こんにちは。脇本和洋です。

[海外事例にみる企画ヒント編]は、健康ビジネスの高収益化・継続利用度の向上をテーマに海外事例をお届けしています。

今号のテーマは、「Global Wellness Trends」にみる注目事例です。

特集:海外事例にみる企画ヒント編

Global Wellness Trendsにみる注目事例(その1)

今後、日本の健康ビジネスはどんな方向へ向かうか?そのヒントとなる情報はないか?

そんな問題意識をもつ方に役立つのが、世界レベルでの健康ビジネスのトレンドです。

しかし、トレンドをまとめることは多大な情報とセンスが必要であり、公開されているレポートの中でも、魅力的なものは数多くありません。

そこで、お勧めしたいのが、「Global Wellness Trends」というレポート。
2016年から毎年発刊されていて、切り口と内容が充実しています。

10月と11月の[海外事例にみる企画ヒント編]は、このレポートの中から注目事例を紹介しましょう。

■2020 Global Wellness Trends(10のトレンドキーワード紹介)
https://www.globalwellnesssummit.com/2020-global-wellness-trends/

注目事例1:時差ボケを克服するアプリ「timeshifter」

トレンド「FOCUS SHIFTS FROM SLEEP TO TRUE CIRCADIAN HEALTH(快眠リズム調整)」の中で紹介されている事例。

日本でも睡眠ビジネスを手掛けようとする企業は依然多いです。ただ、睡眠ビジネスは、テーマを解決した後の未来が見えにくい。

例えばダイエットなら、ダイエットした後には、「モテる、美しくなる、自分に自信がもてる」といった、明確な未来がいくつも見えます。

睡眠でもその未来を見せることは重要です。
コロナ禍で飛行機に乗ることが少なくなっていますが、時差ボケを克服し「旅行や出張を思いきり充実できる」という、未来を提示しているアプリが「timeshifter」です。
あくまで、睡眠の先の未来を提示している例として紹介します。

■事例名:timeshifter
https://www.timeshifter.com/

■設立:2018年(サービス開始)

■資金調達:1.5億円(2020年10月時点)

■アプリ特徴
・時差ボケを最小限に抑えるための工夫を教えてくれるアプリ
・自分のフライトスケジュールを入れると、時差ボケを抑えるための簡単な行動(日光をあびる、カフェインを抑える、睡眠をとるなど)をどのタイミングで行えばよいかを教えてくれる

注目事例2:妊娠したいと思った人向けウエルネスパッケージ「natalist」

トレンド「THE FERTILITY BOOM(妊娠能力をつける)」で紹介されている事例。

妊娠するためには、夫婦が協力し正しい知識を得て、確率が高まる行動をすることが重要。
ただ、何を信じたらいいか、エビデンスがあるかどうかを知ることには時間がかかっていた。その点にnatalistは目をつけました。

■事例名:natalist
https://natalist.com/

■設立:2018年(サービス開始)

■資金調達:5億円(2020年10月時点)

■商品
・夫婦で学ぶ妊娠のための知識集(男性向け知識が充実)
・妊娠しやすい体のサポートをするサプリメント
・検査キット

提供されている知識、サプリメントは、女性医師が中心となりエビデンスをもとに作成しており、その点で信頼性があることを訴求しています。

注目事例3:キリスト教徒のためのフィットネスプログラム「soulcore」

トレンド「ORGANIZED RELIGION JUMPS INTO WELLNESS(宗教とウエルネス)」で紹介されている事例。

健康行動は習慣化することが難しい。忙しい日常生活に、全く新しい健康行動を組み込むのは壁があるからです。

キリスト教徒にとって礼拝は定着した日常生活の一つ。その礼拝習慣に体を動かすプログラム加え、日常生活の中で自然と取り組めるようにしたのが、「soulcore」です。

■事例名:soulcore
https://soulcore.com/

■概要
キャンドルの灯り、音楽、礼拝、体の動きを組み合わせる。身体、心、魂に栄養を与えるというプログラム。リアルの場で提供している。

健康ビジネスの『課題』に対応する

今回は、2020 Global Wellness Trendsより、3つの注目事例(「timeshifter」、「natalist」、「soulcore」)を紹介しました。

それぞれ、

・睡眠ビジネスは、テーマを解決した後の未来が見えにくい
・妊娠サポートビジネスは、エビデンスがどの程度あるか見えにくい
・新しい体を動かす習慣を、日常生活に組み入れるのは難しい

といった、日本にも同様に存在する健康ビジネスの『課題』を克服しようとしている点には注目したいですね。

次号(11月)の[海外事例にみる企画ヒント編]では、

・AGING REBRANDED(エイジングビジネス)
・MENTAL WELLNESS AND TECHNOLOGY(メンタルウエルネスとテクノロジー)
・WELLNESS MUSIC(ウエルネスミュージック)

あたりから、引き続き注目事例を紹介します。 【脇本和洋

参考>本編「海外事例にみる企画ヒント編」をお読みの方へ

我々スポルツが今までに調べてきた500超の事例から実績をベースに16事例を選定。米国先進事例の「行動継続を促す工夫」を調査分析したレポートの紹介です。

詳細は以下となります。ぜひ参考にしてください。

●ヘルスビズウォッチ・レポート
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
ー サービスの継続利用を高めるアイデアを、
チームで精度高く短期間で生み出すための発想素材! ー

健康ビジネスキーワード

「ソリューションポイント発見のコツ」

1つのシーンで共有度の高い2つ以上のニーズを組み合わせる。2つ以上の課題同時解決にアプローチ。

例:「うまい、安い、早い」(吉野家現行キャッチ)が1970年代は「早い、うまい、安い」だったものが1980年代には「うまい、早い、安い」だった。
時代とともにソリューションポイントは微妙に変わるということですね。

今週の注目記事クリップ

[1]オムロン ヘルスケア、時間帯や曜日、異なる状況下における「日中血圧変動の違い」を確認
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2020/1007.html
ウェアラブル血圧計で日中の血圧を測定。時間帯や曜日、会議中やデスクワークといった異なる状況下において、「日中上昇タイプ」「月曜上昇タイプ」「会議などで血圧が上昇するタイプ」など日中の血圧変動に個人差や違いがある事を確認できた。(2020/10/07)

[2]凸版印刷と米Figur8社、筋骨格センサーを活用したオンラインフィットネスの実証実験を実施
https://www.toppan.co.jp/news/2020/10/newsrelease_201007_1.html
今回両社は、オンラインフィットネス業界向けに、筋骨格センサーを活用し、個人の身体動作の客観的定量データを高精度、短時間で計測・取得・分析。計測データに基づいたトレーニング指導を提供する実証実験を実施。トレーナー、被験者双方にデータ活用の価値を見出す結果を得た。(2020/10/07)

[3]九州大学、大学生向けメンタルヘルスアプリの開発【PDF】
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/40754/20_10_07_01.pdf
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/
本研究は「大学生向けのアプリ開発からその効果の検証までを、精神医学と芸術工学という異分野の協力によって行なった点」が世界的にもユニークであり、今後の学生支援の新たな選択肢となることが期待される。(2020/10/07)

[4]富士キメラ総研、「2020 人工知能ビジネス総調査」まとまる
https://www.fcr.co.jp/pr/20107.htm
富士キメラ総研は、AIの国内市場を調査した。その結果を「2020 人工知能ビジネス総調査」にまとめた。AIビジネスの国内市場は20年度に1兆円を超え、25年度に2兆円規模へ拡大、デジタルトランスフォーメーションの要素技術の一つとして、利用増加が予測される。(2020/10/12)

[5]日本ランニング協会、「ランニング食学検定」開始
https://jaruna.jp/news/2020/10/2240/
ランニング食学検定とは、ランニングを愛する皆さま自身が、日々の「食生活」を通じて強い身体を作り、本来持つ力を最大限に発揮していくための、「食」にスポットを当てた検定。(2020/10/12)

[6]エムティーアイ、「2020エムティーアイ健康白書」公開
https://www.mti.co.jp/?p=27000
エムティーアイの健康経営についての取組みをまとめた「2020エムティーアイ健康白書」を公開。(2020/10/13)

[7]80代のネット・SNS利用率50%時代へ 急激に浸透した理由は?(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/research-marketing-201013-1
80代以上のネット利用率・SNS利用率が今、大きく上昇している。特に2018年から2019年にかけての上昇が著しく、さらに2020年はコロナ禍の影響もありさらに上がる見込み。どうやら、企業が思う以上に80代のデジタル利用は増えているようだ。(2020/10/13)

[8]AIDAMA、20代・女性5人が手がける、「90’s Being Home」が予約スタート!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000067444.html
「90’s Being Home」は、キャリア・恋愛・人間関係など、人生の中で最も不安になりやすい時期と言われている「クオーターライフクライシス」に差し掛かる、90年代生まれ/現:20-30代をターゲットとした、オンライン・パーソナル・メンタルコーチサービス。(2020/10/13)

[9]『Mobile Health Symposium 2020』レポート【2日目-1】
http://mhealthwatch.jp/feature/news20201008
2020年9月12日(土)から13日(日)の2日間、ウェビナーにて『Mobile Health Symposium 2020』が開催されました。今回は2日目に講演された、オンライン診療に取組む医療関係者を紹介していきます。(2020/10/08)

[10]『Mobile Health Symposium 2020』レポート【2日目-2】
http://mhealthwatch.jp/feature/20200913_02
レポート最終回として、2日目の締めに行われたパネルディスカッションを紹介します。1日目で講演された方も多く参加し、医師、自治体、ベンダーと幅広い視点でディスカッションが行われました。(2020/10/13)

[11]調査:世界ウェアラブル市場、2020年は好調続き4,000万台弱へ-2024年まで2桁成長を維持
http://mhealthwatch.jp/global/news20201013
IDCは、世界ウェアラブルデバイス市場に関する調査結果を発表した。2020年の出荷台数は3億9,600万台で、前年の3億4,590万台から14.5%増えると見込む。また、その後も毎年2桁ペースの増加を続け、2024年には6億3,170万台となり、その間の年平均成長率(CAGR)が12.4%になるとした。(2020/10/13)

[12]『mHealth Watch』注目ニュース:『CommonPass』、旅行と貿易の再開を支援するためのテストを開始
http://mhealthwatch.jp/global/news20201019
今回取り上げた、コモンズプロジェクト財団と世界経済フォーラムの取り組み『CommonPass』は、少しでも円滑に国境を越えた移動ができるようにしようとするものです。まだテストも始まったばかりのため、2つの航空会社と4つの空港間に限られたもので、ここでの成果を踏まえ拡大していくようです。(2020/10/19)