健康は自分でつくるもの」という意識が少しずつ芽生え始めています。
これは、医療制度の枠を超えた“新しい健康観”の始まりかもしれません。
つまり--ヘルスケアは、病気を治すものから、自分を育てることで、それは、「自分を知ること」から始まり、「自分に合った選択」を重ねていく、日々の実践そのもの。
この変化の波に、あなたはどう乗りますか?
今週の注目記事クリップ
+++★注目記事クリップ★+++
[1]生成AIと医師の診断精度を比較:システマティックレビュー&メタアナリシス(The Medical AI Timesより)
https://aitimes.media/2025/04/01/15141/?5392
本研究は、生成AIが現時点で専門医の代替にはなり得ないものの、非専門的な診断支援や医学生・研修医への教育補助ツールとしての有用性を持つことを示唆している。(2025/04/01)
[2]指輪が「小さな医師」になる。業界リーダーOuraのCEOが語るスマートリングの未来
https://ht-watch.com/2025/04/ouraceo.html
Ouraは飽くなきイノベーションによって市場でのポジションを獲得した。その背中を今では多くのテクノロジーブランドが追う。他社がなんとか追いつこうとしている間に、Ouraの最高経営責任者Tom Hale氏はさらに壮大な計画を描いている。(2025/04/03)
[3]『Exist』は中高年のユーザーがコミュニティを見つけるのを支援する新しいソーシャルウェルネスアプリ
https://ht-watch.com/2025/04/exist.html
『Exist』と呼ばれる新しいiOSソーシャルウェルネスアプリは、中高年の消費者が生活やそれに伴うストレスを乗り越えながら、互いにつながり、有意義なコミュニティを構築できるように支援することを目的としている。(2025/04/04)
[4]『HealthTechWatch』注目ニュース:遺伝子検査企業の23andMeが破産申請
https://ht-watch.com/2025/04/23andme.html
2006年にGoogleなどの出資により創業した23andMeが、ついに破産となります。オンラインでの遺伝子検査という新しいカテゴリーを作ったことで、多くの人が遺伝子検査(簡易ではあるが)を気軽に受けることができるようになりました。(2025/04/14)
[5]ブレインスリープ、睡眠改善の第一歩は【自身の正しい睡眠状態の認識】事実、半数以上が実際の睡眠時間を過小評価
https://brain-sleep.com/blogs/news/11677
有職者1万人を対象とした「睡眠偏差値調査2025」で、実睡眠時間と体感睡眠時間を調査したところ、回答者の約52%の方が実睡眠時間より体感睡眠時間の方が短いと感じていることが明らかになりました。(2025/04/02)
[6]タウンドクターが「楽天シニア」と協業。シニア向けの食品・ヘルスケア商材のマーケティング支援サービスを開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000084483.html
管理栄養士によるオンライン相談サービスN・Partnerの展開および食品・ヘルスケア企業向けのマーケティング支援を行うタウンドクターと、楽天モバイルが運営する健康寿命延伸サポートサービス「楽天シニア」は、シニア市場を起点とした企業の事業成長を支援する新サービスを開始しました。(2025/04/02)
[7]ベルシステム24、気圧予報に基づく体調管理アプリ「頭痛ーる」での気象と健康をテーマにしたオンラインサロン「Zutool Lab」を開設
https://www.bell24.co.jp/ja/news/bell24/20250403/
専門家によるオンラインセミナー等を通じた学びコンテンツと、専用コミュニティによるサロンメンバー同士の交流の場を提供。(2025/04/03)
[8]国立長寿医療研究センターとマクセル、指タッピング運動を計測したデータから軽度認知障害者を高い精度で分類することに成功【PDF】
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6810/ir_material21/248182/00.pdf
https://www.maxell.co.jp/
国立長寿医療研究センターとマクセルは、日立製作所とともに、各機関で研究資金を出資した共同研究において、磁気センサを用いて手指の巧緻運動(指タッピング運動)を定量化する技術にAI技術を用いることにより、高い精度で健常高齢者と軽度認知障害者を分類することに成功しました。(2025/04/03)
[9]順天堂大学、1990年から2021年にかけての日本の地域別疾病負荷の変遷
https://www.juntendo.ac.jp/news/22488.html
グローバル疾病負荷研究(GBD)からの新たな洞察。本研究成果は、我が国の公衆衛生の現状を反映し、健康寿命を延ばすための戦略立案において、今後注力すべき重要な課題を示唆しております。(2025/04/04)
[10]がん見逃しゼロを目指すAIメディカルサービス、医療現場で活用されているAIを身近に感じる機会の創出を目指し 内視鏡AIを知っていただくためのウェブサイト『内視鏡AI.com』を公開
https://www.ai-ms.com/news/corporate/20250404
これから内視鏡検査を受ける方に向け、新しい技術である内視鏡AIの理解を深めていただくことを目的に『内視鏡AI.com』を公開し、AIがサポートする医療を身近に感じていただく機会の創出を目指します。(2025/04/04)
[11]I'mbesideyou、米国での移民向けメンタルヘルスケア事業で3.6億円を調達。
AIと人の力でパーソナライズされたケアを提供。米国市場に100%フォーカスし、日本初のデカコーンを目指す。(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000066162.html
今回調達した資金を活用し、AIと人間の力を組み合わせ、AIにより最適化されたビジネスプロセスを通じて、各々の育ってきた環境や文化の違いをしっかりと反映した、個々人にパーソナライズされたメンタルヘルスケアを提供していきます。(2025/04/07)
[12]順天堂大学、月経に関連する困難症状の重症度に影響する要因は運動習慣によって異なる
https://www.juntendo.ac.jp/news/22509.html
本研究により、月経随伴症状の重症度に影響を与える要因は運動習慣の有無によって異なる可能性があり、さらに生活習慣などの個人の特徴に応じた対策の必要性が示唆されました。(2025/04/08)