[ヘルスコーチングの視線編]ヘルスコーチングの可能性を探る:リアルとオンラインの最適な切り分け
こんにちは、里見です。
先月の[健康ビジネス・マーケティング&収益化編]で、渡辺が今後のニューノーマルに関連して「リアルとオンラインの融合」についてお伝えしました。
ニューノーマルにおける新たなヘルスケアビジネスの形
https://healthbizwatch.com/column/hbw-913
よりよい体験、または結果を得るためにオンラインを通し、リアルな人が支援することが、顧客の継続に効果的なのですが、今回は「リアルとオンラインの融合」について、ヘルスコーチングにおける切り分けのポイントに関してお話ししたいと思います。
特集:ヘルスコーチングの視線編
1、「人」の存在と「システム化」それぞれの課題
ヘルスコーチングは、双方向のコミュニケーションのやり取りが基本です。
そのため、対象者に合わせたパーソナライズなコミュニケーションで、その時々の対象者の反応に合わせて、コミュニケーションも変化させていきます。
しかし、全てのコミュニケーションをパーソナルに対応し、対象者に合わせてカスタマイズしていくコミュニケーションでは、「人」に頼る部分が大きくなってしまいます。
「人」に頼る部分が大きいと、サポートする「人」の経験やコミュニケーション能力に頼る部分が大きくなります。
その結果、「人」によるサービス品質のバラツキが出てきてしまいます。
また、「人」が細かく対応する場合には、どうしても負荷が高まることからサービス面ではコストが膨らみ、高額なサービスになりがちです。
さらに、「人」に頼る部分が大きいと、一人が対応できる、さばける人数にも限界が出てくることから、サービスを拡大するには対応する「人」をより多く確保する必要が出てきます。
その反対に、「人」が対応するのではなくAIやシステムに「人」の部分を置き換えてオンラインで提供するやり方では、システムからの反応、システムからのコメントに対して受け手側はあまり価値を感じず、効果的な継続支援や対象者の「気づき」につながりにくくなり、結局は対象者任せになってしまいます。
「リアルをオンラインに置き換えただけ」では、代替手段までに留まってしまいます。
本当の意味での「リアルとオンラインの融合」こそが、新たな価値を生んでいくのだと考えています。
「リアルとオンラインの融合」という点でオンラインを活用したヘルスコーチングのコミュニケーションは、AIやシステムと「人」を組み合わせたスタイルで、それぞれの特徴や価値を活かした融合、切り分けが必要になってきます。
2、システム化に向くヘルスコーチングの要素
1)パーソナライズ情報の活用
ヘルスコーチングでは、対象者とのコミュニケーションを通して多くの情報を入手し、パーソナライズなやり取りに活かして寄り添っていきます。
例えば、事前ヒアリングの情報をパーソナライズする時の基本情報として活用したり、スタート時点との変化を見つけるための情報源と位置づけて活用したりします。
オンラインでのコミュニケーションの中で、どのタイミングで事前ヒアリングのどの情報をどのように活用するのかまでルール化し、システム化することが可能です。
「人」がそれらの情報を整理して活用するよりも、システム化して均一的にパーソナライズな情報として活用するほうが、効率的です。
2)データの変化への活用
対象者自身に取り組みを見える化してもらう機会として、データの記録、レコーディングのタイミングがあります。
継続的な記録の変化の中から変化を見つける部分は「人」よりもシステムの方が優れています。
対象者が見えていない小さな変化を捉えて、リアルタイムで知らせることは、記録する価値、継続する意味づけにつながる要素であるため、システム化が得意とする部分です。
3)選択支援のためのレコメンド
ヘルスコーチングでは、目的やゴールを設定し、その目的やゴールに向けて具体的な行動にフォーカスして、PDCAサイクルを回しながら進めていきます。
具体的な行動を選択する時には、対象者が自ら具体的な行動を選択する、決定するプロセスが必要になります。
行動の選択をサポートする際には、いくつかの選択肢を提示したりレコメンドしたりする「選択支援」が求められます。
その際、どんな基準で行動を提示、レコメンドするのかといったルールが必要になってきて、パーソナライズ化が求められる部分です。
この具体的な行動は、成果や結果に直結するため、「人」の経験値や「人」の考えに頼ったレコメンドや提示では、成果にバラツキが生じてしまいます。
そのため、対象者のライフスタイル情報や過去の経験、取り組み状況などの情報から、パーソナライズした候補を提示する流れの中では、システム化が可能であり適している部分です。
3、「人」が支援してこそ価値提供できる要素
ヘルスコーチングの要素で「人」だからこその価値提供ができるのが「フィードバック」です。
そして、ヘルスコーチが対象者に向けて行うフィードバックは、強制でも指示でも忠告でもありません。
ヘルスコーチが行うフィードバックは、コーチから見た対象者の姿、取り組みなど、その人の行動のありのままを映す「鏡」です。
このヘルスコーチからのフィードバックは、対象者自身への気づきに働きかけることで機能するのです。
このフィードバックは、間違ったやり方やシステムから作用しない形でフィードバックしても機能せず、逆に対象者の動機付け(やる気)を著しく弱める結果につながることになります。
このようにフィードバックは対象者への影響が強い要素なのです。
そのため、フィードバックを行う上では、対象者の状況をしっかり把握することはもちろんですが、対象者の現状はもちろん感情も含めて理解することが重要になってきます。
だからこそ、「フィードバック」には、人だからできる「寄り添い」や「承認」が含まれており、それらによって対象者は安心し、行動が起こりやすくなるのです。
このフィードバックについては、対象者の行動や反応、感情をヘルスコーチが受け取った上でフィードバックする(返す)ことがポイントになるので、「システム化」「仕組み化」することは難しい部分なのです。
このように、ヘルスコーチングの要素、アプローチの中には、システム化が可能な要素や取り入れ方次第では、「人」よりも「システム」の方が効果的な要素やアプローチと、「人」でないと価値提供できなかったり対象者の気づきや行動につながらなかったりする要素、アプローチが存在しています。
「リアルとオンラインの融合」の中では、リアルの部分をより明確にすることで「人」の価値、寄り添う価値が際立ってくるのではないかと考えています。
ヘルスコーチングには具体的な要素がたくさんあり、要素をどんなタイミングでどのような意図を持って具体的に活用していくのかがポイントになってきます。
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健康ビジネスキーワード
「価値観の成長プロセス」
価値観の成長プロセスはなぜか?似たようなトーン&マナーで進行展開している。
・エンゲージメントの3大要素:仲間意識 → 適合感 → 貢献感
・コミュニティの成長:共感 → 共有 → 共創
今週の注目記事クリップ
[1]CureApp、禁煙治療領域で世界初、治療アプリ(R)の公的医療保険適用を中医協が了承
https://cureapp.blogspot.com/2020/11/blog-post.html
ニコチン依存症を対象とした治療用アプリである「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」が中央社会保険医療協議会(中医協)より了承を得て、2020年12月1日より保険収載される。(2020/11/11)
[2]RIZAPとジェノプラン、協業のお知らせ 遺伝子検査に基づくヘルスケアへ
https://www.rizapgroup.com/news/information/20201112-01/
ジェノプランが提供する国内最多の検査項目を持つ遺伝子解析サービスとRIZAPが持つヘルスケアに関する幅広いノウハウを合わせて活用することで、より一人ひとりの体質や生活習慣に合ったオーダーメイドの健康プログラムの確立を目指す。(2020/11/12)
[3]ティーペック、健康経営情報サイト「わくわくT-PEC」を公開中
https://www.t-pec.co.jp/news/newsrelease/2020-1116/
わくわくT-PECは、健康経営を推進する企業人事・健康保険組合の担当者のためのWebサイト。予防・健康、パフォーマンス・モチベーションの向上からメンタル・ハラスメントの問題まで、職場の健康に関する情報を掲載。(2020/11/12)
[4]カルビー、睡眠サポート食品「にゅ~みん」を販売開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000596.000030525.html
「にゅ~みん」は睡眠の質(眠りの深さ)を高め、起床時の眠気や疲労感を和らげることが報告されている「クロセチン」を含有したカルビー初の機能性表示食品。薄いシート状で口に入れると溶けるため、寝る直前でも水なし、噛まずに摂取することが可能。(2020/11/12)
[5]サントリー食品インターナショナル、サントリー初の健康茶統合コミュニケーションを実施
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1064.html
健康茶統合コミュニケーションの一環として、LINEを使った新サービス「全国一斉健康タイプ判定」を実施。自分防衛団の本木隊長からLINEを通して投げかけられる質問に回答することで、自分の健康タイプ特性を判定することが出来るサービス。(2020/11/13)
[6]Veeva、モバイルアプリ「MyVeeva for Doctors」をリリース
https://www.veeva.com/jp/news/veeva-teams-with-life-sciences-to-offer-industrywide-source-for-key-contacts-information-and-services-from-across-companies-and-brands/
このアプリを使用することで、医療従事者は製薬企業およびバイオテクノロジー企業やそのブランドの垣根を越えて、一元管理された主な問い合わせ先、情報、サービスのすべてにアクセスできるようになる。(2020/11/13)
[7]矢野経済研究所、自然派・オーガニック化粧品市場に関する調査を実施(2020年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2588
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴う店舗休業期間があったことで、2019年度を下回る見通しとなり、2011年度以来初めてのマイナス成長予測となる。また、2020年、日本初の「ナチュラルコスメ認証制度」が誕生した。(2020/11/16)
[8]ラフール、オンラインカウンセリングを提供するcotreeと協業し、企業で働く従業員様の心の健康ケアを支援
https://www.lafool.co.jp/news/654/
「ラフールサーベイ」を導入している企業、導入している企業の従業員向けに、通常料金45分 5,000円(税抜)の「『話す』カウンセリング」、通常料金2週間 8,000円(税抜)の「『書く』カウンセリング」を特別価格で提供する特別プランを用意。(2020/11/16)
[9]フィリップス、「SmartSleep ウェイクアップ ライト」を販売開始
https://www.philips.co.jp/a-w/about/news/archive/standard/about/news/press/2020/20201116-pr-healthcare-wakwuplight-sleep.html
「SmartSleep ウェイクアップ ライト」は、睡眠課題に光でアプローチ、心地よい就寝と目覚めをサポート。子育てや夜勤などで不規則な時間や冬場まだ外が暗い時間に起床する場合にも、太陽光に照らされたような温かい光で自然と目が覚める心地よさを提供。(2020/11/16)
[10]ガーミンジャパン、ヘルスケア事業に本格参入 グローバルプロジェクト「Garmin Health」を日本でもスタート
https://www.garmin.co.jp/news/pressroom/news2020-1117-garmin-health/
「Garmin Health」は、ヘルスプロモーション、ソリューション事業、研究などをサポートする、Garminの新たなグローバルプロジェクト。Garminならではの使いやすさと多彩な機能性を有するウェアラブルデバイスを活用し、スポーツ&アクティビティシーンだけでなく日常生活における健康管理・健康増進をサポートする。(2020/11/17)
[11]メドピア、かかりつけクリニック支援サービス「kakari for Clinic」、Web診療予約機能の提供を開始
https://medpeer.co.jp/press/8604.html
「Web診療予約機能」は、kakari for Clinicが各クリニック専用のURLを発行し、クリニックがホームページにそのURLへのリンクを埋め込むことで診療予約画面へと遷移する仕組み。(2020/11/17)
[12]そごう・西武、紳士服売場で非接触採寸システム導入【PDF】
https://www.sogo-seibu.co.jp/pdf/20201117_01.pdf
https://www.sogo-seibu.co.jp/index.html
このシステムは、「Bodygram(ボディグラム)」のアプリを使って、スマートフォンでお客様の簡単な情報を入力し、正面と側面の2枚の全身写真を撮影するだけで全身の高精度な身体サイズの推定採寸が可能なもので、百貨店では初めての導入。(2020/11/17)
[13]カラダノート、終活のファーストステップ「終活準備ノート」をリリース
https://corp.karadanote.jp/archives/3509
終活準備ノートは、終活のファーストステップをサポートする機能と、終活以外にユーザー自身のヘルスケアもサポートするアプリ。(2020/11/17)
[14]MIG、認知症発症リスクの早期判定プログラム「Brain100 studio」をMakuakeで販売開始【PDF】
https://www.medicalig.com/wp-content/uploads/2020/11/MIG_NewsRelease_20201117.pdf
https://www.medicalig.com/
Brain100 studioは、VRゴーグルを使った「空間ナビゲーション脳機能」の測定や認知症発症リスク要因のチェックにより、発症前にあなた自身のリスク参考値を算出。発症遅延に向けた総合的な予防活動を支援するプログラム。(2020/11/17)
[15]Fitbit、予測を6,490万ドル上回る売上に
https://mhealthwatch.jp/global/news20201112
Fitbitが公表した第3四半期の収益は予想の6,490万ドルを上回った。決算数値の公表は、待たれているGoogleとの合併に先んじている。(2020/11/12)
[16]Under Armour、MyFitnessPalを3億4500万ドルで売却し、2021年までにEndomondoも売却
https://mhealthwatch.jp/global/news20201113-2
Under は、My Fitness Palを投資会社Francisco Partnersに3億4,500万ドルで売却すると発表した。これは、2015年にコネクテッドフィットネスアプリとそのプラットフォームに投資した4億7,500万ドルを大きく下回っている。(2020/11/13)
[17]Apple Watchはまた一歩未来へ:睡眠障害向けのアプリが承認される
https://mhealthwatch.jp/global/news20201116-2
PTSD(心的外傷後ストレス障害)によって引き起こされる悪夢に悩まされている人たちの改善に役立つ『NightWare』システムをApple Watch向けに販売することを米国の政府機関であるFDA(アメリカ食品医薬品局)が承認した。(2020/11/16)
[18]『mHealth Watch』注目ニュース:健康行動に取り組んでいない女性6割、なぜ無関心?
https://mhealthwatch.jp/japan/news20201124
今回注目するのは、厚労省が国民健康・栄養調査で発表した健康無関心層の実態に関してのニュースです。この健康無関心層にフォーカスして、実態を調査して公表したのは、今回の国民健康・栄養調査(令和元年)が初めてのようです。(2020/11/24)