こんにちは。脇本和洋です。

[海外事例にみる継続支援アプローチ編]では、海外の健康サービスのトレンド、注目事例を紹介するとともに、健康サービスの肝となる「継続支援アプローチ」を紹介しています。

今号は、米国のHealthTechベンチャー企業の中から、資金調達に成功し、今後注目の事例を2つ紹介します。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

資金調達に成功し、今後注目のHealthTechベンチャー企業

スポルツでは、海外のヘルスケアビジネスのトレンド・ブームを先取りし、クライアント企業のサービス開発を支援しています。その際、海外で資金調達に成功するベンチャー企業には特に注目します。

今回は、資金調達額が600億円を超える「Lyra Health」と、設立後4年で資金調達額が491億円となっている「Cityblock Health」を紹介しましょう。

注目事例1:Lyra Health(ライラヘルス)

コロナ禍により、将来に不安をもつ人が増え、さらに対面での診療を避ける傾向が顕著となりました。こうした背景で、オンラインでのメンタルヘルスサービスが注目されています。Lyra Healthはこの分野の注目企業です。

■Lyra Health(ライラヘルス)
https://www.lyrahealth.com/

■設立:2015年

■資金調達額:675億円(2021年6月時点)

■サービス概要
・セラピストとエモーショナルウエルネスコーチが、ビデオセッションなどを通じて一人一人を支える

■サービス特長
・個人の状況(症状、症状の深刻度、ライフスタイル)に合わせたプログラム
・セラピストとのビデオでの1対1のカウンセリング
・認知行動療法のデジタルレッスンを通じて、現実社会を生きるスキルを学ぶ
・症状の状態、回復の状態をモニターできる

注目事例2:Cityblock Health(シティブロックヘルス)

Lyra Healthのようなパーソナライズを意識したデジタルテクノロジーサービスが注目される一方で、リアル中心のサービスの裏側でデジタルテクノロジーを効かせる、そんなサービスも注目されています。

■Cityblock Health
https://www.cityblock.com/

■設立:2017年

■資金調達額:491億円(2021年6月時点)

■サービス概要
・Cityblock Healthの基本コンセプトは「Health is Local」
・「健康は、地域・身近なところにある」という考え方の元、地域にある健康資源を組み合わせて、地域住民の健康づくりを行う
・Cityblock Healthは住民に直接サービスを提供するのではなく、医療保険会社を経由してサービスを提供する

・例えばニューヨーク市の場合、低所得者に医療保険を提供するEmblemHealth社にプログラムを提供。EmblemHealth社の会員は、Cityblock Healthのサービスを受けることができる
・会員がCityblock Healthのサービスを使い健康でいると、会員が病院へ行く頻度が下がり、EmblemHealth社が病院へ支払う医療費が低減される

■サービス特長
・Primary Care(自分の健康不安を気軽に相談できるリアルの健康診療所)
・Mental Care(セラピストが相談に乗る。対面、電話、バーチャルで可能)
・Care Cordination(疾患のテーマに合った、医師・専門家などをアレンジ)
・Community Support(地域でいきいきと過ごすために、仕事、介護、食事、運動、子育てなどの分野で支援する)

Cityblock Healthのサービスは、リアルのサービスが基本となります。地元の人と会う、地元で健康づくりを行う、その過程で地域から元気をもらっていくことに特長があります。

こうしたリアルのサービスを充実させるため、会員の状態を専門家同士で共有できるシステムを保有するなど、サービスの裏側で高度なテクノロジーを利かせています。

HealthTechベンチャー2社にみる方向性

HealthTechのベンチャーというと、Lyra Healthのようなパーソナライズし、モニタリングすること。そんなイメージが一般的です。

ただ、一方で地域に住む人が、地域の人に見守られながら健康づくりができる。そのために、サービスの裏側で高度なテクノロジーを使う。というCityblock Healthのような姿も、一つの方向性です。

本メルマガでも何度か述べてきたよう、「人中心のサービスのように見え、実際には裏側で、デジタルテクノロジーが最大限使われている」というパターンです。
デジタルヘルスの方向性として、注目してください。 【脇本和洋】

参考>本編「海外事例にみる継続支援アプローチ編」をお読みの方へ

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