[海外事例にみる企画ヒント編]15年に渡るダイエット長寿番組に見る「興味性を高める工夫」(2)
こんにちは。脇本和洋です。
[海外事例にみる企画ヒント編]は、健康ビジネスを高収益化するヒント(サービス、マーケティング方法)を海外事例を通じてお届けしています。今号は、1月の特集に引き続き、米国で人気のダイエットテレビ番組THE BIGGEST LOSERから、「興味性を高める工夫」を紹介します。
特集:海外事例にみる企画ヒント編
我々がよく聞く、企画担当者の悩みがあります。こうした声です。
- 自信の商品を作った。技術も独自のものを組み込んでいる。でも、売れない…
- 一方で、商品はわが社よりレベルが低い(単にまねているだけ)のに、圧倒的に売れている。はがゆい、悔しい…
スポルツが行ってきた20年に及ぶ事例分析でみると、健康ビジネスの成功と失敗には明確な差があります。
それは何か?
「売り方の違い」です。
もっというと、同じ売ることでも、興味性を高めて売るのと、いきなり商品の価値/機能から話し始めるのは全く違うということです。
商品の価値・機能に大きな差がなくなってきている時代には、興味性を高めて売る工夫が必要ということです。
[海外事例にみる企画ヒント編]の1月号と本号では、興味性を高めるヒント事例として、アメリカのダイエットTV番組THE BIGGEST LOSERを紹介しています。「ダイエットテレビ番組(ダイエットの知識を伝える)」という、ありがちな一つの健康サービスに対して、興味を持ち続けてもらうために、何をしているか?その点をヒントとして見てください。
【目次】
- THE BIGGEST LOSERってどんな番組?(前号のおさらい)
- 興味性を高める3つの要素
- 興味性を高め、稼げる健康ビジネスへ
1.THE BIGGEST LOSERってどんな番組?(前号のおさらい)
THE BIGGEST LOSERは、カリスマコーチからのダイエット指導の元、約5か月でどれだけ痩せられるかを競う視聴者参加型のテレビ番組です。
くだいていうと、男女とも巨漢で、健康リスクも高く、運動神経もほとんどない「イケてない」参加者が、カリスマ指導者から食事と運動のダイエット指導をうけ、最後はこんなに変わったということを見せる番組です。
前号では、顧客から興味を持ち続けてもらうために、「番組全体」としてテーマ性とストーリー性という2つの切り口をもっていることをお伝えしました。
参考>前号バックナンバー2020.01.21号
https://healthbizwatch.com/mailmagazine/news/879.html
2.興味性を高める3つの要素
番組全体としては、テーマ性とストーリー性という切り口で興味性を高めている一方、「番組各回」でも、様々な要素を組み込み興味性を高めています。今回は興味性を高める3つの要素を紹介します。
●参加者のプライべートを引き出す
番組内では、参加者がプライベートをさらけだし、さらに心の葛藤をありのままに吐露するよう仕掛けます。例えば、今までの人生で隠された秘密(例:離婚経験や、過去に貧困を味わっていたことなど)を番組内で自然と吐露させ、その心情に、視聴者は自分と似た部分をみつけ、共感しやすくします。
米国は離婚率が日本より高く、また低所得者層も圧倒的に日本より多いといった背景もあり、離婚/低所得という切り口は、「私に近い!」と感じさせ、共感を得やすいものになっています。
また、2020年1月末に再スタートした当番組では、参加者数は12名と少なくなり、一人ひとりの個性をより引き出しながら進行しています。参加者の人生に隠された秘密に迫ることが、興味性を高めるために有効であると判断したからに違いありません。
●参加者に残酷な競争をさせる
参加者は、複数のトレーナーごとにチームに分かれてトレーニングします。各回の最後に必ず計測があります。そこで一番減量率が低い人が脱落し、自宅に戻らなければならないというルールがあります。
一番できない人にはなりたくない心理を多くの人がもっています。また、一番できない人はだれだったか知りたい。そんな心理も多くの人がもっています。このような心理を突いて、番組に対する興味性をもたせています。
●参加者を誘惑し、誘惑を断つ方法に気づかせる
各回の放送では、「誘惑チャレンジ」というものを入れています。ここではおいしい高カロリーの食べ物を目の前にして、減量への意思がくじけないか(どの程度我慢できたか)を見ます。
また、誘惑に対してどのような行動をするか(高カロリーの食べ物が何で、それをどう避けるか)が、視聴者の減量行動にすぐに役立つヒントになるようしかけています。
3.興味性を高め、稼げる健康ビジネスへ
前号ではTHE BIGGEST LOSERというダイエットテレビ番組が、顧客から興味を持ち続けてもらうためにまず、番組全体として
- テーマ性
- ストーリー性
という2つの切り口をもっている点がポイントでした。
そして今回、番組各回として、
- 参加者のプライべートを引き出す
- 参加者に残酷な競争をさせる
- 参加者を誘惑し、誘惑を断つ方法に気づかせる
という要素でも興味性を持ち続けてもらっていることを紹介しました。
ダイエットテレビ番組は、食事と運動方法を教えるというのが基本サービスです。ただ、この商品には数多くの競合があります。
その中で、15年以上もの間ダイエット番組として勝ち続けている理由には、紹介したような「興味性を高める様々な工夫」があるといえるでしょう。
いかがでしたか?
興味性について改めてお考えいただくとともに、今回の切り口や要素の中で、あなたのビジネスに応用できることが一つでもあれば、使ってみてください。そして、あなたの商品に対する興味性を高め、さらなる収益化を進めていってください。 【脇本和洋】
参考>本編「海外事例にみる企画ヒント編」をお読みの方へ
我々スポルツが今までに調べてきた500超の事例から実績をベースに16事例を選定。米国先進事例の「行動継続を促す工夫」を調査分析したレポートの紹介です。
詳細は以下となります。ぜひ参考にしてください。
●ヘルスビズウォッチ・レポート
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
ー サービスの継続利用を高めるアイデアを、
チームで精度高く短期間で生み出すための発想素材! ー
健康ビジネスの現場で使えるキーワード
「変化にフォーカス」
サービス現場における品質管理では提供品質の安定化を求めることになるのですが、サービサーとしての自分の変化を感じ取ることを重視すると新たなるブレイクポイントが見えてきます!
今週の注目デジクリップ!
[1]新型肺炎で機動力ある健康経営を実施、独自ルールでワーカーを守る企業(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/news-200213-1
通勤時、在社時、顧客との打合せ時、といったワーカーならではの感染経路を考慮した感染予防対策や、年齢・健康状態・ライフステージに応じた在宅勤務の推奨など、各社が自社の状況に応じた対策を講じている。これこそが真の健康経営だ。(2020/02/13)
[2]瞑想の医学的有効性を証明するためHeadspaceが100億円調達(TechCrunch JAPANより)
https://jp.techcrunch.com/2020/02/14/2020-02-12-headspace-raises-53-million-and-40-million-in-debt-as-it-pursues-clinical-validation-for-mindfulness/
米国ロサンゼルスに本拠地を置くマインドフルネスと瞑想の事業を展開しているHeadspaceは、メンタルウェルネス界のリーダーの座をめぐるCalmとの競争が膠着状態となり、ポールポジションを奪おうと新たな資金調達に出た。(2020/02/14)
[3]ライフログテクノロジー、京都大学医学部附属病院の臨床研究でヘルスケア アプリ「カロミル」が採用
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000018894.html
「婦人科がん患者に対するモバイルアプリケーションを用いたがんヘルスケア管理のFeasibility Study」の臨床研究に「カロミル」が採用された。本研究では、患者の日常生活情報のデータ集積・保存のために使用。(2020/02/18)
[4]慶応義塾大学、慶應スポーツ SDGs シンポジウム 2020
開催日は2月29日(土)。WHO「身体活動に関する世界行動計画 2018-2030」の日本語版完成を契機として開催。東京2020イヤーに考える持続可能なスポーツ・身体活動について、学内外のステークホルダーが集まり、今後行うべきことを考える。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2020/2/12/28-67512/
[5]新社会システム総合研究所、AppleWatchを活用したヘルスケア・医療の展望
http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_20095.html
開催日は3月25日(水)。Apple Watchなどのスマートウオッチは、時計として身につけているだけで日々の生活に密着したデータを無意識のうちに取り続けている。これらのデジタルヘルスケアデータを、ユーザーや医療従事者はどのように理解し、医療に活用すればいいのかを検討する。
[6]AI利用のヘルスケアの実践や研究を支援するMicrosoftの『AI for Health』
http://mhealthwatch.jp/global/news20200212-2
Microsoftの『AI for Health』は、同社のAI for Good事業から生まれた5年間4,000万ドル(約43億円)の補助助成事業で、世界中の恵まれない人びとの健康をAIを利用して改善しようとしている。(2020/02/12)
[7]『mHealth Watch』注目ニュース:デジタルヘルスツールが継続雇用にプラスの影響を与える
http://mhealthwatch.jp/column/news20200225
「1/4を超える米国の労働者はデジタルヘルスのツールが提供されれば、勤務している会社に留まるという決定にプラスの影響があるだろうと述べている」とのことですが、この数値では低いのでは?と思いますか?私は意外と高く、ついにここまで来たか。と感じました。(2020/02/25)